DICはこのほど、BASFの顔料事業であるBASF Colors & Effectsの買収のクロージングが来年第1四半期(1-3月期)中になると発表した。
DICは、当初予定していた今年末までのクロージングに向け、BASFと必要な作業を進めてきた。しかし当初のスケジュールよりも時間を要しており、作業が継続している。こうした中、BASFと協議のうえ、日程の変更を決定した。
2020年11月2日
2020年10月21日
DICはこのほど、サステナブル経営推進機構(エコプロ運営事務局)が実施する「第3回エコプロアワード」で、エネルギーを使わずちょうどいい温度を保つ蓄熱シート「THAMONA(サモーナ)」が奨励賞を受賞したと発表した。
エコプロアワードは、経済のグローバル化やパリ協定の発効、SDGsの制定など社会経済を取り巻く状況の変化を視野に入れ、環境配慮に優れた製品やサービス、技術、ソリューション、ビジネスモデルといった案件を表彰する制度。第3回エコプロアワードには合計47件の応募があった。
今回の同社の受賞は、蓄熱材の加工性を高め建材利用しやすくした点が評価された。「サモーナ」は潜熱蓄熱材料を樹脂に分散してシート化することに成功したもので、これまでは液化するために組み込みが難しかった潜熱蓄熱の効果を、様々な用途で容易に組み込めるようにした画期的な製品。蓄熱材料の漏れを解決したことから、切る・留める・曲げるなど自由な加工が可能になった。
2020年10月19日
DICはこのほど、100%子会社であるDICカラーデザイン(DCD)が、ウィズコロナ時代の新しいニーズに対応した安全・安心を可視化できる製品として「消毒・清掃済シール」の販売を開始したと発表した。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、人々は日常的に感染リスクを警戒し不安感を抱きながら生活している。このウィズコロナ時代には、ホテルやスポーツジム、温泉施設などの共有スペースでの感染予防対策に加え、社会から安全・安心を担保する感染予防対策の可視化が求められている。
こうした中、この新しい社会ニーズに対応するため、DCDは、安全・安心を可視化できる「消毒・清掃済シール」を開発。同製品はドアを開けるとシールが破ける構造になっており、室内の清掃・消毒後は誰も入室していないことを証明できるため、利用者に安心感を与えることができる。改ざん防止仕様、強粘再剥離仕様の2種類で、サイズは50mm×120mm(オリジナルサイズで対応可)。
2020年10月14日
DICはこのほど、三井住友信託銀行との間で、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱したポジティブ・インパクト金融原則に即した「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)」の融資契約を締結したと発表した。
PIFは企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブおよびネガティブ)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資。企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用し、情報開示することが最大の特長だ。
DICグループは彩り豊かで、もっと心地よく暮らせる社会を築いていく「Color & Comfort」をブランドスローガンとして掲げる。また、持続可能な社会を見据えてマーケットと顧客のニーズに対応した製品ソリューションを提供し、彩りある快適な社会づくりを目指してスローガンを実現することで、事業活動を通じた社会活動の創造とSDGs達成に貢献している。
今回の締結にあたり、特にSDGsの目標達成にインパクトを与える項目について、定性的、定量的に評価されている。これらの取り組みの進捗・成果は、統合報告書「DICレポート」で開示する。
2020年10月12日
DICはこのほど、「応用脳科学コンソーシアム」(東京都千代田区)発足による脳科学とAI融合研究のテーマ「脳モデル開発ユニット」に9月14日から参画したと発表した。
「脳モデル開発ユニット」は、DIC、アサヒクオリティーアンドイノベーション、旭化成、NTTデータ、NTTデータ経営研究所の5つの企業、および情報通信研究機構(NICT)、脳情報通信融合研究センター(CiNet)などの研究機関や大学の参画による産学連携を主体とした研究開発活動への取り組みとなる。
DICは、同ユニットへの参画を通じて化学素材の観点から脳科学とAIの融合研究に取り組むことで、得られた脳融合型AIの成果を製品開発に積極的に活用。同社の経営ビジョンである「化学で彩りと快適を提案する‐Color & Comfort by Chemistry‐」の実現につながる素材の開発と提供を目指す考えだ。
世界中でAIの研究や事業応用が急速に進む中、人間の脳の仕組みや機能をAIに応用する脳科学とAIの融合研究は、大きな分野となる可能性を秘めている。日本の脳科学研究は世界でもトップレベルで若手の優秀な研究者が多数存在するが、知見や研究成果をビジネスに応用する場が不足しているのが現状だ。
活動内容として、同コンソーシアム内に2つのユニットを設置。「脳モデル開発ユニット」では、脳反応を脳情報データベースとして蓄積・解析する。そして構築した脳モデルをベースとしたAIの研究開発に取り組む。一方、「応用脳科学活動ユニット」は、応用脳科学R&D研究会、応用脳科学アカデミー&ワークショップ、応用脳科学ネットワークの3つのプラットフォームで構成され、脳科学の産業応用に関する普及啓発、脳科学とAIの知見をもつ人材の育成を行う。
2020年10月6日
DICは5日、100%子会社であるDICプラスチック(DPI)が、産業用ヘルメットに装着可能なフェイスシールド「フェイスシールド プロ」の販売を開始したと発表した。
