ダウはこのほど、自動車および産業用照明向けの成形可能な光学シリコーンについて、韓国・鎮川(ジンチョン)工場において生産能力を増強すると発表した。さらに今年は、米国ミッドランド(ミシガン州)、中国・松江および張家港にある事業所でも追加投資を予定している。
ダウ・コンシューマー・ソリューションズ事業部モビリティ&トランスポーテーション担当グローバルマーケティングディレクターであるイェルーン・ベロ氏は、
2022年4月12日
2021年12月7日
ダウは近日中に、建築物のファサード(正面から見た外観)に使用するカーボンニュートラル(CN)シリコーンを提供するためのサービスを発表する。
SSG構法、複層ガラス、ウェザーシールに使用されるCNシリコーンは、国際認証であるPAS2060認証を取得。この画期的な技術革新により、建築物の設計者は、より少ない環境負荷でより自由に設計することが可能になる。
建築ファサード担当グローバルセグメントリーダーのマーカス・プレト氏は、「建築ファサード用「DOWSIL」シリコーンのCNプログラムの商業導入は、シリコーンのCN化における真の進化を意味する」と述べている。
ワールド・グリーン・ビルディング・カウンシル(WGBC)によると、世界のCO2排出量の約39%を建築部門が占める(内包された炭素と建物の運営の両方を含む)。ダウのシリコーン製品の製造にはエネルギーが必要になるが、これらの製品を使用することで、プレハブのファサード要素やガラス断熱材などの用途においては非常に低いエネルギーしか必要とせず、建物のエネルギー効率の大幅な向上に貢献する。さらに、その実証済みの耐久性により、断熱化された建物の外壁を50年以上も維持できる。
グローバル・シリコーン・カウンシル(GSC)によると、シリコーンシーラントで必要とされるエネルギーまたはカーボンは、断熱ガラス用のシリコーンシーラントを製造するために必要なエネルギーと比べて最大20倍も節約。CNシリコーンにより、ダウ製品の構成要素であるシリコーンポリマーの製造に必要な炭素を正味ゼロにできる。
CNシリコーンを特定の建築プロジェクトに使用することは、特にダウが独自の立場を確立する金属ケイ素の製造プロセスにおいて革新的な提案となる。長期的な性能やカーボンフットプリントだけでなく、エネルギーや温室効果ガス(GHG)排出量の削減に貢献する機能を建物に付与できるため、建築や建設において、シリコーンは今後も選ばれる技術であり続ける。
CNシリコーンは、PAS2060認証を取得しており、国際的なグリーンビルディング認証のポイント加算に貢献できる。また、各製品は環境製品宣言(EPD)も取得しているため、製品のライフサイクルにおける環境影響について、透明性のある比較可能な情報を開示する。
2021年11月16日
ダウとラルフローレンはこのほど、ダウが開発したカチオン性イオン綿繊維処理技術繊維加工技術「エコファスト ピュア サステナブルテキスタイル トリートメント」を使用した、サステナブルで効果的な綿の染色方法を説明する詳細なマニュアルを発表した。
これにより、両社は新しい革新的な染色プロセスをオープンソース化し、繊維業界での採用を促進するとともに、環境へプラスの影響をもたらすサステナブルで効率的な綿繊維染色システムの標準化を支援する。
マニュアルでは、プロセスを段階ごとに説明し、「エコファスト ピュア」を、既存の染色装置で使用する方法を詳しく紹介している。「エコファスト ピュア」を最初に採用したラルフローレンは、新しいオンデマンド染色プラットフォーム「カラーオンデマンド」の一環として、この技術を綿繊維染色工程で最適化および導入するために、ダウとパートナーを組んだ。
従来の繊維染色プロセスでは、世界の廃水の約20%にあたる数兆リットルの水が毎年必要とされる。「エコファスト ピュア」を使い繊維を前処理することで、色や品質を犠牲にすることなく、処理薬品を最大90%、水を最大50%、塗料を最大50%、エネルギーを最大40%削減できる。
ラルフローレンは今年初め、自社のSCへのオンデマンド染色の組み込みを開始。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会にいて、米国選手団向けのコレクションの一環として、「エコファスト ピュア」を使用した初めての製品を発表した。
