日本ゼオン COPリサイクル技術を確立、高岡にプラント

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2022年1月12日

 日本ゼオンは11日、シクロオレフィンポリマー(COP)のリサイクル技術を独自に開発したと発表した。新しいリサイクル技術により、これまで課題であった透明性や高純度を維持することに成功し、バージン樹脂と同等の品質レベルまで再生可能となる。高岡工場内(富山県)に、年産能力6000tのリサイクルプラントを建設。2022年10月より着工し、2024年8月の稼働を予定している。なお、リサイクル樹脂はバージン樹脂に比べ、製造時のCO2発生量を約1万2000t削減することにつながる。

 同社のCOP「ZEONEX」「ZEONOR」は、優れた光学的・化学的特性をもち、光学レンズや光学フィルムから医療・バイオテクノロジーの分野に至るまで幅広く利用され、高い評価を得ている。また、独自で開発した溶融押出法により自社加工している光学フィルム「ゼオノアフィルム」は、ディスプレイの大型化に伴う市場拡大に合わせ、堅調な需要が継続している。

 今回新たに開発したリサイクル技術は、光学フィルム製造時に排出される廃棄樹脂を再生する。プラスチックリサイクルは現在大きな社会課題の1つとなっているが、特に光学用途では、要求品質に見合う技術の確立が求められていた。

 今回開発したリサイクル技術は、透明性や純度などの品質面でバージン樹脂と同等のレベルであることを確認。リサイクルした樹脂は、光学フィルムの製造に再利用される計画であり、今後も見込まれるおう盛なニーズに応えていく。

 同社は、「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」という企業理念の下、2021年度よりスタートした中期経営計画において2030年のビジョンを「社会の期待と社員の意欲に応える会社」と設定。今回の技術開発ならびにリサイクルプラントの稼働は、COPのさらなる差別化につながるとともに、廃棄樹脂の再利用や製造時のCO2削減といった持続可能な社会の実現に寄与する。今後も大地(ゼオ)と永遠(エオン)からなるゼオンの名にふさわしく、独創的な技術・製品・サービスの提供を通じ、「持続可能な地球」と「安心で快適な人々の暮らし」に貢献していく。

帝人 パラ系アラミド長繊維、リサイクル技術を開発

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2021年11月5日

 帝人は4日、アラミド事業を展開するテイジン・アラミド(オランダ)が、パラ系アラミド「トワロン」長繊維のリサイクル技術を開発し、長繊維からリサイクル長繊維を再生するパイロット生産に成功したと発表した。同社は、2024年の販売開始を目指し、今後もリサイクル長繊維の改良を重ねていく方針だ。

 テイジン・アラミドは、自社製品において持続可能な社会の実現に貢献する取り組みとして、これまで20年以上にわたり、長繊維状の「トワロン」を用いた使用済み最終製品を回収し、パルプ状にリサイクルして再利用する事業を展開している。

 近年は、「トワロン」使用による環境への影響を定量化できる独自の換算システムの導入や、バイオ由来原料を使用した「トワロン」生産技術の開発を行い、さらに今年には、「トワロン」」のライフサイクルにおけるCO2排出量を約30%削減(2014年対比)した。

 こうした中、今回、使用済みの「トワロン」長繊維を再び長繊維にする技術を開発し、パイロット生産に成功した。今回の技術は、回収された使用済み最終製品に用いられた繊維を短く切断し、さらに細かく刻んだものをバージン原料と合わせて溶融し紡糸したもの。これにより再生品の性能は、バージン品とほぼ同等であることが確認されており、同社はこのリサイクル長繊維に関する技術特許を出願中だ。

 また技術開発に伴い、工業・産業向けケーブルメーカーであるファイバー・マックス社(オランダ)、および海運・漁業向けロープメーカーであるハンプジャン社(アイスランド)と連携し、リサイクル長繊維を9割以上使用した最終製品での実証試験を進めている。

 同社は、パートナー企業や顧客企業との連携を一層強化し、アラミドを使用した様々な用途の最終製品を回収してリサイクルを推進していく。