【新社長特集】日本ポリエチレン 山田清隆社長

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2020年10月2日

高付加価値化を推進、再投資できる収益体制を目指す

 ━抱負をお聞かせください。

  中面JPE 山田社長 ポリエチレン(PE)業界を振り返ると、各メーカーが合併を繰り返してきた歴史だ。当社も現在の姿になるまで5社が関わっており、社内には様々な技術やノウハウが蓄積され、研究体制も充実し、また製品のラインアップも豊富となっている。さらに、営業と研究開発の協力体制が整っており、顧客のニーズに対しソリューションを提供する提案力もついてきた。こうした当社の強みを生かして、会社をさらに発展させていきたい。

 一方、海洋プラスチックごみ問題を契機に、プラスチックが悪者といった印象が広まり、脱プラスチックの動きが強まっている。ただ、例えばプラスチック包装がフードロスの削減につながり、またコロナ対策でも多くのプラスチック製品が医療分野で使用されているように、様々な課題の解決に貢献できるといった一面が見逃されている。PE専業メーカーである当社は、こうしたプラスチックの有用性を、しっかりアピールしていく必要があると考えている。

 ━PE業界をどう見ていますか。

 PEの内需はここ数年大きな変動がなく、年間340~350万tで底堅く推移している。PEは日用品をはじめ様々な分野に使用されており、生活の一部として浸透していると言えるだろう。しかし、供給面を見ると、

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【新社長特集】PSジャパン 室園康博社長

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2020年10月2日

リーディングカンパニーを堅持、安心と価値を提供

 ━抱負をお聞かせください。

  PSジャパン 室園社長 中面当社は、国内ポリスチレン(PS)業界のリーディングカンパニーであると自負しており、業界の発展に貢献していくことが第一だと考えている。また、スチレン工業会の会長にも就任したが、PSを含めプラスチックがいかに有用なものであるのかを訴えていきたい。

 先日、私の娘から「プラスチックは世の中の役に立っているね」と初めて言われた。コロナ禍による「巣ごもり需要」で、テイクアウトやスーパーでの買い物の際に、プラスチックを使用するケースが増えたことで実感したのだろう。

 コロナ禍は事業環境の悪化をもたらしているが、逆にPSを再評価していただく良いきっかけになるかもしれない。そのためにはPSがリサイクルできる環境に優しい樹脂であることを広めていく必要がある。昔からPSはリサイクルに取り組んできたが、さらにリサイクル技術や回収システムをブラッシュアップしていかなければならない。

 ━リーディングカンパニーとして何に取り組んでいきますか。

 当社はリーディングカンパニーの地位を維持するために、シェアナンバーワン、品質ナンバーワン、高付加価値化を含めた技術開発ナンバーワン、環境対応ナンバーワン、といった4つの「ナンバーワン」を掲げている。

 PS業界は3社に集約されている中で、各社それぞれ得意分野で勝負をしている。シェアを維持するためには、

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【新社長特集】新日本理化 三浦芳樹社長

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2020年10月2日

マーケットインで、オンリーワンの技術と信用を届ける企業に

 ━まずは社長に就任された抱負をお聞かせください。

  中面新日本理化 三浦社長1.JPG 当社は昨年100周年を迎えた。この節目を新しいスタート地点として捉え、強みと弱みをしっかりと分析した上で、新たな土台を築きながら経営に当たりたいと考えている。強みで言えば、当社の歴史は水の電気分解による水素・酸素製造、油脂化学に始まっているが、当時から培われてきた水素化技術やエステル化技術が今でも当社のベースとなっており、業界内でも評価をいただいている。また従業員の仕事に対する姿勢が非常に真摯で粘り強く、必ず結果を出してくれるといった風土もある。

 一方、弱みとしては、そうした強みを継承すること自体が目的化してしまい、新しい技術や新製品を生み出す力がやや脆弱化していることだ。おそらく30年ぐらい前はスペシャリティとコモディティの比率が3対7ぐらいだった。それが現在は1対9と多くの製品がコモディティ化し、収益力が落ちている。

