住友化学 新規の園芸作物用殺菌剤、日本で販売開始

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2020年3月17日

 住友化学は16日、有効成分インピルフルキサム(インディフリン)を含有する新規殺菌剤「カナメ フロアブル」の販売を同日に、日本で開始すると発表した。

 インピルフルキサムは、同社が、B2020(2020年までに主要市場向けの登録申請を完了するパイプライン)の一剤として独自に発明した新たな有効成分。病原菌のエネルギー生産の過程を阻害する作用を持つコハク酸脱水素酵素阻害剤(SDHI)と呼ばれる殺菌剤に属す。

 優れた殺菌作用や浸達性・浸透移行性を持つことから、これまでの社内外での評価を通じて幅広い病害に高い効果を示しており、大豆や麦類など世界各国の主要作物の重要病害に対する新たな防除手段として期待されている。

 日本以外では、これまでに、アルゼンチン、米国、カナダ、ブラジル、およびEUで登録申請を実施しており、今年以降順次、インピルフルキサムを含有する製品をグローバルに販売することを目指している。

 今回、主に果樹や野菜を対象とする「カナメ フロアブル」の日本での販売は、インピルフルキサムを含有する製品として世界で初めてとなる。りんごや梨の黒星病、ねぎのさび病や白絹病をはじめとする病害の防除剤として、住友化学と関係会社である協友アグリが販売する。

 近年の農業分野は、世界的には人口増加に伴う食料増産や農薬に対する抵抗性、日本では農業従事者の高齢化、作付面積の減少をはじめとする様々な課題に直面している。住友化学は、既存剤に加えて、インピルフルキサムを含めた新たなパイプラインの開発によって製品ラインアップを拡充し、農業生産者のニーズに応じたソリューションの提供を一層推進していく考えだ。

住友化学 室蘭工業大学とケミカルリサイクル技術を共同研究

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2020年3月6日

 住友化学はこのほど、室蘭工業大学と廃プラスチックを化学的に分解し、プラスチックなどの石油化学製品の原料として再利用するケミカルリサイクル(CR)技術に関する共同研究を推進すると発表した。

 プラスチックは、フードロスの削減や、自動車などの軽量化によるエネルギー効率の向上・環境負荷低減など、さまざまな社会課題の解決に貢献する有用な材料。

 一方、廃プラの環境への排出量や化石資源である石油利用による温室効果ガス(GHG)の増加が、世界的に喫緊の課題となっており、これらの課題解決手法の1つとして、石油資源の代わりに廃プラを原料として利用するCR技術の社会実装が強く求められている。

 こうした中、室蘭工業大学大学院工学研究科の上道芳夫名誉教授、神田康晴准教授が開発した、「ゼオライト触媒を用いた廃プラを任意のモノマーへ高選択率で分解する」技術は、CRを効率的に実現する手法として注目されている。

 室蘭工業大学は同技術をベースに、より性能を高めたプラ分解触媒の開発を行い、住友化学は、これまで培ってきた触媒設計や化学プロセス設計といったコア技術を生かして、同大学が行う研究開発をサポートするとともにプラ分解を最大限に促すためのプロセス技術の開発を担う。両者が相互に連携することで、廃プラを石油化学原料へ効率的に分解するCR技術の早期の確立を目指す。

 室蘭工業大学は、「創造的な科学技術で夢をかたちに」の基本理念の下、変革する時代と社会の要請に応え、イノベーションの創出につながる研究を推進。その1つとして、グリーンケミストリーの視点からプラスチックリサイクル技術を開発している。

 住友化学は、経営として取り組む最重要課題(マテリアリティ)の1つに「環境負荷低減への貢献」を掲げる。CRの推進に向けて、オープンイノベーションを積極的に推進するとともに、環境負荷低減技術に関する開発組織を今後新たに設置し、炭素循環技術やGHG排出削減技術など、社会課題を解決するソリューションの開発を加速させていく。

