東洋スチレン ケミカルリサイクルの事業化に着手

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2020年4月15日

米社とライセンス契約、実証設備建設の検討開始

東洋スチレン PSケミカルリサイクル 大手ポリスチレン(PS)メーカーである東洋スチレン(出資比率:デンカ50%、日鉄ケミカル&マテリアル35%、ダイセル15%)は、地球温暖化や廃棄プラスチックといった環境問題への対応として、バイオPSやリサイクルに取り組んでいる。

  昨年にはバイオ化ニーズの高まりから、PSとポリ乳酸(PLA)をアロイ化した「トーヨーエネライツ」を上市。顧客から高い評価を得ており、引き合いが強まっている状況だ。

 一方、リサイクルではマテリアルリサイクル(MR)に注力。再生品は品質的な課題があるが、バージン品を組み合わせるなど品質向上に取り組んでいる。

 こうした中、昨年10月には環境対策推進室を創設。使用済みPSのケミカルリサイクル(CR)の事業化を検討してきたが、今回、CR事業実証を進めるため、米国アジリックス社(オレゴン州ポートランド)と技術ライセンス契約を締結した。

 PSは熱分解によりスチレンモノマー(SM)に戻る性質を持っているが、アジリックス社の熱分解技術は、PSを高収率でSMに変換することが可能。また、同社は使用済みPSの熱分解SM化設備を商業運転している唯一の存在であり、さらにイネオス社など複数の海外PS/SMメーカーとの連携・合弁事業を進行している。

 東洋スチレンは今後、アジリックス社からの技術導入を受け、親会社であるデンカ千葉工場(千葉県市原市)内に、使用済みPSの熱分解SM化実証設備(年間処理能力:約3000t)建設の具体的検討に着手し、2021年の操業開始を目指す方針だ。

 PSリサイクルのMRでは、使用済みPS食品容器を再び同じ用途(食品接触部)に使用することは品質安全上困難とされてきた。それに対し、使用済みPSをSM(熱分解SM)に戻す今回のCR方式であれば、その課題をクリアできる。

 熱分解SMを原料に使用したリフレッシュPSは、品質安全上も全く問題がなく用途に制限がない。また、ワンウェイ(使い捨て)仕様と比較すると、地球温暖化ガスであるCO2の排出量を、少なくとも半減させる効果も期待できる。この事業化計画を実現し、熱分解SMを使用したリフレッシュPSを製造販売できれば、CRによる真のサーキュラーエコノミー(循環型経済)への第一歩を踏み出せることになる。

 東洋スチレンは、アジリックス社から技術導入するCR設備により、先ずは製造時に発生するポストインダストリアル材料を中心(一部ポストコンシューマー材料含む)とした実証試験操業を行い、PSの優れたリサイクル性を広く一般に認知させる。そのうえで、政府、コンシューマー、関係団体、需要家などの関係先と協同でスケールアップを図り、将来の目標であるポストコンシューマー材料に対象を広げていく考えだ。

 

 

東洋スチレン 人事(1日)

2020年4月2日

[東洋スチレン・人事](1日)▽デンカ復職大勢元博▽出向技術本部研究所長兼開発部統括金子知弘▽同本部同部長友澤一樹▽日鉄ケミカル&マテリアル復職向井秀和▽技術本部君津工場長兼管理部長平島浩二▽同本部同工場副工場長兼製造部長兼研究所機能材研究室長野田鉄二▽同本部同工場設備部長兼保全課長石井和男。

東洋スチレン 組織改正(4月1日)

2020年4月1日

[東洋スチレン/組織改正](4月1日)【本社】▽開発関連および技術サービスの強化を目的として、開発部を営業本部から技術本部へ移管する【君津工場】▽ナチュラル品、コンパウンド品の製造を製造部として統合することとし、設備部、管理部の3部体制に再編し、各部の機能強化を進める。

ポリスチレン 原料高に対応した値上げ交渉が本格化

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2020年3月11日

需要はやや弱含み、新型ウイルス影響も懸念材料

 ポリスチレン(PS)メーカー3社の原燃料高に対応した値上げが出揃い、4月1日の実施に向けユーザーとの交渉が本格化している。改定幅は、 “ポリスチレン 原料高に対応した値上げ交渉が本格化” の続きを読む

