カネカの4-9月期 減収減益もヘルスケアは収益拡大

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2020年11月11日

 カネカが10日に発表した2021年3月期第2四半期(4―9月期)連結決算は、売上高が前年同期比11%減の2667億円、営業利益は45%減の70億円、経常利益は59%減の40億円、純利益は59%減の25億円となった。

 減収減益とはなったものの、コロナ禍で成長機会が拡大しているHealth Care SU(ソリューションズ・ユニット)など先端事業群が着実に収益を伸ばすとともに、1Q(4-6月期)の業績の落ち込みの主要因となったMaterial SUなどコア事業群の生産の停滞が着実に回復してきている。同社によれば「夏場以降急速に持ち直している事業分野もあり、下期にかけてさらに業績の改善が見込まれる」としている。

 セグメント別に見ると、Material SUは減収減益。塩化ビニル樹脂はロックダウン解除後のインド・中国向けに輸出が大幅に増加するなど2Q(7-9月期)は前年同期で増益となった。機能性樹脂も中国の建築用途に加え、欧米で需要が回復し、2Qは前年並みに復調した。

 Quality of Life SUは減収減益。アフリカ・米州向けの頭髪・難燃の需要は、コロナ影響により1Qは落ち込んだが、アフリカ向けは7月から月を追って回復。難燃、パイルの衣料用途は回復が遅れている。スマホ用需要増やコロナ禍に伴うリモートワーク拡大によるタブレット・ノートPC向けが好調で二層銅張積層板材料「ピクシオ」は過去最高レベルの出荷。5G向け対応製品が販売増となり、新製品開発も順調に進展している。

 Health Care SUは増収増益。医療分野は、国内外市場ともに拡大、新製品の脳動脈瘤塞栓コイルが好調で、9月には米国向けの販売を開始し収益拡大に寄与した。医薬分野では、アビガン原薬やベルギー子会社のPCR検査試薬の供給開始などにより収益が拡大し、対前年同期で大幅増益となった。

 Nutrition SUは減収減益。米国での免疫力アップ意識の高まりから、「コエンザイムQ10」などの販売は好調だった。中食増によりスパイス製品は堅調だったものの、製パン・製菓分野は需要回復基調もインバウンドの不振が響いた。なお、通期業績予想については、前回発表の数値を据え置いた。

 

カネカ 生分解性ポリマーが資生堂の化粧品容器に採用

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2020年9月9日

 カネカはこのほど、「カネカ生分解性ポリマーPHBH」が「SHISEIDO」ブランドの新製品「アクアジェル リップパレット」の製品ケース(ボディ、蓋)に採用されたと発表した。今年11月より発売される。

アクアジェル リップパレットのイメージ。(提供:株式会社資生堂のブランド「SHISEIDO」)
アクアジェル リップパレットのイメージ。(提供:株式会社資生堂のブランド「SHISEIDO」)

 両社は昨年より化粧品容器の開発に共同で取り組み、資生堂の同製品のコンセプト「海を大事に想う」という考え方が「PHBH」の海洋分解性と合致することから採用。化粧品用途では初めての採用になる。

 「PHBH」はカネカが開発した100%植物由来の生分解性ポリマー(共重合ポリエステル)で、幅広い環境下で優れた生分解性を示し、海水中での生分解認証「OK Biodegradable MARINE」を取得。海洋汚染低減に貢献する。

 昨年末、同社高砂工業所(兵庫県)に従来の5倍にあたる年産5000tのプラントが竣工し、グローバル展開する多くのブランドホルダーとストロー、カトラリー、食品容器包装材など幅広い用途で検討が進んでいる。急拡大する需要にタイムリーに応えるため、本格的量産プラントの建設を早期に決定する見通し。

