【ポリカーボネート特集3】帝人

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2021年9月17日

新たな市場ニーズに対応、高付加価値化の推進

 帝人は1960年に日本で最初にポリカーボネート(PC)の商業生産を開始し、1999年にはシンガポール、2005年からは中国へと樹脂の生産拠点を拡大した。その後シンガポールからは撤退し、現在は日本12万t、中国16万t、計28万tで世界第5位の生産能力を保有するとされる。

 PC樹脂「パンライト」と、ABS樹脂とのポリマーアロイ「マルチロン」の2つの製品群を展開している。光学用途に特化した「パンライトSP」シリーズは高屈折率・低複屈折といった特長があり、カメラの薄型化・高画素化に貢献。スマートフォンのカメラ向けに引き合いが強いが、要求特性の多様化に合わせた新グレードの開発に取り組んでいる。

 それに対し、独自開発した「マルチロン」は、PCとABS樹脂の両方の特長を兼ね備えており、

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帝人 訪問看護師向けのサイト開設、地域包括ケアを支援

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2021年9月14日

 帝人はこのほど、訪問看護師や訪問看護事業者への情報提供に特化したウェブメディア「NsPace(ナースペース)」(https://www.ns-pace.com/)を開設したと発表した。

 訪問看護に必要な情報や、職員の採用や教育、事業所の運営などに関するノウハウ、さらには訪問看護師同士の交流の場を提供し、訪問看護師と訪問看護事業者にとってのプラットフォームとなることを目指していく。

 団塊の世代が75歳以上となる2025年以降には、国民の医療や介護の需要がさらに増加すると見込まれている。これに対し、政府は在宅医療の体制整備を急務とし、高齢者が住み慣れた地域で住まい・医療・介護・予防・生活支援などのサービスを一体的に受けられるよう、地域の包括的な支援・サービス体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進。

 こうした中で、訪問看護師は、在宅医療の中心的な担い手としてのニーズが高まっており、その所属事業所である訪問看護ステーションの数は10年間で約2倍に増加している。しかし、経営に必要な情報やノウハウが充分に得られないことや、採用や教育が上手くいかないなどの課題により、休止や廃止に至る事業所も多く課題となっていた。

 今回、帝人はウェブメディア「ナースペース」を開設し、課題解決の支援を通じて、地域包括ケアシステムの構築に貢献する。「ナースペース」の特長として、①訪問看護師の求める訪問看護関連の情報に特化し、迅速に検索・閲覧が可能、②訪問看護事業所の経営者層、管理者層にも有用なコンテンツ構成、③オンラインセミナーなど各種イベントを定期的に開催し専門性の高い人材の育成や経営を支援、④事業運営に欠かせないマニュアルやフォーマットを提供し事業運営を効率化、などが挙げられる。

 帝人は今後、「地域包括ケアシステム関連新事業の創出」を掲げ、保険領域に留まらない地域密着型の総合ヘルスケアサービスの提供を目指しており、今回の取り組みを含めたデータプラットフォームを活用することで、新たな市場創出を推進していく。

訪問介護士向けのウェブメディア「NsPace」
訪問介護士向けのウェブメディア「NsPace」

 

帝人 メタ系アラミドがカーレース向けスーツに採用 

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2021年9月3日

 帝人はこのほど、同社が展開するメタ系アラミド「コーネックス・ネオ」が、電気自動車のフォーミュラーカーレース「フォーミュラE」に参戦する英国のチーム「EVR」のレーシングスーツに採用されたと発表した。「コーネックス・ネオ」がレーシングスーツ向けに使用されるのは初となる。

パラ系アラミド「コーネックス・ネオ」がレーシングスーツに採用
パラ系アラミド「コーネックス・ネオ」がレーシングスーツに採用

 帝人グループは、地球温暖化への意識啓発の1つのアプローチとして、昨年からEVRを支援。その中で、次世代の自動車に求められる軽量・高強度でデザイン性に優れる部品や、安全性に貢献する製品の開発に向けた技術や知見を追求している。こうした中、400℃超の耐熱性をもち防炎性に優れる「コーネックス」にあって、世界的に難しいとされる安定した高い染色性を備える「コーネックス・ネオ」がレーシングスーツ向けに採用された。

 今回のレーシングスーツは、帝人グループのテイジン・アラミド(オランダ)と、モータースポーツ用品メーカーであるOMPレーシング(イタリア)が共同開発。外層に「コーネックス・ネオ」使用の超軽量生地を使用しているため、高い難燃性や耐熱性をもち、過酷なレース環境にも耐えることが可能だ。 また、染色性に優れることから、EVRが求める色合いやデザインを実現した。

