日本触媒など 紙より薄い光源を長寿命化、電子注入技術開発

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2019年9月18日

 日本触媒は17日、NHKと共同で「紙より薄いフィルム光源(「iOLED」フィルム光源)」をさらに長寿命化させる新しい電子注入 (電極から発光などを担う有機材料に電子を入れること)技術を開発したと発表した。

発光するiOLED
発光するiOLED

 紙より薄く、柔軟性の高いiOLEDフィルム光源は、NHKと共同で開発している大気中の酸素や水分に強く安定性の高い有機ELの材料と素子技術(iOLED技術)により実現している。しかしながら、さらなる長寿命化には、一定の酸素や水分の存在下で高効率な電子注入を長期間維持することが課題だった。

 今回、2種類の有機材料間の水素結合を利用した新規有機EL用電子注入技術の開発により、課題を克服。これにより、iOLEDフィルム光源は、素子寿命と大気安定性を従来よりも高水準で両立できるようになり、使用用途の拡大が期待される。

 一般に電子輸送層の電子注入機能付与のために用いられるアルカリ金属は、高い電子注入性を示す一方、大気安定性に乏しく、有機ELの劣化の主要因だった。今回、アルカリ金属の代わりに有機塩基性材料を添加した、分極型の有機EL用材料を開発した。

 この材料は高い大気安定性と分極による高い電子注入性を示すため、酸素や水分を透過しやすいフィルム上に有機ELを形成しても、高い電子注入が長期間維持される。さらに、有機塩基性材料の添加により水素結合が形成され、これにより生じる分極が、電子注入に重要な役割を果たしていることを世界で初めて確認した。

 今後、同技術をiOLEDフィルム光源に適応することで、発光色の精密な制御や長寿命かつ極薄膜素子の実現などiOLEDフィルム光源の高機能化はもちろん、プロセスの簡略化による低コスト化も期待できる。

 同社は、このiOLEDフィルム光源をもって、世界を明るく照らしていくとともに、今後も独創的で優れた技術を開発・企業化し、企業理念「テクノアメニティ、私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」の実現に注力していく考えだ。なお、iOLEDフィルム光源は、パシフィコ横浜で開催されるケミカルマテリアル Japan 2019(9月18~19日)で同社ブースにて、展示する。

日本触媒 バイオベンチャーと業務提携、増資を引き受け

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2019年9月11日

 日本触媒は10日、TAK‐Circulatorと、TAK‐Circulatorが開発したステロイド抵抗性難治重症喘息を対象とした核酸医薬品「TAKC‐02(開発コード)」(Gapmer型アンチセンス核酸)について、共同商業化契約を締結したと発表した。

 同剤は好中球や好酸球の遊走・浸潤に関与する生理活性物質を制御し、気道炎症を抑制することが期待されており、特に好中球性の重症喘息薬としては初めての薬剤となる。また、これを機にTAK‐Circulatorの第3者割当増資を引き受けることで合意、出資を完了した。

 TAK‐Circulatorは、東京大学保有の革新的な研究シーズを事業化し、皮膚細菌叢解析サービスであるマイクロバイオーム事業と、核酸医薬などの創薬事業を展開。TAK‐Circulatorの核酸医薬創薬開発を促進するため、日本触媒は2016年に出資し資本提携を行った。

 その後、両社は核酸医薬の開発・製造の面で業務提携を実施するため協議を推進。TAK‐Circulatorで開発候補品「TAKC‐02」が創出された後、前臨床試験の準備が進み、日本触媒では受託製造環境整備が進んだことで、今回、共同商業化契約の締結と出資拡大に至った。

 今回の業務提携では、主にTAK‐Circulatorが非臨床試験・臨床試験の実施や承認申請を担い、日本触媒は治験薬製造と各臨床試験、承認申請を支援することで、共同で「TAKC‐02」の早期商業化を目指す。

 GMP(適正製造規範)原薬の製造は、日本触媒が今年7月に竣工式を行った中分子原薬合成施設で行う計画で、2020年からGMPでの製造を本格的に開始する。日本触媒は、今回の提携を通じて核酸医薬品の開発を推進することにより社会への貢献を目指すとともに、健康・医療事業の発展に取り組んでいく考えだ。

日本触媒の4-6月期 市況とスプレッド悪化で減収減益

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2019年8月5日

 日本触媒は2日、2019年4-6月期の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比10%減の770億円、営業利益55%減の369億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益54%減の33億円となった。製品海外市況下落に伴い販売価格が低下したことや、販売数量の減少、スプレッドが縮小したことで減収減益となった。

