ヤンセンファーマ 新型コロナワクチン、日本で第Ⅰ相試験開始

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2020年9月28日

 ヤンセンファーマ(東京都千代田区)はこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)を引き起こすウイルス「SARS‐CoV‐2」のワクチン候補「Ad26.CoV2.S」の国内第Ⅰ相臨床試験を開始したと発表した。20~55歳の健康な成人と65歳以上の高齢者の合計250人を対象に、接種時の安全性、反応原性(腫脹や疼痛などワクチン接種に予期される反応)、免疫原性の評価を行う。

 ヤンセンファーマはジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門ヤンセンファーマグループの一員。同ワクチン候補は、風邪ウイルスの一種「アデノウイルス血清型26(Ad26)」を使用した組み換え体ベクターワクチン。非増殖型Ad26に新型コロナウイルスに特徴的なスパイクタンパク質の遺伝子情報を組み込み、接種後に体内で抗体を作る。ワクチン開発と大量生産のためのヤンセンの「AdVac」技術を活用。

 同技術は欧州承認のエボラウイルスワクチン、開発中のジカウイルス、RSウイルス、HIVの各ワクチン候補の臨床試験にも使用され、9万例以上の投与実績をもつ。同ワクチン候補の米国での前臨床試験(サル)で、1回の接種で「中和抗体」などの強力な免疫反応を誘発し、接種後の感染防御を確認した。

 これに基づき第Ⅰ/Ⅱa相試験(ヒト投与)を米国とベルギーで7月から実施、9月には第Ⅲ相試験へ移行予定。オランダ、スペイン、ドイツでも第Ⅱa相試験を予定している。臨床開発と同時に、生産能力拡充に向けたグローバルパートナーとの積極的な協議を進めており、安全性と有効性が確認されれば、海外では来年初頭の緊急時使用許可の取得を目指している。

 同社は「病が過去のものになる未来をつくる」ために科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心をもって癒し希望を与える、という方針を掲げ、がん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野での貢献のために注力している。

デンカ 新型コロナの簡易検査キット、国内薬事承認を申請

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2020年7月28日

 デンカはこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)簡易検査キットの体外診断薬としての国内薬事承認を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請したと発表した。

 同社はこれまで国立感染症研究所と同キットの開発に関する共同研究を進め、日本医療研究開発機構(AMED)の研究班への参画を通じて国立感染症研究所より抗体と抗原の分与を受けるなど、関係官庁や公的機関、国内外の研究機関の協力と支援を仰ぎながら開発を進めてきた。

 同キットではイムノクロマト法により新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)抗原を検出し、特別な検査機器を必要とせず、短時間で簡易に陽性/陰性の検出結果を識別する。同社では最大1日10万検査分の量産体制を構築し、国内薬事承認後には速やかに各医療機関へ供給できるよう準備を進めている。

 同社は新型コロナウイルス感染症への対策を社会的責務と捉え、今後も関係各方面と連携しながら、医療現場のニーズに応えるとともに、検査体制の拡充に貢献していく考えだ。

NEDO 新型コロナ感染症例情報の検索エンジンを公開

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2020年5月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とプレシジョンはこのたび、共同研究先である自治医科大学とともに新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に特化した症例検索エンジンを開発し、日本医師会COVID‐19有識者会議のウェブサイトで公開した。これによりCOVID‐19症例の可視化・分析が可能となり、COVID‐19に取り組む医療関係者の情報共有や診断・治療法の開発への貢献が期待される。

 NEDOは、業界横断型人工知能(AI)システムの開発と業界共用データ基盤の開発を通じて、幅広いデータ連携による価値創出の促進を目的に「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」を推進している。

 今回、開発中のアルゴリズムを用いてCOVID‐19症例の検索エンジンを開発した。COVID‐19は人類がはじめて経験する疾患であり、多くの症例報告を収集し、わかりやすく整理した上で患者の傾向を分析することが急がれる。

 すでに日本感染症学会のウェブサイト内の「COVID‐19症例提示」で貴重な情報が提供されているが、その中で著者の許諾を得た約70症例の報告を構造化しデジタルデータベース化した。それらCOVID‐19の症例を、検索エンジンを用いて可視化、分析することで、個々の報告の文脈と臨床所見の関係性がわかりやすく表示され、非専門家でも活用しやすくなった。

 今後、医療の専門家と非専門家が協力して行う診断・治療法の開発の推進が期待される。

中外製薬 コロナの抗体医薬品をA*STARと共同研究開始

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2020年5月26日

 中外製薬はこのほど、同社グループのシンガポール研究拠点である中外ファーマボディ・リサーチ(CPR)が、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)とともに、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に対する抗体医薬品の共同研究を開始したと発表した。

