三菱ケミカル 自動車関連技術・製品デジタル展示会を開催

, ,

2021年5月27日

 三菱ケミカルは26日、自動車関連事業の技術・製品のデジタル展示会を開催すると発表した。期間は今月26~7月2日まで。同社は「未来のクルマをお客様と創りたい」という想いから、次世代自動車に求められる技術とソリューションを提案するため、デジタルマーケティングに注力。今回、自動車関連技術・製品を紹介するウェブページを新設し、あわせてデジタル展示会を実施する。

デジタル展示会
デジタル展示会

 デジタル展示会は、カヤック社が開発した「オンラインイベントプラットフォーム Remobiz(リモビズ)」を活用。オンライン上で顧客とのビデオ通話などを実施し、顧客に対するサポート力の強化を図る。アクセスは、リモビズ(https://mcc-ams.re-mo.biz/)、自動車関連技術・製品ホームページ(https://mcc-ams.com/)まで。

三菱ケミカルなど 「IBM Q」で有機EL励起計算に成功

, , , , , ,

2021年5月27日

 三菱ケミカル、JSR、日本IBM、慶應義塾大学は26日、「IBM Qネットワークハブ」(慶應大量子コンピューティングセンター内)で以前から取り組んでいた「量子コンピューターを用いた有機EL発光材料の性能予測」の研究プロジェクトで得られた成果に関する論文が、世界的に権威のあるNature Research出版社の専門誌「npj Computational Materials」に掲載されたと発表した。

IBM 量子コンピューター
IBM 量子コンピューター

同研究プロジェクトは、有機EL発光材料の1つであるTADF材料の励起状態エネルギーの計算を実施するため、三菱ケミカルとIBMが主導し、JSRや慶應大と共に取り組んできた。従来から量子コンピューターによる計算は実機特有のエラーの発生が課題となっていたが、今回、同プロジェクトではエラーを低減させる新たな測定手法を考案し、計算精度を大幅に向上させることに成功した。量子コンピューター実機を用いて実用材料の励起状態計算に成功したのは、世界初の成果となる。

 今後、実機の計算能力の進化と共に従来以上に精密な計算を行えるようになり、より発光効率の高い材料設計に寄与することが期待される。同研究チームは今後も、量子コンピューターを幅広い材料開発に用いるための研究を進めていく。

三菱ケミカル ソアノール関連製品を値上げ、コスト高に対応

,

2021年5月27日

 三菱ケミカルは25日、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂「ソアノール」と関連製品について、6月1日出荷分から値上げすることを決定し取引先との交渉を開始したと発表した。対象製品は「ソアノール」「ソアレジン」「ソアライト」で、改定幅は、日本・韓国とも「45円/kg」。

 ナフサ市況などの上昇に伴う主原料価格の高騰に加え、設備維持費用や物流費なども増加しており、製品の収益を大幅に圧迫している。同社は、徹底したコストダウンに取り組んできたが、自助努力だけではコスト上昇分を吸収することが困難な状況にあり、旺盛な需要に対応した安定的な製品供給を継続するには採算是正が必要であると判断した。

三菱ケミカルとJSW 世界最大級のGaN基盤製造設備竣工

, , , , ,

2021年5月26日

 三菱ケミカルと日本製鋼所(JSW)はこのほど、窒化ガリウム(GaN)単結晶基板の量産に向けた実証設備をJSW M&E室蘭製作所構内に共同で竣工したと発表した。今年度にかけて4インチのGaN単結晶基板の量産に向けた実証実験を行い、2022年度初頭からの市場供給開始を目指していく。

パイロット設備で育成した各種 GaN 結晶
パイロット設備で育成した各種 GaN 結晶

 GaNは、高効率・高耐久性により超高効率デバイスの実現を可能にする素材。大幅な消費電力の削減によりCO2排出量も削減できることから、環境負荷の低減が期待されている。GaNは青色LED用途のみならず、①高出力・高輝度光源、②情報通信、③パワー半導体、といった用途での応用が期待されている。

 JSWは、人工水晶製造用のオートクレーブ(圧力容器)を製造し、日本国内のシェアは100%で累計415基、海外も24基の実績がある。またグループ会社で30年間にわたり人工水晶を製造し、主に国内のカメラメーカーに多くの光学部品を納入している。

