クラレ 国際貢献活動が絵本「7年目のランドセル」に

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2020年6月18日

 クラレはこのほど、アフガニスタンの子どもたちにランドセルを贈る国際社会貢献活動「ランドセルは海を越えて」が、写真絵本「7年目のランドセル」になった、と発表した。

表紙
表紙

 同社の人工皮革「クラリーノ」は、ランドセル用の素材に広く使用されている。「ランドセルは海を越えて」は、日本の小学生が6年間大切に使用したランドセルを、戦禍によって教育の機会を奪われたアフガニスタンの子どもたちに贈る活動で、同社は2004年から取り組み、これまでに海を越えたランドセルは12万個以上になる。

 写真絵本「7年目のランドセル」(内堀タケシ写真・文、国土社発行)は、日本を旅立ち現地の子どもたちと「7年目」の新学期を迎えるランドセルのその後を、アフガニスタン国内の状況や子どもたちの日々の暮らしとともに紹介。

ランドセルを受け取り、笑顔を見せる女の子【中ページより)
ランドセルを受け取り、笑顔を見せる女の子(中ページより)

 アフガニスタンでは長く内戦が続き、日本では当たり前の教科書、通学用カバン、文具が十分に揃えられず、校舎はおろか机や椅子も無く地面に座って勉強する学校も多い。そのような中、子どもたちにとって日本から届いたランドセルは、代えがたい宝物。厳しい生活の中でもランドセルに希望を見出だし、たくさんの笑顔を見せてくれる子どもたちの姿を掲載している。また、「ランドセルは海を越えて」は、今年より一部の小学4年生の国語の教科書でも取り上げられており、学習内容をより深く理解するための一助になることも期待される。

 この活動は昨年、日本フィランソロピー協会が主催する「第17回企業フィランソロピー大賞」の企業フィランソロピー賞「笑顔を届けま賞」を受賞。

 クラレは、ランドセルという身近なものを通して、日本の子どもたちの国際社会貢献活動への関心やモノを大切にする心をはぐくみたいと考えている。

全国から集まったランドセルの開梱、検品、箱詰め作業を行うボランティア参加者(2019年4月)
全国から集まったランドセルの開梱、検品、箱詰め作業を行うボランティア参加者(2019年4月)
※2020年(17回目)は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から作業を延期中

クラレ バイオ由来のガスバリア材がWPO会長賞を受賞

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2020年6月17日

 クラレはこのほど、豪州子会社プランティックテクノロジーズが、食品ロス低減や廃棄物削減に貢献するバイオマス由来の生分解性ガスバリア材「PLANTIC(プランティック)」で、世界包装機構(WPO)が主催する「ワールドスターパッケージングアワード2020」の「プレジデントアワード部門」の銅賞を受賞したと発表した。

 同アワードは、毎年開催される世界最大級の国際包装コンテストで、各国選出の製品・技術の中から、特に優れたものが表彰される。今年は36カ国321点がノミネートされ、今回、「PLANTIC RV」がWPO会長賞にあたる「プレジデントアワード部門」の銅賞に選ばれた。また、「PLANTIC HP」を使用した韓・ソフトパック社の「COFFILM」が「ワールドスター賞・包装資材部門」に選ばれている。「PLANTIC」は2002年に豪州産学連携研究から生まれたバイオマス由来のガスバリア材で、主に豪州・欧米の大手流通・スーパー、食品メーカーで環境対応型包装材料として採用されている。

 クラレは、2015年にプランティックテクノロジーズを買収。同社のガスバリア材のノウハウを生かして品質・加工技術の向上、用途開発と販路の拡大を進めており、既存の豪州フィルム工場に加えて米国での樹脂工場の稼働を予定している。

 クラレは今後、食肉包材用途を中心に、市場ニーズに合った製品ラインアップを揃え、新規用途・製品の開発を加速していく考えだ。

クラレ マーク

 

クラレ マスクフィルター用不織布の国内生産体制を強化

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2020年6月16日

 クラレは15日、不織布と不織布製品の製造・販売会社であるクラレクラフレックスで現在増設中の、岡山工場(岡山県岡山市南区)メルトブローン不織布の生産設備について、マスクフィルターも生産可能な設備に変更すると発表した。

 マスクフィルター用不織布の需要増大に対応するため設備を増設し、メルトブローン不織布の生産能力を年産900tから2700tに引き上げる。マスク換算で年産約3億枚の原反の増産体制を整えることで、新型コロナウイルスの感染拡大防止に貢献していく考えだ。今年11月末の稼働を予定。

 メルトブローン不織布は、バインダーを使わず原料ポリマー100%からなる不織布で、極細繊維の緻密な構造により、マスク用をはじめ各種フィルターに使用されている。新型コロナウイルス感染対策として国内のマスクの需要が急速に拡大する一方で、マスクフィルターは不足しており、とりわけ医療用途で使用される高性能なフィルターの不足は深刻な問題となっている。

