産総研 接着接合部の接着強度分布の推定手法を開発

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2021年10月15日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、水や熱で強度低下した接着接合部の破断時における接着強度の分布を評価する手法を開発した。

 自動車や航空機などの輸送機器の軽量化には、異種材料を適材適所で組み合わせたマルチマテリアル構造が注目される。異種材料間の接合には工程温度が低く変形が少なく、剛性を確保できる構造用接着剤が有望だが、経時的な接合強度の低下が予測できず、適用は進んでいない。

 構造用接着剤は、主に化学反応で三次元高分子構造を形成・硬化し、材料同士を強固に接着する。しかし、長期的には水や熱などの影響で劣化し、接着強度が低下する。劣化の進行は一様ではなく、強度の低い部位が接着破断の起点になるため、最も弱くなった部位の特定が重要となる。今回、分子構造と接着強度に注目し、劣化した接着剤の赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)と引張試験による接着強度との相関性に基づく接着強度の推定手法を開発した。

 IRスペクトルは分子構造固有のパターンを示すため、経時劣化に伴う接着剤の分子構造の変化を明らかにできる。温水浸漬で劣化させた接着試験片を用いた試験で、IR測定による推定値と実測値とはよく一致したことから、この評価法の信頼性が確認できた。接着破断面の局所的IRスペクトル測定により、強度低下部位が特定できる。エポキシ接着剤破断面の接着強度の分布を推定したところ周囲の強度が低く、周辺部から水が侵入して強度低下が早く進行したことを示唆した。

 このように、強度低下部位の特定や破断原因を究明し、接着剤と接着接合部の改良につなげ、耐久性向上に関わる技術開発を加速することが期待される。

 今後は、別途開発した接着接合部の加速劣化試験と組み合わせて、接着接合部の耐久性の評価手法を確立する予定。接着接合の長期的な信頼性を向上させ、自動車などの輸送機器における構造部材の接合法としての実用化を図っていく。

産総研と日亜化学 全方向型標準LED光源の試作に成功

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2021年10月13日

 産業技術総合研究所(産総研)と日亜化学工業は、LEDを使用した全方向に可視波長全域の光を放射する標準光源の試作品を共同開発した。照明産業の持続的な発展への貢献と、照明光源の評価の高精度化が期待される。

 照明光源の明るさの指標である全光束は、標準光源との比較測定で決定される。標準光源には、主に白熱電球形の標準電球が使われるが、全方向光放射に適した形状のフィラメントやガラスバルブなどは熟練職人の手作りである上、LED照明の普及による白熱電球生産の縮小・停止の影響もあり、代替の標準光源が必要とされている。

 標準光源には光強度の安定性や再現性、可視波長全域をカバーするスペクトル、光を全方向に放射する配光性が求められるが、これら全てを高い次元で満足する代替光源はまだない。

 両者は産総研の「スペクトルの定量的精密測定・解析技術」と日亜化学工業の「高度なLED製造技術」を組み合わせ、可視波長全域の光を前面に放射する標準LEDを2016年に開発。そこで培われた光強度安定化技術とスペクトル最適設計技術に特殊な光学系を組み込むことで、可視波長全域の光を全方向に均等に放射する全方向形標準LEDの試作品の開発に成功した。

 複数のLED素子と蛍光体の組み合わせを最適化し、広い可視波長範囲と安定した光強度、十分な光量を得た。温度制御機構で発光部の温度を一定に保つことで、連続点灯、複数回繰り返し点滅、周囲の温度変化に対する光強度の変動は、既存の標準電球と同程度だ。また、光を後方に導くキャップ型の光学系を組み込み、標準電球のフィラメント形状に起因する細かな凸凹のない、滑らかで均等に全空間に広がる配光を得た。

