【化学企業 入社式訓示③】帝人 鈴木純社長

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2019年4月4日

 私は36年前にバイオテクノロジーの研究者として入社した。当時はまさか自分が社長になるとは夢にも思わなかったが、会社は国内外で様々な仕事の機会を与えてくれた。

 畑違いと思う仕事にも、腐ることなく、前向きに、本気で取り組むことで、今の自身につながったと実感している。

 会社は大きな成長と活躍の場を用意しているので、各々の舞台で、明るく、楽しく、前向きにチャレンジし、一生懸命、最後までやり遂げていただきたい。

 昨年100周年を迎えた帝人グループにとって、今年は次の100年の飛躍に向けた第一歩という記念すべき年となる。

 企業が長期にわたって存在し続けるには、業績が優れているだけでなく、社会から求められ続ける必要がある。さらに「AI」や「IoT」などテクノロジーが進化する中、企業にはそれらを「価値」に転換するイノベーションが求められている。

 帝人グループは「未来の社会を支える会社」として、社会から求められる存在であり続けるために、たゆまぬ努力と挑戦を続けている。

 皆さんにも変化を糧に大きく成長すべく、失敗を恐れず、情熱をもって仕事にチャレンジすることを期待している。

 中期計画の最終年度となる今年度は、これまで以上にチャレンジングな取り組みにより、次の100年につながる大きな飛躍を遂げるために、何をすべきか考え、実行していきたい。

 皆さんの配属先がどこであろうと、会社は大きな変化・飛躍の真っただ中にある。皆さんもそれぞれの職場で大いに力を発揮し、自身を、帝人を、より素晴らしい、より力強い、社会で存在感のある会社に変えていっていただきたい。

 皆さんにお願いしたいことを3点申し上げる。

 第1に、「視野を広く世界に向けてほしい」。

 第2に、「仕事は、明るく、楽しく、まじめに、一生懸命に取り組んでほしい」。

 第3に、「何事にも挑戦し続けてほしい」。

 今、皆さんが抱いている意欲や情熱、志に加え、会社を動かし、次の100年への飛躍を実現するのは自分自身なのだという当事者意識や主体性を持ち続け、誇りに思える会社生活を築くことを祈念する。

帝人など 関節リウマチ治療薬のバイオ後続品が承認を取得

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2019年4月1日

 帝人とYLバイオロジクス(東京都中央区)、陽進堂(富山市)はこのほど、YLバイオロジクスがグローバル開発を進めていた、関節リウマチと多関節に活動性をもつ若年性特発性関節炎治療薬「エタネルセプト」のバイオ後続品(開発コード:YLB113)が同日、製造販売承認を取得したと発表した。

 「YLB113」については、500例を超える関節リウマチの患者を対象とした第Ⅲ相国際共同治験の結果をもとに、昨年3月にYLバイオロジクスが厚生労働省に製造販売承認申請を行っていた。

 同剤はインドの医薬品メーカーのルピンリミテッドが製造する原薬をベースにして、陽進堂の100%子会社であるエイワイファーマの日本国内の工場で製剤化される。

 陽進堂と、帝人グループでヘルスケア事業の中核を担う帝人ファーマは昨年7月、同剤に関する販売提携契約を締結しており、今後はこれに基づき共同で販売する。

 帝人ファーマは現在注力している「骨・関節領域」の製品ラインアップに同剤を加えることで、関節リウマチの患者のさらなるQOL向上に貢献していきたいと考えている。

帝人 スーパー大麦使用の新商品をJA全農と開発

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2019年3月29日

 帝人は全国農業協同組合連合会(JA全農)と共同で、スーパー大麦「バーリーマックス」を使用した新商品「美食習慣」を開発した。4月3日からイトーヨーカ堂の91店舗で先行販売し、その後、全国のスーパーマーケットやドラッグストアに順次販売を拡大する予定。

 「美食習慣」は3種類の食物繊維フルクタン・ベータグルカン・レジスタントスターチを豊富に含む「バーリーマックス」と、同じく高い健康効果で注目されているもち麦、多くの消費者に親しみのある国産玄米を絶妙な比率で配合した。茶碗一杯で10.3gの食物繊維を摂取することができ、おいしく手軽に毎日の栄養バランスの改善をサポートする。商品は300g(150g×2袋)と600g(150g×4袋)の2種類があり、価格は税抜きで698円と1180円。

