ブタジエンも700ドルに、SMは3週連続で上昇
アジア地域の9月第2週の石化市況では、エチレンは下値50ドル高、上値30ドル高の800~820ドル/tでの取引となった。下値、上値とも800ドル台となるのは、7月第3週以来8週ぶりとなる。ハリケーン影響により米国の石化プラントが出荷を停止したことでタイト感が高まり、エチレンは強含んでいる。
スプレッドも、
2020年9月29日
2020年9月28日
2020年9月24日
2020年9月17日
市場に底打ち感、冬物衣料向けに引き合い強まる
宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、9月(上旬決め)の韓国・台湾大手向け契約価格を前月比30ドル高の1060ドル/tで決着した。前月は、新型コロナ感染の第2波の懸念が高まったことで120ドル/t安と急落していた。しかし、各国の経済活動が再開される中、原料ベンゼン価格が安定していることや、冬物衣料向けの需要期を迎えることもあり、市場に底打ち感が出たことが背景にある。
スプレッドも、9月のベンゼンACPが前月並みとなったことで
2020年9月15日
2020年9月11日
断熱材向けに需要が増加、定修要因で供給も減少
ウレタン原料であるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)は、2Q(4-6月期)で需要が底を打ち7月から事業環境が改善傾向となっている。足元の市況は、モノメリックは1700ドル/t弱、ポリメリックは1600ドル/t前半で取引きされており、5月末に比べモノメリックで150ドル程度、ポリメリックで300ドル程度上昇している状況だ。
いち早くコロナ禍から脱した中国では景気の回復が継続。消費者の間では、政府の補助金などを背景に「リベンジ消費」と呼ばれる消費行動が拡大し、家電製品や住宅を購入する動きが強まった。そのため、それらに使用されるウレタン断熱材の需要が伸長し、その原料となるポリメリックの引き合いが増加している。
ただ、MDIは、モノメリックとポリメリックが併産されるため、どちらかを多く生産することは難しい。エラストマーや弾性繊維に使用されるモノメリックは、最終製品の市場回復がやや遅れており需要見合いの生産となっている。これにより、ポリメリックの生産量が限られことが市況上昇につながった。また、定修などで供給が絞られたことも大きな要因だ。
大手メーカーの万華化学の煙台プラント(60万t)が7~8月にかけて定修に入ったことに加え、中国以外のプラントでも定修やトラブルが発生。もともと海外大手メーカーは、市況を維持するため稼働調整を行っているが、さらに供給が絞られたことで市場にタイト感が出ようだ。
こうしたことから、MDIのスプレッドも良好に推移している。原料であるベンゼン価格(ACP)は、2Q(4-6月期)に急落した後、3Q(7-9月期)に再び上昇している。ただ、MDI市況の上昇分でカバーできており、メーカー各社にとって収益に大きく貢献している状況だ。
今後については、需給バランスの動向が注目される。中国で内需が盛り上がりつつある中、輸出市場が本格化に回復してくればMDI全体の需要の底上げが期待できる。とはいえ、各社の定修が明けてくることや、市況上昇で稼働率が高まることも想定され、供給量の増加が市況の上値を抑える懸念もある。いずれにせよ、市場の本格的な回復にはコロナ禍の収束が大きなカギを握っており、MDI市況はこの先も予測が難しい展開が続きそうだ。
2020年9月8日
ブタジエンは上昇基調継続、SM4週連続で下落
アジア地域の8月第3週の石化市況では、エチレンは下値40ドル安、上値20ドル安の680~730ドル/tでの取引となった。下値は5月第3週以来、13週ぶりに700ドル台を割り込んでいる。
エチレン市況は、中国経済の回復とともに6月までは上昇基調となっていたが、7月には頭打ちとなり、8月に入ってからは下落基調を強めている。誘導品の需要が低迷していることに加え、中国で大型の設備が立ち上がってくることから、需給バランスの悪化が懸念視されている。
スプレッドも、
2020年9月3日
2020年9月2日
需給バランス改善期待も、コロナ影響が懸念材料
世界の原油相場では、OPECプラスによる減産継続が承認された後も、小幅な値動きが続いている。WTI価格は8月下旬に、世界経済が持ち直してきたことで43ドル台を回復し、コロナ禍の発生や協調減産の混乱で急落して以降の最高値を更新した。しかし、WTI価格を押し上げる要因の1つであったメキシコ湾のハリケーンが通過したことで頭打ちとなり、その後は43ドルを挟む動きで推移している状況だ。
OPECプラスの減産計画については、先月、協調減産の取り組み状況を点検する監視委員会が開かれ、減産の維持が確認された。5~7月までは日量980万バレルの減産を目指していたが、7月の順守率は95~97%以上と高水準になったもよう。8月~12月は日量770万バレルと減産幅の縮小を予定しているが、10月以降は冬場の暖房需要により需給が悪化しないと見られている。
とはいえ、原油需要の下振れ懸念は払拭できない。8月に発表されたOPEC月報によれば、2020年の世界石油需要見通しは日量9063万バレルと、前月予想から同9万バレルの下方修正となり、またIEA(国際エネルギー機関)の月報でも2020年の見通しを同9790万バレルとし14万バレル引下げられた。コロナの第2波が世界各地で拡大していることや、航空機などのジェット燃料の需要低迷が続いていることが背景にある。
一方、2021年の需要についてOPECは、日量9763万バレルと前年比同700万バレルの大幅な回復を想定した。ただコロナの収束を前提としているため、感染次第によっては予測が大きく下振れする可能性もある。さらに、米中対立が先鋭化していることも不安材料。仮に大統領選後も対立が収まらなければ、世界経済を冷え込ませ、原油需要が落ち込むとの指摘も出ている。
いずれにせよ、様々な要因が絡み合い、原油市場はこの先も予断の許さない状況が続きそうだ。
2020年9月1日