DIC バイオマス原料の軟包装材用接着剤、展開を加速

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2021年3月11日

 DICは10日、バイオマス原料を使用した軟包装材用ラミネート接着剤「ディックドライ BMシリーズ」の市場展開を加速すると発表した。同製品は、植物由来の原料を一定比率以上使用することでバイオマス度10~20%を実現した環境調和型製品で、すでに食品や日用品などの軟包装材料用途として販売を開始。今後、国内だけでなく海外でも販売を拡大することで、2025年には売上高10億円を目指す考えだ。

 食品や日用品などのパッケージに使われる軟包装材料は、多層のラミネート構造になっているため現状リサイクルが難しく、そのほとんどは廃棄後に焼却処理されCO2として排出されている。バイオマス原料は、植物が成長する過程でCO2を吸収するため、廃棄の際に燃焼しても全体としてはCO2量が増加しない。バイオマス原料を使用することで、CO2排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」に貢献することができる。

 同社が開発したバイオマス接着剤は、有機溶剤で希釈してラミネート工程に使用する「ディックドライ LX-BMシリーズ」に加え、ラミネート工程の際のVOC(揮発性有機化合物)やCO2の排出量削減に寄与する無溶剤型接着剤「HA-BMシリーズ」がある。いずれのシリーズもバイオマス原料を含有しており、日本有機資源協会が認定するバイオマスマークを取得。また、従来の石油由来の接着剤と同等の接着性能を発揮する。

 DICグループは、中期経営計画の中で地球環境のサステナビリティに貢献するパッケージソリューションの提供を目指している。パッケージングマテリアル事業では、プラスチックの3R(リデュース・リユース・リサイクル)を切り口に、今後もリサイクルや環境面に配慮した代替素材の開発に注力し、循環型社会の実現に貢献していく方針だ。

 

DIC 欧米統括子会社、ヘルスケアなどの新組織を発足

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2021年3月8日

 DICは5日、100%子会社である米国のサンケミカルが、ヘルスケア食品およびニュートリションビジネスのグローバル展開を加速させるため、新組織〝フード・アンド・ニュートリション・グループ〟を発足したと発表した。

 今後、DICとサンケミカルは、着色や藻類培養ビジネスに関わる分野をグローバルで強化し、食品や飲料、栄養補助食品業界へ製品やソリューションを提供する。新組織は、DICグループの基本戦略である事業ポートフォリオの転換を早期に実現させるのが狙い。

 同組織は、サンケミカルの高度な研究技術やカラーリングの専門知識を活用し、天然および合成食品着色料の新製品開発を強化する。DICの研究開発チームは、ベンチャーキャピタルと共に積極的にバイオベースの栄養補助食品原料の開発に注力。サンケミカルは同グループの成長にコミットし、その成長を加速させるため追加投資を行う。

 サンケミカルは、新組織の発足に伴い、DIC子会社アースライズ・ニュートリショナルズの販売とマーケティング機能を同グループの組織に統合した。これには、「スピルリナ」と「リナブルー」製品の販売・流通が含まれる。

 DICグループは、中計で掲げた2つの基軸(Value TransformationとNEW Pillar Creation)による事業ポートフォリオの転換を早期に実現するため、今後も成長性と高付加価値化を期待できる市場に焦点を当て、事業基盤の強化・拡大を進めていく考えだ。

DIC 共押出多層フィルムを値上げ、コスト上昇に対応

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2021年3月5日

 DICは4日、共押出多層フィルム「DIFAREN」を今月25日納入分から値上げすると発表した。改定幅は「一連(500㎡)あたり300円(厚み20㎛換算)」。

 原油およびナフサ価格は高騰を続け、フィルム製品の原材料価格が上昇している。加えて、物流費、副資材費、設備維持費などのコストも上昇している状況。こうした中、同社は自助努力を続けてきたが、これらの費用の吸収は極めて困難な状況にあることから、安定供給を維持するためには値上げが避けられないと判断した。

DIC ポリスチレンを値上げ、4月1日から実施へ

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2021年3月4日

 DICは3日、ポリスチレン(PS)製品およびスチレン系製品について、4月1日納入分から値上げする、と発表した。対象製品は「ディックスチレンGPPS」「ハイブランチ」「ディックスチレンHIPS」「エラスチレン」で、改定幅はいずれも「6円/kg以上」となっている。同社は、原材料価格の上昇により、1月に「5円/kg以上」、3月に「17円/kg以上」の値上げを実施していた。しかし、国産ナフサ、ベンゼン価格はさらに高騰を続け、PSの原料調達価格も上昇している。

