旭化成の4-12月期 マテリアルの改善が顕著

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2021年2月10日

半導体工場火災で特損計上、純利益は下方修正に

柴田豊副社長

 旭化成は9日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比3%減の1兆5367億円、営業利益8%減の1295億円、経常利益9%減の1323億円、純利益23%減の800億円となった。同日開催されたオンライン会見の中で、柴田豊取締役兼副社長執行役員は、「10-12月は前年同期比で増収増益となった。マテリアルセグメントで自動車関連の市場や石化製品市況が回復し、住宅セグメント、ヘルスケアセグメントも上期から好調さを維持した」としたが、

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旭化成 インフラメンテナンス大賞、経産省の優秀賞に

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2021年2月9日

 旭化成はこのほど、「第4回インフラメンテナンス大賞」において、経済産業省「優秀賞」を受賞したと発表した。なお同大賞は、2016年より、国土交通省をはじめ6つの省が、日本国内のインフラメンテナンスに関わる優れた取り組みや技術開発を表彰しており、今回から経済産業省も実施している。

インフラメンテナンス大賞 保温材剥離後の配管例
保温材剥離後の配管例

 同社が受賞したテーマは「化学会社各社の設備データ共有化とそれを基にした保湿材下腐食の発生予測モデル開発」。長期使用している化学プラントでは、保湿材で覆われた鋼製の化学装置の外面から腐食(CUI)が発生する。それによる事故抑制が各社の共通の重要な課題だが、腐食発生を精度良く予測できれば、検査の合理化や設備の信頼性が向上できる。

インフラメンテナンス大賞 CUI検査用の蒸留塔の足場例
CUI検査用の蒸留塔の足場例

 同社は、この課題を解決するために、多くの化学会社から過去に実施したCUI検査などのデータを多量に収集・解析して、使用条件からこのCUI発生可能性を予測する方法を開発。また、その方法をWeb上で公開し、設備の管理に活用できることを実証した。これらの取り組みが評価され、今回の受賞に至った。

 同社は、今回の受賞を糧に引き続き業界他社と協力して、デジタル技術の活用により設備信頼性の維持・向上に尽力していく考えだ。

インフラメンテナンス大賞 CUI 発生予測モデルを開発
CUI 発生予測モデルを開発

旭化成 LIB用セパレータの中国特許侵害訴訟で勝訴

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2021年2月1日

 旭化成は29日、LIB用セパレータの中国特許侵害訴訟について、最高人民法院で最終判決が下され、同社の主張が全面的に認められたと発表した。

 旭化成は2018年、同社が保有するLIB用セパレータに関する中国特許権に基づき、セパレータ販売会社である旭冉電子(ダブル・スコープの中国販売代理店)などを共同被告として中級人民法院に提訴。被告が販売する「単層W‐scope」電池用セパレータ製品の中国での販売差し止めと損害賠償を求めた。

 昨年4月には旭化成の主張を認める一審判決が下ったが、旭冉電子などは判決を不服として最高人民法院へ上訴していた。同年12月2日に同法院で、旭化成の主張が全面的に認められ、販売差し止めおよび損害賠償の支払いを命じる最終判決が言い渡された。

 旭化成は今後も、知的財産を重視し、必要と判断した場合には具体的な措置を積極的に講じていく考えだ。

旭化成 延岡市と健康長寿のまちづくり開始、骨折を予防

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2021年1月27日

 旭化成は26日、創業の地である宮崎県延岡市で健康長寿社会の実現に向けた取り組みを今月末から開始すると発表した。延岡市が目指す「健康長寿のまちづくり」と旭化成グループが目指す地域社会での「サステナビリティの実現」という方針が一致し、共同で「骨粗鬆症による骨折の予防を目的とした健康長寿のまちづくり」に取り組んでいく。

まちぐるみで骨粗鬆症を見守る体制(延岡モデル)のイメージ
まちぐるみで骨粗鬆症を見守る体制(延岡モデル)のイメージ

 わが国では、骨粗鬆症の患者が約1280万人いると見られているが、骨粗鬆症は痛みなどの自覚症状がないことも多く、適切な予防や治療がなされないケースも少なくない。骨粗鬆症による骨折者数は、この20年間で患者数が約2倍に増加しており、高齢化に伴い今後も増加することが見込まれている。骨粗鬆症による骨折は患者本人や家族のQOLを低下させる要因にもなり、経済的な負担も少なくない。

