【ポリアセタール特集2】ポリプラスチックス

2020年2月6日

欧米市場開拓に注力、医療系ニーズへの対応も

 ポリアセタール(POM)で世界トップシェアを誇るポリプラスチックスは、欧米市場の開拓と医療系ニーズの把握に注力している。同社は国産初のPOMプラントとして操業50年を超える静岡県の富士工場10万tのほか、台湾の大発工場に2万5000t、中国の南通工場(三菱ガス化学など三社との合弁)に6万t、マレーシアのクアンタン工場に12万3000tの設備があり、合計生産能力は四拠点で30万tを超える。

 これは世界で1、2を争う規模で、世界販売シェアでも約20%を占めている。製造拠点に示されるように、同社はアジアを主戦場に事業を展開してきたが、2012年以降、欧米へ販売拠点を設けグローバル展開を開始した。

 その後、米国で既存のデトロイト近郊のサービス拠点を拡充し、昨年4月に正式オープンしたテクニカルソリューションセンターを中心に開発支援と拡販を図っている。また、欧州に関しては、ドイツ・フランクフルトの

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【ポリアセタール特集3】三菱エンジニアリングプラスチックス

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2020年2月5日

高付加価値製品を拡充、ベースレジンのさらなる向上も

 三菱エンジニアリングプラスチックスは「ユピタール」の製品名で、ポリアセタール(POM)のコンパウンド製造と販売を行っている。

 日本では、モノマーの供給先でもある親会社の三菱ガス化学(MGC)の四日市工場に年産1万5000~2万t、海外ではMGCや現地企業などとの合弁会社としてタイと中国に製造拠点を持ち、合計で年産13万t程度の供給能力を持っている。また、アジアを中心に世界9カ所に販売拠点を設けて営業活動を展開している。

 生産の3拠点は、一昨年はフル稼働だったが、米中貿易摩擦の影響による需要減により、出荷量が減少。足元では

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【ポリアセタール特集4】旭化成

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2020年2月4日

中国のプラントは稼働維持、低VOCグレードが伸長

 世界で唯一、ポリアセタール(POM)のホモポリマーとコポリマーを独自技術で生産している旭化成は、国内に年産4万4000t(ホモポリマー2万t、コポリマー2万4000t)、中国に同2万t(コポリマー)、合計同6万4000tの生産能力を有する。

 機能樹脂事業部テナック営業部の髙木加寿人部長によると、同社のPOMの販売状況は「世界的に自動車生産が落ち込んでいる中で、当社は自動車比率が高いことに加え、他の用途も減少していることから全体として需要は落ちている」。ただ、中国のコポリマーのプラントの稼働は、低VOCグレードが

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《新春インタビュー》日本ゼオン代表取締役社長 田中公章氏

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2020年1月16日

田中社長━2019年を振り返って。

 田中 今年度上期(4-9月期)の収益は比較的堅調だった。エラストマー事業は減収減益だったが、高機能材料事業は増収増益となり売上と利益は過去最高を達成した。

 エラストマー事業は、原料高と国内外の市況が厳しいことから苦労しているが、高機能材料事業は、大型テレビ、スマートフォン向けCOPフィルムは好調であり、LIB用バインダーも比較的堅調となった。下期(10-3月期)に入っても、原料価格や製品市況、為替などの動向を含め、引き続き事業環境は大きく変わっていない。

━対面市場ではどの分野に注目していますか。

 田中 高機能材料の新しい用途展開として、医療業界、ディスプレイ業界の動向に注目しているが、今後期待しているのは半導体業界だ。当社にとってビジネスの可能性が出てきており期待が大きい。8月に発表した電子線レジストの採用が進んでいることに加え、サーバーに使われる新しい放熱材「TIM」が来年度から本格的に採用される見通しとなっている。

 また、一時低迷していた絶縁材料も持ち直しの兆しも出てきた。一方、自動車業界は

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《新春インタビュー》出光興産 代表取締役社長 木藤俊一氏

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2020年1月15日

出光興産社長━統合初年度の昨年を振り返って。

 木藤 新元号の発表の日となる4月1日に合同で入社式を行った。令和の幕開けとともに、新統合会社がスタートしたと感じている。

 統合は予定より2年遅れ、方向性を打ち出してから3年の歳月がかかった。難産だったと言えるが、その分シナジーを前倒しで出す業務提携を行ってきた。各段階でも懇親の場を多く作ってきたことによりすでに盛んな交流が進んでいる。こういった助走期間があったことでスムーズなスタートを切ることができたと言えるだろう。