 一方、三菱ケミカルは、気相成長法(HVPE)と化合物半導体の加工技術を用いた高品質なGaN基板の製造技術を保有。より高い生産性を目指し独自の液相成長法(SCAAT)によるGaN基板の開発を進めている。

 両社は、東北大学と共同で大口径・高品質・低コストGaN基板の製造技術の開発を進めてきた。さらに名古屋大学・天野研究室とも結晶成長や特性評価等の共同研究体制を構築している。2017年には、室蘭製作所内に建設したパイロット設備において、透明で結晶欠陥が極めて少ないGaN基板の低コスト製造技術の開発に成功し、4インチサイズの均一な結晶成長も確認した。

 新たに開発した製造プロセス「SCAAT-LP」は、従来の約半分の圧力条件となる低圧酸性アモノサーマル技術を利用した、将来の量産に向けた製造技術となる。今回、導入する大型設備では、「SCAAT-LP」を用いて4インチのGaN基板の量産に向けた実証実験を行う。この結果を踏まえ、GaN基板の安定供給体制を構築するとともに、近年需要が増加するパワーデバイス用途に適用可能な6インチ基板の開発にも取り組んでいく。GaN基板は、パワーデバイスをはじめ、光エネルギー、電波エネルギーに関する様々な用途への応用が期待される。

 両社は、未来の社会を支える材料として重要な位置づけをもつ高品質なGaN基板の供給を通じ、燃費・発電効率向上といったエネルギーミニマム社会への貢献を目指していく。

 

三菱ケミカル PMMAケミカルリサイクル、実証試験を実施

, , , ,

2021年5月25日

 三菱ケミカルと連結子会社三菱ケミカルメタクリレーツは24日、PMMA(アクリル樹脂)のケミカルリサイクル(CR)の事業化に向け、今年6月に日本国内で実証設備を建設し、事業化に向けた実証試験を進めると発表した。

通常のアクリル樹脂板(左)とリサイクルされたアクリル樹脂板(右)
通常のアクリル樹脂板(左)とリサイクルされたアクリル樹脂板(右)

 アクリル樹脂は優れた透明性・耐光性をもつプラスチック製品で、自動車のランプカバー、看板、水族館の水槽、塗料、建材などに幅広く用いられており、その世界需要は300万tを越える。また昨今では、飛沫感染防止用のアクリル樹脂板の需要が世界各地で増加している。

 両社は、かねてからアクリル樹脂のリサイクルに向けた検討を推進。環境に対する意識が世界でも先行し、よりスピード感が要求される欧州においては、現行のリサイクル技術を導入したアクリル樹脂リサイクル設備建設の検討を進めており、近いうちに決定する見通し。

実証設備の完成予想図
実証設備の完成予想図

 一方、日本国内では、アクリル樹脂のリサイクル技術検討のパートナーであるマイクロ波化学と協力。同社大阪事業所内で新たに建設を進めていた実証設備が6月に完成する。欧州と日本国内でその地域特性に合わせたそれぞれのアプローチで、2024年の稼働を視野に、アクリル樹脂のリサイクルプラントの建設に向けた検討を本格化する考えだ。

 廃アクリル樹脂は、製造工場から出る廃材に限らず、将来的には広く市場から回収することを視野に入れる。廃車からのテールランプなどのアクリル樹脂の回収、そのCRや再利用について、本田技研工業とともにスキームの検討を進めており、今回の実証設備を用いたリサイクルシステムの実証試験についても共同で実施していく。

 三菱ケミカルのアクリル樹脂リサイクル技術により製造されたMMA(メチルメタクリレート)とそれを原料として製造されたアクリル樹脂は、透明性をはじめ通常品と同水準の性能を保つとともに、製造工程でのCO2の排出量が従来よりも70%以上削減できると見込んでおり、環境負荷低減に大いに貢献することが可能である。

 同社はMMAおよびアクリル樹脂における世界ナンバーワンシェアのメーカーとして、同事業のサーキュラー・エコノミー実現に向けた取り組みを積極的にリードしていく。

 