 同社は「カネカは世界を健康にする」という考えの下、今後もソリューションプロバイダーとしてブランドホルダーと共同してグローバルに価値を提供していく考えだ。

カネカ 新型コロナ用DNAワクチンの製造体制に参画

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2020年9月4日

 カネカはこのほど、グループ会社カネカユーロジェンテック(ベルギー)が、アンジェス(大阪府茨木市)や大阪大学などが開発を進めている新型コロナウイルス用DNAワクチンの大量生産に向け、タカラバイオを中心とする製造体制に参画したと発表した。同ワクチンは大阪大学とアンジェスのプラスミドDNA医薬品開発の実績をもとに開発され、今年6月から臨床試験を開始。実用化に向けて開発が加速している。

 カネカユーロジェンテックは、1985年から医薬・診断薬、研究試薬用のタンパク質、核酸、ペプチドの製造販売を行っている。世界トップクラスのプラスミドDNA技術をもつことから、同ワクチンの中間体製造を受託した。なお、同社はベルギー政府の要請で、新型コロナウイルス検査用のPCR検査試薬も供給している。

 カネカは、mRNAやプラスミドDNAなど最先端の高度技術を活用し、ワクチンの受託製造や抗ウイルス薬の開発、医療器を用いたソリューション提供などにより新型コロナウイルス問題の課題解決に貢献し、世界を健康にしていく考えだ。

Kaneka Eurogentec社の外観
Kaneka Eurogentec社の外観

カネカ 北海道で有機酪農会社を設立、高付加価値品を展開

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2020年8月28日

 カネカはこのほど、生乳を取引する酪農パートナー別海ミルクワールド(北海道野付郡別海町)と有機生乳製造・販売の別海ウェルネスファームを6月に設立したと発表した。別海ウェルネスファームの有機専用牧場は来年4月に稼働、2022年に生乳の有機JAS認証取得を目指す。同牧場の生乳は全量カネカが買い取り、ヨーグルトを中心に牛乳、バターなどの有機乳製品を拡充し、24年には乳製品事業全体で売上高100億円を目指す。

 カネカはベルギーのPur Natur Investと技術提携し、18年に乳製品事業に参入。「パン好きの牛乳」「パン好きのカフェオレ」「ベルギーヨーグルト」「発酵バター」など、技術導入による製品を相次ぎ上市し、市場での高い評価とともに販売は順調に伸長している。今後、有機乳製品や同社のサプリメント素材と組み合わせた機能性食品などの高付加価値商品の品揃えを増やし、販売を拡大していく予定。

 後継者不足や労働力不足で国内の酪農業は厳しい環境下にある中、同社は「酪農家と共に魅力ある酪農業を考え、持続可能な酪農を推進する」ことを乳製品事業展開の理念としている。新会社では高付加価値の有機生乳生産に加え、酪農現場の省力化、飼料の自家栽培など、酪農の生産性向上に取り組み、人・乳牛・環境に配慮した持続可能な循環型酪農を目指す考えだ。

カネカ JTと植物バイオテクノロジーの資産譲受に合意

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2020年8月25日

 カネカは24日、日本たばこ産業(JT)と、病害耐性などの有益な性質・特徴を植物に導入する育種技術(組織培養技術、遺伝子導入技術など)といった、植物バイオテクノロジーに関する資産譲受を今月19日付で合意したと発表した。カネカ独自のゲノム編集技術と今回譲り受けるJTの研究開発資産とのシナジーにより、食糧課題に対するソリューションの提供を加速させていく。

 今回の資産譲受は、高効率で幅広い実用作物品種に適用可能なことから高い評価を受けているカネカのコア技術「インプランタゲノム編集技術」と、JTのもつ最先端の研究関連設備、業界内のネットワーク、実績豊富な遺伝子導入の技術力を活用。ゲノム編集作物の研究開発を大幅に加速・効率化し、従来の作物育種を変革することを目的としている。

 今後、新たな体制で研究開発を加速し、遺伝子導入技術の種子企業へのライセンスや、顧客のニーズに合わせた機能性、多収性に優れた作物種子の研究開発受託を強化する。将来的には、成長が期待されるゲノム編集作物の種子事業への参入を目指す。

