大陽日酸 持ち株会社体制に移行、日本酸素ホールディングスに

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2020年1月23日

 大陽日酸は22日、同日開催の取締役会で、10月1日(予定)を効力発生日とする会社分割(吸収分割)方式により持ち株会社体制へ移行すること、およびその準備を円滑に進めるために分割準備会社を設立することを決議したと発表した。持ち株会社体制への移行に伴い、商号を「日本酸素ホールディングス」に変更する予定。

 同社は現中期経営計画に「グローバル化の推進」を掲げ、2018年に米・プラクスエアの欧州事業の一部を買収し、グループの産業ガス事業は日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極体制となった。

 世界の政治経済状況がめまぐるしく変化する中で、さらにグループを発展させていくためには、これまでの国内事業中心の経営体制から脱却し、グローバルガスメジャーとして競争力のあるグループ運営体制を構築することが必要と判断した。

 持ち株会社体制へ移行する企図として、①権限委譲による意思決定スピードの向上と適切な経営資源の配分②事業執行責任、実績の明確化③各地域の強みや優位点を共有展開したグループ総合力の強化を挙げている。

 持ち株会社体制への移行については、2月4日に分割準備会社「大陽日酸分割準備会社」を設立し、吸収分割承継会社として国内での産業ガスおよび関連機器の製造・販売を承継させる吸収分割を採用。

 10月1日に、大陽日酸は各事業会社の持ち株会社「日本酸素ホールディングス」となり、グループの統治機能などを担うとともに引き続き上場を維持し、大陽日酸分割準備会社は大陽日酸に商号変更を行う。

 

大陽日酸 子会社が宇部工場を新設、液化炭酸ガス・ドライアイス製造

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2019年12月12日

 大陽日酸は11日、子会社の日本液炭が山口県宇部市の宇部興産の敷地内に、液化炭酸ガスとドライアイス製造工場=宇部工場=の新設を決定したと発表した。生産能力は、液化炭酸ガスが200t/日、ドライアイスが150t/日(黒崎工場、水島工場からの移転分を含む)で、2021年11月の完成を予定する。投資額は約60億円。

 日本液炭は、国内の石油精製や化学プラントから副生される炭酸ガスを回収し、液化・精製して、液化炭酸ガスやドライアイスとして販売することで、環境負荷低減に貢献している。しかし、近年の原料ガスの大幅な減少により、製品需給が恒常的にひっ迫している状況にある。

 こうした中、宇部興産から借用する敷地内に、同社のアンモニア製造プラントから副生される炭酸ガスを原料として製品を製造する宇部工場を新設し、炭酸ガスの再利用促進とともに、製品の安定供給体制を確保していく。

 これと同時に、ドライアイス製造機能を、日本液炭の黒崎工場(三菱ケミカル・福岡事業所内)と水島工場(同・岡山事業所内)から宇部工場に移転集約。ユーザーのニーズに併せた使用形状まで加工できる設備も備えることにより、ドライアイス事業の効率化を進めていく考えだ。

大陽日酸 キッズ理科教室開催、液体窒素で超電導実験

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2019年10月10日

太陽日酸 興味津々の生徒たち
興味津々の生徒たち

 大陽日酸は今年も、地域貢献活動の一環として、同社の液体窒素を使った、子ども向け理科実験教室「大陽日酸キッズ理科教室」を開催した。

 子どもたちに科学の楽しさを体験してもらい、好奇心や想像力を高める一助となることを目的に、2007年から毎年行っている。今回も同社本社の近隣にある品川区立後地(うしろじ)小学校の協力を得て、同校の学校公開日である10月5日、小学5年生31人を対象に実施した。

太陽日酸 白煙を発生させる実験
白煙を発生させる実験

 実験に先立って、講師役の同社社員が産業ガスの特性や実験内容を説明。その後、子どもたちは「空の雲ができるのと同様の白煙を発生させる実験」「風船に入った気体を冷やす実験」「超電導コースター」「バラの花やゴムボールの凍結実験」などを体験した。

