【2018年 夏季特集】 昭和電工代表取締役社長  森川宏平氏

,

2018年8月9日

課題解決や研究開発などにAI、次期中計で活用の方向性示す

 ━ 世界情勢について。

 世界経済のファンダメンタルは悪くない。市場の購買意欲が緩やかな右肩上がりになっているからだ。ストップをかけるとすれば、地政学的なリスクを含め政治的要因だ。米中貿易摩擦で、追加関税に最終製品まで含まれ、中国から最終製品が輸出できなくなれば、その部品を作っている日本企業にも徐々に影響が出てくるだろう。

 ただ、それはわれわれのようにサプライチェーンの長い素材メーカーには、分かりにくい部分だ。問題の解決は先行き不透明だが、今の状況が長期に続くとは考えていない。投資について言えば、ある程度長い目で判断すべきで、直ちに判断を変える必要はない。

 現在七十ドル超の原油価格も、許容範囲の上限にあると言え、今後半年ぐらいはそれほど大きく変わらないのではないか。原油価格は需給環境だけで決まるのではなく、理由が分からず変動することがあるので、何とも言えないところはある。為替も同様だが、急激な変動が最も問題だ。政治も同様だが、安定しているのが望ましい。

 ━ 米中貿易摩擦による半導体事業への影響は。

 中国で計画が遅れる可能性はあるが、当社の事業にはあまり影響しない。半導体の生産は米国が15%で、残りはアジア。世界全体での需要は旺盛で、中国での生産が減少しても、台湾と韓国との比率が変わるだけだ。

 当社は半導体向けに、さまざまな製品をアジア・米国へ供給している。中国が大きくなれば

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

【2018年 夏季特集】 JSR代表取締役社長  小柴満信氏

,

2018年8月9日

生産性向上へ、IT活用し革新的な構造改革を推進

 ━ 世界経済の動向について。

 米国が中国への追加関税を実施し、中国は対抗措置を打ち出した。その影響への懸念はあるものの、半導体の環境は基本的にいいと言える。米国と中国で光ファイバーの敷設が好調なのが、その証拠だ。

 さまざまな情報が動画で配信されるようになっており、データ量に対し、光ファイバーの敷設が間に合っていない。光ファイバーと通信衛星が伸びている限り、半導体は伸びるだろう。

 自動車産業については、大きな変化の時期にあると言える。ただ、本当に変わったのかと言えば、それほどでもない。電動化にはインフラも必要だし、電池の価格が高いためだ。重量エネルギー密度では200Wh/㎏を超える領域で、まだいいものができていない。これに自動運転が加わると、さらに電池の容量が必要になる。今の技術では、電動化と自動運転を両立させるのは難しいのではないか。

 ━ 今年度の見通しは。

 景気次第なので、慎重に見ている。貿易摩擦が進むと、円高も進行するだろう。原油価格は需要が高いため、何かあるとすぐに高騰するが、さすがにバレル100ドルにはならず、60~70ドルぐらいで推移すると見ている。

 半導体事業については、当社は

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

【ポリカーボネート特集1】需要は堅調な伸び、増設でアジア市況悪化

2018年1月18日

 ポリカーボネート(PC)は5大汎用エンジニアリングプラスチックの中で、最も使用量が多い樹脂だ。透明性や耐衝撃性、自消性、寸法安定性などの特長をもち、電気・電子やシート・フィルム、自動車、雑貨など、幅広い分野で使われている。

樹脂ウィンドーでナンバーを取得したスポーツEV 最近では帝人が開発した、世界初のPC樹脂製ピラーレスフロントウィンドウ採用のスポーツ電気自動車=写真=が、ナンバープレートを取得し、公道走行が可能になったことで脚光を浴びた。

 現在のグローバルでの需要量は年400万~500万t、生産能力は500万t/年程度、国内の需要量は20万t強、生産能力は40万t程度と見られている。3年ほど前までは供給過多の状況が続いていたが、その後はグローバルでの需要が年率3~4%程度伸びていることやプラントの閉鎖、定修、トラブルなどにより、需給はほぼタイトな状況になっている。

 しかし、中国と韓国でプラントが増設されたため、供給過多となる見通しとなり、それが市況にも反映。今年の年央には

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

【ポリカーボネート特集2】住化ポリカーボネート

2018年1月17日

 量より質を追求、光学特性などの強み生かし高機能品開発

 住化ポリカーボネートは、住友化学とトリンセオホールディングB.V.の折半出資の合弁会社「住友スタイロンポリカーボネート」として事業活動を行ってきたが、昨年1月末にトリンセオが所有する全株式を住友化学が取得。住友化学100%出資の子会社となり、同年4月1日に現社名に変更した。