 セグメント別にみると、基礎化学品事業は、売上収益9%減の324億円、営業利益43%減の23億円。アクリル酸及びアクリル酸エステル、酸化エチレンは、販売数量が減少し、原料価格や製品海外市況下落に伴い販売価格が低下した。エチレングリコールは、販売数量は増加したが販売価格が低下。セカンダリーアルコールエトキシレートは、販売数量が減少した。

 機能性化学品事業は、売上収益10%減の420億円、営業利益73%減の11億円。高吸水性樹脂と特殊エステルは、販売数量が減少したことや、原料価格下落に伴い販売価格が低下した。コンクリート混和剤用ポリマー、電子情報材料及び無水マレイン酸は販売数量が減少。洗剤原料などの水溶性ポリマー、ヨウ素化合物、エチレンイミン誘導品及び塗料用樹脂は、販売数量が増加した。

 環境・触媒事業は、売上収益1%減の26億円、営業利益1億円増の9000万円(前年度は損失)となった。自動車触媒及び脱硝触媒は販売数量が減少したが、プロセス触媒、燃料電池材料及びリチウム電池材料は、販売数量が増加した。

 なお、通期業績予想については、7月31日に修正を発表している。

 

日本触媒 人事(8月1日)

2019年7月24日

[日本触媒・人事](8月1日)▽解兼総務部法務グループリーダー兼健康・医療事業開発室企画グループ主席部員、総務部ゼネラルカウンセル(東京)畑真佐己。

日本触媒 インドネシアでアクリル酸設備の起工式を開催

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2019年7月16日

 日本触媒は12日、インドネシア子会社NIPPON SHOKUBAI INDONESIA(NSI)が、同社敷地内(インドネシア・チレゴン市)にて、アクリル酸(AA)の年産10万t設備建設の起工式を7月11日に行ったと発表した。

 今回の投資額は約2億ドルで、2021年3月末の完工、同年11月の商業運転開始を予定。増設後のNSIは、既存能力14万tと合わせ24万t体制となる。

 同社のコア事業の1つであるAAは、高吸水性樹脂(SAP)や、アクリル酸エステル(AES)などの原料として堅調に需要が伸びていくことが見込まれている。特に近年、アジア圏でのAA需給バランスは非常にタイトであり、この需要に対応し供給責任を果たすため、昨年10月にNSIでの増設を決定していた。

 今回の増設が完成すれば、同社グループ全体のAA生産能力は足元の88万tから98万tに拡大する。同社は、安定供給体制のより一層の強化を推進していく考えだ。

日本触媒 フィルム光源開発で有機EL討論会の「業績賞」受賞

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2019年6月17日

 日本触媒は14日、大気安定な逆構造有機EL素子の開発について、有機EL討論会より「第12回業績賞」を受賞したと発表した。同賞は、有機ELに関連する科学技術の発展への顕著な功績に対して贈られる。

 同社は、フレキシブル有機ELの長年の課題であった、大気中の酸素や水分による素子の劣化を克服。具体的には、水・酸素に安定な材料の開発と素子構成の反転により、長時間安定駆動可能なフレキシブル有機ELの実現に成功したことが高く評価され、受賞となった。

 水・酸素に強い当該有機ELは、保護・バリア層を簡略化できるため、デバイスを紙よりも薄くすることが可能。同社ではその薄さを大きな強みと捉え、開発品名「iOLEDフィルム光源」として上市に向けた検討を進めている。

 同開発品は、0.07mmという業界最高クラスの薄さを実現し、フレキシビリティに優れ、さまざまな曲面に沿う特徴がある。例えば、肌に直接貼る、棒状のものに巻きつけるなど、これまで適用の難しかった場所・場面での活用が可能だ。

 同社は、このフレキシブル有機ELデバイスの技術をもって、フィルム光源の新たな価値・市場を創出していくとともに、今後も独創的で優れた技術を開発・企業化し、グループ企業理念「TechnoAmenity~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」を実現していく考えだ。

 

日本触媒と三洋化成 経営統合に向けて基本合意書を締結

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2019年5月31日

 日本触媒と三洋化成工業は29日、両社の経営統合に向けて検討を進める基本合意書を締結したと発表した。

 同日、大阪において両社の社長が出席し記者会見を開催。三洋化成の安藤孝夫社長は「化学業界を取り巻く環境は厳しさを増している。両社は

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日本触媒 人事(6月1日)

2019年5月29日

[日本触媒・人事](6月1日)▽解兼川崎製造所生産管理センター主席部員、ERP推進プロジェクトリーダー鈴木聡▽環境安全統括部主席部員西村武▽姫路製造所HMI推進室長澁澤文生。