旭化成 永原顧問が紫綬褒章に シクロヘキセンの技術開発 

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2020年5月7日

 旭化成は28日、「ナイロン原料用シクロヘキセン製造技術の開発」の業績が評価され、永原肇顧問が、令和2年春の「紫綬褒章」を受章することが決定したと発表した。紫綬褒章は「学術芸術上の発明改良創作に関し事績著明なる者」に対して授与される。

旭化成 永原肇顧問
永原顧問

 永原顧問が開発したナイロン原料用シクロヘキセンの製造方法は、従来法に対して、省資源、省エネルギー、廃棄物ゼロを実現し、より安全でCO2排出量約30%削減をもたらすプロセス。昨今、環境・エネルギーの視点から自動車軽量化ニーズなどによってナイロンの世界市場は拡大しているが、同製造プロセスは環境負荷軽減に大きく寄与し、今期の受賞はその業績が評価された。

 ナイロンの中間原料はシクロヘキサノールとシクロヘキサノンの混合物。この中間原料の従来の製造方法であるシクロヘキサンの空気酸化法は、当時は、「原料のうち約20%が要処理廃棄物となる」「爆発に対する安全上の配慮が必要である」などの問題点があり、化学工業界の懸案の1つだった。

 永原顧問は、これらの問題を克服するため、シクロヘキサノールの前駆体となるシクロヘキセンを得るために、ベンゼンの部分水素化という熱力学的に極めて困難な反応に取り組んだ。亜鉛化合物を助触媒とする新規なルテニウム粒子触媒を見出だすとともに、気相―油相―水相―固体の4相からなる特殊な反応場を用い、触媒・原料・生成物などの溶解・拡散・抽出を制御する技術を確立することで、この反応を成功に導き、工業化までを実現した。

 旭化成は、今後も自動車軽量化ニーズなどによってナイロンの世界市場が拡大している状況下で、ナイロン樹脂事業と繊維事業の拡大に貢献していく考えだ。

 

旭化成 人事(5月1日)

2020年4月24日

[旭化成・人事](5月1日)▽製造統括本部水島製造所モノマー製造第二部長清水秀之【スペシャルティソリューション事業本部】▽感光材事業部感光材営業部長梅園孝雄▽解兼同事業部同営業部長、同事業部長加藤昭博。

 

旭化成 組織改正(5月1日)

2020年4月24日

[旭化成/組織改正](5月1日)【パフォーマンスプロダクツ事業本部】▽パフォーマンスプロダクツ事業部の旭小津をベンベルグ事業部傘下に移管する。

 

旭化成 清酒の「におい」で品質管理、ICT活用を検証

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2020年4月22日

 旭化成は21日、清酒の「におい」データからアルコール度数を推定・可視化する実証実験を行うと発表した。清酒の製造販売を行う吉乃川(新潟県長岡市)、物質・材料研究機構(NIMS:茨城県つくば市)、NTT東日本・新潟支店(新潟県新潟市)が参画し、来月下旬をめどに実施。清酒製造時の「におい」をデータ化し、ICT(情報通信技術)を活用したデータ分析により、清酒事業者の業務低減や清酒の品質向上に取り組んでいく考えだ。

タンク上部に設置した「におい」センサー
タンク上部に設置した「におい」センサー

 第1弾となる今回の実証実験は、清酒を発酵させるタンクの上部に「におい」センサーを取り付け、24時間タンク内の「におい」を収集し、データ化。そのデータを分析することでアルコール度数を推定し、可視化する。

 「におい」データの状況とアルコール度数は、通信ネットワークを介して遠隔地でも確認できるようにし、作業効率化と品質の安定化を図っていく。測定時に蓋の開け閉めや、計測のための抽出作業を行う必要がないため、衛生環境を維持できる特長がある。加えて、取得した「におい」データから、アルコール度数以外の各種成分の含有状況や発酵時の「におい」の変化などを分析することで、清酒の発酵具合や品質のモニタリング、その他「におい」データから得られる価値を検証する取り組みも、併せて実施する。

 吉乃川では高品質な清酒を製造するため、発酵過程での温度やアルコール度数などの各種主要成分の計測や、経験者らが「におい」で発酵の進行具合を確認するなど、日々の発酵状態を細かく把握・分析しているが、それらの工程を、効率的かつ衛生的に行うための方法を模索していた。

 一方で、旭化成とNIMSは、「におい」をデータ化するMSS(膜型表面応力センサー)を用いた嗅覚IoTセンサーを開発し、社会実装に向けた多種多様な環境下での有効性の実証実験を推進。NTT東日本は、地域の様々な企業や団体に対して、ICTを活用した課題解決を行っている。

