マイクロ波化学 ケミカルリサイクル実証設備を完成

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2021年9月28日

 マイクロ波化学は27日、マイクロ波プロセスを活用した汎用プラスチック分解技術の開発を目的とするケミカルリサイクル(CR)の小型実証設備を大阪事業所内に完成させたと発表した。

ケミカルリサイクルの実証設備

 同社はマイクロ波によるプラ分解技術の開発を独自で推進。「PlaWave」と名付けられた分解技術は、①様々なプラスチックに適用でき熱分解にも解重合にも対応可能、②ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)ではオイルとガスの作り分けが可能、③マイクロ波の直接・選択加熱により従来技術と比較し省エネや設備コンパクト化によるコスト低減が可能、といった特長がある。マイクロ波は、カーボンニュートラル達成のために不可欠である電化技術。再生可能エネルギーなどの脱炭素電源を利用することでグリーンなプラ循環を可能とする。

 昨年12月には、同社の研究開発テーマ「マイクロ波プロセスを応用したプラスチックの新規CR法の開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の中小・ベンチャー企業対象「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」に採択され、今回の小型実証設備の開発に至った。

 この小型実証設備は1時間当たり5kg程度の処理能力があり、ポリスチレンをはじめとした様々なプラで実証を重ねていく予定。2022年秋には年産数百t規模の大型実証プラントを建設し、2025年頃までに同1万t規模までスケールアップする計画で、廃プラを油化する技術開発を進めるとともに、これまで難しいとされてきたPEやPPのガス化実証を行う。

 同社は今後、「PlaWave」を国内外の企業に導入することで、サーキュラーエコノミーを推進していく。

「PlaWave」のロードマップ

マイクロ波化学 バイオファウンドリ基盤技術開発に参画

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2021年9月7日

 マイクロ波化学は6日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業であるカーボンリサイクル実現に向けた「生産プロセスのバイオファウンドリ基盤技術開発」事業に参画すると発表した。同社は、バイオ生産プロセスにマイクロ波技術を新たに適用することで、さらなる低コスト化・省エネ・低炭素化の実現に寄与する。

 同事業で対象となるバイオ市場は目覚ましい成長が見込まれており、OECD(経済協力開発機構)は2030年に世界で約200兆円規模に拡大すると予想している。昨今の世界的なカーボンニュートラル(CN)の潮流の中で、再生可能資源から直接化学品を製造可能にする次世代のものづくり技術として、特に注目を浴びるようになっている。

 同事業では、グリーン・アース・インスティテュートおよび協和発酵バイオが、基盤技術や拠点を整備することでバイオ化学品の効率的な商用化への橋渡しを行い、日本発のバイオ由来製品を続々と生み出していくことを目指している。

 マイクロ波化学は、2050年までのCN実現をリードする構想として「C NEUTRAL 2050 design」を策定。これは、マイクロ波技術の汎用性の高さを生かし、国内外の産業部門の幅広い領域に対しマイクロ波プロセスを導入することにより、90%以上のCO2排出量削減を目指すもの。今回の事業への参画により、バイオ市場へ進出することで、この構想のさらなる進捗が期待できる。

 同社は今後も、あらゆる製造プロセスへのマイクロ波技術導入を通じて、CNの早期実現に貢献していく。

バイオ関連市場におけるマイクロ波の展開構想
バイオ関連市場におけるマイクロ波の展開構想

マイクロ波化学 マイクロ波で食品解凍、技術開発に着手

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2021年8月5日

 マイクロ波化学は4日、深刻化する食品ロスの解決に向けて、マイクロ波プロセスを活用した解凍技術の開発に着手したと発表した。

 現在、日本における食品ロス量は約600万t(家庭系約276万t、事業系約324万t)と推計されている。事業系の中で約182万tを占める外食産業や食品小売業におけるSDGs目標達成への1つの取り組みとして、近年、冷凍食品の活用拡大が挙げられており、そのラストワンマイルに相当する解凍技術への注目が高まっている。しかし、従来の電子レンジでは、様々な素材が入った弁当などを均一に解凍することが困難だった。

 そこで同社は、

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マイクロ波化学 阪大の田中教授が技術アドバイザー就任

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2021年7月8日

 マイクロ波化学はこのほど、粉体シミュレーションの世界的な第一人者である大阪大学大学院工学研究科の田中敏嗣教授を技術アドバイザーとして迎えると発表した。これを機に、石油化学市場へ本格的に参入する。

 同社は、マイクロ波プロセスの導入による産業部門のCO2排出量削減を通じて、2050年までのカーボンニュートラル実現をリードする構想「C NEUTRAL 2050 design」を独自で策定。再生可能エネルギーによる「電化」と「マイクロ波プロセス」の2つの要素を掛け合わせた製造プロセスは、石油・石炭など化石燃料由来のエネルギーを利用する従来プロセスと比較して90%以上のCO2排出削減を可能とする。

 同社は、カーボンニュートラル実現のために、化学産業のCO2排出量の約半分を占めるとされる石化産業へマイクロ波を導入することが重要であると捉えており、技術開発に注力している。この分野で特に使われることが多い流動層プロセスの構築には、化学反応を促進する触媒である粒子とマイクロ波の相互作用の予測が欠かせず、粒子の複雑な動きを再現できる粉体シミュレーションの精度が肝要となる。