 また、当社はドメスティックな環境で成長してきた会社という側面から、マーケットの変化に鈍感になっており、グローバル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)などへの対応も遅れ気味だ。今後はマーケットへのアクセスを増やし、トレンドにいち早く対応していく必要があるだろう。

 ━前職の商社でのご経験をどう生かされていますか。

 メーカーといえども、今は製品を棚に並べておけば売れるという時代ではない。市場ニーズを捉えるマーケティング力が重要となっており、そこで私の商社時代の経験が生かせると思っている。

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【2020年 夏季特集】 トップインタビュー

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2020年8月10日

コロナ影響拡大で先行き不透明
戦略の見直しが課題、新常態でも成長戦略を模索

 わが国化学産業は、新型コロナウイルスの感染拡大により需要が低迷したこと、さらに原油価格の暴落により製品市況が悪化したことで深刻なダメージを受けている。経済活動の再開により下期からの回復が期待されているものの、先行き不透明感が強まっており、今年度は各社にとって正念場の年となりそうだ。

 対面業界では、明暗が分かれている。これまで市場をけん引してきた自動車産業は、生産台数が大幅に落ち込んでおり、回復までには時間を要するとの見方が強い。長期的にみればCASEなど新たな需要が期待されるものの、投資計画を見直す動きも出始めている。

 また各社がこれまでコスト重視で効率化を図ってきたサプライチェーンも、ロックダウンによって寸断された。近年では自国ファーストも進んでおり、今後は地産地消を含めた再構築を迫られそうだ。

 一方、テレワークが一気に整備されたように、5GやIoTといった半導体分野の需要が急速に拡大。また、コロナ禍で健康意識が高まったことを背景に、ヘルスケア分野への各企業の取り組みが加速している。ニューノーマル(新常態)においても、これらの分野は成長が期待されることから、今後、各社間の競争が激しくなりそうだ。

 今回の「夏季特集号」では、化学業界を代表する首脳の方々に、コロナ禍による現下の危機をいかに成長の機会に変換し生き残りを図っていくのか、その戦略と方針を聞いた。

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信越化学工業 金川千尋会長/▽コロナ禍を成長の機会に、「谷深し」でも活路は必ずある

三菱ケミカル 和賀昌之社長/▽循環型経済の実現に向け、共同歩調で取り組み加速

旭化成  小堀秀毅社長/▽新常態の変化を事業機会と捉え、ヘルスケア領域を第3の柱に

三井化学 橋本修社長/ ▽新事業開発センターが始動、新体制で事業創出を加速

東ソー  山本寿宣社長/ ▽コロナ禍でも中計方針を徹底、ハイブリッドカンパニーを追求

昭和電工 森川宏平社長/▽顧客体験を最大化、統合で〝先端材料パートナー〟を目指す

【2020年 夏季特集】 信越化学工業代表取締役会長 金川千尋氏

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2020年8月10日

 コロナ禍を成長の機会に、「谷深し」でも活路は必ずある

 ━外部環境が悪化する中、昨年度も最高益を達成した要因をどう分析されますか。

 金川会長画像2020年3月期は、当社の塩ビ事業の中核である米国のシンテックが市況の影響を受けましたが、高水準の出荷を継続し、連結決算に大きく貢献しました。半導体シリコン事業は増収増益を達成し、シリコーン事業は全世界での拡販により利益を伸ばしました。先端材料のフォトレジストとフォトマスクブランクスも堅調でした。塩ビと半導体シリコンを筆頭に、世界シェアで1位の事業をいくつか擁していますが、マーケットと用途が異なる製品群を持つことが当社の強みです。

 ━2020年の世界情勢と事業環境の見通し、およびコロナ禍が与えるインパクトをどう見ていますか。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって世界経済は深刻な打撃を受けており、先行き不透明な状況です。経済活動が再開されつつありますが、世界経済が立ち直るのは相当な時間を要することは間違いなく、当社もその影響は免れません。しかし、

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【2020年 夏季特集】 三菱ケミカル代表取締役社長 和賀昌之氏

