デンカ クロロプレンモノマー毒性評価、EPAが見直し

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2021年3月8日

 デンカはこのほど、子会社である米国DPE社が2019年に米国環境保護庁(EPA)に提出した、クロロプレンモノマーの健康への影響を研究する最先端の生理学的薬物動態(PBPK)モデルに基づく評価手法に関し、EPAでの査読プロセスが終了したと発表した。

 DPE社はEPAの提案を踏まえ、2018年に提出した毒性評価の「再考要請(RfR)」を取り下げるとともに、今後数カ月内にPBPKモデルを考慮に入れた正式な「見直し要請(RfC)」をEPAに提出する予定。PBPKモデルの試算では、EPAの2010年の統合リスク情報システム(IRIS)で策定されたクロロプレンモノマー毒性評価は本来より約130倍過剰に評価したことを示している。

 EPAへ新たに提出するRfCは、EPAによる毒性評価見直しの通常プロセスの一環としてDPE社が取り下げたRfRに置き換わるもの。EPAはこれを、PBPKモデルを毒性評価に組み込むためのより適切なプロセスであるという見解を示しており、DPE社はEPAと引き続き連携して取り組んでいく。

 ピッツバーグ大学の研究者らが更新した主要な疫学的研究では、クロロプレンモノマーを取り扱う米国施設で従事した作業員約7000人を70年近くにわたり追跡調査した結果、肺がんおよび肝臓がんによる死亡率は、クロロプレンモノマーへの曝露と関連がないと結論づけられた。また、ルイジアナ州腫瘍統計局による調査では、工場のある地域の発がん率は、同州全体の発がん率に比べ大きな差異は見られなかったと公表。PBPKモデルによる試算結果はこれらの報告とも整合している。

 科学に基づいた取り組みに加えて、DPE社は3500万ドル(約40億円)以上を投資しクロロプレンモノマーの排出量を85%削減した。引き続き、DPE社は州および連邦規制当局と協力して、化学物質に関する最善の科学を追究するとともに、さらなる環境負荷低減に努めていく。

デンカ 高断熱ボード・成形体を開発、CO2削減に貢献

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2021年3月5日

 デンカは4日、CO2削減に貢献する高断熱ボード・成形体を開発したと発表した。高温環境下で長期間使用可能な高断熱素材として、2021年度上期より試験販売を開始する。

高断熱ボード・成形体
高断熱ボード・成形体

 同開発品は結晶質アルミナ短繊維「デンカアルセン」に、無機材料設計の基盤技術を応用し自社開発した高耐熱・多孔質セラミックス材料。CA6(カルシウムヘキサアルミネート)を複合させることで、固体・気体熱伝導を低減し、特に1400℃領域高温下での良好な断熱性能を発揮する構造を実現した。これまで技術的に困難とされていた1000℃以上の高温下での良好な断熱性により、従来の耐火材と比較して、約60%のCO2削減効果が見込まれる。また、CA6を有効に適用したことで酸化鉄による耐浸食性も改善されることから、鉄鋼業向けへの採用も期待できる環境貢献製品。

 デンカは、経営計画の中で高付加価値インフラ事業を重点分野と位置づけている。鉄鋼業界をはじめとする各産業界が2050年に向けてカーボンニュートラルに取り組む中、SDGsを羅針盤に持続可能な社会の実現に向けて同社の特色を生かした環境貢献製品の開発を進め、「真に社会に必要とされる企業」を目指していく。

デンカ 住設関連統合新会社「デンカアステック」を設立

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2021年3月2日

 デンカは、今年4月1日付で住設関連統合新会社「デンカアステック」を設立する。住設事業のソリューションカンパニーとしてスペシャリティー化を加速する狙いだ。

 プラスチック製雨どいをはじめとした同社の住設事業を、金属雨どいを製造・販売する連結子会社中川テクノ(兵庫県加西市)に承継し、デンカアステック(東京都港区)として新たにスタートする。デンカグループの経営資源を集約・融合し営業力を強化するとともに、雨どい事業の成長だけでなく住宅様式の多様化に適応した省力化、防災、環境対応などの課題を解決する住設関連製品開発を通じて新規事業を創出し、経営計画「Denka Value-Up」達成に向けたスペシャリティー化を加速する。