 こうした中、各社が連携を図り、「におい」データに含まれる様々な情報を分析し、「におい」データの意味や価値、今後活用できる業務などを共同で検証していく。データから清酒に含まれる特定物質の検出や、香味の高低や強弱の把握を行い、AIやIoTなどを活用して「におい」をよりきめ細やかに把握することで、味わい深く香味豊かな清酒の製造を目指していく。

旭化成 世界で初めて冷却ストッキングのメカニズム解明

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2020年4月15日

 旭化成はこのほど、着用により冷却効果を得られるストッキング(冷却ストッキング)のメカニズムを、世界で初めて数値流体力学(CFD)と表面形態の連成解析により定量的に解明したと発表した。

ストッキングTOP
a)素足の状態で、上が歩行前、下が歩行後。b)冷却ストッキングを着用した状態で、上が歩行前、下が歩行後。

 同社生産技術本部の生産技術センターCAE技術部が解析によるシミュレーションを行い、結果は同パフォーマンスプロダクツ事業本部の繊維技術開発総部商品科学研究所で実験・検証。なお今回の結果は、「Nature」出版グループの学術誌「Scientific Reports」に掲載されている。

 一般的にストッキングは足を温めるために履くが、通常の繊維材料は断熱性があり、体熱が放散するのを防ぐ。一方、特殊構造を持ったニットストッキングの着用で、一定の冷却効果を得られることも分かっていた。

 例えば冷却ストッキングの冷却機能は、感覚として冷たいと感じる(接触冷感)既製品とは異なり、着用により体表面を物理的に冷やすという効果を発現する。その効果は、かねてよりサーマルマネキンを用いた放熱実験によって確認されていたが、体表面を物理的に冷却するメカニズムについてはこれまで不明だった。

 この現象を解明するために、CFDで解析する流体/固体熱連成解析で冷却ストッキング表面に形成される突起構造(リブ)を定量的に数値モデル化し、リブ表面(ストッキング表面の周期的なマイクロメートルスケールの突起物構造)の自然対流を分析。

旭化成 ストッキング
一般的なストッキングのニット構造イメージ(上)と冷却ストッキングのニット構造イメージ(下)。

 その結果、冷却効果を発現するのは、マイクロメートルスケールのリブであることが判明した。一般的に衣服を着用すると保温効果が発現するが、このマイクロメートルスケールのリブは、リブからの放熱が自然対流によって促進され、冷却効果が発現される。

 今回の解析手法による解明は、工業的、学術的にも有用な成果であり、このメカニズムの解明によって、繊維や生地の構造により繊維製品に冷却機能を付与できることが明らかになった。今後、ますます温暖化が進む環境下で、快適な生活を提供できる繊維製品の開発などの進展が期待される。

 旭化成は、今後も繊維のテクノロジーをはじめ、同社がこれまで培ってきた技術とCAE(Computer Aided Engineering)技術の融合による新しい付加価値の提供に努め、「世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟」に貢献してく考えだ。

旭化成 福島で世界最大規模の水素供給運転を開始

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2020年4月6日

 旭化成と旭化成エンジニアリングは3日、福島県双葉郡浪江町に展開する、10メガワット級の大型アルカリ水電解システムを立ち上げ、水素の供給運転を開始したと発表した。

 同水電解システムは、東芝エネルギーシステムズ(神奈川県川崎市)より2017年に旭化成エンジニアリングが受注し、NEDOの技術開発事業として今年3月7日に開所した「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」に設置された。

 同水電解システムは、1スタックサイズとして世界最大の規模を持ち、毎時1200N?(定格運転時)の水素を製造供給することができる。

 昨年11月に同水電解システムを立ち上げた後、各種試験を実施。その結果、要求水準を満たす水素品質を確認できたことから、今年3月より水素供給運転を開始している。水素供給と並行して入力電力変動への応答特性などを評価した後、7月をめどにFH2Rの中核設備として本格運転が開始される予定。

 同社は、独自技術によるアルカリ水電解システム「Aqualyzer」の実用化を通じ、「クリーンな環境エネルギー社会」の実現を目指し、世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献していく考えだ。