 同社は、引き続き自助努力による吸収を続けてきたが、今回の原材料価格の上昇を吸収することは極めて困難な状況にあることから、今後の安定供給と事業継続を図るために値上げせざるを得ないと判断した。

DIC インドの機能性CPPフィルム事業、協業に合意

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2021年3月1日

 DICはこのほど、世界最大級のBOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムメーカーである印Jindal Poly Filmsと、インド国内において機能性CPPフィルムの市場開拓で協業すると発表した。

 インド国内では、使い捨てプラの使用規制強化など他国と同様に環境対応や衛生管理面での機能ニーズが高まり、食品包装の分野でも機能性に優れたフィルムが求められている。中でもフィルムの軽量化、モノマテリアル化などに適した機能性の高いCPPフィルムの需要が今後伸びることが見込まれる。

 Jindal社は、インド国内市場の成長を見越し、2018年よりCPPフィルム事業に参入。これに際し、DICは協業の提案を受けており、Jindal社との協業はインドのフィルム市場開拓の第一歩となるものと判断し、具体的な検討を進めてきた。

 両社は協業内容として、①技術ライセンス契約を締結し、DICの生産パッケージング技術をJindal社に供与、②Jindal社のインド国内工場にて、DICの技術を用いた機能性CPPフィルムを開発・量産化、③合弁会社の設立を視野に、Jindal社が生産した機能性CPPフィルムをインド国内において共同販売、を検討しており、早ければ2021年度中に具体的な活動を開始する予定。

 DICはこれまで、日本国内を中心に、フィルムの機能面と環境面の両面から社会に価値を提供してきた。世界的なサステナブルニーズが高まるなか、今回の協業を通じて、日本で培った高度な技術をインド市場に投入してフィルム事業拡大を目指し、将来的にはインド以外の地域においても、協業を拡大することを検討していく。

DIC BASF顔料事業買収に伴う特別損失を計上

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2021年2月22日

 DICは19日、BASFとの顔料事業買収に伴い、DICの米国子会社の同事業の売却を決定し特別損失(事業整理損)を計上したと発表した。

 DICは、ドイツ・BASFが保有する顔料事業である「BASF Colors & Effects社」の取得についてBASFと売買契約を締結し、今年度第1四半期中のクロージングにむけて作業を進めている。ただ、今回の買収により顔料分野においてグローバルで一定のシェアになるため、独占禁止法上の問題の是正措置として、DICの米国子会社サン・ケミカルのブッシーパーク工場(サウスカロライナ州)で生産する高級顔料事業を売却する方針を決定した。

 ブッシーパーク工場は自動車塗料向けなどの顔料などを生産しているが、BASF Colors & Effects社が保有する顔料事業の取得により高級顔料は大きく拡充される見込みであるため事業戦略上の影響は軽微と見られる。

 DICは売却対象資産の処分に関連して発生する損失として総額88億円を2020年度業績に特別損失(事業整理損)として計上した。

DICの12月期 第4四半期の販売回復で営利益は微減

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2021年2月22日

 DICは19日、2020年12月期(1-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年比9%減の7012億円、営業利益4%減の397億円、経常利益12%減の365億円、純利益44%減の132億円となった。

 オンラインによる決算会見の中で、古田修司執行役員・最高財務責任者は「通期ではコロナ禍の影響による落ち込みが響き減収減益となった。第4四半期(10-12月期)は、

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DIC 3月1日からポリスチレン製品などを値上げ

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2021年2月10日

 DICは9日、ポリスチレン製品およびスチレン系製品について3月1日納入分から値上げすると発表した。対象製品は、「ディックスチレンGPPS」「ハイブランチ」「ディックスチレンHIPS」「エラスチン」で、改定幅はいずれも「17円/kg以上」となっている。

 同社は1月に価格改定を実施したが、昨今の国産ナフサ、ベンゼン価格は更に高騰を続け、ポリスチレンの原料調達価格も上昇している。同社は、引き続き自助努力による吸収を続けてきたが、今回の原材料価格の上昇を吸収することは極めて困難な状況にあり、今後の安定供給と事業継続を図るためには価格改定が避けられないと判断した。