 

デンカ ポバールの値上げ、「30円/kg以上」で実施

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2021年3月2日

 デンカはこのほど、ポリビニルアルコール「デンカポバール」の価格を今月1日出荷分から「30円/kg以上」値上げすると発表した。

 酢酸ビニルモノマーなどの各種原材料価格やユーティリティ、物流費などが上昇する中、同社は継続してコスト削減化に努めているが、これらのコスト上昇は自助努力で吸収できる範囲を超えており、製品の安定供給と事業の維持継続のためには価格改定せざるをえない状況と判断した。

デンカ 人事(3月1日)

2021年2月26日

[デンカ・人事](3月1日)▽生活・環境プロダクツ部門アドバンストテープ部課長髙橋大介▽ライフイノベーション部門ワクチン・診断薬事業本部東京メディカル支店営業第一課長小林直人▽同部門同本部国内試薬事業部POCT営業部POCT販売課長鈴木貴▽大阪支店アドバンストテープ課長藤原克朗(4月1日)▽DAS電化精細材料(蘇州)有限公司総経理城石靖暢▽YKアクロス横山聡。

デンカ 役員人事(4月1日)

2021年2月18日

[デンカ・役員人事](4月1日)▽代表取締役会長山本学▽社長兼社長執行役員今井俊夫▽取締役特別顧問𠮷髙紳介▽Executive Fellow(3月末専務執行役員退任)清水紀弘▽顧問(3月末専務執行役員退任)鈴木正治▽専務執行役員技術統括(CTO)資材部、物流統括部、電力部、生産・技術部、エンジニアリング部、デジタル推進部担当新村哲也▽顧問(3月末常務執行役員退任)平野秀樹▽常務執行役員エラストマー・インフラソリューション部門長田渕浩記▽YKアクロス副社長(3月末常務執行役員退任)横山豊樹▽常務執行役員環境対策推進統括内部統制部、環境保安部、サステナビリティー推進部、品質保証部担当渡辺祥二郎▽同役員研究開発統括新事業開発部、研究推進部、知的財産部担当吉野信行▽同役員DCHA・DSPL・DAPLマネージングダイレクター徳本和家▽同役員ライフイノベーション部門長高橋英喜▽同役員コンプライアンス担当(CCO)経営企画部、コーポレートコミュニケーション部、Automotive Materials&Solution開発推進部、DCU、DCG担当Denka Value-Up推進担当高橋和男▽執行役員経理部担当林田りみる▽デンカアステック社長(3月末執行役員退任)大須賀仁一▽執行役員大牟田工場長石塚芳己▽同役員秘書部、総務部、法務部、人財戦略部担当浅見清▽同役員渋川工場長笹川幸男▽同役員デンカパフォーマンスエラストマーLLC社長清水美基雄▽同役員研究開発統括補佐イノベーションセンター担当先進技術研究所長戸谷英樹▽同役員青海工場長香坂昌信▽同役員ポリマーソリューション部門長石塚賢二郎。

 

デンカ 組織改正(4月1日)

2021年2月17日

[デンカ/組織改正](4月1日)▽青海工場の石灰石・カーバイドチェーン事業全体の最適化を推進するため、エラストマー・機能樹脂部門のエラストマー部とインフラ・ソーシャルソリューション事業を統合し、エラストマー・インフラソリューション部門とする▽樹脂関連事業について、モノマー製造からリサイクルまでのサプライチェーン全体の最適化を推進するため、エラストマー・機能樹脂部門の機能樹脂事業と生活・環境プロダクツ事業を統合し、ポリマーソリューション部門とする▽生活・環境プロダクツ部門のアドバンストテープ部については、今後の自動車分野での事業拡大促進のため、電子・先端プロダクツ部門に編入する。

 

デンカ 新型コロナとインフルエンザの同時診断キット

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2021年2月12日

 デンカはこのほど、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを1つのデバイスで同時に診断できる抗原迅速診断キット(コンボキット)を開発し、体外診断薬としての国内薬事承認を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請した。

