ダイセル 「ウロリチンA」の遺伝子発現増強効果を確認

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2021年7月19日

 ダイセルは16日、ザクロ果皮由来エラグ酸の腸内代謝物「ウロリチンA」を用いて、九州大学と共同研究を行った結果、「ウロリチンA」のサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の発現増強効果を確認し、またウロリチンA類縁体のイソウロリチンAとウロリチンBについても発酵法による製法開発に成功したと発表した。なお同社は、世界で初めて発酵法による「ウロリチンA」の製法開発に成功。機能性食品素材「ウロリッチ」として、今年5月から主にサプリメントメーカーなどに販売している。

ザクロ抽出物の腸内代謝物「ウロリチンA」
ザクロ抽出物の腸内代謝物「ウロリチンA」

 ザクロは古くから様々な健康効果が期待できるスーパーフルーツとして重宝され、現代でも食品や飲料に使用されている。この健康効果は、ザクロに含まれるプニカラジンなどのエラジタンニンやその加水分解物であるエラグ酸などの主要ポリフェノールによるものと考えられ、抗ウイルス、抗酸化活性などが報告されている。

 しかし、エラグ酸などはそのまま摂取しても、特定の腸内細菌の有無によっては健康効果を発揮しないこともあるため、同社はポリフェノールの腸内代謝物であるウロリチン類に注目してきた。今回の研究では、これまでの研究成果を発展させ、エラグ酸から特定のウロリチン類を選択的に発酵生産する方法を見出だし、またウロリチンAの機能性を明らかにした。

 同社は今後、さらなる研究を進め、ウロリチンAのヒトへの健康効果に関するエビデンス取得を推進。安全性、信頼性の高い製品製造を継続的かつ安定的に供給することによって、ウロリチンAが人々の健康維持、増進に貢献できるよう努めていく。また、新たな健康効果が期待できるウロリチンBとイソウロリチンAについても機能性の研究と生産の検討を進め、人々に健康課題の解決策を提供していく考えだ。

ダイセル 人事(9月1日/他)

2021年7月16日

[ダイセル・人事](9月1日)▽セイフティSBUインダストリーBU医療関連事業戦略部首席技師、事業創出本部事業創出センター首席技師兼大阪大学山下邦彦▽同SBU同BU同部主任部員坂口奈央樹▽同SBU同BU同部マーケティング室主幹部員寺居和宏▽同SBU同BU同部同室主席部員、知的財産センター知的財産戦略グループ主席部員平山復志▽同SBU技術開発センタープロセス開発部主席部員西岡和宏▽同SBU同センター同部主任部員中辻巧▽同SBUグローバル生産統括部生産グループ主席部員白岩一伸▽同山本彰夫▽同古寺俊介▽同SBU同部安全グループ主席部員高堀健(10月1日)▽同SBU同部生産グループ主席部員青木浩伸。

ダイセル こんにゃくセラミド、認知機能低下の抑制確認

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2021年7月15日

 ダイセルはこのほど、北海道大学と北海道情報大学との共同研究により、同社が開発した健康食品素材「こんにゃく由来グルコシルセラミド」の摂取がヒト脳内アミロイドβ蓄積を予防し、アルツハイマー病などによる認知機能の低下を抑制・維持できる可能性があることを確認したと発表した。なお、今回の研究成果は、7月に開催された「第75回日本栄養・食糧学会大会」で発表している。

こんにゃく由来セラミド

 アルツハイマー病などの認知機能低下を引き起こす進行性の疾患は、アミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳細胞外に蓄積することが原因と言われる。これまでの研究では、同グルコシルセラミドをアルツハイマー病モデルマウスに経口投与することで、アミロイドβクリアランス効果を保持する神経由来エクソソームが増加し、脳内アミロイドβの蓄積が抑制されることが判明していた。

 そして今回、ヒトが経口摂取した場合での効果を検証するため、両大学との共同研究でプラセボ対照ランダム化二重盲検試験を実施。なお、研究に用いた同グルコシルセラミドは、皮膚の保湿・バリア機能を高める機能性食品素材として販売しており、板こんにゃくの製造時に廃棄される「飛び粉」から抽出製造するサステナブルな原料だ。

