ポリスチレン 7月の価格改定も大幅値上げに

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2021年6月7日

ベンゼン価格が高騰、早期決着で収益改善図る

 ポリスチレン(PS)メーカー3社の原燃料高に対応した値上げが出揃い、7月1日の実施に向けユーザーとの交渉が本格化している。改定幅は、PSジャパン、東洋スチレン、DICとも「27円/kg以上」(東洋スチレンは難燃グレードを「42円/kg以上」)で打ち出した。PS各社は、ベンゼン高を背景に、4月から「28円/kg以上」の値上げを実施していたが、2四半期連続での大幅な値上げとなっている。

 PS価格は、

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DIC PPS樹脂を値上げ、原料などコスト高に対応

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2021年6月7日

 DICは4日、PPS樹脂製品「DIC.PPS」について、6月10日出荷分から値上げすると発表した。対象製品と改定幅は、PPSコンパウンド(強化タイプ)が「50円/kg」、PPSコンパウンド(非強化タイプ)が「80円/kg」、PPSニートポリマーが「80円/kg」となっている。

 昨今の物流諸経費および原料・副資材価格の高騰により、製品コストが大幅に上昇している。同社は、かねてより様々な合理化施策に取り組んできたが、自社内で吸収できる限界を超える状況にあることから、今後の安定供給と品質の維持・向上を図るために、値上げが避けられないと判断した。

DIC PSおよびスチレン系製品を値上げ、原料高に対応

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2021年6月3日

 DICは2日、ポリスチレン(PS)製品およびスチレン系製品について、7月1日納入分から値上げすると発表した。対象製品は、「ディックスチレンGPPS」「ハイブランチ」「ディックスチレンHIPS」「エラスチレン」で、改定幅は各製品とも「27円/kg以上」となっている。

 同社は、4月の価格改定でも値上げを実施したが、国産ナフサ、ベンゼン価格はさらに高騰を続け、PSの原料調達価格も上昇している。同社は、引き続き自助努力による吸収を続けてきたが、原材料価格の上昇を吸収することは極めて困難な状況にあることから、今後の安定供給と事業継続を図るためには値上げが避けられないと判断した。

DIC インキ乾燥促進剤を開発、欧州の環境規制に対応

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2021年6月2日

 DICはこのほど、米国子会社サンケミカルと欧州地域の環境規制に対応した塗料や印刷インキなどに用いられる酸化重合型樹脂の乾燥促進剤(ドライヤー)を開発した、と発表した。

乾燥促進剤 GHSピクトグラム
乾燥促進剤 GHSピクトグラム

 同製品は、同社の金属石鹸「ディックネート」シリーズの製品として欧州地域の塗料や印刷インキ業界に向けてすでにサンプルワークを開始。今後、さらに欧州地域の展開に注力し、2025年までに売上高10億円を目指す。

 乾燥促進剤は、塗料や印刷インキを製造する過程で配合され、塗布後の効果を促すもので、一般的に乾燥性能に優れたコバルト(Co)の金属塩が用いられる。しかしながら、コバルト化合物は発がん性などの人体への悪影響や、産地が限られ大幅に価格変動する懸念があることから、欧州地域を中心に非コバルトドライヤーのニーズが非常に高まっている。

 こうした社会課題を解決するため、DICはGHSピクトグラム(絵表示)が付与された健康・環境対応設計のドライヤー開発を推進。同開発品は、塗料・印刷インキ用途ともに健康有害性懸念の低いマンガン(Mn)がベース。開発品には、塗料用の「ディックネート ESG-130BZ」と、塗料および印刷インキ用の「ディックネート MV130A」があり、「MV130A」は、溶剤に植物系のエステルを使用しているため、従来の炭化水素系の溶剤と比べ健康や環境への有害性が低減する。ラボ評価では、塗料(アルキド塗料)における同開発品の乾燥性能は、完全硬化までの時間がコバルト同等以上、印刷インキ(オフセット枚葉インキ)においても同等であることを確認している。

 DICグループは、中期経営計画において、環境に配慮したサステナビリティ製品や高機能製品を社会に提供することで、社会貢献と持続的な成長の実現を事業方針に据えている。今後も塗料や印刷インキの市場要請に対応した高機能製品を提供し、事業規模拡大に努めていく。

DIC 軟包装フィルムのリサイクル、製パン会社と協業

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2021年5月27日

 DICは25日、大手製パンメーカーと共同でパン包装に使用するプラスチック由来の廃棄軟包装フィルムの再生資源化に向けて、マテリアルリサイクル(MR)の実際のプラントへの実装による再利用の検証を今夏より開始すると発表した。

