DICとエフピコ PSリサイクルの社会実装へ協業検討

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2020年12月3日

 DICとエフピコは、ポリスチレン(PS)の完全循環型リサイクルの社会実装に向けた検討を本格化した。

ケミカルリサイクルによるポリスチレンの完全循環型モデル
ケミカルリサイクルによるポリスチレンの完全循環型モデル

 DICは、プラスチックの高度資源循環の社会実装に貢献するため、産官学連携で廃プラスチックの材料再生プロセス開発のプロジェクトに参画しマテリアルリサイクル(MR)の研究を推進。また、食品包装などのパッケージ素材として使用されるPS、フィルム、インキ、接着剤などの素材がプラスチックのMR特性に及ぼす影響について基礎的な研究を行い、環境負荷の少ないパッケージ素材の製品開発を進めている。

 エフピコグループでは、一般家庭から排出される使用済み発泡PS食品容器をMRによって再生利用する「エフピコ方式のリサイクル」を積極的に推進。使用済みの白色発泡PS容器は、粉砕した後、再度溶融した上でエコトレーとして製品化し、色柄付きの発泡PS容器はハンガーなど日用雑貨品に再生利用している。

 一方、PSは制御された加熱条件下で容易にPS原料のスチレンモノマー(SM)に戻る「モノマー還元」の性質があるため、ケミカルリサイクル(CR)に適している。CRで得られたスチレンから生産されたPSは、石油原料から生産されたPSと同等の性能や安全性があり、使用用途が限定されずに幅広い用途で利用できる。

 両社は、CRに関する合弁会社を含めた共同事業体設立などの協業を視野に検討を進めており、モノマー還元技術を外部から導入することで、色柄付きの発泡PS容器の再生を実現し、PS製品の完全循環型リサイクルを目指す。なお、DIC四日市工場での実証実験プラントの建設も検討している。

 CRによるPS製品の完全循環型リサイクルでは、「エフピコ方式のリサイクル」を活用し、使用済み食品容器を9600カ所の拠点で回収。色柄付きの発泡PS容器を両社の共同事業体などでリサイクルSMに再生し、DICでPSを生産、エフピコでエコトレーなどへの製品利用を目指す。

 両社は、様々なリサイクル技術を活用することで完全循環型リサイクルを実現し、使用済みプラスチックの有効活用と、食品包装容器のライフサイクル面でのCO2排出量の削減に貢献していく考えだ。

DIC 肌のバリア機能を高める機能性表示食品を新発売

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2020年11月19日

 DICはこのほど、食用藍藻(らんそう)スピルリナを中心とした健康食品を製造・販売する100%子会社DICライフテックが、肌のバリア機能を高める機能性表示食品「フィコナ スキン モイストリフティング タブレット」の販売を開始したと発表した。

PHYCONA フィコナ
フィコナ スキン モイストリフティング タブレット

 同製品は、食用藍藻スピルリナから独自の特許製法で抽出した青色素「フィコシアニン」を関与成分とし、最終製品によるヒト臨床試験で保湿効果が確認された機能性表示食品。保湿効果を含む有用成分は多数あるが、タンパク質の一種であるフィコシアニンは肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和する機能があることが報告されている。製品にはC-フィコシアニン、アロフィコシアニンが含まれており、内側から肌のバリア機能(保湿力)を高める今までの保湿成分にはない新しい有用成分をもつ。

 フィコシアニンの原料となるスピルリナは、約30億年前に誕生した食用藍藻で、50種以上の健康・栄養成分を含むスーパーフードの王様とも呼ばれる。DICグループは、その可能性にいち早く着目し、50年にわたって研究を続けてきた。藻類研究のパイオニアとしてスピルリナ粉末を健康食品や、食用色素、食品素材や飼料分野へ展開してきた結果、青い色素成分「フィコシアニン」が秘めている優れたパワーを独自に見出だした。

 DICグループは、中期経営計画「DIC111」の中で、今後の新事業の柱の1つとしてヘルスケア分野の強化に注力している。消費者の健康志向を背景に今後も同社が得意とする藻類培養技術を活用した〝食の安全・安心〟に注力した食品やサプリメントなどの製品開発を進めていく。

DIC MR高度化のパッケージ素材、NEDOに採択

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2020年11月18日

 DICはこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した2020年度「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発プロジェクト」の〝材料再生プロセス開発〟に採択され、8月より実証を開始したと発表した。

