三井化学 農産物流通SUに出資、青果物輸出拡大を促進

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2021年9月1日

 三井化学は31日、日本産の青果物などの輸出プラットフォーム事業を運営するスタートアップ(SU)、世界市場(せかいいちば:東京都品川区)に対し、8月に出資したと発表した。

両社は日本産青果物をアジア・環太平洋諸国に届けるソリューション型ビジネスを目指す

 三井化学と世界市場が連携し両社の強みを生かすことで、日本産農産物の輸出が抱える課題解決に向けたソリューション型ビジネスを展開していく考えだ。

 現在政府主導で、日本の農業を今後も持続的に発展させるために、農産物の輸出拡大の取り組みが進められている。青果物もその一翼を担うことが期待されているものの、青果物は穀物類や加工品とは異なり、海上輸送中の傷みが激しく大きなフードロスが発生するため、新鮮な状態で海外消費者に届けるのが困難な状況にある。

 また、海外へ輸出する際には、対象国の農薬残留基準値に適合させる必要があり、個々の生産者には対応が難しいなど、日本の青果物輸出拡大には解決すべきいくつかの課題がある。こうした課題に対し、三井化学グループは、①長期の海上輸送に耐えうる青果物用の鮮度保持包装資材と知見②関係会社の三井化学アグロがもつ農薬とその技術的知見、に強みがある。

 一方、世界市場は、青果物の集荷から、対象国への輸出入、保管、加工、現地小売店への販売までを一気通貫で手掛けることで、流通マージンを下げるとともに、フードロス問題の解決にも積極的に取り組んでいる。現在、香港への産地直送を実施しており、今後は台湾やシンガポールなどのアジア圏、さらには環太平洋諸国への産地直送を予定する。

 三井化学は、アジアを中心に青果物の流通基盤の構築を目指す世界市場との協業を通じ、日本の青果物輸出への課題に向けたソリューションの提供と、フードロス削減に貢献することを目指していく。なお世界市場は、「農産物輸出を生産者の収益機会としたい」「より多くの海外消費者に高品質の日本産青果物を食べてほしい」という強い想いを具現化するために、2015年に設立された。

 

エア・ウォーター 環境対応ビジネスへの展開を強化

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2021年7月13日

 エア・ウォーターはこのほど、バイオ由来化学品の事業創出に向け地球環境産業技術研究機構(RITE)発のバイオベンチャーGreen Earth Institute(GEI、東京都文京区)へ2億円出資した。「地球、社会との共生による循環型社会の実現」に向け、SDGsに関連した事業開発に大きく貢献できるとの判断だ。

 GEIは「グリーンテクノロジーを育み、地球と共に歩む」を経営理念に掲げ、食料や飼料と競合しない「植物の茎・葉」や「農業・食品工場残渣」などの非可食性バイオマスも原料とするグリーン化学品やバイオ燃料の開発・事業化を、国内外企業と連携して行っている。同社の「バイオリファイナリー技術」は脱炭素化・資源循環型社会において、人と自然の共生による地球資源の再生と地球環境の保全に貢献できる化学品生産技術・プロセス技術だ。

 エア・ウォーターは今後、GEIとの連携を深め、既に同社グループの川崎化成工業で事業化している生分解性樹脂原料の石油由来のコハク酸に加え、バイオ由来の「バイオコハク酸」の開発を進めていくなど、環境問題対応素材の開発やケミカルリサイクルなど、環境ビジネスへの進出を図っていく。また、産業、医療、農業・食品事業との連携も深め、スマート社会・循環型社会に対応した事業への変革を加速していく考えだ。

東亞合成 バイオベンチャーに出資、ヘルスケア拡充図る

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2021年7月1日

 東亞合成は30日、医療用生体内分解吸収性ポリマーの開発・製造・販売を行うビーエムジー(京都府京都市)へ出資したと発表した。今後は新規医療機器製品の共同開発も視野に、ヘルスケア分野の拡充を図っていく狙いだ。

 ビーエムジーは1983年に創業のバイオマテリアルベンチャー。国産初の生体吸収性縫合糸用ポリマーを開発するなど、バイオマテリアル分野のパイオニアとして確かな信頼と実績を築いてきた。長年培ってきた医療用高分子技術を基盤に、新たな医療用接着剤「LYDEX(ライデックス)」を開発。同製品は天然物由来高分子を主成分とし、動物由来成分とヒト血液由来成分を一切含まないため、ウイルス感染リスクがない特長をもつ。また、独自技術による「高い接着性」と「優れた生体内分解吸収性」も兼ね備えており、使いやすく生体に優しい革新的な接着剤として期待されている。