 同社はメルトブローン不織布をフェイスマスクや食品・飲料ろ過フィルター、エアフィルターなど、様々な用途に展開しているが、既存設備は、昨今の新型コロナウイルス感染拡大に伴う、マスクフィルター需要のひっ迫を受け、フル生産が続いている。こうした状況の下、現在増設工事を行っているメルトブローン不織布設備の、マスクフィルターが生産可能な設備への変更を決めた。

 今後も、クラレグループは「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という使命の下、独自の技術で世の中に役立つ製品を提供していく。

クラレ 独創性を掲げた「クラレレポート2020」発行

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2020年6月9日

 クラレはこのほど、統合報告書「クラレレポート2020」を発行した。A4判、カラー50ページ。同レポートは、株主・投資家をはじめとする全てのステークホルダーに、同社グループの中長期的な価値創造について、財務情報に加え、ESG(環境・社会・ガバナンス)などの非財務情報を通じて、より一層理解を深めてもらうことを主眼としたもの。

「クラレレポート2020」(A4判、カラー50ページ)
「クラレレポート2020」(A4判、カラー50ページ)

 伊藤正明社長は同レポートの中で、「独創性とチャレンジ精神、価値提供への思い」を語り、長期ビジョンで掲げる2026年のありたい姿や、2020年の重点施策などに触れながら、中期経営計画「PROUD 2020」の進捗状況を紹介している。

 また、「キーパーソンに聞く」のセクションでは、カルゴン・カーボン社のスティーヴン・R・ショット社長や、クラレ・繊維カンパニー長の佐野義正専務、技術本部などを担当する大村章常務が、各事業の取り組みや製品開発経緯などを解説。

 特集記事「ビニロン事業化70周年を迎えて」では、同社グループの原点となった世界初の合成繊維「ビニロン繊維」(ポリビニールアルコール繊維)の工業化への軌跡を振り返った。クラレグループでは引き続き、同レポートをステークホルダーとの建設的な対話の場と位置づけ、内容の拡充を図っていく考えだ。

クラレ 新型コロナ感染症と戦う知的財産宣言に参画

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2020年5月27日

 クラレはこのほど、新型コロナウイルス感染症対策の支援のため、「知的財産権に関する新型コロナウイルス対策支援宣言」の趣旨に賛同し、支援者として同宣言に参画した。

 新型コロナウイルス感染症のまん延をくい止めるためには、産官学が連携し、治療薬やワクチン、医療機器、感染防止製品などの開発・製造を、従来の常識にとらわれない発想とスピードで進める必要があることから、クラレは同宣言の趣旨に賛同。

 診断や予防、封じ込め、治療をはじめとする新型コロナウイルス感染症のまん延終結を唯一の目的とした行為に対して、同社グループが持つ特許権・実用新案権・意匠権・著作権の権利行使を一定期間行わず、対価や補償を求めないことを宣言した。

 今後も、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に努めるとともに、同社グループの固有技術が感染症の終息に貢献できるよう取り組んでいく考えだ。

クラレ マーク コロナ

 

 

クラレ オンライン展示会、自動車業界へ独自素材を提案

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2020年5月22日

 クラレはこのほど、自動車業界にフォーカスした「クラレオンライン展示会」を企画、開催すると発表した。オンデマンド動画などを使い、自動車業界へ様々なクラレグループの素材でソリューションを提案する。なお、開催日時は5月20日~6月30日までで、入場料は無料だ。

クラレオンライン展示会

 展示会は、企業にとって製品の認知度向上や情報収集、商談などの貴重な機会だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による延期や中止が相次ぎ、同社も予定していた展示会への出展ができない状況となっている。

 こうした中、クラレグループの素材を紹介する機会として「クラレオンライン展示会」を企画、開催することとした。展示製品では、樹脂部品の小型化 ・金属部品の樹脂化に伴い使用される耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」、窓ガラスやサンルーフの軽量化に貢献するPMMA/PC複層板「パラマイティー」、操縦安定性(タイヤ)の改善に対応する液状ゴム「クラプレン」など独自の素材を通して「環境・安全・快適」の観点から次世代のソリューションを提案する。

 

住友化学、クラレ、旭化成建材の3社 日化協技術賞を受賞

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2020年5月21日

 日本化学工業協会はこのほど、優れた化学技術の開発や工業化によって化学産業ならびに経済社会の発展に寄与した事業者を表彰する「日化協技術賞」を発表。

 総合賞に住友化学の「低環境負荷・併産品フリーのクメン法プロピレンオキサイド(PO)製造プロセスの開発と工業化」、技術特別賞にクラレの「プラスチックシンチレーションファイバ(PSF)の開発と工業化」、環境技術賞に旭化成建材の「高性能発泡プラスチック断熱材「ネオマフォーム」「ネオマゼウス」の開発」を選定した。

