三井化学はこのほど、ヒトの体温を感知してカラダに馴染む新素材シート「HUMOFIT(ヒューモフィット)」の市場開発を開始したと発表した。
『HUMOFIT』 シートが手に馴染む様子
同素材は、触れた瞬間から柔らかくなり始め、触れたその手にあっという間に馴染むという、不思議な感覚を持っている。この特性を生かして、「ヒトによりそい、やわらかくつつみこむ、あたらしいここちよさ」を提供し、カラダとモノの不一致による痛みや、疲労、違和感から、人々を開放できる素材として期待されている。
形状記憶シートとして約3年前から各種展示会やウェブサイトを通じて紹介を始めており、以来、そのユニークな素材特性から、幅広い業界の開発者や企画担当者、デザイナーなどから多くの反響を得ている。
「ヒューモフィット」にそういった特長を付与する秘密は、ポリマーが劇的に軟化する温度=ガラス転移温度。同素材のガラス転移温度は約28℃。つまり室温(約23℃)とヒトの体温(約36℃)の間にガラス転移温度が存在しているためだ。例えば、ヒトの手の体温がこのシートに熱を伝えると、シートの温度がガラス転移温度を超えることにより、触れたその手に瞬時に馴染むという不思議な心地よさが得られる。
用途としては、カラダへのフィット感を求めるニーズから、アパレル・シューズ・シート・バンド・サポーター・寝具・ヘルメット・ヘッドホン・スポーツ製品などが想定される。また、新型コロナウイルスの影響により、リモート社会へのパラダイムシフトが始まった社会では、ウェアラブル・VR・AR・eスポーツ・医療IoTなど、新たな市場で、カラダに装着するデバイスの需要が急拡大することが予想される。
三井化学は今後、同素材の開発を通じて、急成長が期待される新市場にも「ヒトによりそう」やさしい素材として貢献していく考えだ。
なお、「ヒューモフィット」特設サイト(https://jp.mitsuichemicals.com/jp/special/humofit/index.htm)では、各種素材特性やデモ動画、サンプル請求方法などを公開している。