 一方、東亞合成は近年、モビリティ、エレクトロニクス関連の材料開発に注力するとともに、ヘルスケア分野についても、従来から販売を行う医療用接着剤「アロンアルフアA『三共』」に加え、数年前から化粧品原料や医療機器材料の新製品開発・拡充を推進している。今回のビーエムジーへの出資を通じて、医療用接着剤 「LYDEX」の開発・治験・普及を支援するとともに、同接着剤を利用した新規医療機器製品の共同開発を推進することで、両社の成長と事業の発展を目指していく考えだ。

 東亞合成グループは、オープンイノベーションによる外部有望技術の導入と同社コア技術を融合し、従来の事業領域を超えた新規キーマテリアルを提供する新ビジネスユニットを創出する目的で、今年1月に「新製品開発事業部」を新設した。同社は、今回の提携をこうした新たな取り組みの成果と捉えており、今後も中長期的な事業価値の向上と持続可能な社会の発展への取り組みを推進していく。

大陽日酸 高圧ガス容器の再検査を行う新会社に出資

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2021年5月27日

 大陽日酸はこのほど、高圧ガス容器の容器再検査を行う新会社「みんなの耐圧場」に出資したと発表した。

 高圧ガス容器は保安の観点から高圧ガス保安法により定期的な容器再検査が義務付けられているが、現在、既存の容器再検査場では設備老朽化や作業者の高齢化による人手不足といった問題点が顕在化しつつある。

 こうした中、高圧ガス容器によるシリンダー事業を将来にわたり継続させるために、容器再検査の品質および保安の確保が必須であるとの認識に賛同した、容器再検査会社、大陽日酸の特約店会のメンバー会社および関連会社の14社による共同出資で容器再検査新会社「みんなの耐圧場」を設立。

 出資14社のスケールメリットを活かすと共に、確実な容器検査を行うための工程の自動管理と環境に配慮した粉体塗装を採用することで、人手不足も解消し、安全で質の高い容器再検査サービスを提供する。

 大陽日酸は「みんなの耐圧場」の出資に加え、容器再検査場の場所と検査設備の提供を行い、同社の操業に貢献していく。

三井化学 ものづくり強化でベンチャー支援会社に出資

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2020年12月1日

 三井化学はこのほど、ハードウェアベンチャー企業に特化したファンド事業とコンサルティング事業を運営するMonozukuri Ventures(京都府京都市:MZV)に出資を行った。

両社の提携により、ものづくりを強化し、新たなロボット材料を創出
両社の提携により、ものづくりを強化し、新たなロボット材料を創出

 MZVは、世界中の誰もがハードウェアに挑戦できる未来を創るというビジョンの下、主に日本と北米のハードウェアベンチャー企業を対象としたベンチャーファンドを2017年に立ち上げ、ベンチャー企業のものづくりを支援。さらに、新規ファンドの設立や増資により日本の様々なものづくり企業が参画し、ベンチャー企業を支援するネットワークを広げている。

 一方、三井化学は、素材をイノベーションの源泉の1つと捉え、革新的な新製品の実現に向けたチャレンジには、素材の深い知見が欠かせないと考える。新事業開発センターでは、ロボット分野の革新的な新製品向けに、素材の特長を生かした樹脂部品の開発と製造・販売を行っており、これまでにパーソナルモビリティ、コミュニケーションロボット、アシストスーツ、産業用ロボットなどに採用されてきた。

 橋本修社長は、26日に開催した経営概況説明会の中で、MZVへの出資に触れ、「彼らがもつ多くのチャネルに対し、当社は様々な材料の提供を行っていく。販路の拡大はもとより、MZVの電子部品や金属製品に関するノウハウと、当社の技術・製品の組み合わせにより、新しい形でのロボット材料の創出につなげていく」との期待感を示した。

 両社の連携によりベンチャー企業や新規事業のものづくりに対し、開発初期の少量試作の段階から、樹脂部品に留まらず電子部品や金属部品まで含めた最適な部品の提供を目指す。また、日本のものづくりを海外へ広げていく活動をMZVと協力して進め、三井化学の新事業開発センターの海外事業拡大を加速していく考えだ。

