ENEOSはこのほど、独自に開発した低コスト型有機ハイドライド電解合成法「Direct MCH技術」で製造した水素の燃料電池自動車(FCV)への充填式を開催した。
6月26日、会場となった横浜綱島水素ステーション(横浜市港北区)には、同社の宮田知秀副社長執行役員をはじめ、横浜市の山中竹春市長、経済産業省資源エネルギー庁の安達知彦水素・燃料電池戦略室長など多くの来賓が参列した。
今回充填した水素は、
2023年7月5日
2022年7月29日
2021年2月2日
東亞合成は1日、トヨタ自動車が昨年12月から販売を開始した燃料電池自動車(FCV)の新型「MIRAI」に、高機能接着剤製品が採用されたと発表した。採用されたのは、UV硬化型接着剤「アロニックスUVX」と特殊変性オレフィン系ホットメルト「アロンメルト」の2製品。
「アロニックスUVX」は、東亞合成の光硬化型樹脂「アロニックス」をベースにした接着剤で、燃料電池セル内の接着が困難な電解膜とセル内部品との接着性や接着剤使用工程上の塗布性を高め、燃料電池内部でのガスのリークを防ぐ接着シール効果を発現する。また、UV硬化により組み立て工程時間を大幅に短縮し生産性向上にも寄与する。一方、「アロンメルト」は、燃料電池セルで使われる金属セパレーター同士を強固に接着し、ガスの流路を確保する。
FCVは、数百枚積層された燃料電池セル内で水素と酸素を反応させることにより発電し、モーターを駆動して走行する。今回開発した高機能接着剤2製品は、燃料電池セル内での水素と酸素の流路を保ち、生成された水の排水性を高めるシールとセル内部品の接着を行うために採用されたもの。いずれの接着剤もFCVの心臓部ともいえる燃料電池の発電システムに重要な役割を担っており、高耐久・高信頼性が要求される車載スペックも満たした。
東亞合成は、今後とも燃料電池の性能や生産性の向上に資する研究開発を進めるとともに、徳島工場(徳島県徳島市)の電解工場から産出する水素を活用したFCV向け水素ステーションの設置を推進するなど、FCVの普及さらには2050年に向けた脱炭素社会の実現に貢献していく考えだ。
2020年9月17日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、燃料電池自動車(FCV)や定置型業務・産業用などの燃料電池(FC)の普及拡大に向け、「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」を開始した。2030年以降の実装を目指し、FCと水素貯蔵の基盤技術開発と実証事業を行う。今年度からの5カ年計画で、今年度予算は52.5億円。
FCはエネルギー効率が高くCO2も発生せず、温室効果ガス排出抑制に有効だが、今後の自立的な普及拡大に向けてはさらなる高効率・高耐久・低コスト化が必要になる。またこれまでに市場投入してきた家庭用FCエネファームやFCVについても多くの課題が顕在化してきた。
今回の事業では、①「共通課題解決型基盤技術」(19件)、②「水素利用等高度化先端技術」(20件)、③「燃料電池の多用途活用実現技術」(7件)の46テーマを通じ、課題解決を行う。
①は固体高分子形FC(PEFC)と固体酸化物形FC(SOFC)。PEFCはFCVの航続距離800㎞以上、最大出力密度6kW/L以上、耐用年数15年以上、FCシステムコスト4000円/kW未満が目標。高活性・低白金カソード触媒、ラジカル低減性アノード触媒、高イオン伝導率電解質膜などを開発する。
FC材料の構造評価を共有し、研究開発の効率化と加速、電気化学分野以外の研究者による技術革新も図る。理論発電効率の高いSOFCは発電効率65%超、耐久時間13万時間以上を目指す。
②はFCと水素貯蔵技術で、FCは①の性能・コスト目標を上回る革新的要素技術として、非白金触媒や高温運転適合の電解質膜などの先端材料の設計指針を検討。水素貯蔵システムの低コスト化・強靭化に向け、損傷蓄積・寿命評価によるCFRP製水素タンクの効率的設計や炭素繊維の低コスト化を図る。
③は多様な用途での活用に向け、FCサプライヤー/ユーザー連携の実証事業と、システムコスト低減のための生産・検査技術の開発を支援する。
同事業により世界に先駆けて市場導入した日本のFC技術の競争力をさらに強化し、世界市場での地位を確立し、水素社会の実現に貢献する考えだ。