住友化学と積水化学工業は27日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療従事者が着用する医療用ガウンの不足を受けて、合計30万着を政府など関係先に寄付すると発表した。
この医療用ガウンは、両社が出資する住化積水フィルムが中国のガウン製造企業から調達し、同中国企業から寄付先へ直送されるもので、住友化学と積水化学がそれぞれ15万着を購入し寄付する。
両社は、新型コロナウイルス感染拡大の早期終息に向けて、行政や業界団体などと連携を図りながら、今後も最大限の支援策を検討していく。
2020年4月28日
2020年4月23日
住友化学は22日、EUV(極端紫外線)をはじめとした最先端プロセス向け半導体フォトレジストの開発・評価体制強化のため、大阪工場に新棟を建設するとともに、新規評価装置を導入すると発表した。2022年度上期の完成を目指す。
フォトレジストは、半導体製造工程のパターン形成に使用される感光性樹脂。同社はこれまで、高機能フォトレジスト原料の設計や量産化技術に加え、製造・研究・販売の大阪工場構内集約によるタイムリーな顧客対応力などを生かし、フォトレジスト事業を拡大してきた。旺盛な需要に応えるため、昨年度には、世界的に高いシェアを持つ液浸ArF(フッ化アルゴン)露光向けフォトレジストについて、大阪工場で新プラントを建設し生産能力の増強を行った。
半導体市場では今後、AI技術の進化や5Gの本格商用化などを背景に先端半導体の需要伸長が期待されている。こうした領域ではEUV露光が主流になると見込まれ、そのパターン形成にはさらなる微細化に適したフォトレジストが求められている。同社は、これまで培ってきた豊富な知見と独自コンセプトに基づく材料設計によって、EUVレジストの大幅な性能の向上を実現した。需要家から高い評価を受けており、近く量産を開始する計画だ。
今回の体制強化は、フォトレジスト事業の一層の成長を目指した中長期的な事業基盤整備の一環。クリーンルームの新棟を建設し、新たな露光機を導入することで、EUVレジストなどの開発効率を向上させ、顧客へのレスポンスを加速するとともに、品質保証体制を強化する。最先端レジスト分野での今後の事業拡大にあわせて、さらなる投資も検討していく。
住友化学は、中期経営計画の中で「ICT」を重点分野の1つと位置づけている。今後も、フォトレジスト事業のみならず高純度ケミカルおよび化合物半導体材料事業の成長や、ディスプレイ事業とのクロスオーバー戦略を通じて、半導体材料事業全体のポートフォリオ拡充を図り、Society5.0に代表されるスマート社会やスマートモビリティの実現に欠かせない半導体産業の発展に貢献していく考えだ。
2020年4月17日
2020年4月16日
住友化学は15日、新型コロナウイルス感染症の対策支援として、日本経済団体連合会(経団連)を通じて、緊急用に備蓄していた2万枚のN95マスクを寄付すると発表した。医療現場での新型コロナウイルスを含んだ飛沫による感染を防ぐことのできるN95マスクなど呼吸器防護具が不足していることに対応したもの。
なお、N95とは、米・労働安全衛生研究所(NIOSH)が定めた規格で、「N」は耐油性がないこと、「95」は試験粒子を95%以上補集できることを示す。同マスクは、結核などの感染予防として医療現場で強く使用が推奨されている。
同社は、新型コロナウイルス感染拡大の早期終息に向けて、今後も行政ならびに業界団体と連携を図りながら、最大限の支援策を検討していく。
2020年4月6日
[住友化学・人事](3月31日)▽退任(副社長執行役員)西本麗▽同(常務執行役員)貫和之※4月1日付で住化農業資材顧問に就任、同社6月定時株主総会を経て同社社長に就任の予定▽同(執行役員)広岡敦子※4月1日付で公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の業務に従事の予定(1日)▽取締役西本麗※4月1日付で広栄化学工業顧問に就任。同社6月定時株主総会を経て、同社社長に就任の予定▽執行役員藤本博明▽同役員福田加奈子▽同役員Juan Ferreira▽同役員向井宏好▽常務執行役員武内正治▽同役員井上尚之▽同役員佐々木康彰▽同役員佐々木啓吾▽同役員大野顕司▽理事武村真一▽同北山威夫▽同上川徹▽同奥憲章▽同辻純平(6月定時株主総会予定)▽取締役水戸信彰。
