積水化成品 微粒子ポリマーで生分解性の新シリーズを開発

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2019年6月25日

 積水化成品工業は24日、微粒子ポリマー「テクポリマー」の新たなラインアップとして、自然環境で分解される生分解性ポリマー微粒子「テクポリマー」EFシリーズを開発したと発表した。

 開発品は、生分解性樹脂からなるミクロサイズのポリマー微粒子で、土壌中または水中で生分解が進む。従来のポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)粒子に比べ約5分の1という軟らかい粒子のため、滑らかな触感を付与できるほか、優れた光反射性能をもつことから、肌のシミやしわをぼかすソフトフォーカス効果の向上が見込まれる。

 近年、プラスチックによる海洋汚染が深刻化する中、特に、洗顔料や歯磨き粉、ボディーソープに含まれるプラスチック製マイクロビーズによる生態系への影響が懸念されている。

 同社の「テクポリマー」は、独自重合技術を用いた真球状微粒子ポリマー。その特性を生かし、液晶ディスプレイの光拡散材や塗料の艶消し剤など、さまざまな用途に採用されている。化粧品用途では、ファンデーションの滑り性向上や、ソフトフォーカス効果を発揮する添加剤として使われている。

 開発品については来年度からの上市を予定しており、2021年度の「テクポリマー」シリーズ全体での販売目標は、60億円を見込む。これまでも一貫して環境貢献製品を市場に投入してきた同社は、今回開発した生分解性ポリマー微粒子を通じ、自然環境保全の観点から、化粧品用途での採用数を増加させることで、環境リーディングカンパニーとして積極的に貢献していく考えだ。

 さらに、化粧品分野だけでなく、自動車内装材の塗料用途や農薬・土木資材など、他分野への展開を図り、新たな市場開拓を推進していく。

 

積水化成品 EV視野に遮熱タイプの微粒子ポリマー開発

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2018年10月10日

 積水化成品工業は9日、「テクポリマーHM」シリーズの「遮熱タイプ」を開発したと発表した。

 「テクポリマー」は、同社独自の重合技術を用いた微粒子ポリマーで、液晶ディスプレイや照明カバーの光拡散材、塗料・インキの艶消し材など、様々な用途に採用されている。

 節電や省エネ意識が高まる中、遮熱や断熱効果が得られ温度制御に寄与する材料が幅広い分野で求められている。同社はこのような状況に対応するため、同シリーズの遮熱タイプを開発した。

 遮熱タイプを配合した塗膜の特長は①日射を遮るので高い遮熱性を示すこと②可視光から近赤外領域の光反射性に優れること。

 遮熱性能の評価では、透明塗料に同社従来品アクリル微粒子、もしくは新規開発品を加えた場合を比較するため、アクリル板の塗工面(初期温度20℃)を5センチ離した白熱電球で加熱し、光照射に伴う温度変化を測定。60分間の加熱でアクリル板の温度が、従来品は42℃まで上昇したのに対し、新規開発品では33℃の温度上昇に抑えられた。

 また光反射性能の評価では、黒色基材に塗工した塗膜の光反射率を分光光度計で測定。従来品では可視光~近赤外光の反射率が10%以下なのに対し、新規開発品では可視光領域が70%以上、近赤外光領域でも40超~70%前後の反射率を示し、可視光から近赤外光を効果的に反射した。

 同製品の販売目標は、2019年度が3000万円、22年度には5億円を計画。同社は新規開発の「遮熱タイプ」を、従来の塗料用途にとどまらず、車内の温度制御に関する取り組みを積極的に進めているEV(電気自動車)部材への展開を図っていく考えだ。