 こうして全光束測定用の標準光源として理想的な配光特性を実現できた。市販の電球形LEDランプの全光束測定を想定し、それと同程度の大きさだ。今後は、全光束値と光源の大きさのバランスを見極めつつ、必要な全光束値を得るための点灯電流レベルに応じた放熱機構を最適化し、実用化を目指す。また全方向形標準LEDでの測定精度を上げるため、全光束や分光測定方法の高度化を進める考えだ。

産総研 中鎖トリグリセリドのケトン食で筋力低下を抑制

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2021年10月12日

 産業技術総合研究所(産総研)は、東京大学とみやぎヘルスイノベーション(宮城県仙台市)と、中鎖トリグリセリドを含むケトン食の摂取によりデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)モデルラットの病態が改善することを発見した。

 DMDはジストロフィン遺伝子の変異が原因の遺伝性筋疾患で、全身の筋力が次第に低下する進行性の難病。主な症状は運動機能の低下で、歩行機能の喪失や呼吸・心機能の障害が生活の質(QOL)や寿命に大きく影響する。日本の患者数は3000~4000人と推定され、平均寿命は30~40歳だ。

 薬物療法や遺伝子治療でも効果的な治療法は確立されていない中、最近、ケトン体が筋衛星細胞(幹細胞)の増殖を促進する可能性が報告。ケトン食は体内のケトン体濃度を上昇させ、筋の再生を促進する可能性があるが、古典的ケトン食は炭水化物やタンパク質の含量が少なく、低栄養性筋萎縮による筋力低下が懸念され、DMD患者の食事療法には適さないとされる。

 同研究グループは、体内のケトン体濃度を効率的に高めつつ、低栄養性筋萎縮を誘発しない食事療法の開発を目指し、中鎖トリグリセリドを含み炭水化物やタンパク質を多く含むケトン食を開発。ジストロフィン遺伝子に変異をもつDMDモデルラットに離乳時点から摂取させ3カ月、9カ月齢で筋力などを評価した。

 3カ月齢で筋萎縮と筋壊死が有意に抑制され、9カ月齢で筋線維化と筋力低下が抑制された。摘出した筋の組織学的調査でも、筋萎縮の抑制が確認された。筋萎縮抑制効果は、病態進行初期の筋壊死の抑制によるものと考えられる。また筋の再生をつかさどる筋衛星細胞の増殖の促進も3カ月齢で有意に高く、筋の壊死や線維化の抑制だけでなく、筋衛星細胞による再生促進による病態改善が確認された。

 この知見から、DMDの新たな治療法の開発や病態進行メカニズムの解明が進むと期待される。今後、ケトン食によるDMD治療効果のさらに詳細なメカニズムを明らかにするとともに、ヒトDMD患者に対するケトン食の有効性 について検証を進める予定だ。

 

NEDOなど 冷却過程のナノ構造形成メカニズムを解明

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2021年10月11日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、産業技術総合研究所(産総研)、九州大学と共同で人工知能(AI)と分子シミュレーションを組み合わせた世界初の解析技術を開発し、液晶がナノ構造化する際の新たな現象を発見した。

 プラスチックや合金、加工食品などの固形物の多くは、液状物から固形物へ冷却して加工。液晶や溶液、ポリマー、生体材料などは冷却プロセスで多彩な構造を形成し、機能や性能を左右する。冷却プロセスの理解は重要だが、ナノ構造や生成速度などの定量的説明はできていない。

 今回、「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」での計算・プロセス・計測の三位一体による有機・ポリマー系機能性材料開発の高速化への取り組みの一環で、新たな解析技術を開発。冷却前の分子構造の中から、冷却後の構造に似たナノ構造だけを精密に抜き出すことで、ナノ構造のサイズや生成のしやすさが解析できる。

 構造生成のきっかけとなるナノ構造、臨界核(CN)、より生成しやすくサイズの小さな2種類のナノ構造を発見。CNは3段階のプロセスを経て生成することが示唆された。ナノ構造サイズがCNを超えると構造生成が始まり超臨界核になるとされるため、超臨界核の数の時間的変化を観察。その生成は3段階に分かれ、段階を踏むごとに生成速度が上がることが分った。