 統合効果については、2019年度には300億円のシナジーが見えてきており、2021年度には当初計画である600億円のシナジーが達成できる見通しだ。今後は業務システムの一本化などの課題などに取り組み、1つの組織の中で生き生きと働ける環境づくりを目指す。両社の優秀な社員がしっかり働ける会社にすることで、さらなるシナジー創出につながるだろう。

━新会社としてまず何に注力していきますか。

 木藤 当社が社会貢献できる体制となるため、基盤事業の構造改革と競争力強化にしっかり取り組む。石油業界は、JXTGが誕生し出光昭和シェルが協業を進めてきた中で、国内の事業基盤が安定化してきた。こうした中、統合新社の課題は、ライフライン

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【新年特集】日本の化学産業、新しい変化をビジネスチャンスに

2020年1月9日

世界経済の先行き不透明、環境問題も大きなテーマ

 日本の化学産業は米中貿易摩擦の深刻化を背景に中国経済が減速傾向となったことで、厳しい事業環境が続いている。原油・ナフサ価格も不安定な動きを見せ始めており、先行き不透明感が強まってきた。化学メーカー各社はこれまで構造改革に注力し、変動への耐性を高めてきたが、今年はその実力が試される1年となりそうだ。

 現在の世界的な潮流を見ると、「CASE」や「5G」など次世代技術の開発が本格化し、新たなビジネスチャンスが生まれている。オープンイノベーションにより研究開発力やマーケティング力を強化し、市場ニーズに対応したソリューションを提供していく必要がある。

 こうした中、長期的な視野に立った戦略も重要だ。持続的成長を図るためには、設備の新増設やM&Aといった成長投資がカギとなる。景気が減速する中、経営資源の配分に対する各社の考え方に注目が集まりそうだ。

 一方、地球環境問題への貢献も重要課題となっている。企業価値の向上を目指し、ESGやSDGsを経営に組み込む動きも活発化しており、今後さらに環境対応が加速していくと見られる。

 このほか、人手不足や設備の老朽化対策、AIなどデジタル技術の導入、人材の確保・育成など、企業体力の底上げも喫緊の課題だ。今回の新年特集号では、業界を代表する首脳の方々に、環境変化への対応や成長戦略の進捗、また今年の展望などを聞いた。

【新年特集】三菱ケミカル代表取締役社長  和賀昌之氏

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2020年1月9日

KAITEKI実現、社会課題解決は化学会社の責務

━2019年を振り返って、どんな年でしたか。

三菱ケミ 和賀社長01 和賀 世界経済を左右する問題が解決しないまま過ぎ去った1年だった。欧州でのブレグジットや米中の貿易問題による混乱が予想される中で2019年が始まったが、問題解決への大きな進展が見られず、これに加えて、中東情勢はさらに混迷し、悪化した日韓関係は改善の糸口もつかめないままであった。

 経済学的に見れば、国際分業を進展させる中で、関税を撤廃し自由貿易を進めれば、お互いに利益があるはずだが、その推進役であった米国が保護主義に走った。

 しかし日本をはじめ世界経済が停滞する中、米国はいまのところ経済的な失速はみせていない。国際分業と自由貿易により全体の富・利益が増大するという前提に立った各国の協調が、試されている状況と言えるのではないか。

━今後の見通しについて。

 和賀 市況やモノの動きから判断し、当初は昨年の2月を底に年末にかけて緩やかに景気が回復してくるだろうと考えていたが、予想以上にそのスピードが遅い感じがある。

 ただ、指標で見れば改善傾向にあることは確かだろう。MMA(メタクリル酸メチル)モノマーの市況が底を打って反転しつつあることに加え、半導体材料の過剰在庫も減少するなど市場に好転の兆しが出てきた。

━自動車はいかがでしょうか。

 和賀 中国の排ガス規制強化に伴い、非対応車の在庫が大量に発生したことで

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【新年特集】旭化成代表取締役社長 小堀秀毅氏

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2020年1月9日

サステナビリティを意識し、常に高付加価値を追求

━昨年は吉野彰名誉フェローがノーベル化学賞を受賞されました。

旭化成 小堀社長 小堀 今回の吉野さんのノーベル賞受賞は、当社の誇りであり、日本産業界の誇りだ。研究開発陣に大きな刺激となっており、若手を中心に士気が上がっていると感じている。