 学校の授業ではできない液体窒素を使った実験に、生徒は興味津々。子どもならではの無邪気な反応や、鋭い質問が飛び交う、盛況な理科教室となった。

大陽日酸 サッカー教室開催、千葉市で小学生対象に

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2019年9月11日

 大陽日酸は社会貢献活動の一環として、7日に「大陽日酸サッカー教室 セルジオサッカークリニック2019(千葉)」を開催した。

 同クリニックは、スポーツ活動を通じて青少年の健全な育成を図るため、1990年から毎年、千葉市サッカー協会と共同開催している。今年が30回目。2005年からは、大阪でも同様のイベントを行っており、延べ参加者数は2万人を超えている。

 好天に恵まれた同日、会場となったフクダ電子スクエア(千葉市中央区)には、千葉市内のサッカークラブ所属の小学3年生と6年生の48チーム501人の選手に加え、保護者やコーチが参加した。

 講師陣は、日本サッカー界で活躍し、現在は辛口サッカー解説者として人気のセルジオ越後さんをはじめ、アデマール・マリーニョさん、石塚将光さん、広山晴士さん、本田泰人さん、ジョージ・トレドさんの6人。同社からは、柳田裕久関東支社長や関係者が出席した。

 サッカークリニックは講師チームとの試合形式で行われ、どちらかのチームがゴールを決めるまで、というルールの下、小学生選手の必死のプレーに、歓声が上がった。その後、参加チームが6つのブロックに分かれて優勝を争うミニサッカー大会や、豪華景品をかけて保護者やコーチが参加するPK大会も行われた。

 表彰式では、ミニサッカー大会の優勝・準優勝チームにセルジオ越後さんのイラスト入りメダルが、さらに優勝チームには副賞として同社グループ会社であるサーモスのスポーツボトルが贈呈された。

大陽日酸 ヘリウム製品を来年から20%以上値上げ

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2019年9月4日

 大陽日酸はこのほど、ヘリウム製品(シリンダー、トレーラー、液体、特殊ガス)を、来年1月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は、現行価格から20%以上で、納入条件に応じて輸送コストの上昇分も、別途改定するとしている。

 ヘリウムガスは海外の天然ガスから精製・生産される希少資源。世界的に供給の多くを米国とカタールに依存しており、日本では全量輸入している。

 世界のヘリウム生産量は、2017年以降、中東での政情不安による輸送問題、生産基地の老朽化による突発トラブル、米国土地管理局の段階的な減産計画により減少している。

 一方、需要面では中国・インド・新興国での半導体や光ファイバーの製造、医療用のMRI、宇宙産業の発展による急激な需要増加があり、今後数年間は、需給バランスが崩れた状況が継続する見込みだ。

 このような状況下、同社では、安定供給体制を確保するために、調達先の複数化、新規ソースの開拓など、あらゆる手立てを講じているが、大幅なコスト上昇は、自助努力の限界を超えていることから、今回、価格改定の実施を決定した。

大陽日酸 中国現地法人に空気分離装置を増設 来年10月に稼働

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2019年8月6日

 大陽日酸はこのほど、上海大陽日酸気体(上海気体)の上海市内にある既存工場内に空気分離装置を増設すると発表した。2020年10月の稼働開始を予定している。

 空気分離装置は、空気を圧縮・冷却液化したのち、蒸留により酸素・窒素・アルゴンに分離する装置。大陽日酸は、同装置のトップメーカーとして、多くの実績を持つ。

 同社グループは、大連を中心とする東北地区と、上海を中心とする華東地区でバルクガス事業を展開している。華東地区では、2004年に上海気体が空気分離装置を稼動させ、周辺地域へ産業ガスを供給してきた。

 今回、華東地区での中長期のガス需要の伸張を見据え、上海市内という需要地に近い戦略的な立地に空気分離装置を増設することで、産業ガスの安定供給体制を強化していく考えだ。

 中国では、従来の「高速成長」から「質の高い発展」への移行が中国政府主導で推進中であり、中長期にわたって底堅く着実な経済成長が見込まれている。

 特に華東地区はこれまで高度成長地域として発展を遂げてきた。幅広い産業が集積されており、さらに最先端の製造業を重点的に集積させていく長江デルタ都市群発展計画が発表される中、産業ガス需要の持続的増加が期待されている。