三菱ケミカル エポキシ樹脂など値上げ、原料高騰に対応

, ,

2021年5月24日

 三菱ケミカルは21日、エポキシ樹脂とエポキシ硬化剤について、6月1日の納入分から値上を実施し取引先との交渉を開始したと発表した。対象製品と改定幅は、ビスフェノールA型/F型エポキシ樹脂が「100円/kg」、同エポキシ樹脂希釈タイプが「47~93円/kg」、特殊エポキシ樹脂が「18~119円/kg」、エポキシ樹脂硬化剤が「73~115円/kg」。

 今年に入り、エポキシ樹脂およびエポキシ硬化剤の主原料であるビスフェノールAやエピクロルヒドリンの価格が高騰していたが、足元ではさらに騰勢を強めている。同社は、これらの大幅なコストアップを自助努力により吸収すべく最大限努めているものの、今後も安定供給体制を維持するため、今回の値上げを決定した。

三菱ケミカル 溶融繊維を値上げ、工場の維持・管理費が上昇

,

2021年5月19日

 三菱ケミカルは18日、溶融繊維について6月1日から値上げする、と発表した。改定幅は、全品種「100円/kg」。

 同社は、溶融繊維の国内市場規模が縮小する中、国内生産を維持し安定供給や環境対策、品質・サービスの向上に取り組んできた。しかし、工場の維持・管理のための諸費用も上昇しており、事業の採算を圧迫している状況。

 こうした中、同社は、製品の統廃合による製造コストの削減や販管費の圧縮など、より一層のコストダウンに努めてきたが、自助努力だけではコスト上昇分を吸収することが極めて困難であると判断し、今回の値上げを決定した。

三菱ケミカル アクリル酸エステルを値上げ、原料上昇に対応

,

2021年5月17日

 三菱ケミカルは14日、アクリル酸エステル製品について、今月21日出荷分から値上げを実施することとし、取引先との交渉を開始したと発表した。対象製品は、アクリル酸ブチルとアクリル酸2エチルヘキシルで、改定幅は「10円/kg以上」。

 同製品の原料となるオキソアルコールは、ナフサ価格の上昇に加え、2月1日出荷分から値上げを実施したことで価格が上昇している。同社は、今後の安定的な供給を継続するために、同製品の値上げを決定した。

 

三菱ケミカル 中国のBPA・PC合弁事業、全株式を譲渡

, , , , , ,

2021年5月12日

 三菱ケミカルはこのほど、ビスフェノールA(BPA)とポリカーボネート(PC)樹脂を展開する、持分法適用会社である中石化三菱化学聚碳酸酯(北京)有限公司(SMP)の保有株式を、今年10月末を目途に中国石油化工股份有限公司(Sinopec)に譲渡することで同社と合意したと発表した。

 SMPは2009年に三菱ケミカルおよび三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)の共同投資会社であるピーシーアール・インベスツメンツ・ジャパン(PCRIJ)とSinopec社の合弁会社として設立し、BPAおよびPC樹脂の製造・販売を展開してきた。

 2012年に製造を開始して以来、中国をはじめとする両製品の需要増加に対応してきたが、三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画に基づいたポートフォリオ改革の一環として、PCRIJが保有するSMPの全株式をSinopec社に譲渡することを決定した。

 

三菱ケミカル 速硬化型炭素繊維プリプレグを販売、1分で硬化

, ,

2021年5月11日

 三菱ケミカルは10日、従来品より硬化時間を大幅に短縮した、 最短1分で硬化可能な速硬化型の炭素繊維プリプレグの販売を4月から開始したと発表した。

 航空機や自動車などのモビリティ用途では、環境規制などを背景に機体車体の軽量化要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備える炭素繊維複合材料(CFRP)の利用が進む見込み。また、今後普及すると見られるウェアラブル端末向けにも、CFRPが有望視されている。

 一方、一般的にCFRPの成形加工は時間がかかるため、CFRPのさらなる普及には、生産性を向上させる技術が求められている。同プリプレグは、同社が独自に開発したマトリックス樹脂を適用することにより、これまで実現が難しかった、最短1分での速硬化性と、従来品と同レベルの保存安定性を両立。自動車部材に要求される耐熱性も兼ね備えており、高い機械的強度ももつ。既にサンプルワークを進め、一部製品での採用も決まっている。

 同社は、多様化・高度化する顧客の要望に応える複数の新製品の開発を進めており、今後も引き続き、最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく。

速硬化CFRPプリプレグ 硬化時間
速硬化CFRPプリプレグ 硬化時間