 カネカは「カネカは世界を健康にする。」という考えの下、食の安心・安全、安定供給に繋がるソリューションを提供している。オープンイノベーションも活用しながら、世界の食糧問題の解決に貢献していく考えだ。

 

カネカ 高性能太陽電池がトヨタの低速EVに採用

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2020年8月21日

 カネカはこのほど、同社が開発した結晶シリコン太陽電池(ヘテロ接合バックコンタクト型)が、トヨタ自動車の低速自動運転EV「e‐Palette」のルーフガラス部分に採用されたと発表した。

 世界最高の変換効率(26.7%)を誇る結晶シリコン技術を用いた太陽電池は、表面に配線のないバックコンタクト構造によって、自動車用ガラスに近い意匠性も実現。これら独自技術による高い変換効率と優れた意匠性が評価され採用に至った。同社の車載用太陽電池は、曲面状に設計できる特長をもつことから、自動車ボディへの設置が可能となっている。

 カネカは今後、走行距離延長やCO2削減に貢献するソリューションとして車載用太陽電池の提案を引き続き強化し、EVやハイブリッドカーへのさらなる採用を目指して取り組んでいく考えだ。

カネカ 太陽電池

カネカ 4-6月期決算(12日)

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2020年8月18日

[カネカ/4-6月期決算](12日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結=売上高126,644(▲14.9%)、営業利益2,029(▲71.0%)、経常利益823(▲85.0%)、純利益437(▲87.5%)。

カネカ 培養脂肪幹細胞による乳房再建治療を開始

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2020年8月4日

 カネカはこのほど、グループ会社バイオマスター(横浜市)が運営するセルポートクリニック横浜(横浜市)が培養脂肪幹細胞を使う乳房再建治療「培養CAL」を開始したと発表した。患者自身の脂肪由来幹細胞を用いる、生着率の高い医療技術だ。同治療の開始に際し、大阪大学の特定認定再生医療等委員会で審査された治療計画は、厚生労働省関東信越厚生局に受理されている。

 「培養CAL」は、患者から事前に少量採取した脂肪中の幹細胞を培養し、移植用の脂肪に加えて移植する。脂肪の採取量は従来の「CAL」より少ないため、「CAL」による治療ができなかった体脂肪の少ない患者にも治療が可能。「培養CAL」により乳房再建の選択肢を広げることで、乳がん患者の生活の質の向上に貢献する。

 セルポートクリニック横浜は2006年の開院以降、東京大学と共同開発した「CAL」による乳がん治療後の治療を提供してきた。今後は臨床研究の結果を踏まえ、乳がん術後の乳房再建のほか顔の変性疾患や豊胸などにも応用し、軟部組織再建の新しい治療を提供していく考えだ。

カネカ 医療機器事業を再構築、グループ会社を子会社化

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2020年7月7日

 カネカは6日、グループ会社のリバーセイコーの全株式を取得し、医療機器受託製造を中心とした事業体制から、製造およびR&B機能(製品開発から営業企画)を併せ持つ医療機器事業会社として再構築すると発表した。今後、インターベンショナルな手術に使用する消化器分野、および不整脈を診断・治療する電気生理分野の事業の拡大と強化を図る方針だ。

 今回の完全子会社化に伴い、7月1日よりリバーセイコーの社名を「カネカメディカルテック」に変更。カネカとの連携をさらに強化し、ブランド力を高める。人員、機能の拡充によるマーケティング、研究開発、製造体制の整備、新製品・ソリューションの創出力を向上させることで事業機会の飛躍的拡大を狙い、2024年には同事業領域の売上高100億円を目指す。製品は、従来通りカネカの販売会社・カネカメディックスが担当していく。

 なお、Health Care Solutions Unitの組織「Medical Devices Solutions Vehicle」は、より幅広いソリューションの提供を通じて医療に貢献するため、6月1日より名称を「Medical Solutions Vehicle」に変更している。