 住友化学のPO製造技術は、クメンを循環利用し、副生物が実質的に水のみでPOだけを生産する世界で初めて工業化されたクメン法PO単産プロセス。独自開発のエポキシ化触媒と組み合わせることで、非常に高いPO収率と分離精製の省エネ化を達成し、優れた運転安定性を実現できるという特長が評価され、受賞に至った。

 クラレのPSFは、独自製法で開発したプラスチック製光ファイバー。コア(内側)は蛍光剤入りのポリスチレン樹脂、クラッド(外側)はメタクリル系樹脂の多重構造で、放射線が当たると発光する性質を持つ。高い発光量、透明性、優れた線径精度は世界中の研究者に認められ、放射線検出用素材のデファクトスタンダードとなっている。今回、PSFの技術開発と製品性能、世界的な研究機関への安定供給実績、民生用途への拡大などが評価された。

 旭化成建材の高性能発泡プラスチック断熱材は、フロン系ガス不使用や断熱性を長時間維持するといった課題を克服した製品。旭化成建材は、フェノール樹脂組成の抜本見直しを行い、フェノール樹脂発泡体の脆さ改善と強度の大幅向上を達成。さらに独自の発泡ガス組成や添加剤などの最適化により、革新的なフェノールフォーム発泡成形技術の開発に成功した。断熱材の開発が、環境負荷低減に顕著な効果を持ち、わが国の化学技術の進歩と産業の発展に大きく寄与するものとして評価された。

 

クラレの1-3月期 コロナウイルスの影響で減収減益

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2020年5月15日

 クラレは14日、2020年度第1四半期(1―3月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比3%減の1369億円、営業利益は18%減の120億円、経常利益は12%減の113億円、純利益は10%増の67億円となった。

 セグメント別に見ると、ビニルアセテートセグメントは減収減益。ポバール樹脂は、世界的な需要低迷により数量減。光学用PVAフィルムは、液晶パネルの在庫調整の影響で前年並み。PVBフィルムは自動車向けが低調に推移した。一方、水溶性PVAフィルムは個包装洗剤用途で販売が拡大した。エバールは、食品包材用途の販売量は増加したが、ガソリンタンク用途は自動車生産減少の影響で低調に推移した。

 イソプレンセグメントは減収減益。イソプレン関連は、ファインケミカルで中国向けを中心に出荷が減少。熱可塑性エラストマー「セプトン」は、米国需要は堅調であったが、アジアの販売は苦戦した。耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」は、電気・電子デバイス用途の中国での先取り需要で販売量が増加。車載用コネクタ向けの新規採用も順調に進んだ。

 機能材料セグメントは増収増益。メタクリルは、樹脂・シートの販売量は増加したが、市況悪化の影響を受けた。メディカルは、歯科材料の輸出を中心に先取り需要があり堅調に推移したが、欧米を中心に歯科医の休業のため需要減速が懸念される。カルゴン・カーボンは、北米では飲料水用途を中心に堅調であったが、欧州は低調。炭素材料は高付加価値品が伸長した。

 繊維セグメントは減収減益。人工皮革「クラリーノ」は、アジアと欧州での需要低迷で販売が減少。繊維資材は、セメント補強用のビニロンが低調、ゴム資材向けも自動車減産が影響した。一方、「ベクトラン」は堅調。生活資材は、「クラフレックス」がマスク用途で増販したが、コスメティック用途と自動車用途で需要が減少した。

 トレーディングセグメントは減収増益。繊維関連事業は、スポーツ衣料用途が順調だったものの、樹脂・化成品関連事業は、国内と中国向け販売が苦戦。その他事業は、国内関連会社の販売が低調で減収減益だった。

 なお同日、業績予想の修正を発表。上期(1―6月)の連結業績予想を売上高2600億円(前回予想比300億円減)、営業利益150億円(同130億円減)に下方修正している。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済活動の制限により、第2四半期以降さらなる需要減退が避けられず、それに伴う生産調整などを見込んだ。通期連結業績ついては、合理的な算定が困難なため未定としている。

 

クラレ 新型コロナに対応 伊藤社長がメッセージを発信

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2020年5月11日

伊藤 正明社長

 クラレは8日、伊藤正明社長がクラレグループの新型コロナウイルスに関する取り組みについてメッセージを発表した。

 同社グループは「社員やその家族などすべてのステークホルダーの安全と健康を最優先する」という基本方針の下、海外出張の禁止、国内出張の制限、原則在宅勤務(工場は事業継続を前提とした人員体制で運営)などの対応を進めてきた。

 伊藤社長は「社会に必要とされる製品を供給し、サプライチェーンを支えていくことは、グループ全体に課せられた重要な役割であり、BCPに基づき感染防止策を徹底した上で生産活動を継続している。今後も、社員やその家族などすべてのステークホルダーの安全、および健康に最大の配慮をしつつ、『社会に有用な価値を提供する』という私たちの理念をいま一度心に刻み、お客様や取引先様の事業への影響を最小限にする努力をしていく」との考えを示している。