こんにゃく由来セラミド 血中アミロイドβバイオマーカー値の測定
こんにゃく由来セラミド 血中アミロイドβバイオマーカー値の測定

 グルコシルセラミドは、多くの植物に含まれているが、小麦胚芽や米ぬかなどに比べ、こんにゃく芋の飛び粉抽出物はセラミド含有量が高いことがわかっている。研究では、60~80歳未満の被験者20名(平均70.1歳)をプラセボ食品群10名と被験食品群10名に構成し、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を24週間にわたり実施。それぞれの群がプラセボ食品また同グルコシルセラミド5.4mgを含む被験食品を摂取し、0週、12週、24週に血中アミロイドβバイオマーカー値の測定を実施したところ、被験食品群において、0週目との比較で12週目に有意な低値を示した。さらに層別解析を行ったところ、アミロイドβバイオマーカー値が相対的に低めの集団では、摂取12週後、24週後に被験食品群の変化量がプラセボ食品群より有意に低値を示した。

 同社は今後、さらなるヒト介入試験を進め、認知機能分野における機能性素材の開発に取り組み、人々の健康長寿に役立つ製品を提供していく。

ダイセル 長繊維樹脂と樹脂CPD、グループ会社に移管

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2021年7月15日

 ダイセルは14日、同日開催された取締役会において、吸収分割の方式により長繊維樹脂事業をポリプラスチックスへ、また、樹脂コンパウンド事業をダイセルミライズへ、それぞれ承継することを決定したと発表した。効力発生日は10月1日を予定している。

 ダイセルは、マーケティング活動におけるシナジー追求を目的として、自動車用途の長繊維樹脂事業および樹脂コンパウンド事業をダイセルのセイフティ事業部門に集約していた。こうした中、さらなる事業拡大を目指すため、昨年10月に完全子会社化したポリプラスチックスに、セイフティ事業部門の長繊維樹脂事業、およびダイセルミライズの一般用途長繊維樹脂事業の長繊維強化熱可塑性樹脂「プラストロン」を移管し、長繊維樹脂事業を集約する。

 同社グループ主力事業の1つであるエンジニアリングプラスチック事業における強みや経営資源を融合させ、製品開発や技術サポートなど多面的なシナジー効果を醸成し、多様化する市場に向けて顧客への製品提案力の強化や技術サポートサービスの一層の充実を図っていく。

 一方、ダイセルミライズには樹脂コンパウンド事業を集約する。これまでの一般用途樹脂コンパウンド事業に加え、セイフティ事業部門の自動車用途樹脂コンパウンド事業を集約することで市場競争力を強化し、事業拡大を図っていく。

 

 

ダイセル コロナ不活化フェイスシールド、病院に寄贈

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2021年7月8日

 ダイセルはこのほど、広島大学大学院医系科学研究科の坂口剛正教授を通じて、広島大学病院にフェイスシールド100セットを寄贈した。提供したフェイスシールドは、坂口研究室で新型コロナウイルスの不活性化(24時間で99%以上)が確認された抗ウイルスコーティング仕様。また、防曇効果からフェイスシールドが曇らず快適に使用することができる。

 坂口教授は長年ウイルス学を研究しており、昨年には、同社の抗ウイルスコーティング技術が新型コロナウイルスに対しても効果があることを実証。同大学病院は新型コロナウイルス感染症の重症患者の救命に携わっていることから、同社は、最前線で尽力している医療従事者の感染症対策を支援するため、抗ウイルスコーティングのフェイスシールドを提供した。

 今後さらに、医療従事者が利用するタブレット端末の保護フィルム用として、同社の抗ウイルスコーティングフィルムも寄贈する予定。

ダイセル ポスト5Gシステムを開発、NEDO事業に採択

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2021年6月30日

 ダイセルはこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」について、2つの研究開発が採択されたと発表した。同社はこれを機に、エレクトロニクス実装材料の研究開発や事業化を加速し、経済産業省とNEDOが進める日本のポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤強化に貢献する。

NEDOに採択された、「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」概要
NEDOに採択された、「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」概要

 「先導研究(委託)/基地局関連技術」では「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」が採択。ポスト5Gの後半以降、ミリ波からテラヘルツ帯の高周波を利用することで通信帯域を確保し、さらなる高速大容量、超低遅延、および多数同時接続の実現が期待される。

 しかし、ミリ波(30~300G㎐)やテラヘルツ帯(300G㎐~3T㎐)では、伝送ロスによる信号品質の劣化や材料の測定技術が確立されていない。これらの課題解決に向け、同社は①次世代超ローロス低誘電材料、②平滑導体と低誘電材料の高信頼性接合、③テラヘルツ帯通信用材料の測定技術を開発する。この先導研究により、ポスト5Gの基地局向けリジッドプリント配線板の低誘電材料や接合の事業化、測定技術の標準化を目指す。