 同社はヘルスケア事業で培った知見を応用できる分野として、機能性食品素材に注目し、2015年2月にオーストラリアのヘルシー・グレイン社と、日本での「バーリーマックス」の独占共同販売契約を締結した。「バーリーマックス」はこれまで、大手コンビニエンスストアの中食展開やカフェ、社員食堂などによる採用を通じて、健康感度の高い生活者を中心に普及している。

 一方、JA全農は日本人の食の欧米化が進む中、主要農産品である米の消費拡大に取り組んでいる。穀物から良質な食物繊維を摂取できることを踏まえ、食物繊維の摂取不足の改善に貢献する商品の開発に取り組む中で「バーリーマックス」に注目。日々の食事を通して人々の健康に貢献することを目指す両者の思いが一致したことから、共同開発・販売を行うことになった。

帝人 マルチマテリアルで自動車用ドアモジュールを開発

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2019年3月7日

 帝人は6日、自動車の軽量化、強度やデザイン自由度の向上、製造工程の短縮化などに貢献する、コンポジット製の座席ドアモジュールを開発したと発表した。同社はすでに試作品の開発にも成功しており、今月12日からフランス・パリで開催される世界最大のコンポジット展示会「JECワールド2019」で初公開する(出展ブース:ホール6、G28とJ28)。

出展するサンプル(イメージ)
「JECワールド2019」に出展するサンプル(イメージ)

 世界的な環境規制の強化を背景としたEV(電気自動車)化の加速により、特に欧州を中心に、樹脂などの軽量・高度素材を用いたモジュール化が進んでいる。

 今回開発したドアモジュールには、炭素繊維やガラス繊維に熱硬化性樹脂を含浸させシート状にしたCF-SMCやGF-SMC、一方向性のGFRP(ガラス繊維強化樹脂)といった複数の素材を組み合わせた。

 座席ドアに求められる強度を保ちながら、スチールを使用した従来のドア部品に比べて約35%の軽量化。アルミを使用したドア部品と同等の製造コストで、アルミでは実現が難しかった、角部分に半径3mmの丸みをもたせた深さ70mmの型押し加工による深絞り成形を行い、デザイン性も向上させた。

 さらに、高い耐熱性が求められる電着塗装(E-Coat)工程にも適応可能なため、従来の金属部品の塗装工程ラインを活用でき、生産性の向上にも寄与する。

 同社グループは、自動車部品の軽量・高強度コンポジット化の加速に向け、さまざまな取り組みを推進している。

 今回開発したドアモジュールについても、2025年までの実用化を目標に、グループ内の素材や技術を結集し、顧客ニーズに沿った最適な設計と改良を重ねていく考えだ。

 また今後も、マルチマテリアルでの部品供給メーカーとして、ソリューション提案力の強化を図り、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業で売上20億ドル規模を目指す。

帝人 国内初の高耐熱・高耐衝撃BMI系プリプレグを開発

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2019年3月5日

 帝人は4日、航空機のエンジン関連部材などをターゲットに、高い耐熱性と耐衝撃性を兼ね備えたビスマレイミド(BMI)系プリプレグを開発したと発表した。プリプレグは、炭素繊維シートに樹脂を含侵したもので、炭素繊維複合材料(CFRP)の中間材料として使用される。

高耐熱・高耐衝撃プリプレグ
高耐熱・高耐衝撃プリプレグ

 開発品の最大の特長は、BMI系樹脂を使用しながらも、高耐衝撃性を付与した国内初の技術にある。BMI系樹脂は、一般的に耐熱性を向上させると耐衝撃性が低下し非常に脆くなるため、衝撃を受けた際に発生する炭素繊維層と樹脂層の剥離やクラック(亀裂)など、CFRPの損傷が問題となっていた。加えて、流動性が高く、成形が困難な場合があった。

 そこで、同社が培ってきた技術をもとに樹脂組成を適正化。ガラス転移温度が280℃以上、衝撃後圧縮強度が220MPa以上と、これまで世界的に難しいとされてきた高次元での耐熱性と耐衝撃性の両立を実現した。また、線膨張係数が小さく、低温・高温のいずれの状態でも優れた寸法安定性を維持・発揮できる。さらに、樹脂粘度を調整することでレジンフロー(成形工程での加圧によりプリプレグ中の樹脂が流れ出す現象)を適度に制御し、BMI系樹脂を使用した従来のプリプレグに比べて成形性を向上させるとともに、硬化処理に要する成形時間の短縮にも成功した。