【1万号突破記念・国際化特集】旭化成 代表取締役社長 小堀秀毅氏

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2020年4月3日

働き甲斐が企業の成長エンジン、育成と確保が人財形成の要

━ 昨年の景況感と、今後の世界経済の見通しについて。

 旭化成 小堀社長 小堀 2018年までのグローバル化の流れに対し、2019年は大きな節目の年であったと感じている。特に先端技術を巡る米中のデカップリングが単なる貿易の不均衡に留まらず、安全保障を含めた先端技術の覇権争いの様相を呈してきた。その長期化に伴い、世界経済は世界的な金融緩和による緩やかな拡大基調から、かなり減速するだろうとの予測はあった。

 しかし、今回の新型コロナウイルスに関連する一連の影響により、これが単なる減速で終わるのか、それとも景気後退の引き金となるのかは不透明なところだ。欧州や米国の状況が深刻化してくれば、大きなインパクトになり得る懸念はある。

━ 中国での新型コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーンへの影響は

 小堀 1月後半から2月中旬にかけて工場の多くが操業を停止したが、中国政府も2月の中旬以降は、人の移動なども少しずつ認め始めたこともあり、

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【化学企業 入社式訓示①】旭化成 小堀秀毅社長

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2020年4月2日

 新入社員の皆さん、入社おめでとう。入社にあたり、皆さんに3つの話をしたい。

 1つ目は、旭化成の歴史を学び理解することだ。旭化成は1922年に創業し、2022年に100周年を迎える。創業以来、時代の変化や要請に柔軟に対応し、事業ポートフォリオを変革することで成長してきた。

 現中期経営計画では、当社の特徴である「多様性」「変革力」を生かしながら、「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値の向上」を図り、サステナブルな企業となることを目指している。研修期間中、旭化成の歴史や事業について学び、当社の製品の強みと競争力とは何かをぜひ考えてもらいたい。

 2つ目はグループ理念、グループビジョン、グループバリューを心に深く刻み込むことだ。当社ではかねてより「世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献します。」というグループ理念を掲げ、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して社会に新しい価値を提供することをビジョンと定めている。

 昨年ノーベル化学賞を受賞した名誉フェローの吉野彰さんが、リチウムイオン電池の開発によりモバイル社会の発展をもたらしたように、世界には新しいアイディアや技術で解決できる課題が多くある。

 当社グループの従業員が持つべき価値観(バリュー)を尊重し、誰に対しても「誠実」に向き合い、好奇心を持って果敢に「挑戦」し、新たな価値を「創造」することを強く意識してほしい。

 3つ目は、皆さんの将来への期待だ。近年企業を取り巻く環境は極めて速いスピードで大きく変化している。デジタル技術を推進・駆使し、新たな不連続なイノベーションを起こすことで、従来の延長線上にはない新たな成長領域を生み出す必要がある。その実現を担っていく皆さんは、仕事に対して主体的、自主的に取り組み、それぞれの分野で専門性の高いプロフェッショナルを目指してもらいたい。

 一人ひとりの成長が、旭化成の成長につながる。旭化成という場を通じて成長し、世界を舞台に活躍し、社会に貢献できる人になってもらいたい。一丸となり、旭化成グループが社会から信頼され、より多くの価値を提供できる素晴らしい会社となることを目指していこう。

 

旭化成 人事(4月1日)

2020年3月31日

[旭化成・人事](4月1日)▽研究・開発本部知的財産部リエゾンヘルスケアグループ長兼旭化成ファーマ医薬マーケティング本部知的財産部長亀ケ谷薫子。

 

旭化成 ゾール社がコロナ感染拡大で人工呼吸器を増産

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2020年3月26日

 旭化成は25日、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の世界的な感染拡大を受け、米国子会社のゾール社が人工呼吸器の増産を決定したと発表した。COVID‐19の世界規模の感染拡大により、医療機関では重症患者に必要な人工呼吸器が不足しており、ゾール社は、生産数を現在の約25倍に相当する月産1万台に増大させる。

 今回の増産決定に伴い、主に米国に拠点を置く部品メーカーに対しても部品の供給増を要請した。ゾール社の人工呼吸器は、最高クラスの性能を持つ内部フィルターシステムが装備されており、適切な医療体制の整っていない危険な環境下でも作業性が高く、患者のみならず医療従事者にとっても使いやすい製品となっている。

 また、同製品は細菌/ウイルスフィルターや薬液用フィルター、生物ろ過器、熱・水分交換フィルターの取り付けも可能だ。携帯性・耐久性・安全性・信頼性に優れ、過酷な環境でも使いやすいため、現在世界中の多くの医療機関などで使用されている。

 ゾール社は引き続き、人工呼吸器を必要とする医療機関などに、製品を速やかに届けられるよう尽力していく考えだ。