大陽日酸 中国・水素製造装置メーカーと事業提携

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2019年5月22日

 大陽日酸はこのほど、中国・四川省の水素製造装置メーカーAlly Hi―Techと、資本・事業提携契約を締結したと発表した。

 Ally社は、2000年に設立され、水素製造装置の設計、製造、販売を行っている。小型・中型水素プラントの製造能力とコスト競争力に優れ、大手国有企業を含む多数の顧客から信頼を得てきた。

 また、北京五輪では燃料電池車向け水素設備の納入など、複数の国家プロジェクトも受注しており、タイ、フィリピン、台湾、韓国、インドなど、アジア諸国を中心に販売実績を伸ばしている。

 大陽日酸は、中期経営計画「Ortus Stage 2」のオープンイノベーション戦略に基づき、提携・出資によるガステクノロジーの領域拡大の取り組みを推進。水素を主要なガス商材の1つと位置づけ、近年は積極的な事業展開を図っている。

 今回、Ally社と戦略的なパートナー関係を構築し、水素製造装置を事業ポートフォリオに加えたことで、今後は世界各国に拡大しているグループの販売網を通じ、水素需要の取り込みを強化していく考えだ。特に鉄鋼、化学、ガラスなどの基幹産業に向けたオンサイト供給での存在感を高め、安定的な収益基盤の確立に向け取り組んでいく。

 また、同社が培ってきたガス制御、燃焼などの関連技術とのシナジーで、さらに高付加価値なソリューションの提供を目指す。

大陽日酸 3月期決算(13日)

2019年5月14日

[大陽日酸/3月期決算](13日)単位100万円、カッコ内は対前期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上収益740,341(14.6%)、コア営業利益65,819(9.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益41,291(▲15.6%)。

大陽日酸 導電性フッ素樹脂のコーティング材を開発

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2019年4月1日

 大陽日酸はこのほど、ステンレスタンクなどの基材表面に導電性のあるフッ素樹脂コーティング膜を形成する、導電性フッ素樹脂コーティング材を開発した。

 樹脂にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、溶媒には水を使用、コーティング膜の表面抵抗率は100~1万オーム毎スクウェア。同社の山梨研究所ではサンプル試作体制を整えており、今後は顧客への訴求とサンプル提供を進め、本格的な商品化を目指す。

 同社は、高い導電性を備えた長尺カーボンナノチューブ(CNT)の製造を行っており、極少量のCNTをフッ素樹脂粉末に均一に複合化することでフッ素樹脂に導電性を付与する、高機能フッ素樹脂の製造技術をもつ。今回、フッ素樹脂ディスパージョンにCNTを極少量複合化した、導電性フッ素樹脂コーティング材の開発に成功した。

 半導体分野や化学分野では、酸塩基液体や有機溶剤のような腐食性が高い液体が使用されるため、液体が接触するタンクや金属配管・バルブなどの流路にフッ素樹脂コーティング膜を施している。 

 従来のフッ素樹脂コーティング膜は、耐薬品性と耐熱性に優れるものの、その絶縁性のために生じる課題を抱えていた。絶縁体のコーティング膜を施した配管などに液体が流れると静電気を帯び、放電によるコーティング膜の破壊で、液体に基材の金属成分が混入するなどの問題が発生するもの。そのため、静電気の発生が抑えられる導電性があるフッ素樹脂コーティング膜が望まれていた。

 開発品を基材にコーティングすると、帯電防止レベル(100~1万オーム毎スクウェア)の導電性をもったコーティング膜が形成される。同コーティング膜は厚み方向にも導電性があるため、膜の表面と基材外表面で導通をとることも可能。

 さらに、極微量のCNTを複合化させているため、カーボンの脱落リスクも極めて低い。半導体分野や化学分野で使用されている装置、タンク・テーブル・バルブといった設備、配管や継手など部品への利用が期待されている。