パンの軟包装フィルム 再利用の工程
パンの軟包装フィルム 再利用の工程

 プラスチックは高い利便性から多くの用途で利用される一方、廃プラによる環境負荷が問題視され、その有効活用が国際的な課題になっている。MRは世界的に推進されているものの、日本では廃プラ総排出量891万t(2018年度)に対して、23%の208万tに留まる。

 軟包装フィルムは、包装材としての機能を満たすため印刷インキや接着剤など複層構造で成形。従来のMRの手法では、印刷インキなどが着色されたペレット(プラスチック樹脂)に再生加工されるため、再利用可能な用途が限定されていた。

 DICは、軟包装フィルムの加工および印刷工程で発生する廃棄軟包装フィルムを対象に、新たに導入する印刷インキ除去技術を用いて、着色されていないリサイクルペレットに戻し、新たな用途へ再生させる資源化検証を大手製パンメーカーと共同で開始する。プラント検証は、プラリサイクルを手掛ける外部の協業パートナーと共に実際のプラントへの再生工程に実装。脱インキ・原料化(造粒)・成形加工・再利用の各工程での最適化に取り組む。これにより高度なMRを実現し廃棄フィルムの再生用途を拡大する。

 同社グループは、世界的な社会課題である廃プラや海洋プラ問題に対し、サステナビリティ戦略として対応すべき領域を定め、取り組みを強化。食品包装などのパッケージ素材については、ポリスチレン、フィルム、インキ、接着剤などの素材がプラスチックのMR特性に及ぼす影響について基礎的な研究を行い、地球環境のサステナビリティに貢献するパッケージソリューションの提供を目指している。再資源化の取り組みでは、エフピコとのケミカルリサイクルの協業検討を開始するなど、関連する他業界との連携も強化している。

 DICは、今回の協業により軟包装フィルムの高度な再資源化を図り、プラごみ問題の解決やプラ資源の循環社会の実現を目指す。

 

DICプラスチック 折りたたみ型防災用ヘルメットを新発売

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2021年5月24日

 DICの子会社であるDICプラスチックは21日、防災の様々なシーンで活用できるヘルメット「IZANO(イザノ)2」を6月3日から販売開始すると発表した。発売後1年間で7億円の売上を目指す。

折りたたみ型防災用ヘルメット「IZANO2」
折りたたみ型防災用ヘルメット「IZANO2」

 初代「イザノ」は、東日本大震災を契機として企画をスタート。長年、産業用ヘルメットを手掛けてきた同社は、「ヘルメットらしい外観」、「現場でも使える保護性能」、「誰でも簡単に使える」をコンセプトに据え、性能と美しさを両立し2013年に上市。翌年にはグッドデザイン賞も受賞し、累計100万個以上を販売した。

:「IZANO2」折りたたみ
「IZANO2」折りたたみ

 その間、類似コンセプトの競合製品が登場しているが、新開発の「イザノ2」ではそれらを凌駕するスペックを具現化。収納性をより高めることで現場での使い勝手が向上するとともに、子供サイズにも対応し、より多くの人の安心・安全に寄与する製品へと進化した。特長として、折りたたみ時の厚み63㎜(従来品比23%減)、ヘルメットの内装部品交換が可能、子供から大人まで幅広いサイズ調整が可能、などが挙げられる。

DICの1-3月期 高付加価値製品の出荷伸び増収増益

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2021年5月17日

 DICは14日、2021年度第1四半期(1-3月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比5%増の1903億円、営業利益41%増の140億円、経常利益79%増の148億円、純利益121%増の102億円と増収増益だった。

 世界経済が米国や中国を中心に回復し、国内でも自動車を中心に幅広い産業で経済活動が戻る中、高付加価値製品である半導体、電機・電子、自動車向け材料など広範な分野で出荷が伸びた。また、生活必需品である食品包装分野でも、海外を中心に引き続き出荷が堅調に推移した。利益面では、高付加価値製品を中心に出荷が全般的に伸長したことに加え、活動経費の抑制や米州・欧州での原料コスト上昇に対する価格対応などが寄与した結果、大幅な増益となった。