 さらに「コーネックス・ネオ」は、特殊な紡糸法により製造プロセスの化学物質排出やエネルギー消費を削減し、欧州の化学物質管理の法規制であるREACHをクリア。EVRがチームのミッションとして掲げる「地球温暖化に挑むレース」にも合致している。

 このレーシングスーツは、「コーネックス・ネオ」を特殊加工した素材とそれに適した生地設計を採用したことにより、一般的なレーシングスーツよりも一層少ない二層構造となり、従来EVRが着用していたものに比べて10%の軽量化を実現。着用快適性が高まり、ドライバーの動きやパフォーマンスの向上に貢献する。また、安全性についても、国際自動車連盟の基準に沿った厳密なテストをクリアしている。なお、このレーシングスーツは、8月14日に開催されたベルリン大会で初めて着用された。

帝人 2030年CO2排出削減目標、30%に見直し

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2021年8月20日

世界的なグリーン化に対応、SCでも目標を設定

 帝人はこのほど、中期経営計画の中で環境負荷低減の長期目標として設定している2030年度までのCO2排出量削減について、2018年度比「30%削減」に目標値を引き上げるとともに、サプライチェーン(SC)排出量の3分の2以上を占める部分についても、同「15%削減」という数値目標を設定した。

 同社グループは2019年に、パリ協定の目標に適合する水準として、自社のCO2排出量を同「20%削減」する長期的な目標を設定していた。

 その後、国際社会ではカーボンニュートラル実現に向けた動きが活発化。日本政府が今年4月に2030年のGHG(温室効果ガス)排出削減目標を46%(2013年比)に引き上げたのをはじめ、世界各国が目標の見直しに動いた。

 企業には、パリ協定に整合するとみなされる、SBT(サイエンス・ベースド・ターゲット)に沿った目標設定や取り組みが求められおり、同社はSBTイニシアチブからの認定取得を目指していた。

 こうした中、ネットゼロの実現に向けた取り組みを加速すべく、同社はSBTイニシアチブの認定基準の1つである「2℃を十分に下回る目標水準」に適合させるため、CO2排出量の削減目標をより高い水準に設定することを決定。

 新たな数値目標として、自社のCO2排出量では、自社のGHG直接排出量(スコープ1)に他社から供給された電気などのエネルギー使用に伴う間接排出量(スコープ2)を加えたものと定義し、算定範囲をこれまでよりも拡大。その上で、2030年度までの数値目標を、2018年度比「20%削減」から「30%削減」へと引き上げた。

 ロードマップとして、2022年までにオランダのテイジン・アラミド社の再エネ化を推進するとともに、自家火力発電では2拠点(日本、タイ)の脱石炭に取り組む。

 また会社全体では、再エネ化の推進や、エネルギー効率化・省エネにも注力することで、目標達成を目指す。これにより、同社の2018年度比30%削減目標は、2013年度の排出量実績に単純換算すると47%減になり、政府の目標(46%削減)を上回る水準となる見込みだ。

 一方、SC全体でのCO2排出削減目標については、2030年度までに「製品などの削減貢献量が総排出量を上回る」とすることを目標に掲げていた。ただ、SBTではスコープ3(自社以外での排出)がバリューチェーン全体の40%を上回る場合、スコープ3排出量全体の3分の2をカバーする目標設定が必要になるため、SCにおける数値目標として同「15%削減」を新たに設定。原料となる化学品を購入しているサプライヤーとの連携を強化していく。

 なお、これらの数値目標は、新たに環境負荷低減の長期目標として位置づけられ、今年7月より帝人グループ全体に適用された。同社は今後、企業全体のGHG排出状況を毎年開示し、最低でも5年ごとに目標を見直していく考えだ。

 

帝人の4-6月期 各セグメントが販売堅調で増収増益

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2021年8月11日

 帝人は6日、2022年3月期第1四半期(4―6月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比26%増の2259億円、営業利益37%増の173億円、経常利益48%増の184億円、純利益72%増の98億円だった。

 同日に電話会見を開催し、鍋島昭久代表取締役常務執行役員CFOは「コロナ禍からの経済回復に伴い、各セグメントでの販売が堅調となった。ヘルスケア大型投資の効果もあり、売上高と営業利益はコロナ禍前の2019年度第1四半期の水準を上回った」と総括した。