2020年4月3日
住友化学は2日、米国のバイオベンチャー企業であるコナジェン社に3000万ドルを出資したと発表した。今回の出資により戦略的業務提携を一層推進し、合成生物学を活用した画期的な高機能製品や革新的プロセスの開発を目指す。
コナジェン社は、合成生物学を活用して微生物の設計と培養から発酵プロセスの工業化までを一貫して行うことに強みを持つ研究開発型のバイオテクノロジー企業。機能性食品素材、ヘルスケア、香料など幅広い分野を対象とした研究開発に加え、中国や欧州に量産拠点を確保しており、多くの企業との協業に基づき事業を展開している。
住友化学は、2018年からコナジェン社との間で既存化学品のバイオ合成に関する共同研究を実施。その成果を踏まえて昨年にはコナジェン社が中核をなす企業グループの1社であるスィージェン社に出資するなど、協力関係を強化してきた。
近年、バイオテクノロジーとデジタルテクノロジーの融合による技術の急速な進歩により、合成生物学の商業化が進んでいる。そうした中、住友化学は、合成生物学と化学技術を融合させることにより、化学合成だけでは製造が困難な高機能製品や、高効率かつクリーンで省エネルギーなプロセスを開発し、新事業の創出を加速させることが可能になると考えている。
一方、コナジェン社も、機能性食品素材や香料などに続く新分野での事業化に向け、ダウンストリームプロセスや安全性評価などの共通的な基盤技術や、アプリケーションノウハウを持つ化学企業との戦略的協業を望んでいることから、今回の出資に至った。
今後、共同でテーマ探索を行なうとともに技術者を相互に派遣して当社の技術基盤を強化し、革新的な技術やプロセス開発につなげていく。
2020年4月2日
皆さんの門出にあたり、2つのことをお伝えしたい。
まず、住友化学社員としての自覚と責任、そして個人としての成長だ。住友化学の社員として何をなすべきか、その自覚と責任を持ってほしい。具体的には、会社の中で各人の目指すものを実現していくとともに、そうした仕事を通じて個人として成長していくことだ。
当社は、別子銅山の銅製錬事業の拡大によって発生した煙害問題の克服と、肥料の供給による農作物増産への貢献という2つの使命を同時に実現するために設立された。
住友には、「信用を重んじ確実を旨とする」という教えや、「自利利他 公私一如」、すなわち事業は自らの利益と同時に社会にも利益をもたらすものでなければならない、という言葉に示される「住友の事業精神」がある。当社の設立の経緯は、まさにこの「自利利他 公私一如」そのものだ。
一方、近年はデジタル、バイオなどの新しい技術の潮流と相まって、化学産業には、アカデミアとの密接な連携により環境問題・食糧問題・医療問題といった重大な社会課題の解決に資する、革新的な技術を生み出すことが期待されている。
皆さんには、当社で働くことを通じて社会課題の解決に寄与し、そうした中で個人として大きく成長してほしい。また、アイデア・熱意・意欲をもってチャレンジし、この住友化学という組織を大いに活用して新しい変化を起こす楽しみをぜひ味わってもらいたい。
2つ目は、世界を意識して仕事をすることだ。私が住友化学に入社した38年前、当時の会社のトップが話した言葉を今でも忘れたことはなく、私にとって会社生活の指針の1つとなっている。
それは『君たちの競争相手は、近くにいる会社の同僚ではなく、世界の同業各社の若者である。世界を相手に戦っていることを常に忘れないでほしい。経営者である自分自身も、世界の会社の経営者たちが何を考え、どういう手を打とうとしているかを常に意識しながら、日々彼らに負けまいと努力している』というものだ。
皆さんには、化学会社に限らず、同じような年代で似たような環境にある人を意識して日々の業務に取り組み、グローバルレベルの人材へと成長してほしい。
2020年3月25日
住友化学は24日、サステナブルな社会の実現に貢献するため、石油化学品研究所(千葉県袖ケ浦市)に、「研究グループ(環境負荷低減技術開発)」を4月1日付で新設すると発表した。
同グループは、同社が石油化学品事業などで培ってきた触媒や化学プロセスの設計といったコア技術を活用し、炭素循環や温室効果ガス排出削減に関する環境負荷低減の技術開発に取り組む。