 両者は、共同研究を通じて、CR技術による化石資源使用量と廃プラ排出量、さらに廃プラ焼却時に発生するGHG排出量の削減を実現し、持続可能な社会の構築に貢献していく。

住友化学 新型コロナウィルス感染拡大防止に対応策

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2020年3月3日

 住友化学は2日、新型コロナウィルスの感染拡大を防止するため、実施している対応策を発表した。

 ①勤務については、3月2日から2週間、住友化学の昼勤勤務者を対象に、フレックスタイム制(コアタイムなし)を活用した時差出退勤や、有給休暇の取得またはストック休暇の特例取得を奨励するとともに、自宅での勤務が可能な社員については在宅勤務を可能とする。

 ②出張については、中国国外から湖北省や浙江省温州市、韓国国外から大邱市や慶尚北道清道郡への出張を禁止。上記を除く中国、韓国、および日本の入出国を伴う出張は原則延期する。

 ③会議・会食などについては、住友化学グループが開催するグローバル会議は中止するとともに、日本国内での大規模(50名以上)会議は延期を検討。職場の大半が参加する懇親会は中止するとともに、会社厚生施設での大人数(10名以上)での懇親会などは自粛する。

 ④健康・衛生管理については、中国、韓国大邱市や慶尚北道清道郡から帰国した社員は、14日間の自宅待機とする。

 住友化学では、各事業場の判断により通勤および就業時のマスク着用を義務づける。

積水化学・住友化学 サーキュラーエコノミーの取り組みで協力

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2020年2月28日

 積水化学工業と住友化学は27日、〝ごみ〟を原料としてポリオレフィンを製造する技術の社会実装に向けて協力関係を構築することに合意したと発表した。

 〝ごみ〟をまるごとエタノールに変換する生産技術の開発に成功した積水化学と、ポリオレフィンの製造に関する技術・ノウハウを持つ住友化学が協力することで、〝ごみ〟をポリオレフィンにケミカルリサイクル(CR)するサーキュラーエコノミーの取り組みを推進する。

 積水化学は〝ごみ〟から得たエタノールを、住友化学はそのエタノールを原料としたポリオレフィンを、それぞれ2022年度から試験的な生産を開始し、2025年度には本格上市を目指す方針だ。

 日本で排出される可燃性ごみは、年間約6000万tで、そのエネルギー量はカロリー換算で約200兆キロカロリーにも達する。これらの量は日本でプラスチック素材を生産するのに用いられる化石資源の量(年間約3000万t)と、カロリー換算したエネルギー量(約150兆キロカロリー)に比べて大きいにもかかわらず、その再利用は一部に留まり、多くは焼却・埋め立て処分されているのが現状だ。

 雑多・不均質で、含まれる成分・組成の変動が大きいという〝ごみ〟の工業原料としての扱いにくさが、その再利用を阻んできた。

 積水化学は、2017年、米国ランザテック社と協力して、ごみ処理施設に収集された〝ごみ〟を一切分別することなく一酸化炭素と水素にガス化し、このガスを微生物により、熱・圧力を用いることなくエタノールに変換する生産技術の開発に成功した。一方、住友化学は石化分野で長年培ってきた技術・ノウハウを生かして、〝ごみ〟由来のエタノールを原料に、エチレンを経てポリオレフィンを製造する技術開発を行う。

 両社の協力によって、このエタノールから身近なプラスチックなどの有機化学素材を生み出すことで、〝ごみ〟を原料としてポリオレフィンを製造するサーキュラーエコノミーを確立し、新たな化石資源の使用量を削減すると同時に、ごみ焼却時に発生するCO2排出量や廃プラスチックを削減することにより、持続可能な社会の構築に貢献していく考えだ。

