大陽日酸はこのほど、米国Praxair社がもつ欧州事業の一部を運営する法人の、株式を取得する手続きを完了したと発表した。
大陽日酸は、今年7月にPraxair社との間で、Praxair社の欧州事業の一部(ドイツ・スペイン・ポルトガル・イタリア・ノルウェー・デンマーク・スウェーデン・オランダ・ベルギーの産業ガス事業、英国・アイルランド・オランダ・フランスの炭酸ガス事業と、ヘリウムに関連する事業)を運営する法人の、株式を取得する株式売買契約を締結した。
同契約に基づき、同社が欧州に設立した子会社、TNSC Euro‐Holding(スペイン)、TNSC Germany(ドイツ)などを通じて、今月3日に対象事業を取得した。取得価格は49億1300万ユーロ(約6347億円)。
大陽日酸は、業界再編が進む中でグローバル競争力を高め、確固たる地位を確立するために、長期経営ビジョンとして売上収益1兆円、営業利益率10%、ROCE10%以上、海外売上収益50%以上の実現を掲げている。
今回の買収は同ビジョンの実現に向けて大きく前進する手段で、戦略的な意義を併せもつ投資となった。欧州の産業ガス市場は北米に次いで大きく、競争環境も安定しているという。
同社は、未参入であった当該地域で一定シェアの事業を獲得することで、グローバル化を大きく進めることになる。また、収益性の高い事業を一定の規模・ネットワーク(製造拠点など)とともに取得したことに加え、現在のトップマネジメント層を含む有為な人材や事業プラットフォームも併せて獲得した。
大陽日酸は、こうした事業基盤を背景に、同社がもつ環境規制対応などの製品を展開していくとともに、グローバル企業向けのマーケティング機能拡張など、グループの横串機能を強化していく方針だ。