現在、複数の研究所に分散しているテーマを石油化学品研究所に集約。研究者を約30名体制に強化することで、飛躍的に開発を加速させるとともに新規テーマにも注力する。また、優れた技術を持つ企業やアカデミアなどと積極的に連携し、環境負荷低減技術を石油化学部門の新機軸とし活動を進める考えだ。
新グループでの開発テーマ例として、ごみ由来のエタノールを原料にしたポリオレフィンの製造技術、廃プラのケミカルリサイクル技術、CO2を用いた化学品製造技術、化学製造プロセスへの省エネ技術導入、省エネ排水処理システムの開発などを挙げている。
同社は、経営として取り組む最重要課題(マテリアリティ)の1つに環境負荷低減への貢献を掲げている。引き続き、炭素循環技術や温室効果ガス排出削減技術など、社会課題に対するソリューションの早期創出を目指していく方針だ。
2020年3月19日
住友化学と京都大学は18日、次世代2次電池として注目されている固体型電池の実用化に向けた材料および要素技術の開発を共同で行うことに合意したと発表した。
合意に基づき、今年4月1日付で、同大桂キャンパス内に、ラボスケールの製造設備、電池性能評価装置などを新たに設置し、同大大学院工学研究科の安部武志教授をはじめとする研究グループと住友化学による産学共同講座「固体型電池システムデザイン」(2020年4月~2023年3月:3年間)を開設する。
固体型電池は、従来型のLIB(リチウムイオン二次電池)に用いられている電解質を液体から固体にしたもの。可燃性の電解液を使わないことから、現在主流のLIBに比べて高い安全性を持つとともに、電池そのものの高容量化や長寿命化、さらには、急速充電が可能になると見込まれている。
これらの特長を生かし、日常生活に欠かすことのできない情報機器、ウェアラブル端末、医療用途などの民生用小型電池や、航続距離や充電時間の観点から高エネルギー密度と高出力特性が求められるEV用の次世代電池など、幅広い分野への応用が期待されている。
住友化学の上田博副社長は、「京都大学が持つ広範かつ深遠な基礎研究の力と、当社がこれまで培ってきた多種多様な素材を工業化させた経験、また、多くの失敗からの学びを積み重ねてきたモノづくりの力を組み合わせて、新たな固体型電池を開発し、持続可能な社会の構築に貢献する」とコメントしている。
同社は、中期経営計画の中で「環境負荷低減」「ヘルスケア」「食糧」「ICT」の四つの重点分野で新規事業を実現するため、独自のイノベーションエコシステムの構築を推進。アカデミアやスタートアップなどとのオープンイノベーションを通じて、長期的な視点での研究開発とその成果である革新的技術により、さまざまな産業分野で新たなソリューションとなり得る高機能材料の開発を進めていく考えだ。
2020年3月17日
住友化学は16日、有効成分インピルフルキサム(インディフリン)を含有する新規殺菌剤「カナメ フロアブル」の販売を同日に、日本で開始すると発表した。
インピルフルキサムは、同社が、B2020(2020年までに主要市場向けの登録申請を完了するパイプライン)の一剤として独自に発明した新たな有効成分。病原菌のエネルギー生産の過程を阻害する作用を持つコハク酸脱水素酵素阻害剤(SDHI)と呼ばれる殺菌剤に属す。
優れた殺菌作用や浸達性・浸透移行性を持つことから、これまでの社内外での評価を通じて幅広い病害に高い効果を示しており、大豆や麦類など世界各国の主要作物の重要病害に対する新たな防除手段として期待されている。
日本以外では、これまでに、アルゼンチン、米国、カナダ、ブラジル、およびEUで登録申請を実施しており、今年以降順次、インピルフルキサムを含有する製品をグローバルに販売することを目指している。
今回、主に果樹や野菜を対象とする「カナメ フロアブル」の日本での販売は、インピルフルキサムを含有する製品として世界で初めてとなる。りんごや梨の黒星病、ねぎのさび病や白絹病をはじめとする病害の防除剤として、住友化学と関係会社である協友アグリが販売する。
近年の農業分野は、世界的には人口増加に伴う食料増産や農薬に対する抵抗性、日本では農業従事者の高齢化、作付面積の減少をはじめとする様々な課題に直面している。住友化学は、既存剤に加えて、インピルフルキサムを含めた新たなパイプラインの開発によって製品ラインアップを拡充し、農業生産者のニーズに応じたソリューションの提供を一層推進していく考えだ。