 同研究プロジェクトで担当する役割は、福岡大学工学部化学システム工学科の八尾滋教授をテーマリーダーに、6つの研究機関と、同社を含む12社が共同で廃プラスチックを新品プラスチックと同等の物性に再生し、再利用するマテリアルリサイクル(MR)の技術開発を行うもの。実施期間は、5年間(2020~24年度)を予定している。

 同研究プロジェクトでは、同社は〝材料再生プロセス開発〟へ参加し、インキや接着剤などのパッケージング素材がプラスチックのマテリアルリサイクル特性に及ぼす影響について基礎的な研究を行い、さらにこの研究で得た知見をもとに、環境負荷の少ないインキや接着剤などの製品開発を目指した研究を行っていく。

 DICグループは、世界的な社会課題である廃プラスチックや海洋プラスチック問題に対し、サステナビリティ戦略として同社が対応すべき領域を定め、取り組みを強化している。同研究プロジェクトに参画することで、プラスチックごみ問題の解決にあたると同時に、プラスチックの高度資源循環の社会実装に貢献していく。

NEDO 材料再生プロセス開発
NEDO 材料再生プロセス開発

DICの1-9月期 化粧品顔料が苦戦し減収減益に

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2020年11月16日

 DICは13日、2020年12月期第3四半期(1-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比11%減の5143億円、営業利益13%減の256億円、経常利益23%減の230億円、純利益24%減の139億円となった。

 オンラインによる決算会見の中で、古田修司執行役員・最高財務責任者は「売上高は、出荷回復の傾向が見られたが、コロナ禍以前までには戻らず全セグメントで減収となった。営業利益は、

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DIC BASFの顔料事業買収完了が来年1Qに変更

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2020年11月2日

 DICはこのほど、BASFの顔料事業であるBASF Colors & Effectsの買収のクロージングが来年第1四半期(1-3月期)中になると発表した。

 DICは、当初予定していた今年末までのクロージングに向け、BASFと必要な作業を進めてきた。しかし当初のスケジュールよりも時間を要しており、作業が継続している。こうした中、BASFと協議のうえ、日程の変更を決定した。

DIC 蓄熱シートがエコプロアワード奨励賞を受賞

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2020年10月21日

 DICはこのほど、サステナブル経営推進機構(エコプロ運営事務局)が実施する「第3回エコプロアワード」で、エネルギーを使わずちょうどいい温度を保つ蓄熱シート「THAMONA(サモーナ)」が奨励賞を受賞したと発表した。

エコプロアワード 奨励賞受賞
エコプロアワード 奨励賞受賞

エコプロアワードは、経済のグローバル化やパリ協定の発効、SDGsの制定など社会経済を取り巻く状況の変化を視野に入れ、環境配慮に優れた製品やサービス、技術、ソリューション、ビジネスモデルといった案件を表彰する制度。第3回エコプロアワードには合計47件の応募があった。

 今回の同社の受賞は、蓄熱材の加工性を高め建材利用しやすくした点が評価された。「サモーナ」は潜熱蓄熱材料を樹脂に分散してシート化することに成功したもので、これまでは液化するために組み込みが難しかった潜熱蓄熱の効果を、様々な用途で容易に組み込めるようにした画期的な製品。蓄熱材料の漏れを解決したことから、切る・留める・曲げるなど自由な加工が可能になった。

 

DIC 消毒・清掃済シールを発売、安全・安心を可視化

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2020年10月19日

 DICはこのほど、100%子会社であるDICカラーデザイン(DCD)が、ウィズコロナ時代の新しいニーズに対応した安全・安心を可視化できる製品として「消毒・清掃済シール」の販売を開始したと発表した。

清掃済シール
清掃済シール

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、人々は日常的に感染リスクを警戒し不安感を抱きながら生活している。このウィズコロナ時代には、ホテルやスポーツジム、温泉施設などの共有スペースでの感染予防対策に加え、社会から安全・安心を担保する感染予防対策の可視化が求められている。

 こうした中、この新しい社会ニーズに対応するため、DCDは、安全・安心を可視化できる「消毒・清掃済シール」を開発。同製品はドアを開けるとシールが破ける構造になっており、室内の清掃・消毒後は誰も入室していないことを証明できるため、利用者に安心感を与えることができる。改ざん防止仕様、強粘再剥離仕様の2種類で、サイズは50mm×120mm(オリジナルサイズで対応可)。

