ブリヂストン 天然ゴム原料グアユールの大量増殖技術

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2021年3月9日

 ブリヂストンはこのほど、キリンホールディングスとの共同研究で「グアユール」由来の天然ゴム生産性向上の技術開発に成功したと発表した。天然ゴム資源の多様化によるタイヤ原材料のサステナブル化において、グアユール農園での天然ゴム資源の生産性向上に大きく貢献する。

 2050年には世界人口は96億人に達し、自動車保有台数も24億台を超えタイヤの材料量も増える。タイヤ用の天然ゴムは「パラゴムノキ」から生産するが、産地が東南アジアに集中するため病害リスクや栽培面積の拡大に伴う熱帯雨林の減少が課題だ。

 グアユールは米国南西部からメキシコ北部原産の乾燥地帯で栽培可能なキク科の低木(灌木)で、パラゴムノキ由来のゴムに匹敵する成分を含む。砂漠のような乾燥地帯でも栽培でき熱帯地域の森林伐採を低減できるため、環境負荷低減と持続可能な事業を両立できる。

 同社はグアユールゴムの実用化に向けてオープンイノベーションを推進する中、同社のグアユールの知見とキリンの植物大量増殖技術を融合し、短期間で重要な成果が得られた。これは同一のグアユールを安定的に増殖する技術で、遺伝子情報で品種改良した優良グアユールの大量増殖が可能だ。天然ゴム収量が安定した高生産性のグアユール栽培が期待できる。

 同社グループは、米国アリゾナ州の自社農園で優良品種苗木のフィールド評価を始めた。今後その結果を生かし、ゴムの生産性向上やプロセス最適化による物性改良、用途開発の成果と組み合わせ、2020年代にグアユールゴムのタイヤ材料への実用化を目指す。

 今後もオープンイノベーションを推進し、同社のコア技術と様々な企業・団体の知見を融合させ、天然ゴム資源の多様化に向けた取組みを促進していく。また、独自のゴムの知見とデジタルを融合させて技術イノベーションを進化させ、様々なパートナーと連携しながら価値を共創していく考えだ。

グアユールの増殖イメージ
グアユールの増殖イメージ