三菱マテリアル 構造体自動設計の東大発スタートアップに出資

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2020年10月27日

 三菱マテリアルはこのほど、あらゆる構造体を自動設計する独自技術を開発・提供する東京大学発のスタートアップ企業Nature Architects(ネイチャーアーキテクツ)へ出資を行ったと発表した。なお出資はMMCイノベーション投資事業有限責任組合を通じて行った。

 ネイチャーアーキテクツは、部品軽量化のために必要な部分のみ強度をもたせたり、硬い部材に振動吸収機能を付与するなど、求められるデザインや機能に応じた最適構造を自動で設計・製造する独自設計技術「ダイレクトファンクショナルモデリング(DFM)」を開発・提供する会社。

 三菱マテリアルは、両社の協業により同社の非鉄金属などの材料特性に関する知見とネイチャーアーキテクツのDFMを掛け合わせ、新たな付加価値をもつ独自の製品・サービスを開発・提供していくことを目指す。具体的には、高度な機能と軽量が求められる航空・宇宙用途向けの新材料などの開発に取り組む考えだ。

 三菱マテリアルグループは「人と社会と地球のために」の理念の下、「ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、持続可能な社会に貢献するリーディングカンパニー」となることをビジョンとし、非鉄金属素材と付加価値の高い製品の提供を通じて、豊かな社会の構築に貢献するとしている。

丸紅 CO2回収技術保有の英社に出資、CCU事業参入

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2020年2月25日

 丸紅はこのほど、火力発電所や産業プラントなどで発生する排ガスからCO2を回収する技術を持つ、英国のカーボン・クリーン・ソリューションズ(CCSL社)に出資したと発表した。今回の出資を通じて、CO2の回収・有効利用/再資源化(CCU)事業の共同開発に取り組む。

 CCSL社は、CO2の分離・回収技術の1つである化学吸収法に使用される新規回収溶剤を自社開発し、従来の回収溶剤より高効率・低価格でのCO2回収を可能とする技術を保有。現時点で商業化されているCO2回収技術の中で世界最高水準のコスト競争力を実現している。また、さらなるコスト削減を実現する次世代技術の開発にも着手している。

 地球温暖化を背景とした気候変動対策の重要性が世界的に高まる中、温室効果ガスの削減は喫緊の課題。このような状況下で、製鉄所やセメント工場、石油化学工場、廃棄物焼却炉などの産業プラントからの発生が避けられないCO2を回収し、さらに有効利用/再資源化することで大気中へのCO2排出を抑制するCCU事業は、CO2を回収・貯蔵する事業とともに、地球温暖化対策の重要な選択肢の1つと期待されている。

 丸紅は、CCSL社とのCCU事業の共同開発を通じ、CO2の有効利用・再資源化というサステナブルなビジネスモデルを構築すると同時に、地球温暖化という社会課題の解決に貢献していく。

クレハ 譲渡したブローボトル事業に出資、製造・販売を支援

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2019年11月6日

 クレハはこのほど、共同印刷が設立した「共同クレハブローボトル」に11月1日付で出資し、ブローボトルの製造を行うと発表した。出資比率は共同印刷が75%、クレハが25%。

 クレハは7月24日に、ブローボトル事業を共同印刷に承継させる契約を締結した。クレハが製造・販売してきたブローボトルは11月1日以降、製造は共同クレハブローボトルが、販売は共同印刷が行う。それぞれに対し、クレハからブローボトルの製造・販売に従事していた従業員が出向してサポートする。

 ブローボトルは内層にガスバリア性に優れたEVOH樹脂を使い、内外層にオレフィン樹脂を使用した、共押出中空成形法による食品用の多層プラスチック容器。優れたガスバリア性により水分・酸素・CO2のガスを通しにくく、微生物や酸素による食品の変敗を防ぐとともに、保香性にも優れている。これらの特性を生かし、マヨネーズやケチャップ、ソース、ドレッシング、油などの液体容器として利用されている。

 クレハは機能製品事業をコアとする事業ポートフォリオへの変革を進めている。ブローボトル事業を共同印刷に承継させることで、同社の生活・産業資材部門の製品群とのシナジーが発揮され、クレハと共同印刷相互の事業の発展に資すると考えている。