 超臨界核に成長できずに分裂したCN(残留クラスター)数の変化を見ると、超臨界核の生成タイミングと一致する3つのピークがあったことから、超臨界核の生成は、CNではなく残留クラスターが中心となって起こることが分った。この解析技術は物質によらず、またナノ構造の生成プロセスだけでなく成長や構造パターンの形成を経た固形化まで適用できる。

 液晶のほか溶液やポリマー、生体材料などの精製プロセス、結晶化プロセスなどが高精度で観察でき、製品性能を左右する結晶の大きさや純度など材料の構造パターンを最適化する「コツ」をつかむことが可能になる。高機能材料創製のための材料性能向上や開発期間短縮につながることが期待される。

産総研 熱や光の刺激で自在に剥がせるプライマーを開発

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2021年10月8日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、接着力が強く、光や熱の刺激で容易に剥離できる解体性プライマーを開発した。化学結合の開裂を利用するため、刺激を加える前は基材・接着剤間の化学結合で接着力は強く、光や熱などの刺激で化学結合が切断し簡単にきれいに剥がれる。

 従来の光液化-固化型接着剤は、接着成分の形状や硬さの変化を利用するため、加熱や光照射に多くのエネルギーが必要な上、高い接着力と剥離性能の両立が困難であった。新しいプライマーは接着力が強く、わずかなエネルギーで剥離できる。

 アントラセンは特定波長の光を吸収して二量体となり、高温もしくは紫外光(波長300㎚以下)で開裂して元のアントラセンに戻る。今回、ガラス基板に化学的に吸着するアルコキシシリル基を導入したアントラセンに波長405㎚の光を照射し、光二量化させた。

 その溶液をガラス基板に塗布・乾燥して解体性プライマー層を形成。その表面に湿気硬化型接着剤で柔軟な樹脂フィルムを貼り合わせて剥離試験を行った。90度剥離強度はプライマー不塗布時の約2倍に増加し、ガラス基板表面には接着剤が残った。180℃で1分間加熱すると剥離強度は60%低下し、接着剤はガラス基板表面には残らずきれいに剥離した。

 また波長254㎚の光を1分間照射した場合、剥離強度は33%低下し、使った光照射エネルギーは30mJ/㎠で、光液化-固化型接着剤の場合の5%未満だ。剥離後のガラス基板表面にアントラセン単量体が確認されたことから、プライマーの分解により剥離が進行したことがわかった。

 この解体性プライマーにより異種素材の接着・解体ができるため、リサイクルやリユースの促進に有効だ。接着以外にも、インクの除去や、刺激に応じて摩擦力が変化する表面処理剤などへの応用が期待される。

 今後、プライマーの構成分子を検討し接着強度の向上を目指すとともに、刺激の種類と条件や適用可能な基板の種類を拡大させ、省エネルギーで汎用性の高い剥離技術として展開できるよう、研究開発を進めていく予定だ。

産総研とJARI モビリティ研究の連携・協力協定締結

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2021年10月7日

 産業技術総合研究所(産総研)と日本自動車研究所(JARI)はこのほど、モビリティ・サービス分野における連携・協力の推進に関する協定を締結したと発表した。

 若年者や高齢者など年齢に関わらず安心・安全で誰でも自由に移動でき、都市部や過疎地域といった地域性に依存することなく持続的に運用可能なモビリティ・サービスの創出と社会実装の促進を図る。これにより、過疎化に伴う地方公共交通機関の衰退、加齢に伴う移動の制限や不自由などの社会課題を解決し、誰でも楽しく移動できる社会の実現を目指す。