 このコンボキットは、イムノクロマト法により1つのデバイスで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原とインフルエンザウイルス(A型とB型)抗原を検出し、短時間で陽性/陰性の検出結果を識別する。両感染症は症状による見分けがつきにくいため、同時判定により適切な治療方法の適用と医療関係者の負担軽減が期待される。

 同社は検査試薬事業で長年実績があり、インフルエンザウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-Flu2」やアデノウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-アデノ2」などに加え、昨年8月から新型コロナウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-COVID19 Ag」を発売し、販売提携先の大塚製薬とともに全国の医療機関に供給している。

 「クイックナビ-COVID19 Ag」は特別な検査機器を必要とせず、鼻咽頭または鼻腔ぬぐい液中の新型コロナウイルス抗原の有無を約15分で診断でき、一般の医療機関でも迅速簡便に検査できるため普及が進んでいる。抗原検査拡充のために、1日10万検査分の生産能力を、11月からは最大13万検査分に増強した。感染症対策を社会的責務と捉え、充分な供給体制の下、一般医療機関での新型コロナウイルス抗原検査のさらなる拡充に貢献していく考えだ。

 

デンカ 次期社長に今井俊夫取締役専務執行役員が就任

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2021年2月8日

 デンカは5日、同日に取締役会を開催し、次期社長に今井俊夫(いまい・としお)取締役専務執行役員の就任を決議した。山本学社長は代表取締役会長に就任する。就任予定日は4月1日。

今井俊夫氏。次期社長に就任する
今井俊夫氏。次期社長に就任する

 今井氏は、神奈川県生まれの62歳。1982年3月に早稲田大学政治経済学部を卒業し、同年4月に同社に入社した。スチレン事業部長や経営企画室長を経て、2013年に執行役員(エラストマー・機能樹脂部門長補佐)、2017年に常務執行役員(エラストマー・機能樹脂部門長)、2019年に取締役常務執行役員などを歴任し、昨年4月からは現職の取締役専務執行役員を務めている。

デンカの4-12月期 減収増益で過去最高益

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2021年2月8日

 デンカは5日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比9%減の2620億円、営業利益17%増の280億円、経常利益20%増の273億円、純利益13%増の189億円となった。成長分野製品の伸長や固定費の削減などで、営業利益と経常利益は第3四半期連結累計期間として過去最高だった。

 セグメント別にみると、エラストマー・機能樹脂部門は減収減益。クロロプレンゴムは回復傾向に転じたが減収、MS樹脂はTVやモニターの導光板用途などで堅調だが、スチレンモノマー、ポリスチレン樹脂、MS樹脂の原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しで減収減益となった。クロロプレンゴムの需要回復が続くと見込むが、通期では減益の見通し。

 インフラ・ソーシャルソリューション部門は減収減益。農業・土木用途のコルゲート管は堅調だが、セメントや特殊混和材、肥料、耐火物・鉄鋼用材料の販売は感染症と天候不順の影響で減収減益。第4四半期も価格の維持やコスト抑制に努め、通期での営業黒字を目指す。

 電子・先端プロダクツ部門は増収増益。5G関連やデータセンターの需要拡大で電子部品・半導体搬送用部材の高機能フィルムや半導体封止材向け溶融シリカフィラーが堅調、xEV関連の球状アルミナ、高純度導電性カーボンブラックが伸長し、増収増益となった。xEVと半導体関連製品の好調継続を見込み、通期では増益の見通しだ。

 生活・環境プロダクツ部門は減収増益。プラスチック雨どいと合繊かつら用原糸、工業用テープは回復基調だが数量は前年割れ。一方、テイクアウト需要の増加で食品包材用シートとその加工品の堅調な販売に加え、原材料価格下落や固定費削減が増益に寄与した。原材料価格上昇の恐れもあるが通期では増益の見通しだ。

 ライフイノベーション部門は増収増益。インフルエンザ診断キットの出荷は前年割れだが、インフルエンザワクチンの増販と新型コロナウイルス抗原迅速診断キットの販売開始で増収増益。通期でも抗原迅速診断キットの寄与などで増益を見込む。その他部門は減収だった。なお、通期の連結業績予想の変更はない。