 こうした中、同社の延岡支社と延岡市は昨年12月、骨粗鬆症による骨折予防を目的とする「自分の足で100年歩ける健康長寿のまちづくりに関する協定」を締結。その協定に基づき、骨疾患治療薬の開発・製造を手掛ける旭化成ファーマがもつ多くの知見や、旭化成のデータ解析などの技術を、高齢化が進む社会課題の解決手段として有効活用し、延岡市や研究機関(国立循環器病研究センター、宮崎大学、東京大学)の専門家との連携を通じて、地域の人々の健康長寿社会の実現に向けて取り組む。

 期間は、今月末~2026年末の6年間を予定。内容は2年ごとに、第1期:現状把握のための調査と課題解決の仮説を策定、第2期:地域を限定した実地での試行と課題検証、第3期:延岡市全域で事業として施行し成果の確認と事業継続性などの最終評価を実施、の3期に分けて段階的に実行する。

 この取り組みによって、延岡市では、「まちぐるみで骨粗鬆症を見守る体制(予防、早期発見・治療)(延岡モデル)」を実現することで、広く市民のQOLが維持されるとともに、地域の医療費、介護費の抑制を目指す。また旭化成は、将来的に同モデルを他の地域へ広げるとともに、応用可能な他の疾患への展開も検討していく。

 

旭化成 人事(1日)

2021年1月25日

[旭化成・人事](1日)▽製造統括本部水島製造所セオラス臨時建設部長栄秀司(2月1日)▽同本部鈴鹿製造所環境安全部長武田晴典▽生産技術本部環境安全室安川敦【旭化成エレクトロニクス】▽F2プロジェクト長、取締役兼常務執行役員寺田正人▽企画管理部購買物流室長、執行役員兼企画管理部長川田泉▽F2プロジェクト前工程生産推進部長今井啓二【旭化成カラーテック】▽社長永島祐介▽退任(同)矢内謙仕【旭化成ゾールメディカル】▽代表取締役田中孝之▽退任(同)坂野誠治。

 

旭化成 組織改正(1日)

2021年1月25日

[旭化成/組織改正](1日)▽製造統括本部の水島製造所において、セオラス臨時建設部を新設する【旭化成エレクトロニクス】(2月1日)▽F2プロジェクトを新設する▽新設するF2プロジェクトにおいて、前工程生産推進部を新設する。

 

旭化成 ポリエチレン全製品を15円/kg以上値上げ

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2021年1月21日

 旭化成は20日、ポリエチレン(PE)全製品を2月1日出荷分から値上げすると発表した。対象製品は、「サンテック‐LD」「サンテック‐HD」「サンテック‐EVA」「クレオレックス」で、改定幅は「15円/kg以上」となっている。

 原油・ナフサ価格の上昇により、1―3月期以降はさらなるコスト上昇が予想される。厳しい経営環境の下、同社はこれまで徹底したコストダウンに取り組んできたが、これらのコスト上昇分を吸収することは極めて困難であることから、値上げをせざるを得ないと判断した。

旭化成 変性PPE樹脂を値上げ、採算是正を図る

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2021年1月18日

 旭化成は15日、変性PPE樹脂「ザイロン」の全品種を今月20日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は、国内「50円/kg」、海外「500USドル/t」。

 主要産業での需要が急回復する中、原料価格が高騰していること加え、事業継続に必要な用役コスト、物流コストも急激に上昇している。同社は、可能な限りのコスト削減努力を継続しているが、これらのコスト上昇分は自助努力で吸収できる範囲を超えており、事業継続のためには価格改定が不可避と判断した。

旭化成 水島に結晶セルロース工場、2拠点化で事業拡大

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2021年1月14日

 旭化成は13日、添加剤事業の強化拡大を図るため、水島製造所(岡山県倉敷市)内に結晶セルロース「セオラス」の第2工場を建設すると発表した。投資金額は約130億円。今年9月に着工し、2023年春の竣工を予定している。