オンデマンド染色は、水不足や綿繊維染色による汚染に取り組むために設計された複数段階のシステムであり、世界初の拡張可能なゼロ廃水の綿繊維染色システムを長期的に実現する、という明確な目標を示すもの。ラルフローレンは、2025年までにオンデマンド染色を使用して、固体綿製品の80%以上を染色することを目指している。
2021年11月11日
ダウはこのほど、サステナブルなソリューションにおける世界的リーダー企業であるハルダートプソー(デンマーク)と第1段階の契約を締結し、研究規模での生産能力を活用した新しい市場開発用装置(MDU)の設計とエンジニアリングを進めると発表した。
この年産1万トンの装置は、ダウのオランダ拠点(テルネーゼン)に建設され、精製された廃棄プラスチック由来の熱分解油原料から循環型ポリエチレン(PE)を生産する予定。この精製プロセスは、熱分解油原料から生産される新しいポリマーの品質を確保するために必要となる。
ダウのパッケージング・アンド・スペシャルティプラスチック事業部プレジデントであるディエゴ・ドノーソ氏は「プラスチックに関する循環型経済を推進するためには、まだ実現していない大規模な原料のリサイクルやクリーンアップが必要であり、それを加速するためにパートナーシップを組むこととなった。ハルダートプソーの技術と知見を生かすことにより、精製能力の拡大に伴うリスクを軽減することができる」と述べている。
また、トプソーのクリーン燃料および化学技術担当の上級副社長であるフェイ・チェン氏は、「炭素排出削減技術の開発における当社の数十年にわたる経験は、ダウの中核技術を補うとともに、カーボンニュートラルに向けた私たちのロードマップを促進することができる。脱炭素化および循環型社会に不可欠な両社の技術を成長させ、発展させる機会は数多くある」とコメントしている。
ダウの新しい精製MDUは、循環型製品を生産するための技術を検証し、循環型PEに対する市場の強い需要に対応するための規模拡大を推進することを目的としている。ハルダートプソーとの協力により、循環型PEの主要な生産者となるための戦略を加速することができる。さらに、プラスチックの循環型経済を推進することで、バリューチェーン全体にもたらすサステナビリティー上の便益を最大化するとともに、プラ生産に伴うフットプリントを大幅に削減することができる。
2021年11月10日
ダウはこのほど、欧州および南米・北米において、新たに8件の再生可能エネルギー購入契約(RPA)を締結したと発表した。
新たな契約に基づく電力購入により、スコープ2において年間60万t以上のCO2排出の削減が見込まれる。今回の新たなRPAの締結により、132㎿が追加され、合計850㎿以上のクリーンエネルギーの調達が可能となり、再エネ電力購入に関する同社の2025年サステナビリティ目標をはるかに上回ることができる。
地域別で見ると、欧州では6件を契約。これにより、スペイン、英国、スウェーデン、フランス、ドイツにある8カ所の生産拠点がグリーン電力に100%移行する。
中南米では、ブラジルでカサ・ドス・ベントスと長期契約を締結。この契約により、同国カバングで操業するダウの拠点は、60㎿の継続的な再エネ調達を確保し、金属ケイ素の生産のために風力発電による電力をコスト競争力のある価格で購入できる。
北米ではカナダのキャピタル・パワー社と長期契約を締結。プレンティスにあるポリエチレン生産拠点における電力需要の約40%をクリーンエネルギーで賄うことになる。
これらの契約は、ダウが昨年に締結した4件のRPAに続くもの。これによりダウは、太陽光および風力発電による電力調達を増加させ、スコープ2のCO2排出量を22万5000t削減した。ダウは昨年、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けて、2030年までに年間炭素排出量を約30%削減(2005年比)するという目標を発表しており、より多くの拠点と事業において、さらにクリーンな電力への移行を続けていく。
2021年11月8日
ダウはこのほど、スコープ1、2のCO2排出に関して、世界初となる炭素排出量正味ゼロの統合型エチレンクラッカーおよび誘導体工場を建設すると発表した。
