日本ゼオン COPリサイクルプラント竣工、年産6000t

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2024年3月6日

 日本ゼオンは5日、高岡工場(富山県高岡市)においてシクロオレフィンポリマー(COP)のリサイクルプラントが竣工したと発表した。同日現地で行われた竣工式には、富山県と高岡市、周辺自治会からの来賓、施工関係者、同社田中公章会長、小瀬智之高岡工場長など、44人が参加した。

COP再生工場と竣工式

 自社製品を

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日本ゼオン COPリサイクル技術を確立、高岡にプラント

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2022年1月12日

 日本ゼオンは11日、シクロオレフィンポリマー(COP)のリサイクル技術を独自に開発したと発表した。新しいリサイクル技術により、これまで課題であった透明性や高純度を維持することに成功し、バージン樹脂と同等の品質レベルまで再生可能となる。高岡工場内(富山県)に、年産能力6000tのリサイクルプラントを建設。2022年10月より着工し、2024年8月の稼働を予定している。なお、リサイクル樹脂はバージン樹脂に比べ、製造時のCO2発生量を約1万2000t削減することにつながる。

 同社のCOP「ZEONEX」「ZEONOR」は、優れた光学的・化学的特性をもち、光学レンズや光学フィルムから医療・バイオテクノロジーの分野に至るまで幅広く利用され、高い評価を得ている。また、独自で開発した溶融押出法により自社加工している光学フィルム「ゼオノアフィルム」は、ディスプレイの大型化に伴う市場拡大に合わせ、堅調な需要が継続している。

 今回新たに開発したリサイクル技術は、光学フィルム製造時に排出される廃棄樹脂を再生する。プラスチックリサイクルは現在大きな社会課題の1つとなっているが、特に光学用途では、要求品質に見合う技術の確立が求められていた。

 今回開発したリサイクル技術は、透明性や純度などの品質面でバージン樹脂と同等のレベルであることを確認。リサイクルした樹脂は、光学フィルムの製造に再利用される計画であり、今後も見込まれるおう盛なニーズに応えていく。

 同社は、「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」という企業理念の下、2021年度よりスタートした中期経営計画において2030年のビジョンを「社会の期待と社員の意欲に応える会社」と設定。今回の技術開発ならびにリサイクルプラントの稼働は、COPのさらなる差別化につながるとともに、廃棄樹脂の再利用や製造時のCO2削減といった持続可能な社会の実現に寄与する。今後も大地(ゼオ)と永遠(エオン)からなるゼオンの名にふさわしく、独創的な技術・製品・サービスの提供を通じ、「持続可能な地球」と「安心で快適な人々の暮らし」に貢献していく。

日本ゼオン 医薬用COPの低吸着性について学会で発表

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2019年10月25日

 日本ゼオンは22~23日に、スウェーデンのイェーテボリで開催されたプレフィルドシリンジに関する学術大会で、バイオ医薬品でのプレフィルドシリンジ製剤の安定性について発表した。

日本ゼオン プレシリンジ プレフィルドシリンジとは、感染の危険除去や投与量調整の過誤軽減を主な目的として、薬剤があらかじめ充填された注射器のこと=写真。同社のシクロオレフィンポリマー(COP、製品名「ZEONEX」「ZEONOR」)製シリンジを使うことで、バイオ医薬品製剤の吸着・凝集が抑制されるとの結果が得られており、その研究成果を紹介した。

 同社はユーメディコ、大阪大学の内山進教授との共同研究により、COPをプレフィルドシリンジに使用した場合の、タンパク製剤の吸着と凝集体の発生について研究を進めてきた。

 これまでにタンパク製剤であるAdalimumab「Humira」、Etanercept「Enbrel」、Infliximab「Remicade」を使い、既存材質製とCOP製のプレフィルドシリンジ中のシリンジバレル表面への吸着性・凝集性を比較し、COPが低吸着性・低凝集性であることを報告している。

 さらに今回、同様にタンパク製剤であるAbatacept「Orencia(オレンシア)」のシリンジバレル表面への吸着量と凝集体の発生状況を比較したところ、COP製のプレフィルドシリンジにオレンシアを充填した場合、吸着量と凝集体発生量が、既存材質製に比べ抑制されるという結果が得られた。

 今回の発表では凝集体の発生状況についても報告した。なお、この研究に関連して、今年5月にはFDA(米国食品医薬品局)の下部組織であるバイオテクノロジー製品部でも、プレゼンテーションを行っている。

 抗体医薬品をはじめとしたバイオ医薬品は、医薬品市場で急成長している。ガラス製シリンジを使ったバイオ医薬品の保管では、その主成分であるタンパク質に影響を及ぼし、凝集体の発生が懸念されている。

 一方、COPはガラス製に比べ、タンパクの吸着・凝集が抑制されることが知られており、プレフィルドシリンジをはじめとする、バイオ医薬品に適用される材料として期待されている。同社は今後も独創的技術に根差したソリューションを積極的に提供し、医薬業界の発展に貢献していく。