DIC PIF融資契約を締結、SDGs貢献を評価指標に

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2020年10月14日

 DICはこのほど、三井住友信託銀行との間で、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱したポジティブ・インパクト金融原則に即した「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)」の融資契約を締結したと発表した。

 PIFは企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブおよびネガティブ)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資。企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用し、情報開示することが最大の特長だ。

 DICグループは彩り豊かで、もっと心地よく暮らせる社会を築いていく「Color & Comfort」をブランドスローガンとして掲げる。また、持続可能な社会を見据えてマーケットと顧客のニーズに対応した製品ソリューションを提供し、彩りある快適な社会づくりを目指してスローガンを実現することで、事業活動を通じた社会活動の創造とSDGs達成に貢献している。

 今回の締結にあたり、特にSDGsの目標達成にインパクトを与える項目について、定性的、定量的に評価されている。これらの取り組みの進捗・成果は、統合報告書「DICレポート」で開示する。

DIC 脳科学とAI融合「脳モデル開発ユニット」に参画

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2020年10月12日

 DICはこのほど、「応用脳科学コンソーシアム」(東京都千代田区)発足による脳科学とAI融合研究のテーマ「脳モデル開発ユニット」に9月14日から参画したと発表した。

 「脳モデル開発ユニット」は、DIC、アサヒクオリティーアンドイノベーション、旭化成、NTTデータ、NTTデータ経営研究所の5つの企業、および情報通信研究機構(NICT)、脳情報通信融合研究センター(CiNet)などの研究機関や大学の参画による産学連携を主体とした研究開発活動への取り組みとなる。

 DICは、同ユニットへの参画を通じて化学素材の観点から脳科学とAIの融合研究に取り組むことで、得られた脳融合型AIの成果を製品開発に積極的に活用。同社の経営ビジョンである「化学で彩りと快適を提案する‐Color & Comfort by Chemistry‐」の実現につながる素材の開発と提供を目指す考えだ。

 世界中でAIの研究や事業応用が急速に進む中、人間の脳の仕組みや機能をAIに応用する脳科学とAIの融合研究は、大きな分野となる可能性を秘めている。日本の脳科学研究は世界でもトップレベルで若手の優秀な研究者が多数存在するが、知見や研究成果をビジネスに応用する場が不足しているのが現状だ。

 活動内容として、同コンソーシアム内に2つのユニットを設置。「脳モデル開発ユニット」では、脳反応を脳情報データベースとして蓄積・解析する。そして構築した脳モデルをベースとしたAIの研究開発に取り組む。一方、「応用脳科学活動ユニット」は、応用脳科学R&D研究会、応用脳科学アカデミー&ワークショップ、応用脳科学ネットワークの3つのプラットフォームで構成され、脳科学の産業応用に関する普及啓発、脳科学とAIの知見をもつ人材の育成を行う。

 

DIC ヘルメットに装着可能なフェイスシールドを発売

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2020年10月6日

 DICは5日、100%子会社であるDICプラスチック(DPI)が、産業用ヘルメットに装着可能なフェイスシールド「フェイスシールド プロ」の販売を開始したと発表した。

産業用ヘルメットに装着可能「フェイスシールド プロ」
産業用ヘルメットに装着可能「フェイスシールド プロ」

 新型コロナウイルス感染症への感染リスクが常に伴うウィズコロナ時代では、飛沫感染を防ぐ対策が日常生活ばかりでなく職場環境でも求められている。日常生活では主にマスク、フェイスシールド、マウスシールドなどの飛沫感染対策製品が用いられるが、ヘルメットの着用が必要な製造および作業現場では、熱中症への対策を踏まえ、視認性、耐久性、作業性を兼備する製品が必要となる。

 プラスチック成型品の製造および販売を行うDPIでは、このようなニーズに対応するため産業用のヘルメットに装着可能なフェイスシールド「フェイスシールド プロ」を開発。同製品は顎下までしっかりガードする形状により飛沫感染を予防、同時に高い視認性、作業性を確保している。加えて、防曇加工による曇り防止や、使用時以外は跳ね上げ脱着が可能なため、作業者の快適性に貢献する。

 DICグループは、新型コロナ感染症の世界的な感染拡大に対し、グループ一丸で何ができるかに向き合っており、今後も顧客ニーズに対応した製品開発を迅速に進めていく。