 共同研究は、A*STARの関連機関であるシンガポール免疫学ネットワーク(SIgN)を通じ、シニア主席研究員Cheng‐I Wang博士の率いる研究チームにより見出だされた治療薬候補となりうる抗体に関するもの。

 リード抗体は多様性の高い人工ヒト抗体ライブラリから取得されており、COVID‐19を引き起こすコロナウイルスに対する中和能を示している。CPRは、抗体研究に関する世界トップクラスの技術力を生かし、抗体の最適化を進め、独自の抗体エンジニアリング技術を適用することで、開発候補抗体を作製する。

 中外製薬の奥田修社長COOは、「中外製薬は、イノベーションにより世界の医療と人々の健康に貢献することをミッションとしている。抗体研究は、我々のイノベーション追求の中の柱であり、これまで革新的医薬品や独自の創薬技術を生み出してきた」とした上で、「新型コロナウイルスの流行は、人類が過去数十年に直面した様々な危機の中で、最も深刻な被害をもたらしている。A*STARと共に、世界中で進むこの脅威への対応の一助となるべく、一刻も早く臨床応用への可能性を拓くことを目指し尽力していく」と語った。

 なお、A*STARと中外製薬は、グローバルヘルス技術振興基金の助成の下、これまでにデング熱に対する共同研究プロジェクトを実施している。

 

東レ コロナ治療に血液浄化器具がカナダで使用許可

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2020年4月23日

 東レはこのほど、エンドトキシン除去向け吸着型血液浄化用浄化器「トレミキシン」について、カナダでの新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の治療に対する暫定的な使用許可をカナダ保健省より取得したと発表した。

 COVID‐19は、新型コロナウイルスによって引き起こされ、重症化に伴って呼吸器をはじめとする臓器不全を合併する感染症。現在の深刻な感染拡大に対し、カナダ保健省はCOVID‐19に関連する医療機器の輸入と販売に関する暫定措置「Interim order respecting the Importation and sale of medical devices for use in relation to COVID‐19」を発表。

 「トレミキシン」は敗血症性ショックを適応とした輸入許可を2003年に取得しているが、東レは同暫定措置に基づく申請を行い、拡大使用が認められた。なお、米国では、ライセンス先企業が臨床試験としてCOVID‐19患者に対して使用することについて、FDAの承認を取得している。

カネカ 「アビガン」の原薬供給で合意、7月供給開始

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2020年4月21日

 カネカはこのほど、富士フイルムと新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)向け抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)の原薬を供給することを合意したと発表した。

 日本政府は、COVID‐19が拡大する中、効果が期待される「アビガン錠」の備蓄量を200万人分まで拡大することを決定し、富士フイルムは生産体制を拡充させ増産を開始した。カネカは、長年培った医薬品のプロセス開発力と製造技術、品質について高い評価を受けており、今回、メジャーサプライヤーとして原薬の供給を要請された。同社は迅速に供給をスタートすることが社会的使命と考え、設備投資、人員配置転換、生産計画調整により製造体制を整え、7月より供給を開始する。

 なお、同社グループ会社Kaneka Eurogentec(ベルギー)では、COVID‐19検査に使用されるPCR検査試薬の供給をすでにスタート。さらに高品質のmRNAやプラスミドDNA(核外細胞質中のDNA)などの技術を用いたCOVID‐19ワクチン向け受託製造も強化し、旺盛な引き合いに対応している。

 同社はCOVID‐19に対する課題解決を通じ、人類の健康維持に貢献する考えだ。

富士フイルム コロナ患者対象に米国で「アビガン」の臨床を開始、

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2020年4月13日

 富士フイルムはこのほど、米国で新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」の臨床第Ⅱ相試験を開始すると発表した。

 「アビガン」は、国内では抗インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得している薬剤で、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを持つ。

 このようなメカニズムの特徴から、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待され、臨床応用への検討が進んでいる。すでに3月末には、子会社である富士フイルム富山化学にてCOVID‐19患者を対象とした臨床試験を国内で開始した。

 今回、同社は、COVID‐19の世界的な感染拡大が続き、ますます高まる治療法の開発ニーズに対応するために、米国でも臨床試験を実施する。同試験は、数十例のCOVID‐19患者を対象とした臨床第Ⅱ相試験で、「アビガン」投与時の治療効果と安全性を確認することを目的としている。

 なお、試験は、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院やマサチューセッツ総合病院、マサチューセッツ州立大学メディカルスクールの3施設での実施を予定している。