 マテリアルセグメントは

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帝人 自動車業界に向けて特設サイト開設、製品など紹介

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2021年7月28日

 帝人は27日、グループの持続可能な社会へ向けた取り組み姿勢、ならびに自動車の環境負荷軽減に貢献する技術を総合的に紹介する特設サイト「TEIJIN SUSTAINABLE MOBILITY」(https://teijin-sustainablemobility.com/?lang=ja)を開設したと発表した。

特設サイト「TEIJIN SUSTAINABLE MOBILITY」

 同社は、自らができる地球温暖化への意識啓発の一つのアプローチとして、EVのフォーミュラーカーレース「フォーミュラE」に参戦する英国の「エンヴィジョン・ヴァージン・レーシング・フォーミュラEチーム」(EVR)をサポートしており、同サイトではEVRを支援する意義や関連コンテンツも紹介している。

 同サイトのデザインやコンテンツの制作に当たっては、日本・米国・欧州の自動車関連のグループ会社とも連携し、自動車業界のステークホルダーに広く受け入れられるウェブサイトを目指した。また、環境負荷軽減につながる自動車部品などの情報では、蘭テイジン・アラミド社、米CSP社、独ジーグラー社がもつ各製品やソリューションを紹介しており、今後、グレージングや炭素繊維関連のソリューションなど、新たなコンテンツを追加していくことで、さらに内容の充実を図っていく。

 帝人グループはこの特設サイトを通じて、サステナビリティに関する企業メッセージや自動車向けの環境負荷軽減ソリューションについて発信することにより、自動車業界における認知度やポジションの向上、グローバルにおける中長期的な新たなビジネス機会の創出を図っていく。

 

帝人 女性向け善玉菌サプリメント、新ブランドを展開

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2021年7月21日

 帝人はこのほど、女性を中心とする一般消費者に向けた善玉菌サプリメントの新ブランド「melito(ミライト)」を立ち上げたと発表した。

女性向け善玉菌サプリ「ミライト」
女性向け善玉菌サプリ「ミライト」

 その第1弾の展開として、膣内フローラに着目した乳酸菌「UREX」、アトピー性皮膚炎に対する調査結果が報告されている乳酸菌「LGG」、および乳児にも広く使用され、胃酸などの強酸下にも耐える自然由来のビフィズス菌「BB-12」の3商品を自社ECサイトで発売する。

 大腸内での発酵が健康に重要であることに着目した帝人は、腸内細菌のエサとなるプレバイオティクス素材の事業ブランド「Biolier(ビオリエ)」を立ち上げ、2016年よりスーパー大麦「バーリーマックス」、2018年から水溶性食物繊維「イヌリア」を展開してきた。また、昨年からはデンマークのクリスチャン・ハンセン社と販売代理店契約を締結し、健康に好影響を与える腸内細菌であるプロバイオティクス原料をラインナップに加えて、さらなる事業強化を進めている。

 今回発売する3商品は、いずれもプロバイオティクス原料を配合し、女性の健康をサポートすることを目的に開発したタブレット状のサプリメント。その中でも特に「UREX」は、女性のために開発された乳酸菌で、臨床研究において他の乳酸菌に比べて長く膣内フローラにとどまることが確認されており、膣内環境の正常化をサポートする。また、世界で初めて、タブレット形状で「UREX」を配合することに成功し服用しやすい。さらに、3商品すべてにプレバイオティクス素材である「イヌリア」を配合しており、女性の悩みの1つである腸内環境の改善も期待できる。パッケージは、サプリメント感を払拭し、女性に受け入れられやすい北欧調のデザインを採用した。

 帝人は、「melito」ブランドとして発売した3商品により、今後、膣内フローラをはじめとする「女性のセルフケア」という新たなフェムテック市場の開拓を図るとともに、まだ顕在化していない健康ニーズにフォーカスした、独自性のある商品開発によりラインナップの拡充を図っていく。

 

帝人 ベトナムの炭素繊維製品の新工場、商業生産を開始

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2021年7月13日

 帝人は12日、ベトナム・ハナム省に新設したプリプレグを中心とする炭素繊維製品の工場で商業生産を開始すると発表した。軽量で剛性に優れる炭素繊維製品は、スポーツや釣りなどの分野で高いパフォーマンスを発揮するため、これまで長きにわたって関連用品の主要部材として使用されており、近年もさらに採用が進んでいる。