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2020年8月10日

循環型経済の実現に向け、共同歩調で取り組み加速

 ━2019年度の振り返りと20年度の見通しについて

 三菱ケミカル 和賀氏2019年度の上期はそれほど悪くはなかったが、下期に入り、景気全般が失速し始めた印象だ。米中経済摩擦でモノの動きが減速していったことに加え、年明けあたりからは新型コロナウイルス感染拡大による影響が出てきた。日本への影響はまだそれほどではなかったが、最初に中国がロックダウンに入ったことで、経済環境が一気に厳しくなった。一言で言えばダウントレンドをコロナが加速させたと言える。

 今年度については、少なくともV字回復はないと見ているが、見通すことは非常に難しい。主要マーケットである自動車産業を含めて、今後の生産が見通せない状況だ。各国のGDP(国内総生産)がこれほどまでに落ち込む中、

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【2020年 夏季特集】 旭化成代表取締役社長 小堀秀毅氏

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2020年8月10日

新常態の変化を事業機会と捉え、ヘルスケア領域を第3の柱に

 ━今年度の見通しについてどう見ていますか。

  旭化成 小堀社長 中面2020年度の世界情勢は、現下の新型コロナウイルスの世界経済への影響規模や鎮静化の時期について依然見通しが難しい状況にあることから、不透明感は当面継続するだろう。石化関連の需要の弱含みと市況悪化、中国経済の減速や自動車市場の低迷を織り込むと、化学産業の業況見通しは厳しく見ざるを得ない。刻々と変化する世界経済の状況や当社グループの経営環境を把握し、長期投資も慎重に意思決定するなど、随時的確に判断することが求められてくるのではないか。

 ━コロナ禍が拡大し、先行き不透明感が強まっています。

 新型コロナウイルスの感染拡大は地球規模の地殻変動をもたらした。これまで経験したことがない変化であり、人びとの価値観や政治、産業構造、社会活動など広範に影響を及ぼしている。社会のニーズは変化しており、3つのトレンドに注目している。1つ目は、

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【2020年 夏季特集】 三井化学代表取締役社長 橋本修氏

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2020年8月10日

新事業開発センターが始動、新体制で事業創出を加速

 ━事業環境の悪化で、業績に影響が出始めています。

 三井化学 橋本社長2019年度は、営業利益ベースでは、2年連続で1000億円を割り込む716億円という残念な結果に終わった。新型コロナウイルスの影響はまだそれほど大きくなく、米中貿易摩擦によるマーケット自体の潮目が変わったことが主な要因だ。

  2020年度に入ってからはコロナ禍に加え、原油・ナフサ価格下落の影響も出始めている。石化・基礎化学品を中心とする基盤素材事業では

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【2020年 夏季特集】 東ソー代表取締役社長  山本寿宣氏

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2020年8月10日

コロナ禍でも中計方針を徹底、ハイブリッドカンパニーを追求

 ━コロナ禍による業績への影響が懸念されます。

 東ソー 山本社長 2019年度から米中対立の深刻化で交易条件が悪化しており、今年度に関しても事業環境に逆風が吹くと見ていた。しかし、コロナ禍によって想定以上に需要が落ちている状況だ。昨年度に比べ増益になる企業は1割程度で、ほとんどが減収減益を余儀なくされるだろう。

 特に化学産業は、素材を提供しているため3カ月から半年遅れて影響が出てくる。当社も、先行き不透明なことから、通期の業績予想が見通せず、未だに発表できていない。少なくとも、

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【2020年 夏季特集】 昭和電工代表取締役社長 森川宏平氏

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2020年8月10日

顧客体験を最大化、統合で〝先端材料パートナー〟を目指す

 ━世界情勢の動向をどう見ていますか。

 昭和電工 森川社長2019年の世界経済は、米国は堅調な成長が継続したものの、米中貿易摩擦の長期化で中国での景気減速感が鮮明となり、GDP成長率予想が下方修正されるなど厳しい事業環境となった。

 2020年は、当初は景気回復が期待されていたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全世界的に経済成長がマイナスに転じた。中国は1Q(1-3月期)を底に緩やかな回復を見せているものの、本格的に回復するのは来年以降と想定されている。

 また、米国は経済活動の再開に伴い回復の兆しが見えている反面、感染者も多く出ており、今後については依然として不透明だ。日本経済も同様であり、

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