 業績そのものにすぐに反応があるわけではないが、旭化成グループ全体にとっても非常に元気が出る、いい励みであることは間違いない。この励みを力に変えることで、当社グループがさらに成長・拡大していくことを期待している。

━研究開発現場の環境づくりに心掛けられていることは。

 小堀 当社では、日本の科学技術に対し目覚ましい功績や発明・発見などがあった者に授与される紫綬褒章を、これまで吉野さんを含め、7人が受章している。2000年以降でも5人が受章しており、他の企業に比べても多いのではないだろうか。

 当社は売上高の4%をめどに、研究開発費に充てているが、研究者にある程度の自由裁量を与えながらやってきた成果だと自負している。今後も、豊かな発想を持ち、世の中に無かった素晴らしい技術の発見や発明ができる人財を、輩出し続けていく企業文化と風土を大事にしていきたい。

 同時に、

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【新年特集】三井化学代表取締役社長 淡輪敏氏

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2020年1月9日

構造改革を推進、引き続きリスク管理に注力

━2019年を振り返ってみて、どのような年でしたか。

三井化学 淡輪社長01 淡輪 世界経済は減速感を強めた。特に象徴的なのは自動車産業で、昨年の世界の生産台数は、前年比で6%マイナスの見通しになっている。また、自動車産業は裾野が広いことから、多分野に影響が出てきた感があった。

 一方、半導体産業は一昨年末に減速傾向が見えたが、足元では需要が戻ってきたと感じている。

━国内需要の動きはいかがですか。

 淡輪 国内では消費増税の影響などで多少の変動はあったものの、生活用品回りの需要は総じて底堅く、減速感は見られなかった。それを反映して、ナフサクラッカーの稼働率も95%を若干下回るレベルを維持しており、高稼働となっている。

━2020年の見通しについて。

 淡輪 自動車でいえば、今のところまだ回復の兆しは見えていない。不確定要素が多く、期待感を強く持つことはできない。一方、半導体については、次世代通信5GやEUV(極端紫外線)といった次世代技術が出てきたことで、景気とはまた別の動きになるだろう。

 今年は5Gの普及が加速するとみられ、昨年来、半導体メーカーの間では、微細化技術のEUVリソグラフィに関連する露光機の調達が進んできている。当社製品ではEUV対応のフォトマスク防塵カバー「ペリクル」に期待しているところだ。

━今年のキーワードは。

 淡輪 昨年はキーワードとして「リスク管理」を挙げたが、今年も引き続き注力しなければならない。また、今年は

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【新年特集】東ソー代表取締役社長  山本寿宣氏

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2020年1月9日

機能材料の能力増強を推進、塩ビは効率的な体制に

━2019年の総括を。

東ソー 山本社長 山本 上期は売上高が3963億円、営業利益は404億円ということで、減収減益となりました。その大きな要因は原燃料価格が下がったものの、海外市況の下落がそれを上回ったこと、円高により手取りが悪化したことです。

 下期の前提条件については、10―12月期のナフサ価格を4万1000円、1-3月期は4万2000円、為替は105円に見直しました。

 手取りがさらに悪化すると見込まれることから、通期の連結売上高は8千億円、営業利益は840億円と、当初の業績予想に比べ、売上高は600億円の減収、営業利益は110億円の減益と下方修正を発表しています。

 減益の最大要因は、MDIとカセイソーダの海外市況が下がっていることです。一方、コモディティとスペシャリティの比率については、近年は6対4に近い傾向となっていますが、将来的には五対五にすることにより、利益の安定性を図りたいと考えています。

━2020年の景気動向の見通しは。

 山本 一言で言えば「不透明」です。米中の貿易摩擦により中国の景気が悪化し、海外市況に影響を与えています。英国のブレグジットは、当社には直接的にはあまり影響しませんが、中東を含めた地政学的リスクなど見通しにくい状況です。

 アナリストの見方としては、日本のGDPの伸びは1%前後というのが多く、それほど悪くはないけれど、いいということもないということです。消費増税は大きな影響があまり見られないものの、不透明な状況が今後も続くのではないでしょうか。また、2019年は

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