 同社は、医薬品などで主に錠剤の賦形剤として利用される「セオラス」を、宮崎県延岡市で1970年から製造し国内外に販売している。主用途である医薬品錠剤向け需要は、今後も堅調に推移することが想定され、将来的な供給能力の拡充を検討してきた。

 中でも、成形性に特化した「KGグレード」と成形性と流動性を両立させた「UFグレード」の高機能グレードは、飲みやすい錠剤の設計、錠剤の小型化、複数薬物の合剤化、錠剤生産性の向上といった効果を発現することから国内外で高い評価を獲得。需要も大きく伸長しており、特に供給力の強化が求められている。さらに、顧客の原料調達リスクを軽減するため、生産拠点の複数化による安定供給力向上の要望も高まっている。

 こうした中、同社は、これらの供給力強化ニーズを充足することを目的に、大幅な生産能力増強となる今回の設備投資を水島製造所内で実施することを決定した。なお、今回の投資案件は、同社が2014年に石油化学事業の構造改革を行って以降、水島製造所での初めての工場建設プロジェクトとなる。

 同社は、今後も「セオラス」を国内外のより多くの顧客へ提供し、これまで錠剤にするのが難しかった医薬品の製造に貢献する。さらに機能を高めた製品を開発・市場投入し、製薬会社、患者の期待に応えていく考えだ。

セオラス「KGシリーズ」と「UFシリーズ」
セオラス「KGシリーズ」と「UFシリーズ」

 

《化学企業トップ年頭所感》旭化成 小堀秀毅社長

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2021年1月6日

  旭化成グループは創業以来、時代に合わせポートフォリオの転換を図り、変化する社会へ柔軟かつダイナミックに対応し、新たな価値を提供し続けた歴史をもつ。そして来年、当社はいよいよ創業100周年を迎える。この大きな節目を機に、未来のあるべき姿を皆さんと一緒に描き、その姿を実現するための施策を構築していくが、その重要な一歩となるのが2022年度から始まる次期中期経営計画だ。

 今年は、次期中計が良い形でスタートダッシュを切れるよう、今後の事業戦略構築のベースとなる3つの取り組みを強力に推進していく。

 まず、「サステナビリティ」の実現に向けた取り組みの実行だ。気候変動対策やカーボンニュートラルへの取り組みなど、環境・エネルギー分野への貢献がいっそう求められている。脱炭素社会や水素社会の実現に向けて、アルカリ水電解水素製造やCO2関連技術といった当社の強みを生かした上で、社外とのコネクトを今まで以上に強く推進し、挑戦し、新たな社会価値創造に向けて邁進していこう。また、レジリエントな住まいや健康・安全なくらし、人の命を守るという視点でサステナビリティを追求していこう。

 次に、DX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進化・加速だ。新型コロナの影響で世界ではデジタル化が急速に進んでいる。当社グループの強みである多様性を生かしてビジネスモデルを変革し、価値を創造していくためにDXの推進は必須だ。そのため、東京・田町に新しい実験室としてデジタル共創ラボ「CoCo-CAFE」を開設した。デジタル人財を集結させ、研究・開発、生産、販売、ビジネスモデル構築など各機能におけるDXの加速を目指す。今後はグループ横断組織の設置や2030年を見据えたDXビジョンを制定していく。

 最後に、「働きがい改革」の実行だ。生き生きと働ける環境づくりを通じて、皆さん一人ひとりが〝We want to work together(みんなと一緒に働きたい)〟という想いをもって、事業を通じた社会貢献の担い手であることを実感できる会社をつくっていく。実現に向けて制度やルール改革にも取り組んでいくので、皆さんも自らの目標を考え、達成に必要な専門性を身につけることを心がけてほしい。

 2021年のキーワードは〝変革〟だ。環境変化への危機感をもつと同時に、変化はビジネスのチャンス、業務改善のチャンスと捉えられる。これまでの延長ではなく、当社グループの良さを大切にしつつも、一人ひとりの成長と今後のグループの価値向上に向けて、大胆に挑戦し〝変革〟していこう。