三菱ケミカルは26日、アクリル酸エチルについて価格改定を実施することとし取引先との交渉を開始したと発表した。改定幅は「10円/kg以上」で、改定時期は11月2日出荷分からとなっている。
同製品の供給に関連する物流費などの販売関連費用が上昇している。こうした中、同社は継続的なコスト削減に努めてきたが、これらのコスト上昇分を自助努力で吸収することは極めて困難と判断し、今回の価格改定を決定した。
2020年10月27日
2020年10月23日
コロナ禍の生活様式に対応、低コストで導入可能
飛沫感染防止用のビニールカーテン素材として、三菱ケミカルグループのダイヤプラスフィルム社の軟質塩ビフィルム「アルトロン」が注目されている。

これまで主に工場や精密機器を製造するクリーンルームなどで使用され〝製造現場の名脇役〟として活躍していた「アルトロン」だが、その優れた性能が評価され、飛沫感染防止用の吊り下げ式カーテンとしての需要が拡大。加工製品販売では、4月以降、前年同月比で数倍から数十倍で推移し、6月以降は特に防炎タイプの受注が増加している状況だ。
ウィズコロナを前提とした「新しい生活様式」での日常化が進む中、飲食店をはじめ対面接客が必要な施設では、飛沫感染防止策として樹脂製のパーティションが一般化。4月には、コンビニチェーン各社が感染拡大防止策の一環として、レジカウンターへの透明シート設置を発表し、5月には政府の専門家会議が提言の中で、「人と人が対面する場所は、アクリル板・透明ビニールカーテンなどで遮蔽する」と、感染予防の具体例として紹介された。
緊急事態宣言解除に伴い経済活動が再開されてからは、スーパーマーケットやドラッグストアなどのレジカウンターをはじめ、公共サービス機関の窓口、公共交通機関、オフィスの間仕切りなどにも吊り下げ式の透明ビニールカーテンが使用され、今や、「新しい生活様式」の1つとして目にする機会が増えている。
吊り下げ式のビニールカーテンは特徴として、アクリル製のパーティションと比べ「設置台が不要」「高さや横幅など必要なサイズを各自で調節できる」「比較的低コストで導入可能」などのメリットがある。特に店舗レジなどでは、顧客と品物のやり取りが発生するため、カウンターに一定の空間が必要となることから、高さ調整に融通のきくビニールカーテンが好まれる傾向だ。
また、「アルトロン」には、工場の間仕切りやビニールブースなどに使用する汎用タイプのほか、消防法施行令に適合した「防炎」タイプをはじめ、「耐電防炎」「静電防止」「静電防炎」といったニーズに応じて各種ラインアップを揃える。
一方、こうした中、大阪のショッピングセンターで、客がライターを試しに点火したところ、レジカウンターに設置したビニールシートに引火して火災が発生。消防や自治体では使用に関する注意を呼び掛けており、消防庁からは延焼を防ぐ防炎品の使用が推奨されるようになった。
ダイヤプラスフィルム社では、引き続き、防炎タイプをはじめとした軟質塩ビフィルム「アルトロン」を必要とするユーザーすべてに供給可能な体制を構築し、新型コロナウイルス感染拡大防止の一助となるよう取り組んでいく考えだ。
2020年10月15日
三菱ケミカルは、公益社団法人発明協会が主催する令和2年度全国発明表彰で、「バイオマス資源由来の汎用ポリエステル製造技術の発明」により「朝日新聞社賞」を受賞した。
同発明は、バイオマス資源由来のポリエステルに実用強度、意匠性、実用耐久性、土中分解性の促進などの機能を付与する製造技術の発明で、同社の「BioPBS」などの生分解性樹脂の製造に活用されている。全国発明表彰は、日本の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に、独創性に富む優れた発明などを表彰している。
今回受賞した発明は、バイオマス資源由来のジカルボン酸やジオールを主原料とすることにより、従来の石油由来の製品と比べ、二酸化炭素の排出量削減に大きく貢献することが評価された。
同社は、今回の発明以外にもバイオマス資源由来の製品に関する技術を多数保有し、また、同発明については、米国、欧州、中国へも特許登録を完了し技術展開を行っている。同社は、これらの技術を活用して、積極的にバイオマス資源由来製品の普及および市場のさらなる拡大を促進し、持続可能な社会に貢献していく。