 歩行支援、パーソナルモビリティから公共交通機関まで幅広く多様なモビリティに必要な生体計測、安全評価、データ解析、データ連携などの要素技術の研究が対象となる。また、MaaSや3Dマップなどの基盤を構築し、交通量の多い都市部や交通インフラが不十分な過疎地域など、どのような地域でも対応可能なモビリティ・サービスに関する研究協力を行う。

 両者の産業界とのネットワークを相互活用し、技術やサービスの社会実装を促進していく考えだ。

 

産総研 ポータブルなエチレンセンサーの試作機を開発

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2021年10月5日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、物質・材料研究機構と共同で、植物ホルモンの1つであるエチレンを選択的に検出する試作機を開発した。

 ポータブルで、簡単な操作により、青果物(野菜や果物)の品質管理で鍵となるエチレンガスの濃度を貯蔵や物流時に容易に測定できる。青果物は収穫後も呼吸を続け、様々な植物ホルモンを発生させる。

 気体状のエチレンは、青果物の成熟や老化を促進する作用がある。発生量と作用の大きさは青果物の種類により異なるため、エチレン濃度のモニタリングは、倉庫内での貯蔵や果実の追熟による出荷時期調整において、食べごろの提示やフードロス削減に直結し重要である。しかし、エチレンを選択的に計測できる小型・安価なセンサー装置はなかった。

 両者は、エチレンをパラジウム触媒でアセトアルデヒドに変換し、アミン塩試薬と反応させて発生した塩酸ガスによりカーボンナノチューブ(CNT)センサーの抵抗値が下がる原理を使い、参照センサーと検出センサーの電位差でエチレン濃度を測定する方法を開発。しかし、既存のセンサーでは共存ガスの影響で誤検知が起こる場合があり、操作には専門技術や研究用計測器を必要とした。

 今回、両センサーの前にエチレンに不活性な触媒層を設け、共存ガスの外乱による影響をキャンセルした後、検出センサーの触媒層をパラジウム触媒層に切り替えて測定することで、エチレンの確実な検出が可能となった。ユーザーによる正面パネルの簡単な操作で測定でき、エチレンの検出下限は0.2㏙程度、上限は100㏙程度だ。

 今後、同試作機を企業へレンタルして実地検証を進め、早期の社会実装を目指す。また定期的な校正を不要とするよう、センサー材料の長期安定改良を継続する。

産総研 もみがら・米ぬかと微生物で重金属廃水を浄化

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2021年9月30日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で、米ぬかを栄養源にした硫酸還元菌の活性を利用し、重金属を含む鉱山廃水を安定的に浄化する廃水処理装置の運転管理技術を確立した。

 日本国内には、稼働を休・停止した鉱山跡地が多く存在し、重金属を含む酸性の鉱山廃水が発生する場合がある。このような場所では、環境への悪影響を防止するために、廃水処理が続けられている。

 一般に鉱山廃水は、専用の設備や化学薬品を使って中和処理されるが、近年は、微生物活性を利用した低コスト・低環境負荷の処理技術に注目が集まっている。JOGMECは、農業廃棄物であるもみがらと米ぬかをそれぞれ微生物の担体と栄養源として活用し、硫酸還元菌の働きによって重金属を沈殿除去する装置の開発を行ってきた。しかし、装置内でどのような微生物が働いているかが未解明であり、装置の安定的な維持管理方法が確立できていなかった。

 両者は、処理装置に不可欠な微生物の特定と運転条件の最適化に取り組んだ。その結果、ある硫酸還元菌のみが嫌気度の低い環境に対して例外的に強く、この菌の活性を維持することが安定な廃水処理に重要であることを解明した。この技術は、低コスト・低環境負荷で重金属を含む廃水を浄化できるため、鉱山廃水だけでなく産業廃水への応用も期待できる。

 現在、JOGMECは今回開発した装置を大規模化した実証試験を行っており、その装置内の微生物について、両者は共同で解析を行う予定。また、米ぬか以外の有機物を使った装置の開発も進め、様々な条件の廃水への適用を進めていく考えだ。