住友化学の4-12月期 市況悪化などが響き減収減益に

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2020年2月3日

 住友化学は31日、2019年度第3四半期(4-12月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比4%減の1兆6507億円、コア営業利益25%減の1163億円、営業利益11%減の1277億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益58%減の376億円となり、それぞれ前年同期を下回った。

 セグメント別に見ると、主力の石油化学は、売上収益は前年同期比586億円減の5183億円、コア営業利益244億円減の274億円。石油化学品や合成樹脂は原料価格の低下に伴い市況が下落し、合繊原料やメタアクリルも市況が低水準で推移したことが主な減収要因。コア営業利益についても、石油化学品やメタアクリルなどの交易条件の悪化により前年割れとなった。

 エネルギー・機能材料は、売上収益240億円減の1906億円、コア営業利益26億円減の177億円。レゾルシン(接着材用原料)の出荷が堅調に推移した一方で、アルミニウム市況や正極材料の原料金属の市況が低水準で推移し、販売価格が下落したことから、減収減益となった。

 情報電子化学は、売上収益40億円増の3049億円、コア営業利益36億円減の187億円。偏光フィルムはテレビ・モバイル用途、タッチセンサーパネルの出荷増加が増収に貢献したものの、販売価格の下落が響き減益となった。

 健康・農業関連事業は、メチオニン(飼料添加物)の市況は下落したが、前年度に実施した能増による出荷増が寄与し、売上高58億円増の2185億円。一方、コア営業利益は、メチオニンの交易条件悪化や農薬の出荷減により、175億円悪化し136億円の損失となった。

 医薬品は増収増益となり、売上高104億円増の3822億円、コア営業利益83億円増の676億円。北米や中国でのラツーダ(非定型抗精神病薬)の販売が伸長し、収益増をけん引した。

 なお、通期業績予想に変更はなく、売上収益は1%増の2兆3300億円、コア営業利益22%減の1600億円を見込んでいる。

住友化学 新型コロナウイルス感染拡大への対応策実施へ

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2020年1月31日

 住友化学はこのほど、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染拡大について、「罹患された皆さまと、感染拡大により生活に影響を受けられている地域の皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます」とコメントするとともに、同社グループ従業員の安全確保の観点から、実施する対応策を決定したと発表した。

 実施されるのは、①中国国外から湖北省への渡航禁止②中国国外から中国全土(湖北省を除く)への渡航延期③中国国内から武漢市への出張禁止④私用を含めた中国渡航者に対する帰国後の体調不良時の医療機関への相談・受診の徹底⑤中国グループ会社等へのマスク提供などの支援⑥住友化学投資(中国)での「新型コロナウイルス対策本部」の設置―6六項目。

 住友化学グループにとって、中国は極めて重要な事業拠点の1つとなっている。中国グループ各社の操業については、中国当局の指示に従うとともに、従業員の安全確保を図った上で、引き続き顧客への供給責任を果たすために、最大限の努力を尽くしていく考えだ。

住友化学 CDPの気候変動対応調査で2年連続の最高評価

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2020年1月21日

 住友化学は20日、気候変動対応で特に優れた活動を行っている企業として、CDPにより最高評価の「気候変動Aリスト2019」に選定されたと発表した。Aリストへの選定は2年連続となる。

 CDPは、企業や政府による温室効果ガス排出削減や水資源管理、森林保全を促進している国際NGOで、2000年に設立。現在、世界の機関投資家を代表して、主要企業の気候変動対応に関する取り組みの情報を収集し、評価している。

 2019年度の評価では、気候変動情報を開示した約8000社の中から、最高評価のAリストに選定されたのは、世界で179社、そのうち日本企業は38社。

 住友化学は、環境負荷低減への貢献を経営として取り組むマテリアリティ(最重要課題)の1つと位置づけており、昨年11月に、それぞれのマテリアリティに対して主要取り組み指標(KPI)を設定した。

 環境負荷低減に関しては、Science Based Targets(SBT)認定を受けた温室効果ガス排出量や、「スミカ・サステナブル・ソリューション」認定製品の売上収益などをKPIとしている。