 特に最近は、コロナ禍の影響で密を避けるアクティビティが関心を集めており、需要が伸長。中でも東南アジア地域は、スポーツ用途をはじめ一般産業用途や航空機用途の炭素繊維製品の供給を担う需要地として市場が拡大している。帝人はシンガポール、上海、台湾に現地法人を設け、東南アジア地域の需要増加に迅速に対応してきた。こうした中、新規顧客の獲得や用途開拓の推進、地域のニーズに沿ったソリューション提供などを可能とするため、ベトナム・ハナム省に工場ならびに運営会社であるテイジン・カーボン・ベトナムを設立し、商業生産の開始に至った。

 新工場では、まず、釣り、ゴルフ、自転車、アイスホッケーなどのアクティビティ用途向けプリプレグを中心とする炭素繊維製品の生産を担い、テイジン・カーボン・ベトナムと既存のアジア現地法人が、市場拡大が期待される東南アジア・南アジア・オセアニア地域に向けて販売活動を展開していく。そして、将来的には、一般産業用途や航空機用途に向けた生産も視野に入れて事業展開していく考えだ。

 帝人グループは、ベトナムの新工場での商業生産開始により、川上から川下に至るまでの顧客対応力を一層強化し、アジアにおける炭素繊維事業のプレゼンス向上を目指していく。そして、長期ビジョンとして掲げる「未来の社会を支える会社」に向けて、さらに邁進していく。

帝人 パラ系アラミドのライフサイクル、CO2を削減

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2021年7月12日

 帝人はこのほど、アラミド事業を展開する蘭テイジン・アラミドが、パラ系アラミド「トワロン」のライフサイクルにおけるCO2排出量を30%削減(2014年対比)したと発表した。これは、外部団体によるISO規格に則した最新のライフサイクルアセスメント(LCA)調査により示されたもの。テイジン・アラミドが長年にわたり、「トワロン」のライフサイクルにおける持続可能性、生産工程の改善、100%再生可能電力への移行などに注力してきた成果になる。

 テイジン・アラミドは、2011年より環境配慮や経済価値における顧客利益向上のための独自手法「カスタマー・ベネフィット・モデル(CBM)」を用いることで、「トワロン」を使用した顧客製品においても環境負荷が低減することを示してきた。 また、最近では、さらなる環境負荷低減に向けてグリーンエネルギーの活用を強化することとし、欧州エネルギー証明制度(EECS)の一環であるエネルギーの属性証明(GO)を取得し、風力エネルギーの使用を開始。これにより2021年内には、オランダ国内の生産拠点における総電力消費量を、全てグリーンエネルギーで賄うことが可能となる見込みだ。さらに、「トワロン」の物理的、化学的、機械的なリサイクルの拡大にも注力しており、使用済み製品を回収するための新たな物流システムの構築にも取り組んでいる。

 テイジン・アラミドは、今後もエネルギー消費量の削減、グリーンエネルギーの導入、リサイクル技術の向上など、持続可能な循環型社会の実現に向けた事業戦略をさらに強化し、帝人グループとして、2050年度までにCO2排出量を実質ゼロとすること、および長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」になることを目指していく。

「トワロン」ライフサイクルにおけるCO2排出量

J-TEC 自家培養口腔粘膜上皮が製販承認を取得

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2021年7月5日

 帝人の子会社であるジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC:愛知県蒲郡市)はこのほど、自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」の製造販売承認を取得したと発表した。

自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」
自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」

 「オキュラル」は、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした製品で、同疾患に対する口腔粘膜上皮細胞を使った再生医療等製品としては世界初。同製品は、大阪大学大学院医学系研究科の西田幸二教授が開発した技術を導入し実用化した。眼科領域では、昨年3月に製造販売承認を取得した自家培養角膜上皮「ネピック」につづき、国内第2号の再生医療等製品となる。

 「オキュラル」は、患者自身の口腔粘膜組織を採取し、分離した細胞を培養して作製するヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート。患者の眼表面に移植することにより、患者自身の口腔粘膜上皮細胞が生着・上皮化し、欠損した角膜上皮の修復を目的としている。角膜上皮幹細胞疲弊症によって両眼の角膜が広範囲に障害を受け、視力が著しく低下した患者に対する新たな治療法として期待される。なお、2020年に角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした希少疾病用再生医療等製品に指定されている。

 同社は「ネピック」に加えて「オキュラル」を実用化することで、根治療法の存在しなかった角膜上皮疾患に対する治療法の提供を実現していく。そして既存製品のさらなる販売強化、新規再生医療等製品の開発加速などを通じて、再生医療の産業化を推進するとともに、患者のQOL向上に貢献していく。

自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」の移植
自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」の移植