DIC 設置・移設が簡単なIoT環境無線センサー発売

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2021年2月1日

 DICは29日、商業施設やオフィスビルなどの屋内環境で温度・湿度・照度のセンシングに利用する、やわらか無線センサー「ハッテトッテ」の受注を開始したと発表した。

やわらか無線センサー「ハッテトッテ」
やわらか無線センサー「ハッテトッテ」

 同製品は、場所を選ばず簡単にセンシングが行えることから、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」社会の実現に貢献することが期待される。

 温度や湿度などを測るセンサーは有線タイプが主流だが、既存施設へ設置しづらく、テナントやフロアレイアウトの変更時に適所設置できないなどの課題があった。また、無線タイプの場合も、従来製品の多くは筐体がプラスチック成形品のため、取り付けが簡便な両面テープでの固定では落下の危険性があり、加えて、センサーのデザインと施設デザインとの不調和に対して改善を求める声も高まっていた。

:「ハッテトッテ」薄く手軽い形状
「ハッテトッテ」薄く手軽い形状

 こうした中、DICは、これらの課題を解決するため、「ハッテトッテ」を開発。同製品は、設置の簡便性、軽くて薄い形状(厚さ5.8㎜、重さ約38g)と空間デザインを邪魔しない意匠性、電池内蔵で一切の配線不要、LoRaWANにより長距離通信が可能といった特長を備えている。近日中には、IPX6相当の防水を備えた屋外向け製品も受注を開始する予定だ。

設置や移設が簡単
設置や移設が簡単

 同社は、「CO2センサー」や「距離センサー」などのラインアップ拡充を検討。3密検出、オフィス・商業施設などの環境改善と省エネ、介護施設の感染症警告やヒートショック回避、1人暮らしの見守り、美術館の展示物保護、工事現場の熱中症警告など幅広い用途への展開を図り、2023年には売上高3億円を目指す方針だ。

DIC 抗ウイルス・抗菌機能の3Dフィラメントを開発

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2021年1月26日

 DICは25日、国内初となる抗ウイルス・抗菌機能をもつ3Dプリンタ向け熱可塑性プラスチック材料(フィラメント)を開発したと発表した。同製品は国際標準化機構(ISO)が規格する試験での効果が確認されており、製品の表面に付着した特定のウイルスや菌の増殖を抑え減少させることができる。

3Dプリンタによる造形品のイメージ
3Dプリンタによる造形品のイメージ

 3Dプリンタ材料市場は、造形方法の技術革新の進展や材料の多様化・高機能化、造形品の試作品から最終製品へのさらなる適用拡大といった要因から大きく伸長している。世界市場の成長率は2018~2023年まで年平均21.2%増で推移する見込みであり、2023年の市場規模は約4751億円になると予測されている(矢野総合研究所調べ)。一方、新型コロナの感染拡大が続く状況下では、消費者の衛生面への関心の高まりから医療施設や公共施設だけでなく、日常生活のあらゆる場面で抗ウイルス・抗菌製品の使用を求める声が多くなっている。

抗ウイルス・抗菌機能を持つ3Dプリンタ向けフィラメント
抗ウイルス・抗菌機能を持つ3Dプリンタ向けフィラメント

 こうした中、同社が開発した3Dプリンタ向けフィラメントは、抗ウイルス・抗菌機能をもつ熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU樹脂)を採用。TPU樹脂は柔軟性や耐摩耗性を備えることから、フェイスシールドやマスクなど医療や衛生用途での活用が期待できる。それ以外にもウイルス感染対策が求められ、かつ顧客ニーズに応じてカスタマイズが必要な造形品への展開が可能だ。同社は今後、電子・電気、スポーツ、日用品、住宅・建材、自動車など幅広い業界への展開を視野に入れ、2021年度中の販売を目指す。

 DICグループは中期経営計画の中で、事業の質的転換と新事業の創出による事業ポートフォリオの転換を基本戦略に据えている。3Dプリンタ用材料については、すでに光造形用のコンパウンド材料を展開しており、熱可塑性プラスチック材料をラインアップに加えることで新たな事業の基盤化を推進していく考えだ。