 住友化学グループは、「事業活動を通じて人類社会の発展に貢献する」を経営理念に掲げ、これからもグループを挙げて、経済価値と社会価値を一体的に創出し、持続的な成長とサステナブルな社会の実現を目指していく。

《化学企業トップ年頭所感》住友化学 岩田圭一社長

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2020年1月7日

 2年目を迎える中期経営計画において、住友化学グループの持続的な発展を実現する上で特に欠かせない要素が2つある。イノベーションエコシステムを作り上げることと、デジタル革新への取り組みである。どちらも新たなチャレンジだが、いかに実現するかは皆さん一人一人の努力にかかっており、次の3つのことを心に留めて、各々の業務に取り組むことをお願いしたい。

 まず、「不作為のロス」をなくすことだ。挑戦を避け、アクションを起こさなければ、貴重な成長機会を逃し、組織としても大きな損失となりかねない。これは、全ての仕事に共通することだ。失敗を恐れず、「自らが変化を起こす」という気概を持って日々新しいことに挑戦してほしい。

 次に、常に「スピード」を意識することだ。技術進歩とともに社会は非常に速いスピードで変化しており、より早く意思決定し、より早く実行することが求められている。そうした中、大切なのは、限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮することだ。スピードを常に意識して、判断、行動することを心掛けてほしい。

 最後に、「現場力」をより一層高めることだ。安全・安定操業、品質管理、コンプライアンス、人材育成といった事業運営の土台となる取り組みについて、さまざまなデジタルテクノロジーを活用することで、現場力のさらなる向上を目指してほしい。また、現場力強化のためのもう1つの重要な要素は多様性だ。多様性を持ったメンバーの一員として、志と将来の目標を共有しながら、果敢に諸課題に取り組んでほしい。

 住友の事業精神の1つである「自利利他 公私一如」、すなわち、自社の成長と社会の発展を共に実現することは、われわれにとって不変の命題であり、働く一人一人にとっての誇りとやりがいである。この誇りとやりがいを原動力に、当社グループのさらなる飛躍に向けて力強く前進し続けよう。

住友化学 触媒プラントの稼働開始、ライセンスビジネスを強化

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2019年12月25日

 住友化学は24日、ライセンスビジネス強化のため、ポリプロピレン(PP)とプロピレンオキサイド(PO)製造技術ライセンス先での需要増加に伴い、千葉工場に触媒の製造設備2系列を新設し、稼働を開始したと発表した。

 同社のPP製造技術は、千葉工場と関係会社であるシンガポールのザ・ポリオレフィン・カンパニー社、サウジアラビアのペトロ・ラービグ社での運転実績のほか、韓国のS‐OIL社などにライセンス供与しており、多くのプラントで高い運転安定性を示し、高品質な製品を製造している。

 また、PO製造技術は、同社が世界で初めて工業化したクメンを循環利用するクメン法PO単産プロセスで、独自に開発した高性能なエポキシ化触媒と組み合わせることにより、併産物がなく、高収率で運転安定性に優れていることが特長。千葉工場とペトロ・ラービグ社での運転実績のほか、S‐OIL社やタイのPTTグローバルケミカル社の子会社にライセンスを行っているほか、今年7月には、インドのバーラト・ペトロリアム社ともライセンス契約を締結した。

 ライセンス先への触媒の販売は、技術ライセンスの実績に応じて需要が増加していくことから、市場環境の影響を受けにくく安定的な収益が期待できる事業。住友化学では、技術ライセンスにより一時的に対価を得るだけではなく、ライセンス後も触媒販売や技術的な支援を行うなど継続的な収益の確保に取り組んでいる。

 住友化学は、グローバルに広がるライセンス先との共栄を図っていくことに加え、石油化学部門での事業ポートフォリオの拡充を目指していく。