[ダイセル/組織改正](2021年1月1日)▽事業創出本部「医療関連事業戦略部」を、セイフティSBUインダストリーBUへ移設する▽セイフティSBUインダストリーBU医療関連事業戦略部に「研究開発室」「調達室」「マーケティング室」「未来医療研究センター」「品質・薬事室」を設置する。
2020年12月10日
2020年12月9日
ダイセルはこのほど、金沢大学と新たな産学連携拠点施設を同大の角間キャンパスに設置し、2022年から供用開始することに合意したと発表した。
ダイセルは第四次長期ビジョンとともに、「サステナブル経営方針」を策定し、人々に幸せを提供する価値ある製品を、ヒトや地球にやさしい方法で生産する技術を開発・発展させることで、持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。
その中で、同社が長年扱ってきたセルロースをはじめとする脱石油につながる天然由来資源の有効活用「バイオマスプロダクトツリー構想」と、幅広い産業分野との連携で新たな社会的価値を創出できる仕組みづくり「クロスバリューチェーン構想」を推進。金沢大学との間では、長年、セルロースを中心に共同研究や人材交流を続けており、2018年には包括連携協定を締結。昨年には「先導科学技術共同研究講座」と同研究室を設置し、セルロース系の脱ヒ素浄化材の開発研究や、バイオマス由来の脱石油系合成プラスチックの製造を目指した基礎研究に取り組んでいる。
今回の「新産学協働研究所(仮称)」では、バイオマスを活用したオープンイノベーション拠点として、林業、農業、水産業の一次産業の産品やその副産物、廃棄物などの森林資源・穀物資源・海洋資源などを、環境にやさしい次世代化学変換プロセスよって、様々なバイオマス新素材に変換する技術を共同研究し、その社会実装により「バイオマスプロダクトツリー構想」を実現していく重要な研究拠点となる。
2020年12月9日
ダイセルは8日、銀ナノインク「Picosil」による低温プロセス(120℃)での超細線描画に、2種類の描画方法で成功したと発表した。
銀ナノインクは数十㎚の銀粒子を含有する、配線/電極を形成する導電インク。粒子径の小ささから、線幅の細い配線形成の可能性がプリンテッドエレクトロニクスの分野で期待されている。特に、銀ナノインクによる5㎛以下の超細線描画は、高温プロセスを必要とするインクを使用する方法によってのみ可能とされてきたが、低温プロセスで使用できる「Picosil」によって、樹脂フィルムなどへの描画が可能となった。
今回、成功した描画方法は、①SIJテクノロジ社の静電力のインクジェット印刷装置「Super Inkjet Printer」を使った線幅1.5㎛の描画、②体積変化する圧電素子(ピエゾタイプ)のインクジェット装置による線幅30㎛以下の描画、の2種類。タッチパネルや有機ELの電極で使用される透明導電層では、現在の性能より抵抗を低くすることが求められている。今回の超細線描画により、線幅1.5㎛という人間が認識できないレベルの配線を付与することができることから、透明性を保ったまま、透明導電層のより低抵抗化を可能とする。また、透明ヒーターの熱線への活用など「Picosil」のさらなる用途拡大につなげていく。