 一方、「先導研究(助成)/先端半導体製造技術(後工程技術)」では「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」が採択。ポスト5Gは、通信インフラからエッジデバイスまで、膨大な情報を低遅延で高速に伝達する半導体高度化技術への要求が急速に高まる。その実現には前工程の微細化加工だけではなく、複数の半導体を3次元で集積する先端後工程の重要度が増している。

NEDOに採択された、「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」概要
NEDOに採択された、「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」概要

 ポスト5G半導体に必要な高速通信対応高密度3次元実装を実現するために、①高周波対応高密度パッケージCu焼結接合技術、②高信頼・高性能ビルトアップ半導体サブストレイト技術、③高周波パッケージ導波路コネクタ技術を開発する。この先導研究により、先端後工程向けのCu焼結接合材料やバンプ形成絶縁接着材料の事業化、装置、周辺材料、プロセスなどのノウハウ組合せによるソリューションの提供、およびサブストレイト技術や導波路コネクタ技術の標準化、デファクト化を目指す。

 同社は、今後も長年培ってきた高機能材料や加工技術の強みを生かした様々な最先端の技術開発に取り組み、便利・快適な社会の実現に貢献していく考えだ。

ダイセル 人事(17日)

2021年6月28日

[ダイセル・人事](17日)▽ダイセルミライズレジン事業本部、Daicel Miraizu(Thailand)Co.,Ltd.廣瀬洋司(7月1日)▽生産本部生産技術センターシミュレーショングループ主席研究員池田圭一▽チェーンプロダクションカンパニー新井工場安全環境部兼ダイセル新井ケミカル総務部安全環境課生井創三▽同カンパニー同工場同部長兼同社同部同課長矢野浩司▽同カンパニー同工場生産部長兼同カンパニー同工場同部生産グループリーダー兼同社生産開発部長、同カンパニー同工場同部同グループ合成品室担当リーダー兼同社生産開発部合成品生産課長石黒裕規▽(8月1日)▽品質監査室主席部員大東正明▽スマートSBU IC/半導体BUレジスト材料グループ主任部員望田憲嗣。

ダイセル コロナワクチン、職域接種を全国5拠点で開始

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2021年6月22日

 ダイセルはこのほど、政府が発表した方針に沿い、7月から職域での新型コロナワクチン接種を開始すると発表した。接種対象は、同社グループ従業員とその家族、派遣社員とその家族、常駐する協力会社の併せて約1万人のうちの希望者。本社、工場、研究開発拠点など、全国5カ所に接種会場を設置する。

 今回の職域接種により、新型コロナ感染症の発症を予防するとともに、常駐協力会社を含めた接種を推進することで地域での接種率を高めることに貢献し、各拠点での安定した事業活動につなげていく。

ダイセル ザクロ抽出の機能性素材発売、細胞を再活性化

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2021年6月16日

 ダイセルはこのほど、ザクロ果皮から抽出したエラグ酸の腸内代謝物である機能性食品素材ウロリチンA「ウロリッチ」を日本国内で販売開始したと発表した。「ウロリッチ」はザクロ果皮抽出物から発酵法を使って生産されるが、この製法は同社が世界で初めて開発。細胞を再活性化する機能性素材として、サプリメントメーカーに供給していく。

発酵法で製造された「ウロリッチ」
発酵法で製造された「ウロリッチ」

 ウロリチンAは、ザクロに含まれるポリフェノール・エラグ酸が、ヒト腸内の腸内細菌によって代謝されて作られる物質の1つ。オートファジー(細胞の自浄作用)やサーチュイン遺伝子(長寿に関する遺伝子として報告されている遺伝子群)の活性化などにより細胞を再活性化するウェルエイジング素材として注目されている。

 ただザクロなど、エラグ酸を含む食品を摂取しても、腸内細菌叢の条件が整わなければウロリチンAへ代謝することはできない。そのため、普段の食事摂取から十分に補給することは大変難しく、食品素材原料としての開発に期待が寄せられていた。

 これまで化学合成によるウロリチンAの製造は報告されているものの、日本国内では合成法の素材は食品原料として使用できない。こうした中、同社は、独自菌株を複数組み合わせ、嫌気性培養を行うことでザクロ由来エラグ酸からウロリチンAを発酵で製造する方法を世界で初めて開発した。

 同社は、日本オートファジーコンソーシアムに参画するとともに、大阪大学発ベンチャー企業との共同研究を実施し、オートファジーのメカニズム解明に向けて研究を継続している。また、肌に関する機能研究を九州大学と実施しており、他の機能性についても複数の大学で研究中。今後は、ヒトでの効果検証など、さらなる機能性解明に向けて取り組んでいく。