 同社は、未来の最新鋭航空機に求められる技術として、炭素繊維原糸から織物基材、熱可塑性樹脂を使用した中間材料などの用途開発やラインアップ拡充と、これらを活用した市場展開を強力に推進している。今回の新開発品・熱硬化性プリプレグを加え、さらには先月に買収を発表した、航空機向け耐熱複合材料事業を展開する米国レネゲード社のノウハウを活用し、航空機のエンジン部品など、高温下での用途に向けたグローバル展開を加速していく考え。

 今後もマーケットリーダーとして、川上から川下までのソリューション提案力をいっそう強化し、2030年近傍までに航空機用途で年間9億ドル超の売上を目指す。

 

帝人 「インターテキスタイル上海」に独自の素材などを出展

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2019年3月5日

 帝人は4日、中国でテキスタイルの製造・販売を担うグループ会社・南通帝人(江蘇省)が、世界最大のアパレル向け国際テキスタイル専門見本市に出展する(ブース番号:8‐1H‐C68号)と発表した。同展示会は、3月12~14日に上海の国家会展中心で開催される「インターテキスタイル上海 アパレルファブリックス―スプリングエディション2019」。

 南通帝人は今回の出展により、継続的なフォローと提案で既存顧客との関係を強化し、中国市場での新規顧客の開拓やグローバル市場をターゲットとした新たな商圏構築を図る。さらに、スポーツウェア用途からファッションウェア用途まで、幅広い分野でビジネス拡大を目指す。

 展示点数は、素材が約100点、製品が約40点。ファッション・カジュアルウェアや、スポーツウェア向けを中心とした独自素材を提案するとともに、拡大するアウトドア市場に対応する「マイクロフト」ラミネートなどの機能性に優れた後加工素材を積極的にアピールする。また、構成成分の一部が植物由来で、ソフトな肌触りと快適なストレッチ性が特長のポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」など、環境配慮素材も重点的に提案していく。

帝人 米社を買収し航空・宇宙用途で炭素繊維事業を拡大

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2019年2月28日

 帝人は27日、航空・宇宙用途向けに高耐熱熱硬化プリプレグを製造・販売する米国のレネゲード社(オハイオ州)の全株式を、今年4月をめどに取得し完全子会社化すると発表した。プリプレグとは、炭素繊維シートに樹脂を染み込ませたもの。

 今回の買収により、エンジン部材などへの適応が可能な、未来の最新鋭航空機に向けたラインアップとなる高耐熱性プリプレグを獲得でき、これまで以上に幅広い潜在ニーズへの対応が図れるようになる。同時に、同社が蓄積してきた炭素繊維や中間材料のノウハウや評価設備、販売チャネルなどを活用することで、レネゲード社製品のより幅広い展開が可能となり、航空・宇宙用途向け炭素繊維事業のグローバル展開をよりいっそう強化していく。これらの施策を通じ、2030年近傍までに同用途で年間9億ドル超の売上を目指す。

 レネゲード社は、1993年創立の樹脂メーカーを母体とし、2007年に設立された航空・宇宙用途向け高耐熱熱硬化プリプレグメーカーで、耐熱性樹脂には高いノウハウをもつ。特に、技術的に難しいとされる低毒性原料を用いたポリイミド樹脂による、高耐熱性と熱サイクル耐性に優れるプリプレグの製造が特徴。欧米をはじめとする航空機メーカーや航空機エンジン関連メーカーなどから高い信頼と採用実績を得ている。

 一方、帝人グループは炭素繊維事業では、特に航空機分野に注力しており、炭素繊維原糸からCFRP(炭素繊維複合材料)に至るまでのラインアップを拡充し、用途開発を強力に推進する。先ごろは、米国・ボーイング社の一次構造材向けに認定された熱可塑性プリプレグなど、将来の最新鋭機に向けた、新たな中間材料や工法の開発に積極的に取り組んでいる。

帝人 高機能素材や技術で安全な社会構築に貢献

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2019年2月27日

 帝人グループは重点領域の一つとして「安心・安全・防災ソリューション」を掲げている。昨年の西日本豪雨や北海道胆振東部地震などの災害が記憶に新しい中で、東日本大震災の発生日である3月11日を前に、災害時の安全確保に貢献する同社グループの製品・サービスを、プレスに紹介する説明会を22日に開催した。