2020年12月7日
ダイセルと兵庫県立大学は、同大播磨理学キャンパス(兵庫県赤穂郡上郡町)内に設置した共同研究講座「摩擦界面現象共同研究講座」の開講式を先月24日に開催した。
両者は、2017年に包括連携協定を締結し、産学連携を多方面で推進している。その一環として、摩擦界面で起こる現象を解明し新たな素材開発に必要な要素を研究することを目的に、今年4月1日付で同講座を設置。摩擦の基礎研究を理論的・実験的に進め、得られた知見をもとに新素材の開発へとつなげていく考えだ。
ダイセルは長期ビジョンの中で、豊富な汎用樹脂・エンジニアリングプラスチックのさらなる拡充に加え、サステナブルな社会の実現に貢献するための「バイオマスプロダクトツリーの構築」を掲げ、樹脂を含む機能材料のラインアップ充実を目指している。同講座の研究成果が、これらの方針の実現に貢献することが期待される。
同講座では、樹脂を扱う際の必須の課題である「熱」への対応を、摩擦の側面から解明する。摩擦現象は非常に複雑で、界面での現象に関する研究例は限られている。そのため同講座では、摩擦界面での現象をミクロ視点(原子、分子レベル)とマクロ視点(材料自体)の双方で捉えるとともに、熱の観点から、樹脂を摩擦部材として使用する際に求められる特性を検証する。
ダイセルは今後、同講座の共同研究から導かれた要素技術を具現化し、社会ニーズに応える軽量高性能な新たな素材を提供することを目指す。
2020年12月2日
ダイセルはこのほど、北海道大学との共同研究により、同社の機能性食品素材である「こんにゃくセラミド」がマウスの試験を通じ、血液脳関門(BBB)を透過できるという成果を得たと発表した。
両者は、2016年に同学内の「次世代物質生命科学研究センター」内に共同で設置した産業創出講座を中心に、「こんにゃくセラミド」がもつアルツハイマー病予防効果を研究してきた。こうした中、「こんにゃくセラミド」の主要成分である植物性セラミドをマウスに血中投与した際、BBBを透過して脳内へ蓄積することを実証した。
アルツハイマー病の発症は、「アミロイドβペプチド」が脳内に過度に蓄積することが原因の1つとさる。「エクソソーム」という物質は、アミロイドβペプチドと結合し、これらを分解・除去することが明らかとなっている。「こんにゃくセラミド」は神経細胞のエクソソーム産生を促進し、アミロイドβペプチドの分解・除去する機能を増強。それによって脳内のアミロイドβペプチド濃度が低下することで、短期記憶の改善効果があることが示されている。
今回は、これまで未解明だった、「こんにゃくセラミド」が体内吸収された後の植物性セラミドがBBBを透過して脳へ移行できるかどうかを明らかにするために、植物性セラミドのBBB透過性について培養細胞およびマウスを用いた研究を行った。
今回の成果から、「こんにゃくセラミド」には、アルツハイマー病発症を防止できる可能性があり、今回の知見は新たな機能性食品や新薬開発に繋がることが考えられる。今後さらにヒト介入試験により「こんにゃくセラミド」の認知機能改善効果について検証していく予定だ。なお、この研究の成果は、今年11月公開の「PLOS ONE」誌に掲載されている。
ダイセルは今後も、人々の「美と健康」に貢献する健康食品素材の開発を進めていく考えだ。