カナダのアルバータ州フォート・サスカチュワンに所在する既存設備を改修するとともに、エチレンおよびポリエチレン(PE)の生産能力を3倍に増強する。年間約10億ドル(またはD&A水準の3分の1)の設備投資を工場ごとに段階的に実施し、2030年までにエチレンクラッカーは約180万tの生産能力を追加。誘導品の生産能力や設備改修を通じて、低炭素またはゼロ炭素排出の認証を受けた約320万tのPEおよびエチレン誘導体を生産・供給できる見込みだ。
これにより、2030年までに、ダウの世界のエチレン生産能力約20%が脱炭素化される一方、PEの供給は約15%増加し、バリューチェーン全体で約10億ドルのEBITDA増大が見込まれる。
今回のプロジェクトは、同社のTX-9(米国テキサス州)投資に関する成功に基づいている。TX-9のクラッカーおよび誘導体装置と比較して、約15%低い資本集約度の実現が期待される。フォート・サスカチュワンの拠点を選択した理由として、炭素回収インフラの存在、競争力のある原料、政府との魅力的なパートナシップなどが挙げられる。
同社は、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指し、2030年までに炭素排出量を約30%削減(2005年比)することを掲げている。今回のプロジェクトは、その取り組みを大きく推進すると見られる。
2021年11月5日
ダウはこのほど、プラスチック廃棄物の抑制、GHG排出削減、化石燃料由来のバージン・プラスチックと同等の性能をもつリサイクルプラスチック製品を顧客へ提供する取り組みが進展しており、2022年から、完全循環型ポリマーを顧客へ初期供給することができると発表した。
同社は、気候変動およびプラ廃棄物に対応するために、サステナビリティ目標の達成に向けて重要な段階を進めている。2030年までに、直接またはパートナシップを通じて100万tのプラを回収、再利用、リサイクルし、2035年までに包装用に販売される製品の100%を再利用またはリサイクルを可能にする目標を設定している。
具体的な取り組みとして、オランダでは、フエニックス社との間で循環型プラ生産の拡大に向けた初期契約を拡大し、第2工場をヴェールトに建設する。同工場では2万tの廃プラが熱分解原料油に加工処理され、ダウの生産拠点(テルネーゼン)において循環型プラの生産に使用される。また、グンバー社との間では同原料油を精製する最終契約を締結。今年からクラッカーに対応した原料をダウに供給する。
ダウも、同原料油の精製能力を拡大するために、テルネーゼン拠点において市場開発規模での精製装置の設計、エンジニアリング、建設を進めている。また、米国では、ニューホープエナジー社(テキサス州タイラー)との間で、リサイクルプラ由来の熱分解原料油の供給について複数年契約を締結し、ダウはそれを原料に循環型プラを生産する計画。さらに、循環型プラ製品の認定取得にも力を注ぐ。欧州各国および米国の主要拠点において、国際持続可能性カーボン認証(ISCC)の取得を進めている。
一方、ダウは高度なプラスチックリサイクルソリューションの世界的パイオニアであるミュラ社と提携した。ミュラ社の新しい高度リサイクルプロセスである「HydroPRS」(熱水プラスチックリサイクルソリューション)は、これまでリサイクルできず焼却や埋め立て処分されていた包装軟質プラをはじめ、あらゆる形態のプラスチックがリサイクルできる。
現在、ミュラ社は同プロセスを用いた世界初の工場を、英国のティーズサイドで建設中。2023年には年間2万tの最初の生産ラインが稼働を開始し、ダウはリサイクル原料として供給を受ける予定だ。
2021年10月28日
ダウはこのほど、革新的なカジュアル・フットウェアで世界をリードするクロックスと、環境への責任を果たすと同時に実効性能を追求したシューズの生産を目指して、画期的な協力関係を発表した。
ダウは、同社の新技術「エコリブリウム」を使用したバイオベースの素材をクロックスに供給し、クロックスは「クロスライト」の主要素材として採用する。これにより、クロックスが現在使用している「クロスライト」素材に比べてCO2排出量をさらに減らすことができ、クロックスの顧客へよりサステナブルな選択肢を提供する。
