世界情勢が不安定化、レジリエンスの向上が課題
わが国化学産業は、世界経済が立ち直ってきたこともあり、2021年度の業績は大幅な改善が見込まれている。特に汎用石化製品は、海外市況の高騰と需要回復が好循環となり、収益のけん引役となった。また成長分野に定めるエレクトロニクスやヘルスケアも、
2022年3月29日
2022年3月29日
2022年1月5日
次の100年も持続的な成長・拡大、今年は変革への分岐点
━2021年を総括すると。
2021年は、ウイズコロナへ移行する局面の年であった。コロナ対処法やワクチン接種が進み、危機的状況から脱しつつある。また、人々の価値観が変化し、カーボンニュートラル(CN)な社会の実現に向けた方向性が明確になった年でもあった。数十年後に振り返ってみても、大きな分岐点に位置づけられるであろう。当社も未来を見据え、変革していかなければならない。
今年度の業績については、2018年度の最高益(営業利益2096億円)を更新する見込みだ。コロナ禍の影響で打たれた事業もあったが、多くの事業がしっかり収益をあげていることと、収益の事業構成を変化させてきたことが背景にある。2018年度の最高益に貢献した石化事業は、今年度も市況が高騰し好環境となった。しかし当社は、
2021年3月29日
2020年8月10日
コロナ影響拡大で先行き不透明
戦略の見直しが課題、新常態でも成長戦略を模索
わが国化学産業は、新型コロナウイルスの感染拡大により需要が低迷したこと、さらに原油価格の暴落により製品市況が悪化したことで深刻なダメージを受けている。経済活動の再開により下期からの回復が期待されているものの、先行き不透明感が強まっており、今年度は各社にとって正念場の年となりそうだ。
対面業界では、明暗が分かれている。これまで市場をけん引してきた自動車産業は、生産台数が大幅に落ち込んでおり、回復までには時間を要するとの見方が強い。長期的にみればCASEなど新たな需要が期待されるものの、投資計画を見直す動きも出始めている。
また各社がこれまでコスト重視で効率化を図ってきたサプライチェーンも、ロックダウンによって寸断された。近年では自国ファーストも進んでおり、今後は地産地消を含めた再構築を迫られそうだ。
一方、テレワークが一気に整備されたように、5GやIoTといった半導体分野の需要が急速に拡大。また、コロナ禍で健康意識が高まったことを背景に、ヘルスケア分野への各企業の取り組みが加速している。ニューノーマル(新常態)においても、これらの分野は成長が期待されることから、今後、各社間の競争が激しくなりそうだ。
今回の「夏季特集号」では、化学業界を代表する首脳の方々に、コロナ禍による現下の危機をいかに成長の機会に変換し生き残りを図っていくのか、その戦略と方針を聞いた。
─────────────────────────────────────────────
信越化学工業 金川千尋会長/▽コロナ禍を成長の機会に、「谷深し」でも活路は必ずある
三菱ケミカル 和賀昌之社長/▽循環型経済の実現に向け、共同歩調で取り組み加速
旭化成 小堀秀毅社長/▽新常態の変化を事業機会と捉え、ヘルスケア領域を第3の柱に
三井化学 橋本修社長/ ▽新事業開発センターが始動、新体制で事業創出を加速
東ソー 山本寿宣社長/ ▽コロナ禍でも中計方針を徹底、ハイブリッドカンパニーを追求
昭和電工 森川宏平社長/▽顧客体験を最大化、統合で〝先端材料パートナー〟を目指す