事業の説明を行う井田康暢副社長
事業の説明を行う井田康暢副社長

 同社によればポリカーボネート(PC)の市場は、グローバルで今年は400万t程度、国内は20万t強。供給能力はグローバルで約500万t、国内は40万tほどだという。

 リーマンショックの影響などもあり、2015年ぐらいまでは供給過多の状況が続いていたが「今年の夏までの2年ほどは、需要が年率3~4%伸びていることや、プラントの閉鎖などもあって、需給はタイトの時期があった」とのこと。こうした状況の中で、同社の愛媛工場では、

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

【ポリカーボネート特集3】 帝人

2018年1月16日

 世界初のEV向けピラーレスフロントウィンドウを開発

 スポーツ電気自動車(EV)向けに、世界初のポリカーボネート(PC)樹脂製ピラーレスフロントウィンドウを開発した帝人は、自動車以外の多様な分野への用途展開にも注力している。

小川部門長
小川部門長

 同ウィンドウは、京都大学発のEVメーカーであるGLM社のスポーツEV「トミーカイラZZ」の特別仕様車に採用され、今年7月には「道路運送車両の保安基準」を満たしたことから、ナンバープレートを取得して公道を走行することが可能になった。

 これは、PC樹脂のグレージング(ガラス・金属代替パーツ)用途としての画期的な出来事と言える。今後は特別仕様車の本格的な受注生産開始に向け、同ウィンドウの供給体制の整備を進めていく。

 また、新幹線の側窓にPC樹脂が採用されたのも帝人が初めて。最初は冬季のガラス破損防止のため、ガラスに貼り合わせる補強用として採用された。2007年からは、PC樹脂製ウィンドウとして、N700系のほぼ全ての車窓に採用され、車両の軽量化に貢献している。

 樹脂事業本部樹脂ソリューション営業部門の小川和宏部門長によると「2017年に欧州の最新自動車保安基準が日本に導入されたことを背景に、

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

【ポリカーボネート特集4】 出光興産

2018年1月14日

  独自技術生かして製品開発、高透明性などで差別化図る

  出光興産の機能化学品部では、界面法ならではの特徴を持ったポリカーボネート(PC)製品を軸に、事業を展開している。

和田課長
和田課長

 同社は1957年からPCの研究を始め、1969年に世界初の連続式溶液法(界面法)による独自製造技術を確立。千葉工場(千葉県市原市)で「タフロン」ブランドにより、商業生産を開始した。

 その後、競争力強化のため、この独自技術を台湾のフォルモサ・ケミカル&ファイバー・コーポレーション(FCFC社)にラインセンスし、FCFC社では2002年からPCの生産を始めた。

 さらに千葉工場からFCFC社への生産集約を段階的に進め、2015年に特殊グレードを集約したことで、出光のPC全グレードをFCFC社で行うことになった。

 同社では界面法を追求した製品の開発に注力しており、その一つが

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

【ポリカーボネート特集5】三菱エンジニアリングプラスチックス

2018年1月13日

 付加価値品を成長分野に展開、汎用品は世界で拡販図る

 ポリカーボネート(PC)製品で国内トップメーカーの三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)は、1994年に三菱ガス化学と三菱化成工業(現・三菱ケミカル)の合弁会社として設立された。

高意匠性材料による製品例
高意匠性材料による製品例

 両社からポリカーボネート樹脂の供給を受け、コンパウンドに加工してグローバルで販売を行っている。生産能力は国内の2カ所で計18万t/年、中国の2カ所で計14万t/年、タイで17万t/年、韓国で6万t/年の合計55万t/年になる。

 製品は「ユーピロン」「ノバレックス」「ザンター」の3ブランドで展開。「ユーピロン」は三菱ガス化学から、「ノバレックス」は三菱ケミカルから、「ザンター」は2010年にPC事業を買収したオランダのロイヤルDSMから継承した、いずれも長年の実績を持つブランドである。

 MEPのPC事業の方針は「品質の高い汎用品を、安定的に供給すること。付加価値の高いコンパウンド品を、今後の需要拡大が見込まれる、自動車や医療・ヘルスケアなどの分野への拡販を図ること」だ。

 特に自動車に関しては、安全装置や自動運転による車内空間の変化、電動化に伴うさらなる軽量化の要求などにより、樹脂の使用が増えることが見込まれる。

 これに対し、PCは

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について