 今回、粉体シミュレーションのパイオニアである田中教授が参画することにより、流動層プロセスのシミュレーション技術だけでなく、事業化に向けてスケールアップする際にマイクロ波反応器設計の精度を格段に向上させることが可能となる。

 同社は、化学産業全体にマイクロ波プロセスを導入するための技術力をさらに強化し、「C NEUTRAL 2050 design」を展開していく。

マイクロ波化学 「GSC賞 ベンチャー企業賞」を受賞

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2021年7月1日

 マイクロ波化学はこのほど、「マイクロ波化学の事業化」について、新化学技術推進協会の「第20回グリーン・サステイナブル ケミストリー(GSC)賞 ベンチャー企業賞」を受賞した。

 同社は、マイクロ波を活用した製造プロセスをグローバルスタンダードにしていく考えの下、研究開発、エンジニアリング、生産技術を一貫で行うプラットフォームを整備し、事業化を推進。今回、事業の特性や実績だけでなく、今後の再生可能エネルギーの普及に伴い、従来の熱化学法に変わる製造技術としての発展が期待できる点が評価された。化学プラントのエネルギーが化石資源から電力に移行する中で、電気を利用するエネルギーの伝達手段であるマイクロ波が、さらに有力視されることが想定されている。

 同社は今回の受賞を励みに、高効率・省エネルギーなプロセス構築を可能とするマイクロ波を、カーボンニュートラル実現に向けたキーテクノロジーとして、独自構想「C NEUTRAL 2050 design」を一層展開していく。

マイクロ波化学 カーボンニュートラルの取り組みを推進

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2021年6月7日

 マイクロ波化学はこのほど、カーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みを「C NEUTRAL 2050 design」として推進していくと発表した。CO2排出量削減策として製造プロセスの電化がカギとされるが、大型化や効率の観点から課題が多く、現段階では具体的なソリューションが確立されていない。

 同社は、再生可能エネルギーによる「電化」と「マイクロ波プロセス」の2つの要素を掛け合わせて製造プロセスを構築することで、石油・石炭など化石燃料由来のエネルギーを利用する従来プロセスと比較して90%以上のCO2排出削減を可能にする。

 マイクロ波は電気を利用するエネルギー源で、物質を直接・選択的に加熱できる特徴がある。同社は、マイクロ波をプラント規模へのスケールアップを可能とする「マイクロ波プラットフォーム技術」を実現。国内外の様々な企業との共同開発やプラントの立ち上げを行い、世界に先駆けてマイクロ波プロセスを産業分野に導入している。

 また、2022年には年間数百t規模のマイクロ波を使ったプラスチックのケミカルリサイクルの実証試験を計画。2030年までのロードマップとして、さらなる大型化の技術を確立し、膨大なCO2排出量・エネルギー消費量を伴う石化プロセスをマイクロ波プロセスに置き換えていく。

 同社は、今後も「C NEUTRAL 2050 design」を加速させ、化学産業へのマイクロ波プロセスの導入を通じて、CNの実現をリードしていく考えだ。

 

三菱ケミカル PMMAケミカルリサイクル、実証試験を実施

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2021年5月25日

 三菱ケミカルと連結子会社三菱ケミカルメタクリレーツは24日、PMMA(アクリル樹脂)のケミカルリサイクル(CR)の事業化に向け、今年6月に日本国内で実証設備を建設し、事業化に向けた実証試験を進めると発表した。

通常のアクリル樹脂板(左)とリサイクルされたアクリル樹脂板(右)
通常のアクリル樹脂板(左)とリサイクルされたアクリル樹脂板(右)

 アクリル樹脂は優れた透明性・耐光性をもつプラスチック製品で、自動車のランプカバー、看板、水族館の水槽、塗料、建材などに幅広く用いられており、その世界需要は300万tを越える。また昨今では、飛沫感染防止用のアクリル樹脂板の需要が世界各地で増加している。

 両社は、かねてからアクリル樹脂のリサイクルに向けた検討を推進。環境に対する意識が世界でも先行し、よりスピード感が要求される欧州においては、現行のリサイクル技術を導入したアクリル樹脂リサイクル設備建設の検討を進めており、近いうちに決定する見通し。

実証設備の完成予想図
実証設備の完成予想図

 一方、日本国内では、アクリル樹脂のリサイクル技術検討のパートナーであるマイクロ波化学と協力。同社大阪事業所内で新たに建設を進めていた実証設備が6月に完成する。欧州と日本国内でその地域特性に合わせたそれぞれのアプローチで、2024年の稼働を視野に、アクリル樹脂のリサイクルプラントの建設に向けた検討を本格化する考えだ。

 廃アクリル樹脂は、製造工場から出る廃材に限らず、将来的には広く市場から回収することを視野に入れる。廃車からのテールランプなどのアクリル樹脂の回収、そのCRや再利用について、本田技研工業とともにスキームの検討を進めており、今回の実証設備を用いたリサイクルシステムの実証試験についても共同で実施していく。

 三菱ケミカルのアクリル樹脂リサイクル技術により製造されたMMA(メチルメタクリレート)とそれを原料として製造されたアクリル樹脂は、透明性をはじめ通常品と同水準の性能を保つとともに、製造工程でのCO2の排出量が従来よりも70%以上削減できると見込んでおり、環境負荷低減に大いに貢献することが可能である。

 同社はMMAおよびアクリル樹脂における世界ナンバーワンシェアのメーカーとして、同事業のサーキュラー・エコノミー実現に向けた取り組みを積極的にリードしていく。