《化学企業トップ年頭所感》クラレ 川原仁社長

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2022年1月12日

 本年度は、2026年に迎える当社創立100周年に向けての新しい中期経営計画のスタートの年になる。新しい年度の初めにあたり、改めて、私が考えるクラレグループのありたい姿を述べる。

 まず「安全で、安心して働ける会社」であるということだ。世界中の生産拠点、研究開発拠点、事業所のすべてにおいて「安全はすべての礎」になる。全ての社員、役員の皆さんが、安全に対する感性を研ぎ澄まし、よく考え、安全で事故が起こらない会社を目指して仕事に取り組んでいただきたい。そして、様々な個性や多様性をもった人々が、ハラスメントなどのない職場で、安心して誇りをもって働ける会社でありたいと考えている。

 2つ目は、クラレグループが活力のある元気な企業体でありたい、ということだ。大きな環境の変化をも機会として捉え、我々自身が変化をしながら進化をする〝向上力、突破力、たくましさ〟が必要だ。足元の状況に過度に一喜一憂せず、本質について深く考え判断すること、迅速に行動すること、それらを可能にするための前向きな姿勢が大切になる。失敗を恐れずに挑戦する前向きな姿勢と意識をもち、いろいろな場面でイノベーションや変革に繋がるアイデアを生み出して実行し、大きな成功に繋げていきたい。皆さんにはクラレグループが活力と創造力のみなぎる企業体であり続けるためにも、是非、このことを心掛けてほしい。

 3つ目は、クラレグループの一人ひとりが社会人・企業人としての高い倫理観と、コンプライアンスの徹底に対する強い責任意識をもち行動することで、自分自身も成長し、会社も成長するような好循環を生む企業でありたい、ということだ。あらゆる企業活動の基本はヒトの力。どれだけ情報技術や機械が発達しても、ヒトがそれらを活用し、動かす原動力であるということに変わりはない。ヒトとその集合体である企業が、良き企業市民としての存在感を示し、価値を生むことで、世界の人々からクラレが「かけがえのない会社」として認められるようになりたいと考えている。

【化学企業 入社式訓示④】クラレ 川原仁社長

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2021年4月7日

 希望と意欲に満ちあふれた皆さんを迎え、たいへん嬉しい。私も今年社長になったので、同様のスタートだ。

 当社は創業時から「社会から得た利益は、社会に還元する」という基本理念で経営基盤を固め、社会福祉活動や公共的事業を行い、「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」ために、独自の卓越した技術で社会に貢献するという信念で発展してきた。社会的責任・社会貢献に関し、長い歴史で積み上げた実績が真の強みで、これを引継ぎ発展させるために一緒に進もう。

 さて、幸せな生活と、働き甲斐を感じて質の高い仕事をするには、健康が基本だ。健康管理には十分留意し、そして人格を確立してほしい。毎日の心掛けで「芯」ができ「価値観」が定まり、考え方や行動への自信に繋がり、組織やチームの中でのリーダーシップ能力が醸成される。

 仕事に取り組む際の心構えは3つ。1つ目は「分からないことは、遠慮せずに周りの人や先輩、上司に聞く」こと。初めての仕事には、謙虚に教えを請う姿勢が大切だ。最初は会社の仕組みや仕事の全体像、背景が分からず「何を知らないのかさえも分からない」だろうが、分かるまで聞き、しっかり覚えてほしい。

 2つ目は「与えられた仕事や役割でベストを尽くす」ことだ。実際の仕事はイメージとは違うかもしれないが、今後のキャリア・習熟度を勘案して用意している。与えられた仕事や役割に真摯に取り組み、小さな一つひとつの積み重ねが力となっていく。自分に起こる出来事と、今の自分を受け容れ、どんな仕事にも真摯に向き合い、誠実に取り組んで結果を出すと周りから信頼され、大きく重要な仕事を任せてもらえるようになるはずだ。

 3つ目は「自己研鑽を続ける」ことだ。これからが勉強であり、世の中には知らないことが山ほどあり、毎日新しい事も起こり、変化の連続だ。どのような職務も、世の中の動きや課題と無縁ではない。本を読み、話を聞き、講習や研修に参加して見聞を広め知見を深め、考える力を養ってほしい。

 最後に、現場実習では一番大切な行動原則としての方針「安全はすべての礎」を繰り返し聞くだろう。しっかりと学び、よく考え、理解し、配属時には全員が自ら体現できるようになっていることを切に願う。

クラレ 前中計は火災事故やコロナ影響で目標未達

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2021年2月12日

今年度に新中計策定、エバールなど新工場を検討

川原仁社長

 クラレは10日、オンラインによる決算説明会を開催した。2020年度通期(1-12月期)連結業績は、売上高が前年比6%減の5418億円、営業利益18%減の443億円、経常利益18%減の397億円、純利益26億円(同45億円増)となった。川原仁社長は、「新型コロナ感染拡大による世界的な景気減速の影響を受け、多くの事業で需要が落ち販売が減少するとともに、

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《化学企業トップ年頭所感》クラレ 川原仁社長

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2021年1月12日

 新型コロナウイルス感染拡大の世界経済への影響は今後もしばらくは続くと想定され、今年後半からの回復を期待する予測もあるが、まだ先行きは不透明といえる。移動や交流が制限される中ではあるが、できないことを嘆くのではなく、それらを解決する適切な手段を見出だし、どうすれば新しい形や方法で目的を達成できるかを考え、実践することが求められている。グループ社員の力を合わせて、難局を乗り越えていきたい。

川原社長
川原社長

 2021年度は、当社が2026年に迎える創立100周年に向けて、2022年度から始まる次の中期経営計画を策定する年にあたる。これまでに決定・着手した将来への仕掛け、戦略的投資を着実に遂行し成果を獲得するとともに、コロナ禍の影響で揺らいだ稼ぐ力の再検証を行い、着実な収益力の向上を図る一方で、構造的に収益力に懸念がある製品や事業分野については本質的な改善・改革も辞さない姿勢で臨まなければならない。

 次期中計に向けては、ITの戦略的活用によりデジタル・トランスフォーメーションを全社的な取り組みとして推進し、業務プロセスの改革や顧客起点の事業戦略を加速することで、競争優位の強化を目指す。

 さらには、持続可能な自然環境への貢献、生活環境の向上などの諸課題に対しても、企業としてどのように取り組むか、サステナビリティの観点を十分に踏まえて策定の議論を進める必要がある。「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という当社創業以来の企業理念を具体的に実行し、クラレらしいやり方で社会への貢献を果たすことが求められている。クラレグループの皆さんの自発的、積極的な参画と活発な議論を経て、クラレグループが一つになって進むべき方向性を示せるように充実した1年としていこう。

 また、クラレの新社長として、当社グループを「安全で、安心して働ける会社」「前向きな姿勢で活力と創造力のみなぎる企業」「誇りをもって働ける会社」にしたいと考えている。2026年の創立100周年と、さらにその後に続く将来を見通したクラレグループのあるべき姿を描き、それを実現するために努力をすることは、大きな挑戦であり喜びでもある。クラレの長い歴史の中でも、大きな節目となるであろう今後の数年間を皆さんとともに歩み、大きな目標に向かって邁進したいと考えている。