 セグメント別に見ると、パッケージング&グラフィックは増収増益。出版用インキの比率が高い国内は1~3月の緊急事態宣言による需要減少の影響があり、前年並みで推移した。米州・欧州ではパッケージ用インキの出荷が伸び、アジアは中国を中心に大幅な増収となった。利益面では、海外を中心に原料価格の値上がり影響が出始めているものの、米州・欧州での価格対応が寄与し大幅な増益となった。

 カラー&ディスプレイは減収増益。自動車を中心とした経済回復に伴い、塗料・プラスチック用顔料の出荷が回復した。スペシャリティ用途が中心となる光輝材は、引き続き好調な出荷が継続。中国ローカルメーカーとの競争が激しく、TFT液晶は振るわなかった。利益面では、カラーフィルタ用顔料や光輝材などの堅調な出荷に加え、合理化効果が増益に貢献した。

 ファンクショナルプロダクツは増収増益。自動車やエレクトロニクス関連を中心に出荷が伸びた。需要の急回復に加え、原料の先高感や物流の乱れなどの要因が重なり、顧客サイドの在庫確保の動きが売上を押し上げた。利益面では、エポキシ樹脂など高付加価値製品の好調な出荷により大幅な増益となった。

 1-3月期の業績動向などを踏まえ、上期(1-6月期)の業績予想を上方修正している。売上高は3750億円(前回予想比70億円増)、営業利益は235億円(同30億円増)、経常利益は230億円(同40億円増)、純利益は125億円(同35億円増)。なお、通期業績の見通しについては、コロナ影響の不透明感、原料価格の値上がり懸念などから据え置いている。

DIC イスラエルのバイオベンチャー企業に出資

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2021年5月6日

 DICは28日、健康食品などの藻類由来製品の事業拡大を目的としてバイオベンチャー企業であるイスラエルのバクサ・テクノロジーズ社に出資したと発表した。

 バクサ社は、LEDを用いた独自のフォトバイオリアクター(PBR)設備と藻類培養技術をもち、他社に無いクリーンで付加価値の高い藻類製品を開発、商用化している。また、そのプロセスは再生可能エネルギーを利用し、従来法と比べて非常に少ない土地や水の利用で高生産性を実現。かつ産業副生物であるCO2を有効に変換するカーボンネガティブで極めてサステナブルなものとなっている。

 DICは、藻類などの微生物を活用したバイオ技術の深耕と事業拡大を目的として、バイオベンチャー企業への出資や協業を行っている。今回の出資により、DICがもつ長年の藻類ビジネスの知見とバクサ社の培養技術を組み合わせることで、サステナブルでより健康な社会を実現する製品を開発、上市していく。

DIC 有機顔料製品を値上げ、コスト上昇に対応

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2021年4月28日

 DICは27日、有機顔料製品(フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料)について、5月10日出荷分より値上げすると発表した。改定幅は各製品とも「100~900円/kg」。

 昨今、一部の有機顔料の原料および中間体において、中国の環境規制強化を背景とした化学品の供給量減少や、他用途の需要増加などによる需給バランスのひっ迫化を受けた価格高騰が見られている。また、物流費や生産コストの上昇も継続している。こうした中、同社は、自助努力を続けてきたが、これ以上のコスト上昇を自社内で吸収することが極めて困難な状況にあることから、今後の安定供給と事業継続を図るために値上げが避けられないと判断した。

 

DICグラフィックス インキ・接着剤・塗料などを値上げ

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2021年4月26日

 DICの子会社であるDICグラフィックスは23日、主にパッケージ印刷向けに使用されるグラビア・フレキソインキおよび接着剤や、食品用金属容器などに使用される塗料製品について、5月10日出荷分から値上げすると発表した。

 対象製品と改定幅は、白インキが「40円/kg」、色インキが「60円/kg」、メジュームおよびOPニスが「50円/kg」、接着剤が「50円/kg」、硬化剤が「50~150円/kg」、クリヤーが「30円/kg」、ホワイトコーチングが「40円/kg」、金属インキが「50円/kg」。

 当該製品の原料は、石化原料市況高騰の影響で騰勢に転じている。主原料である樹脂と顔料は、世界市場の急激な回復による需給バランスのひっ迫化などで価格が上昇。また、環境対応費用などの継続的なコストの増加も見られる。さらには、物流業界の慢性的な人手不足や燃料高騰などを背景に、物流費やユーティリティーコスト、金属容器などの副資材コストも上昇の一途にある。

 こうした中、同社は、自助努力を続けてきたが、これらのコスト上昇を吸収するのは極めて困難なことから、今後の安定供給とサービスの維持・向上を図るために、値上げが避けられないと判断した。