また、クロックスは、サステナブルな生産ラインを新設するのではなく、バイオベースの新素材の導入によって既存製品を改良するという独自の手法を用いることで、カーボン・フットプリント(CFP)がより少ないフットウェアの生産を追求する。この手法を採用することにより、クロックスは、ブランドに期待されている性能や履き心地の良さを変えることなく、環境負荷がより少ないシューズを顧客に提供していく。
両社は協力体制の下、ともにカーボン・ニュートラルに向けた取り組みを進めていく。クロックスは、ネットゼロ・ブランドを目指す取り組みの一環として、2030年までにシューズのCFPを50%削減することを目標に掲げる。一方、ダウは2030年までに年間炭素排出量を正味500万t削減することを目標としており、顧客企業と協働し、多くのソリューションのひとつとして代替原料・素材を活用して、顧客企業による排出量削減の取り組みを支援していく。
2021年9月21日
ダウはこのほど、米国ルイジアナ州が広範囲にわたって被災した、ハリケーン「アイダ」による災害に対し、ダウとダウ・カンパニー基金が、被災地への緊急支援と長期的な復興支援のため、200万ドルを寄付すると発表した。支援には、影響を受けた同社従業員への支援も含まれる。
ジム・フィッタリング会長兼CEOは、「現在最も重要なのは、当社の従業員、操業、地域社会の安全だ。ダウのチームはパートナーやステークホルダーと緊密に協力し、ハリケーンの直接的および長期的な影響に対する支援を行っている」と述べている。
この寄付の一環として、ダウは被災した人々の直接支援を行っている地元の教区、地域、国のパートナーと協力。復興・再建に向けた取り組みが始まり次第、ダウは引き続きコミュニティパートナーと協力し、金銭的投資や物資寄付、ボランティア、チーム・ルビコンと提携している社内の退役軍人ネットワーク(VetNet)を通じて、地域全体で現時点では特定されていない地域社会のニーズを調査し、対応していく。
VetNetはダウの従業員リソースグループ(草の根ネットワーク)の1つ。慈善活動やコミュニティサービス、危機対応のためのリソースの提供を通じて、従業員が地域社会に貢献することを支援している。
ルイジアナ州では何千人ものダウ従業員が生活している。困難に直面する従業員を支援するために、ダウは無利子ローンや必要に応じた仮設住宅を用意。また、同僚のために寄付を行えるダウ従業員救済基金を提供している。
2021年9月10日
ダウはこのほど、環境・社会・ガバナンスに関する初の統合ESGリポート「INtersections(インターセクションズ)」を発表した。
同報告書は、環境スチュワードシップに関して同社が実現した顕著な取り組みや、全ての事業、チーム、サプライチェーンおよび地域社会を通じて、社会にもたらす好ましい影響をまとめている。同報告書は、2003年から毎年発表してきたサステナビリティ報告書、また2018年から毎年発表してきたインクルージョンおよびダイバーシティ報告書「Shine(シャイン)」を進化させたものとなる。
「インターセクションズ」には、世界をより良くしようと努力するダウの目指す目標とコミットメントへの取り組み状況が詳細にまとめられている。具体的な重点取り組み領域としては、CO2排出量の削減、プラスチックに対するサーキュラーエコノミー(循環型経済)の構築、コミュニティー支援、公平性のある職場に向けた活動などが挙げられる。さらに、アカウンタビリティ(説明責任)の推進、長期にわたるステークホルダーの利益保護を目的とした、業界で最高基準のダウのコーポレートガバナンスの慣行についてもまとめられている。
ジム・フィッタリング会長兼最高経営責任者は「昨年に起きた出来事により、多くのステークホルダーの生活においてダウのチームが担う、重要かつ積極的な役割が浮き彫りになった。素材科学の専門技術を生かし、かつ当社パートナーとの連携を通じて世界にサステナブルな未来をもたらすという目的の下、私たちはこの役割に真剣に向き合い、顕著な進展を遂げた。今年のESG統合報告書の発表は、大胆な目標設定に対する当社のコミットメントと、取り組み状況の測定を再確認するものであり、また、業績に関する透明性を高める目的にも適うものだ」とコメントしている。