芳香族三製品とも弱含み、スチレンモノマー下落
アジア地域の3月第1週の石化市況では、エチレンは前週比135ドル高の1185ドル/tでの取引となった。米国寒波の影響で供給不足が懸念され、需要家の買いが強まりひっ迫感が強まった。スプレッドも、
2021年3月30日
2021年3月23日
エチレンは1000ドル台、芳香族3製品も大幅上昇
アジア地域の2月第4週の石化市況は、オレフィン、芳香族とも総じて急騰した。2月中旬に石油・石化プラントが集積する米国テキサス州に大寒波が襲来。停電が発生した影響で各プラントが停止を余儀なくされ、フォースマジュール(FM)を相次ぎ宣言。また港湾設備にも混乱が生じたため、出荷がストップする事態となった。その影響が世界的に広まり、ひっ迫感からアジア石化市況も騰勢を強めている状況だ。
エチレンは、前週比170ドル高の1050ドル/tでの取引となった。ナフサとのスプレッドも、
2021年3月19日
アンモニア不足が影響、タイ工場から供給できず
宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、3月(上旬決め)の韓国・台湾大手向け契約価格を前月比330ドル高の1900ドルで決着した。
大手メーカーの生産トラブルが続き需給がひっ迫している中、原料ベンゼンをはじめとする原料価格の高騰や、コンテナ船不足による物流費の上昇などが反映され、前月から急騰する結果となった。ただ、同社は前月と同様に今回も特殊事情により交渉を断念し、指標価格として提示している。その背景として、タイ工場が原料アンモニア不足で稼働が低下し、出荷が見込めなくなったことが挙げられる。
2月は、宇部工場が、国内アンモニア工場のトラブルで生産停止を余儀なくされ、
2021年3月17日
米国寒波で複数プラントが停止、需給がタイト化
ウレタン原料であるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)は、2月に米国で発生した寒波によるプラント停止の影響が波及し、アジアのスポット市況が急騰している。足元の市況はモノメリック3400ドル/t、ポリメリック3300ドル/tとなっており、特にポリメリックはトラブル要因などで高騰した昨年11月の水準以上になっている状況だ。
MDIは昨年、コロナ禍の影響を受けた4-6月期の需要は大きく減退したものの、中国の経済活動の再開に伴い、年後半には回復傾向を強めた。こうした中、大手メーカーの稼働調整や定修要因に加え、欧米メーカーにトラブルが発生したことにより、秋には需給バランスが一気にタイト化。低迷していた市況が、11月には、モノメリックで3500ドル/t、ポリメリックは2700ドル/tにまで急騰した。その後、定修やトラブルといった要因が解消されたことで、1月にかけて市況は弱含みとなった。
しかし、2月に入り、石油・石化プラントが集積しているテキサス州やルイジアナ州に大寒波が襲来。停電や断水などが発生したことで各社のプラントも停止を余儀なくされ、MDIメーカーも供給が困難になったことからフォースマジュールを宣言した。この事態を受け、中東メーカーなどがアジアに輸出していた玉を欧米地域に振り替えたため、アジア市場が再びタイト化しスポット市況が急騰する結果となっている。また今回は、断熱用途などに使用されるポリメリックが騰勢を強めた。MDIはモノメリックとポリメリックが併産されるが、保存期間が短いモノメリック見合いの生産となる。そのため、供給不足を懸念した需要家がポリメリックを買い増しているようだ。
一方、原料ベンゼンとのスプレッドは拡大傾向にある。ベンゼンも年明けから上昇基調となり、3月のアジア価格(ACP)は、前月比95ドル高の855ドル/tとなった。これを踏まえたスプレッドは、モノメリックで2500ドル程度、ポリメリックで2400ドル程度となり、4-12月期(モノメリック1300ドル程度、ポリメリック1100ドル程度)に比べ大幅な改善となる。MDIメーカーにとっては、想定以上に収益が改善していると言えるだろう。
今後についても、しばらく市況が崩れるとの見方は少ない。寒波影響によるFM宣言は解除されてくるものの、正常稼働に戻るまでには時間が掛かることに加え、中国では春の需要期を迎えることから、需給タイトが続く見通し。とはいえ、MDIの各メーカーが稼働を高めてくる可能性や、コロナの状況次第では需要が落ち込むことも想定される。近年、MDI市況は外部環境によって変調しやすくなっており、今後の市場動向に注目が集まりそうだ。
2021年3月16日
2021年3月9日
2021年3月8日
サウジも減産を継続、需給バランスの改善見込む
世界の原油相場では、産油国の減産継続を背景にWTIが一段高となっている。4日に開催されたOPECプラスの会合では減産幅の維持が決定され、さらに、サウジアラビアが独自に行っている日量100万バレルの減産を2、3月に続き4月も継続すると発表。これにより、同日のWTI価格は前日の終値から2.55ドル上昇の63.83ドル/バレルとなり、昨年1月上旬以来、約14カ月ぶりの高値を記録した。世界経済はコロナ禍による低迷が継続しているものの、各国においてワクチン接種が進んでいることや、景気対策で金融緩和が継続されていることもあり、投資家の買いが強まっている状況だ。
昨年のWTI価格は、協調減産の混乱やコロナ禍の影響で落ち込んだ4月を底に反転し、10月頃まで40ドル前後で推移。こうした中、コロナワクチンの承認が相次いだことや、OPECプラスが減産幅縮小に合意したことを背景にWTIは上昇基調となり、年明けサウジが単独減産を表明したことで1月6日に50ドルを突破した。
さらに中東の地政学リスクが高まったことで、2月中旬には60ドル台に到達。その後は、サウジが単独減産を取り止めるとの観測が出たことなどで上値が抑えられていたが、今回の減産継続が市場に大きなインパクトとなり、前日から2.55ドルも高騰する結果となっている。
今後については、WTIは強含みになるとの見方が強い。減産継続により原油の余剰在庫の消化が進むことで、需給バランスの改善が見込まれる。とはいえ、長期金利が上昇すれば投資家の買いが弱まることに加え、コロナ禍の収束も未だ見通せず再拡大の懸念も拭えない状況。昨年のように急落する可能性は低いものの、この先も原油相場は予断の許さない状況が続きそうだ。
2021年3月3日
2021年3月2日
転嫁遅れで調整局面、トラブル再発で4月反転も
塩ビ樹脂(PVC)の3月分のアジア輸出価格は、インド向けが前月比120ドル安のCFR1480ドル/t、中国その他向けは同20ドル高の1210ドル/tで決着した。
インド向けは、日本品の2月価格が1600ドル/tにまで高騰していたため調整局面となり、ロックダウンでオファーが成立しなかった昨年5月以来、10カ月ぶりの下落となっている。とはいえ、需給がタイトな状況に変わりはない。台湾大手メーカーは、インド向け “塩ビ樹脂 3月のインド向け輸出は10カ月ぶりに下落” の続きを読む
2021年3月2日