2020年10月14日
三菱ケミカルは13日、高分子凝縮剤の販売事業をMTアクアポリマーとハイモに譲渡することを決定したと発表した。販売事業を譲渡した後、三菱ケミカルは両社から高分子凝集剤の製造を受託することとなる。
対象製品は、MTアクアポリマー(東亞合成:51%、三井化学:49%)には、アニオン系、カチオン系、両性系およびそのブレンド品からなる高分子凝集剤と有機凝結剤。
一方、ハイモには、①N‐ビニルホルムアミド、ポリビニルアミン②ポリビニルアミジン系およびそのブレンド品からなる高分子凝集剤と有機凝結剤③高分子凝集剤、凝結剤および定着剤などの液状ポリマー④消臭消泡剤、脱水剤および無機凝結剤など。譲渡時期は来年3月31日を予定している。
三菱ケミカルは三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画に基づき、ポートフォリオマネジメント改革を推進しており、その一環として、対象の販売事業を譲渡する。
MTアクアポリマーは今回譲渡する製品と同種の製品の製造販売を手掛ける国内有数の高分子凝集剤メーカーであり、ハイモは譲渡対象製品を三菱ケミカルと共同研究開発した経緯があるなど、当該製品の取り扱いに長けた水処理薬剤メーカー。両社は三菱ケミカルが培った広範な販売ネットワークや技術などを引き継ぐことにより、それぞれが得意とする分野の高分子凝集剤事業の強化が期待できる。
2020年10月8日
2020年10月6日
三菱ケミカルは5日、同社が参画する微細藻類を利用した事業モデルの実証研究プロジェクトが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業「バイオジェット燃料生産技術開発事業/微細藻バイオマスのカスケード利用に基づくバイオジェット燃料次世代事業モデルの実証研究」に採択されたと発表した。同プロジェクトはユーグレナ、デンソー、伊藤忠商事と共同で行う。
微細藻類は光合成により二酸化炭素を吸収することからカーボンリサイクル技術の1つと位置づけられており、NEDOは地球温暖化防止対策としてバイオジェット燃料の普及を推進している。今回のプロジェクトは、その原料となる微細藻類を安定的に大量培養する技術の確立を目的としており、実用化に向けた規模での実証事業を行っていく。
三菱ケミカルはプロジェクトの中で微細藻類の回収技術高度化を担っており、これまで培ってきた膜分離技術を活用し、現在主流となっている遠心分離法よりも効率的で低コストの回収・濃縮技術の確立を目指す。また、ろ過濃縮試験については中央大学とも連携する。
三菱ケミカルは、プロジェクトを通じて膜分離技術を用いた微細藻類の濃縮・分離プロセスを確立し、「CO2削減」「炭素循環」「食糧・水」などの社会課題解決に貢献していく。

2020年10月5日
2020年10月1日
三菱ケミカルは30日、経営を担う人材の役割と責任を改めて定義するとともに、意思決定のスピード、および事業運営を担当する人材配置の柔軟性をさらに向上させるため、11月1日付で経営執行制度を変更すると発表した。
同社は、大きく変化する市場環境や激化するグローバル競争に適応するとともに、多様な人材をひきつけ、多様な人材が活躍できる環境を実現するため、人事制度改革を進めている。今回、その一環として執行役員制度を変更することにより、職責・職務と処遇の関連性を明確にし、経営執行を担う人材をより柔軟に配置する体制とする。
新たな経営執行制度の具体的内容は、①執行役員の再定義:常務執行役員を「当社全社の経営を率いる戦略的な機能を担うポジションに従事する者」とし部門長および共通部門所管役員など経営幹部を任命、②「経営執行職」の新設:「事業運営における中核を担い、担当領域の成長を担うポジションに従事する者」とし本部長・部長および場所長などを中心とした幹部人材を任命、③「理事役」の廃止、となっている。
同社は今後も、会社と人材が互いに選び、生かしあう関係を構築し、ともに成長していく文化を形成することにより、事業を成長させるとともに、KAITEKI実現を目指していく。
2020年9月25日
2020年9月24日
三菱ケミカルは23日、アセテート繊維「ソアロン」のサステナビリティへの新たな取り組みとして、「SOAGREEN PROGRAM」を開始したと発表した。同製品の環境負荷度を数値化・分類し、客観性をもたせることで「可視化」を図るのが狙い。
「ソアロン」は、木材パルプを原料とする半合成繊維で、国内のみならず、海外でもサステナブル素材として注目されている。同社はこれまで、同製品の原料調達からテキスタイル製造までの各段階でサステナビリティを担保するために、「Bluesigh」認証など各種第3者認証を取得してきたが、個々のテキスタイル商材は糸構成や生産プロセスも多様で、それぞれの環境負荷度を客観的に示す評価基準がなかった。
三菱ケミカルは今回、こうした個々に異なるテキスタイル商材の環境負荷度の可視化を図るため同プログラムを策定。設計・製織/製編・染色といった生産段階ごとに、内容・工程・手法を検証し、「ソアロン」専用に設定した独自の評価基準に基づき採点評価、各商材を等級化して3つのクラス「SOAGREENレベル」に分類する。商材ごとに環境負荷度を示すことで、顧客の素材評価に際し、従来の「素材感」や「品質」などに加え、新たにサステナビリティ視点での検討も可能になる。
同社は今回の取り組みを通じ、個々の商材の改善に向けたポイントもより明確化することが期待できることから、「ソアロン」商材群全体のサステナビリティのさらなる向上を目指す考えだ。