東洋スチレン 4月1日からポリスチレン樹脂を値上げ

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2020年3月3日

 東洋スチレンは2日、ポリスチレン樹脂とポリスチレン難燃樹脂「トーヨースチロール」を、4月1日出荷分から値上げすることについて、需要家との交渉に入ったと発表した。値上げ幅は、GPグレード、HIグレード、難燃グレードとも「6円以上/kg」。

 昨今の緒原料の高騰により、主原料であるスチレンモノマー価格が上昇している。同社では引き続きコスト低減に取り組んでいるが、これらの価格上昇は自助努力を超えるものであり、安定供給と事業継続を図るためには、適正な価格体系の維持確立が不可欠であると判断し、価格改定の実施を決定した。

【バイオプラ特集・インタビュー】東洋スチレン

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2019年11月8日

常務執行役員技術本部長 和田福明氏 / 管理本部長  藤沢一秋氏

バイオポリスチレンで環境貢献、次世代製品にも注力

━プラスチックの資源化が課題となっています。

 和田 プラスチックは「割れなくて強い」という特長を生かして日常生活の中で役立ってきた。廃プラが海洋に流出することで、逆にその特長が海洋プラごみ問題を引き起こしてしまっている状況だ。

トーヨーエネライツBMの用途例
バイオポリスチレンの用途例

 化学業界では「海洋プラスチック問題対応協議会(JaIME)」が日化協を中心に設立されるなど取り組みが始まっており、その動向を注視している。これまで、プラスチックはワンウェイ(使い捨て)を前提とした事業フローとなっていた。

 しかし海洋プラごみ問題を契機に、プラスチックを循環可能なリサイクル資源にしていく気運が世界中で高まってきている。企業だけでなく一般消費者も、プラスチックを循環型社会の中で考えていく必要があるだろう。

━ポリスチレン(PS)はリサイクルが進んでいます。

 藤沢 PSの再生市場はモノがないくらい引き合いが強くなっており、顧客からの要望があっても、回収されたPSを確保することが難しい状況だ。回収しきれないPSをどうやってマテリアルリサイクル(MR)に組み込んでいくかが大きな課題となっている。

 和田 再生品は品質面で課題があるが、当社はバージン品と混ぜるなどの加工を行い、顧客はそれを用いた製品設計を進めるなど、用途開発が加速しているところだ。その一つの例としてコピー機のトナーカートリッジがあるが、回収品に不足分を加えることで再生品として成立している。

 同様に、テレビのバックカバーなど家電リサイクル法でシステムの整備が進んでいる分野もある。ただ、それ以外の分野で、樹脂メーカーとしてどれだけ責任を持って取り組めるかが長期的なテーマとなってくるだろう。

━そうした中、技術本部内に環境対策推進室を立ち上げました。

 藤沢 企業においても環境問題への対応が求められてきている。これまで、環境省や経済産業省など行政の動きを注視するなど情報収集を行ってきたが、10月1日に技術本部内に環境対策推進室を立ち上げた。

 PSケミカルリサイクル(CR)技術やバイオ製品の

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東洋スチレン 人事(10月1日)

2019年10月3日

[東洋スチレン・人事](10月1日)▽執行役員営業副本部長兼技術本部環境対策推進室室長樋口裕▽同本部同室部長藤田昌也▽同本部担当部長兼同室担当部長中里昌義▽営業本部開発部長友沢一樹。

東洋スチレン バイオマスプラを上市、CO2排出量を削減

2019年6月24日

 東洋スチレンは環境負荷低減型プラスチックとして「トーヨーエネライツ」を上市した。

 同製品はポリスチレンとポリ乳酸のアロイ樹脂で、ポリ乳酸を約30%含有し、カーボンニュートラルに貢献できるバイオマスプラスチック。耐油性・耐薬品性に優れ、電子レンジにも使用できる。非可食植物由来のポリ乳酸を使用し、CO2排出量を削減する。

 すでにバイオマスプラスチックの登録を取得しており、ポリオレフィン等衛生協議会のポジティブリストにも登録済みだ。射出用・シート用をそろえ、食品包装分野をはじめさまざまな用途分野に展開が可能。

 同社はこの樹脂の用途拡大により、環境問題対策に貢献していく。