 富士フイルムは、患者の救済を使命に、早期の治療法確立を図るとともに、国内外のパートナーとの連携による「アビガン」増産体制の整備を進めることで、1日も早い、COVID‐19の感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していく。

デンカ 「アビガン」の原料を供給、5月から生産開始

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2020年4月6日

 デンカはこのほど、日本政府の要請を受け、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」の原料となるマロン酸ジエチルを供給することを決定したと発表した。青海工場(新潟県糸魚川市)にて、今年5月より生産を開始する予定。同社は、新型コロナウイルス感染症への対策を社会的責務と捉え、迅速に生産体制を構築し確実な供給を図っていく考えだ。

 「アビガン」は、富士フイルム富山化学が開発した、COVID‐19への治療効果が期待される抗インフルエンザ薬。COVID‐19は現在、治療法が確立されていない疾患であり、急速かつ世界的な拡大を受けて世界保健機関(WHO)がパンデミックを表明するなど、有効な治療法の早期発見と開発が急務となっている。

 今回、「アビガン」の国内薬事承認を進める日本政府より、国内での一貫した供給体制を構築するため国産の原料を使用したいとの要請を受け、マロン酸ジエチルの供給を決定した。

 マロン酸ジエチルは、合成香料・農薬・医薬品などの原料として使用される有機化合物。デンカは国内唯一のマロン酸ジエチルメーカーであり、またその原料となるモノクロル酢酸も国内で唯一、関連会社のデナックが生産している。グループ内で、原料から最終製品に至る一貫生産体制の下、2017年までマロン酸ジエチルの生産を行ってきた。

ダウ 手指消毒剤の生産を拡大、コロナウイルス対策に寄与

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2020年4月6日

 ダウは3日、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)が世界中に拡大していることから、手指消毒剤の生産を新たに4拠点で開始すると発表した。

 4拠点は、アーバーン(米ミシガン州)、サウスチャールストン(米ウェストバージニア州)、スネッフ(ベルギー)、オルトランジア(ブラジル)で、同社が評価した結果、原料・調合・包装など手指消毒剤の生産体制が整っていることが判明した。

 今回、4拠点が生産を開始することで、すでに寄贈用の手指消毒剤を生産しているスターデ(ドイツ)と合わせ、5つの生産拠点となる。生産能力の合計は200t(八オンスボトルで88万本以上に相当)に拡大する見込み。

 ジム・フィッタリングCEOは、「この取り組みは、原料サプライヤー、州・連邦規制当局、そしてボランティアと協力したチームダウの迅速な努力を通じて可能となった。手指消毒剤の生産は、原料が入手でき、供給が不足している限り継続する予定だ」とコメントしている。

 同社は通常、手指消毒剤の生産を行っていないが、必要な原料の大部分は自社拠点で容易に入手可能。また、設備の柔軟性により、通常操業にほぼ影響を与えることなく相当量の消毒剤を生産できる。 

 手指消毒剤の生産は、今回発表された4拠点で約4週間にわたり行われる計画。その後、原料の入手状況と市場のニーズに基づいて生産の延長を判断する。なお、生産予定のすべての手指消毒剤のうち大半は、医療システムと政府機関に寄贈される。

 また、同社の生産拠点にも配給され、現場で働く従業員の保護を強化し、製造設備が確実に安全な操業を継続できるように役立てる。配給の第一便は、間もなく開始される見込みとなっている。

 

ダウ コロナ対策で300万ドルを寄贈、消毒剤を生産開始

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2020年3月27日

 ダウは26日、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に関連し、支援が必要な組織への寄付や消毒剤の寄贈など、総額300万ドルを寄贈すると発表した。

 支援内容として200万ドルは、世界保健機関(WHO)のCOVID‐19に対応する活動支援基金、医療用品を配布する人道支援組織、ダウの操業地域の非営利組織、その他緊急支援といったウイルス影響に対し直近の支援が必要な組織に寄贈する。

 100万ドルは、地域の回復力を向上させるため、ドイツと米国での消毒剤の生産・寄贈額に相当。ドイツではスターデで手指消毒剤を月300t(60万本相当)生産し、ドイツのドラッグストアや病院に寄贈する。米国では既存設備を緊急調整しており、手指消毒剤の生産・寄贈を行う計画だ。

 こうした取り組みを通じて、現場で働く医療関係者に必要な保護具を配布することに貢献すると同時に、貧困や緊急事態により医療サポートを必要とする人々の健康を守ることに貢献する。

 ダウは、地域社会や世界規模で感染が広がる、新型コロナウイルスに関連するニーズや状況を注視し、ダウのイノベーションと人材、資源を適切に活用していく考えだ。