 

産総研と北海道大学 CO2からのブタノール連続生産を達成

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2021年9月29日

 産業技術総合研究所(産総研)と北海道大学はこのほど、CO2を原料に、アルコールの一種であるブタノールを連続生産する技術を共同開発した。CO2を直接原料として使う、新たな化学品合成プロセスとして期待される。

 年間1000万t以上のアルコールやアルデヒドが、プロピレンなどの不飽和炭化水素、CO、水素を原料にしたヒドロホルミル化反応(オキソ反応)により、コバルトやロジウム錯体触媒を使ったバッチ式反応で製造されている。金属錯体触媒は生成物との分離や再利用に課題がある。固体担体に固定化する手法が提案されてきたが、反応性が変化し、耐熱性が低下してしまう。

 産総研は、ルテニウム錯体がCO2をCOに変換する触媒機能をもつことに着目し、毒性の高いCOの代わりにCO2を使うオキソ反応を世界に先駆けて開発した。しかし錯体触媒は有機溶媒に溶解させて使うため、耐圧反応容器を使うバッチ式反応プロセスが必要であった。

 今回イオン液体を使って、ルテニウム錯体触媒をシリカゲル表面に薄膜状に固定化した触媒を開発。薄膜状のイオン液体中のルテニウム錯体触媒は、有機溶媒中と同様に反応する上、外観はシリカゲルと同じ粉体であるため、一般的な固体触媒と同様に扱える。

 またイオン液体は、オキソ反応温度域では揮発しないので、触媒を担体上に安定に保持できる。これにより、CO2と水素とプロピレンから、ブタノールを連続的に生産することが可能になった。高圧フロー式反応装置で反応圧8・6M㎩、反応温度170℃、約8時間の反応では、従来のバッチ式反応プロセスに比べ、時間当たりの収率は10倍になった。

 今後は主生成物の選択性と触媒の耐久性の向上のため、新たな金属錯体触媒やイオン液体の改良を行っていく。また、幅広く他の原料への適用可能性も検討していく。

今回開発したCO2を原料としたアルコール合成プロセス

 

NEDOと産総研 誘電体基板の温度特性が計測可能に

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2021年9月16日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、高周波回路などに使われる金属張りの誘電体基板の誘電率と導電率の温度特性を、10G㎐~100G㎐超の超広帯域で計測する技術を確立した。幅広い温度域での低損失化が要求されるミリ波対応材料の開発を後押しするとともに、ミリ波を使う次世代高速無線通信のポスト5G.6G実現に向けた材料やデバイスの開発期間の大幅な短縮が期待される。

 今回の技術の確立に際し、両者は新たに温度制御可能な超広帯域動作の共振器を開発。この装置は、ミリ波帯での超広帯域の材料計測が可能な平衡型円板共振器を、銅板に埋め込んだヒーターと熱電対で局所加熱して温度制御するもので、恒温チャンバーや耐熱性ミリ波ケーブルなど大掛かりで高コストな装置や部材を使わずに、100G㎐超までの超広帯域特性を、室温から100℃の温度域で計測できる。誘電体基板材料の誘電率と導電率の温度特性を計測することで、材料設計・開発へのフィードバックだけでなく、計測した材料を使った回路やデバイス性能の温度依存性の推定が可能になる。

 今回、シクロオレフィンポリマーと合成石英の誘電率と、シクロオレフィンポリマー基板上に形成した金属層の導電率の温度依存性を計測しシミュレーションしたところ、シクロオレフィンポリマー基板回路の125G㎐での伝送損失(㏈/㎝)は、温度が25℃から100℃に上昇すると約18%増大することがわかった。

 今後、産総研は今回開発した材料計測技術と計算科学やプロセス技術を融合し、より良い物性値のミリ波対応材料を得るための分子構造や配合比、プロセスなどの最適化条件を予測できるように、データプラットフォームの拡充に取り組む。