鹿島建設はこのほど、「KTドーム」技術を活用し、躯体部分に低炭素型コンクリートとカーボンネガティブコンクリートを使ったコンクリートドームの試験施工を行い、従来の吹付けコンクリートと比較してCO2排出量を70%削減することに成功したと発表した。
同社は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトの一環で、デンカ、竹中工務店とともにコンソーシアム「CUCO(クーコ)」を設立。コンクリートの
2024年4月15日
2024年2月22日
2023年11月2日
2023年10月23日
2023年2月20日
2022年10月24日
2022年6月29日
2022年2月17日
2021年10月11日
デンカ、鹿島建設、竹中工務店は8日、3社の技術を融合して、カーボンネガティブコンクリート(製造時の排出よりもCO2の吸収量が多いコンクリート)を実現する技術を共同研究することに合意したと発表した。
2050年カーボンニュートラルの実現を目指す動きが世界的に加速するなか、国内でもCO2排出量削減が急務となっている。建設分野においてもCO2排出量削減は喫緊の課題であり、そのなかでも建設材料として広く使用されるコンクリートは、製造過程で大量のCO2を排出するため、その削減効果は極めて大きいと考えられている。
今回の共同研究では、CO2排出量を大幅に削減するコンクリートをベースに、CO2を吸収するコンクリートやCO2を吸収したコンクリート素材を活用することで、より高いレベルで汎用性のあるカーボンネガティブコンクリートを実現し本格的な普及を目指す。
CO2排出量を大幅に削減するコンクリートとしては、竹中、鹿島らが開発したCO2排出量を6割削減できる「ECM(エネルギーCO2ミニマム)」、CO2を吸収するコンクリートとしては、鹿島、デンカらが開発した世界で唯一実用化されているCO2吸収型コンクリート「CO2-SUICOM」、CO2を吸収したコンクリート素材としては、竹中が開発中の「CCU材料」の技術を活用する。
なお、「CO2-SUICOM」のキーマテリアルとしては、デンカが開発した炭酸化混和材「LEAF」を活用する。これら3つの技術を複合化し、発展させることで、各々の技術だけでは実現できないレベルのカーボンネガティブを実現し、革新的な技術へと進化させていく。
今回の共同研究により、脱炭素から「活炭素」にステージを移し、建設分野の基盤材料として欠かせないコンクリートの新しい形、使用するほどCO2を削減できるようなコンクリートを未来に向けて創っていく。
2021年8月3日
竹中工務店と国立極地研究所はこのほど、2022年度から南極内陸部のドームふじ近傍に、屋根の骨組み(架構)に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を活用する氷床掘削施設を設置し効果の検証を開始すると発表した。現在策定中の南極地域観測第Ⅹ期6カ年計画(2022~2027年度)において、南極内陸部(沿岸から約1000Km)のドームふじ近傍での氷床コア(アイスコア)掘削が予定されている。
掘削施設の建設に必要な部材は、南極観測船「しらせ」で日本から南極大陸沿岸の昭和基地へ輸送し、その後、昭和基地からドームふじへ雪上車で数週間かけて運搬する必要がある。また、現地での組み立ては、限られた人数の観測隊員により進められる。これらのことから、建物の強度を維持しつつも、輸送や組み立ての効率化のために部材の軽量化を図ることが重要な課題となる。
さらに、現地は年平均気温がマイナス50℃を下回る厳しい気象環境にあり、部材に使用される素材は低温に強いことが必須条件。こうした課題の解決を図るため、両者は、CFRPの①軽量、②高強度、③伸び・縮み・変形しにくい、④錆びない、などの特長を生かし、輸送にかかるエネルギーの削減、現地での組み立ての簡易さ、現地の過酷な気象環境への対応といった観点から、南極の内陸施設におけるCFRPの活用に向けた共同研究を、2019年から推進してきた。
今回の実証試験では、南極のドームふじ近傍に設置する掘削施設の屋根架構にCFRP素材の部材を適用し、部材軽量化による効果を検証するもので、今年12月に昭和基地まで輸送した後、2022年度にドームふじ近傍の掘削地点に設置、その後、2028年まで現地で経過観察を行う予定だ。
CFRPは、一般炭素鋼(鉄)と比べて重量が5分の1と軽量でありながらも5倍の引張強度をもつ。試作の結果、屋根架構にCFRPを用いた場合には、従来の鉄骨屋根と比較し約40%の重量削減を見込めることが判明した。これにより、現地で組み立てを行う観測隊員の負担を軽減するとともに、部材の輸送・組み立てにかかるエネルギーを大幅に削減することが期待され、これらの効果は脱炭素社会の実現にも寄与すると考えられる。
国立極地研究所は今後、南極に設置するほかの観測施設へのCFRPの活用を検討する。一方、竹中工務店は、CFRPの建設利用に関してさらなる検討を進めるとともに、一般建築に向けた適用も推進していく。