東海カーボンの1-9月期 販売数量の回復で大幅増益

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2021年11月8日

 東海カーボンは5日、電話会議による決算会見を開催した。2021年12月期第3四半期(1-9月期)の連結業績は、売上高28%増の1851億円、営業利益2.4倍の177億円、経常利益2.8倍の175億円、純利益9.2倍の96億円となった。

 佐藤昭彦執行役員財務経理部長は「黒鉛電極事業は苦戦したものの、そのほかの事業はいずれも好調で、大幅な増収増益となった。前回上方修正した通期業績予想に対し、進捗は順調だ」と総括した。

 セグメント別では、

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東海カーボン 摩擦材製品を値上げ、安定供給継続図る

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2021年10月5日

 東海カーボンはこのほど、摩擦材の各製品について11月1日から値上げすると発表した。

 対象製品は焼結摩擦材と摺動材製品(東海カーボン製品)で、改定幅は「現行価格の10%」となっている。

 同社は、当該製品の安定供給を継続するため、値上げせざるを得ないと判断した。

東海カーボン グループ会社が仏政府復興計画の助成対象認定に

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2021年9月7日

 東海カーボンは6日、仏グループ会社のトーカイ・コベックス・サボワ社が、新たに、仏政府復興計画「レジリエンス」の助成対象企業に選ばれたと発表した。なおトーカイ・コベックス・サボワ社は、すでに「欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の欧州委員会バッテリー開発補助金対象企業に選定されている。

 仏政府は、コロナ禍からの回復を目的とした復興計画「レジリエンス」を発足。その一環としてカーボンニュートラルをサポートする環境改善、バイオテクノロジー、エネルギー産業への呼びかけを今年3月に行っていた。

 トーカイ・コベックス・サボワ社は、欧州での地産地消を目指すEV用電池メーカー向けに、仏拠点の既存黒鉛生産設備を活用した負極材供給プロジェクトを進めており、補助金認定を受けることとなった。

 東海カーボンは、今回の認定を受け、環境負荷低減に貢献する製品供給はもちろん、仏拠点の強みであるCO2排出を極小化できる製造プロセスをさらに進化させることで、持続可能な循環型社会の実現に向けて引き続き注力していく。

東海カーボン ファインカーボンを値上げ、コスト上昇に対応

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2021年8月31日

 東海カーボンは30日、ファインカーボン全製品(グループ会社の同製品を含む)について10月から値上げすると発表した。改定幅は「現行価格の10%」。

 輸送費、燃料費など製造費用が継続的に上昇している。同社は、拡大する需要に応えるため設備投資を進めているが、自助努力によるコスト削減だけでは吸収することが困難となり、今後の安定供給継続のために今回の値上げを決定した。

 

 

東海カーボン フランス新興電池メーカーのプロジェクトに参画

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2021年7月9日

 東海カーボンは8日、ドイツ子会社であるトーカイ・コベックス(TCX)が、そのフランス子会社TCSを通じフランスの新興電池メーカーであるベルコア社が主導するEV用電池開発プロジェクトに参画すると発表した。

 東海カーボンは、急激に高まりつつある欧州でのEV需要に対応すべく、2006年以来日本で積み重ねてきた技術の蓄積を元に、TCSでのリチウムイオン電池用負極材の研究開発に取り組んでいる。これは黒鉛製品の既存生産設備を活用し負極材を生産する革新的な取り組みとなる。なお、TCSは、今年1月に欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)の当該補助金対象企業(総数42社)に唯一の日系企業として認定されている。

 ベルコア社のEV電池開発プロジェクトには自動車メーカーのルノーとフランス企業数社が資本参加しており、素材メーカー・電池メーカー・自動車メーカーの共同体制のもと、2024年にはギガファクトリーの建設を目指している。

 東海カーボンは今回のプロジェクトへの資本参加により、各社と共同でCO2排出量の少ない高性能電池の開発に携わりながら負極材を供給することを目指していく。

東海カーボン ローリング中計を発表、成長軌道へ回帰

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2021年5月17日

 長坂社長「海外拠点とのシナジー効果を最大化」

 東海カーボンは11日、ローリングプラン中期経営計画「T-2023」(2021~2023年度)を発表した。オンライン会見において長坂一社長は「社長に就任してからの2年間は構造改革に注力し、2017以降は総額1800億円のM&Aを実施し成長戦略に取り組んできた」と振り返り、「グローバル競争に勝ち残るため、ここでいったん立ち止まり、海外を中心に急拡大したビジネスの足元を固める。新たに獲得した海外拠点とのシナジー効果を最大化し、収益を上げていく」と語った。

 同社は、全体最適による統合効果創出の布石をすでに打っている。黒鉛電極では、米国拠点を充実させ、地産地消化を推進。精錬ライニング事業は、買収した欧州2拠点(ポーランドとフランス)の間で生産品目の最適化を図るとともに、押出材を仏拠点に集約しコストの引き下げを狙う。また、LIB用負極材の製造ノウハウも仏拠点に移管し、EVの成長が見込まれる欧州市場での生産拠点にしていく。今年から順次これらの効果が現出する見込みだ。

 事業ポートフォリオの改善では、コロナ禍で主要製品の黒鉛電極とカーボンブラック(CB)がダメージを受ける中、精錬ライニングやファインカーボン(FC)事業が確実に成長しており、「今では電極やCBの収益安定が課題」との見方を示した。事業環境については、「中国や欧米では想定以上に経済回復が見られる。鉄鋼、自動車、半導体、アルミ関連などの対面業界は力強く回復しており、さらに今後発展していく」と見通した。

 一方、新中計のチャレンジとして、脱炭素とウィズコロナを挙げた。「これらは長期的に世界を大きく変えるテーマだ。当社自身も変わらなければならない」とし、具体的な対応策については、中計期間内に同社の強みや社会的意義を再定義し、足元の経営戦略へつなげる。脱炭素については、社長をリーダーとした「カーボンニュートラル推進プロジェクト」を5月に発足。CN社会実現に向けて、グループの低炭素・脱炭素対応を組織横断的な取り組みとして推進していく考えだ。

 「T-2023」の基本方針として、①主力事業の成長軌道回帰、②事業ポートフォリオの最適化、③連結ガバナンス体制強化を掲げ、最終年度の定量目標は、売上高3200億円、営業利益570億円、ROS18%、EBITDA860億円を目指す。

 ①の戦略において、黒鉛電極は「絶好調の状況に近づきつつあり、市況回復の条件が整ってきた」としたが、本格的な回復は2022年以降を見込む。CB事業は堅調に推移すると想定するも環境負荷が高いため、「環境投資費用を製品に転嫁する価格戦略が重要になる」と指摘した。

 ②の戦略において、FC事業は、半導体市場とPV(太陽光発電)市場が成長する中、韓国子会社の生産能力の拡大を図るとともに、高付加価値品市場に注力していく。精錬ライニング事業は、買収した2社をTCX社に統一。顧客データの一元化、製造技術の共有、システムの統合による生産・販売・関係管理の一体化に取り組み、シナジー効果に期待する。工業炉については、好調なMLCC(積層セラミックコンデンサ)およびLIB業界で確固たる地位を継続。次世代炉の開発に注力し、2023年には売上200億円、営業利益50億円に収益を拡大させる考えだ。

 3年間の営業キャッシュフローは累計1500億円を見込み、配分として、設備投資に660億円、債務圧縮に370億円を計画。M&A・アライアンスといった戦略投資も積極的に行っていく意向を示した。