2020年11月10日
ダイセルはこのほど、女性活躍推進の取り組みが評価され、厚生労働大臣より「えるぼし」(3つ星)の認定を受けたと発表した。
 
「えるぼし」認定は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」に基づき、女性の活躍推進に関する取り組みの実施が優良と認められた企業を、厚生労働大臣が認定する制度。「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5基準によって女性活躍推進の取り組みが評価され、達成の度合いによって3段階の認定に分かれる。同社はこれらの基準を全て達成し、「3段階目(3つ星)」の評価を受けた。
これまで、女性を含む全ての社員が個性や能力を十分に発揮し、柔軟に働ける環境づくりを進めてきた。早期の在宅勤務制度の導入や育児や家庭生活を支援する仕組みの導入がその一例。昨年は「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」に認定されている。
同社は、今回の「えるぼし」認定を弾みに、社員がそれぞれのライフステージに応じた働き方を自ら選択できる仕組みの実現を目指し、活動を続けていく。
2020年11月9日
2020年11月9日
2020年11月9日
ダイセルは6日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比17%減の1753億円、営業利益49%減の91億円、経常利益46%減の102億円、純利益72%減の33億円となった。自動車エアバッグ用インフレータや、エンジニアリングプラスチックの販売数量が減少したことなどにより減収減益となった。ただ7月発表の予想からは、コストダウンの着実な実行とコロナ禍に対応した経費削減などにより利益は予想を上回っている。
セグメント別に見ると、メディカル・ヘルスケア事業は売上高1%減の78億円、営業利益22%減の8億円。コスメ・健康食品事業は、海外での需要の先取りなどにより化粧品原料の販売数量が増加したが市況が下落した。
スマート事業は売上高20%減の103億円、営業利益55%減の10億円。液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ事業は、ディスプレイ需要の低迷などにより、販売数量が減少。IC/半導体事業は、半導体市場の需要が堅調に推移したことで販売数量が増加した。
セイフティ事業は売上高32%減の272億円、営業損失17億円(40億円減)。自動車エアバッグ用インフレータなどのモビリティ事業は、自動車生産台数の減少などにより、販売数量が減少した。
マテリアル事業は売上高11%減の493億円、営業利益6%減の75億円。酢酸は需要の減少や市況の下落、酢酸誘導体は一部製品の販売数量が増加したものの販売価格低下の影響を受けた。たばこフィルター用トウは、海外主要顧客での原料確保の動きなどもあり、販売数量は横バイで推移したが、為替の影響を受けた。
エンジニアリングプラスチック事業は売上高17%減の747億円、営業利益32%減の82億円。エンプラ事業は、自動車生産台数の減少やスマートフォンの需要が低迷した。樹脂コンパウンド事業は、自動車生産台数の減少や住宅着工件数減少の影響を受けた。シート、成形容器、包装フィルムなどの樹脂加工事業は、包装フィルムの販売が減少した。
なお同日、通期業績予想の修正を発表。売上高3680億円(前回予想比180億円減)、営業利益220億円(同45億円増)、経常利益230億円(同35億円増)、純利益140億円(同40億円増)を見込む。第2四半期までの業績動向に加え、下期以降の事業環境の見通しや、原料価格低下メリットの確保、コストダウンなどの収益改善の取り組み、10月のポリプラスチックス完全子会社化などを踏まえている。
2020年10月26日
ダイセルは23日、酢酸セルロース真球微粒子「BELLOCEA」を使ったピッカリングエマルションを開発したと発表した。

ピッカリングエマルションとは、液体同士、もしくは液体と気体が接する面(界面)に固体の粒子を吸着させることで、液体の乳化(ねばりけのある状態)を安定させる技術。乳化には界面活性剤と呼ばれる物質を使用するのが一般的だが、ピッカリングエマルションによる乳化は、界面活性剤よりも乳化している物質が分離しにくい(安定性が高い)とされる。
酢酸セルロース真球微粒子「BELLOCEA」は、同社の長年の主力製品である酢酸セルロースを独自の技術で加工した真球状の微粒子。酢酸セルロースは自然に存在する「酢酸」と、植物由来の「セルロース」を原料とした環境にやさしい素材で、土壌やコンポスト(廃棄物中)のほか、海洋でも生分解されることが確認されている。

同社は今回、「BELLOCEA」をピッカリングエマルションに応用することに成功。「BELLOCEA」は、ボディクリームやクリームファンデーションなどへ配合することで、高い乳化安定性と柔らかな肌触りを付与する。同社は、天然由来で環境にやさしい「BELLOCEA」によるピッカリングエマルションを、界面活性剤に代わるサステナブルな乳化法として、化粧品業界などに展開していく。
なお「BELLOCEA」の開発は、環境省の委託事業に採択されている。同省の「令和2年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に「自然回帰性原料による合成系微粒子代替に関する実証」として採択されたもので、原則3年以内の実施期間で社会実装に取り組む。そして実証事業の下で製品開発をさらに加速させ、環境にやさしい原料という、化粧品業界への新たな選択肢を提示する。
同社は今後も、人々の「美と健康」に貢献する、サステナブルな化粧品素材の開発を進めていく考えだ。