帝人の防災関連製品
帝人の防災関連製品

 製品・サービスは大きく「災害への備え」と「災害発生時の安心・安全確保」に分けられる。「災害への備え」では、超軽量天井材「かるてん」、防煙垂れ壁「かるかべ」、火山噴石対策用アラミド繊維織物、新防災素材「プルシェルター」、河川増水危険警告灯、透水セル、制菌難燃素材毛布「もうたんか」など、「災害発生時の安心・安全確保」については、メタ系アラミド繊維使用の防護衣料、緊急連絡/安否確認システム「エマージェンシーコール」などを紹介した。

 このうち「かるてん」は、帝人フロンティアのポリエステル製タテ型不織布「V‐Lap」を基材としていることから、従来の天井材に比べて柔らかく、重さが約10分の1と軽いのが特徴。このため、万一、天井が落下しても、被害を最小限に抑えることができる。吸音性能や断熱性能に優れ、建築基準法で定められた不燃材料の規定にも適合しており、徳島空港をはじめとする空港やショッピングモールなどで採用されている。

 「かるかべ」は火災時に煙の流動を防ぐ不燃シート性の防煙垂れ壁。従来のガラス製と同等の透明性を持ちながら、重量は約10分の1と軽く、割れにくい。熊本地震の際、ガラス製の防煙垂れ幕が落下して

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帝人 急性期脳梗塞の新治療薬を目指し臨床試験を開始

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2019年2月7日

 帝人は6日、ヒト(同種)歯髄由来幹細胞(DPC)を用いた再生医療等製品「JTR‐161」が、第1例目となる被験者に投与されたと発表した。同治験製品は、JCRファーマ(兵庫県芦屋市)と共同開発を進めているもので、このたび急性期脳梗塞患者を対象とした国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験で被験者の組み入れが開始された。今回の試験は、静脈内投与した際の安全性と有効性を、探索的に検討することを目的としている。

 帝人グループでヘルスケア事業を展開する帝人ファーマが治験依頼者として実施し、試験に用いる治験製品はJCRファーマが製造を行う。「JTR‐161」は、人の抜歯体から単離したDPCを原材料とする再生医療等製品。抜歯体を利用するため、骨髄などに比べて細胞採取時の侵襲性が低く、国内で細胞ソースを調達できるのが特徴となっている。

 また、ヒト(同種)歯髄由来幹細胞は、体内に投与しても拒絶反応が起こりにくいとされており、同治験製品は、免疫調整因子産生による炎症抑制や、栄養因子産生による臓器保護・再生促進などの効果が期待されている。

 帝人とJCRファーマは、2017年7月に、日本国内でのDPCを用いた急性期脳梗塞を適応症とする同治験製品の共同開発契約と実施許諾契約を締結し、研究開発を進めてきた。両社は、「JTR‐161」が急性期脳梗塞の新たな治療選択肢となることを期待し、患者のQOL向上を目指すために同製品の一日も早い上市に向けて連携強化を図っていく。

帝人の4-12月期 増収も原料上昇などで営業減益

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2019年2月5日

 帝人が4日に発表した2019年3月期第3四半期の連結決算は、売上高が前年同期比7%増の6597億円、営業利益は同15%減の481億円、経常利益は同10%減の513億円、純利益は特別利益の計上が寄与し、同3%増の408億円となった。

 マテリアル領域では販売が堅調に推移した一方、原料価格上昇や、複合成形材料事業の新規受注に伴うプロジェクト立ち上げ費用増の影響により増収減益。ヘルスケア領域でも薬価・診療報酬改定の影響を販売増でカバーしたものの、前年同期の新規アルツハイマー病治療薬候補化合物の導出対価(30億円) がなくなった影響で、増収減益となった。

 マテリアル領域の売上高は同417億円増の4987億円、営業利益は同69億円減の173億円。マテリアル事業では、パラアラミド繊維「トワロン」の光ファイバー用途の販売などが堅調。炭素繊維分野では「テナックス」の航空機用途やコンパウンド用途での販売が堅調。樹脂分野は急速な市況価格の下落が利益を押し下げた。

 繊維・製品事業は衣料機能性素材などの販売が好調。複合成形材料事業ほかでは、北米での自動車向け部品の販売が好調だった。いずれの事業も原料価格上昇の影響を受けた。ヘルスケア領域の売上高は同13億円増の1201億円、営業利益は同8億円減の313億円だった。

 通期の連結業績予想については、繊維・製品事業と電池部材分野のセパレータの販売量が、前回見通しに対し未達となることから、第2四半期業績発表時点で修正した予想を下方修正した。売上高は前期比7%増の8900億円、営業利益は同14%減の600億円、経常利益は同9%減の620億円、純利益は同1%増の460億円を見込んでいる。