新型コロナウイルス感染症への感染リスクが常に伴うウィズコロナ時代では、飛沫感染を防ぐ対策が日常生活ばかりでなく職場環境でも求められている。日常生活では主にマスク、フェイスシールド、マウスシールドなどの飛沫感染対策製品が用いられるが、ヘルメットの着用が必要な製造および作業現場では、熱中症への対策を踏まえ、視認性、耐久性、作業性を兼備する製品が必要となる。
プラスチック成型品の製造および販売を行うDPIでは、このようなニーズに対応するため産業用のヘルメットに装着可能なフェイスシールド「フェイスシールド プロ」を開発。同製品は顎下までしっかりガードする形状により飛沫感染を予防、同時に高い視認性、作業性を確保している。加えて、防曇加工による曇り防止や、使用時以外は跳ね上げ脱着が可能なため、作業者の快適性に貢献する。
DICグループは、新型コロナ感染症の世界的な感染拡大に対し、グループ一丸で何ができるかに向き合っており、今後も顧客ニーズに対応した製品開発を迅速に進めていく。
2020年9月9日
需要は回復傾向も、コロナ影響で先行き不透明に
ポリスチレン(PS)メーカー3社の原燃料高に対応した値上げが出揃い、10月1日の実施に向けユーザーとの交渉が本格化している。改定幅は、PSジャパン、DIC、東洋スチレンとも「10円/kg以上」で打ち出した。
PS価格は、原料ベンゼンACPやナフサ価格、また為替を前提に、四半期ごとに価格の見直しを行う。今年は、昨年後半からの原油価格上昇に連動し、1Q(1-3月期)にACPが上がったことで、4月の価格改定では値上げとなった。
しかし、新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大したことや、OPECなどの協調減産の混乱により原油価格が暴落したことから、2Q(4-6月期)のACPは1Qから345ドル急落。そのため7月の価格改定では40円以上の値下げとなった。ただ原油価格は、5月に協調減産が再開されたことや中国経済の回復などもあり上昇基調を強めた。それに伴いACPも400ドル以上に値を戻し、3Q(7-9月期)は2Qから78.3ドル上昇する結果となった。
こうした状況を踏まえ、PSメーカー各社は10月からの値上げを発表。ユーザーへの安定供給を行い、再投資可能な事業とするためにも、今回の値上げ交渉を速やかに決着させていく考えだ。
一方、PSの国内需要は2Qに前年比20%減と大きく落ち込んだ。コロナ禍の影響で川下製品の需要が停滞したことや、7月からのPS価格の下落を前に買い控えの動きが強まったことが背景にある。それを反映し、2Qの在庫月数は2.3ヵ月分と平常時に比べ大きく積み上がっており、適正在庫に戻すために稼働調整を行う動きもあるようだ。
こうした中、コロナ禍が落ち着いてきたことや7月の値下げ効果もあり、PS需要は回復傾向にある。7月の内需は包装用途や雑貨・産業用途を中心に伸び、3月以来4カ月ぶりに前年比で上回った。また政府も、8月の月例報告で国内景気の判断を「持ち直しの動きが見られる」と発表しており、年末に向けてPS需要の盛り上がりが期待される。
とはいえ、コロナ禍は未だ収束のめどが立たっていない。感染者が再び増加傾向となれば消費が落ち込む可能性もあり、今後も先行き不透明な状況が続きそうだ。
2020年9月8日
DICはこのほど、2013年に発売した泡消火薬剤「メガフォームIH‐101‐5」(型式番号:泡25~1号)に関して、消防法に基づく型式試験の際に不正行為があったことが、社内調査により判明したと発表した。総務省消防庁に報告し、聴聞が行われる予定。
同社は、製品の発売前に実施する型式試験(検定機関による試験)の申請にあたり、申請書類に記載した組成と異なる組成の泡消火薬剤サンプルを提出。その後、規格に適合し消防法に基づく型式承認を得ていた。
同社は今回の件を重く受け止め、背景や原因などについて、第3者も交えた調査を実施している。なお、これまでの調査の結果、すでに出荷している製品については使用条件に関し、消火性能に問題がないと判断している。
同社は、「関係者の方々には多大なるご迷惑ご心配をお掛けし、大変申し訳ございません。今後、再発防止ならびにお客様への対応については万全を期してまいる所存です」とコメントしている。
2020年9月4日
DICは3日、同社と米国グループ会社サンケミカルが、水処理用中空糸脱気製品の世界的な拡販を目的に米デュポンと戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。
今後、工業用の水処理用途で使われる大型中空糸脱気モジュール「セパレル」シリーズのグローバルでの販売独占権をデュポン・ウォーター・ソリューションズに付与することで、アジア、米国、欧州地域の販売を拡大し、2021年には同事業の売上高を2019年比で約2倍の増収を目指す。
デュポンは、限外ろ過膜、逆浸透膜、イオン交換樹脂など、世界をリードする水の浄化と分離技術のポートフォリオをもつ。水処理設備メーカーなどの顧客は、DICの中空糸脱気モジュールとデュポンの製品を組み合わせて使用することが多いため、今回の提携は、顧客に対してトータルソリューションサービスの提供が可能になる。
今後は、DICの中空糸脱気関連製品「セパレル」シリーズのうち、水処理用途の製品ブランド名をデュポンのブランド「LIGASEP」へ変更する予定だ。なお、デュポン・ウォーター・ソリューションズとの独占的パートナーシップは、水処理市場にのみ適用。DICグループは、引き続き「セパレル」を製造し、独自の脱気技術を活用してインクジェットインキ市場を含む他の産業市場へ販売していく。
DICグループは、中期経営計画「DIC111」の中で、環境に配慮した製品や高機能製品を社会へ提供することで、社会貢献と成長の実現を目指すことを事業方針に据えている。今後も中空糸膜モジュールの市場要請に対応した高機能な製品を提供し、世界的な事業規模拡大に努めていく方針だ。
2020年9月4日