日本化学工業協会は31日、都内で「2018年日化協LRI研究報告会」を開催し、関係者約250人が参加した。
LRI(長期自主研究活動)は、日欧米の化学工業会が人の健康や環境に及ぼす化学物質の影響を評価する優れた研究を長期的に支援する活動。日化協LRIでは、化学物質安全に関連する最新の話題を共有する場として研究報告会を毎年開催している。
午前の部では、「日化協LRI受賞者による記念講演」などが行われた。午後の部では「マイクロプラスチック(MP)の環境影響評価とLRIの取組み」をテーマにシンポジウムを開催。日本プラスチック工業連盟の岸村小太郎専務理事を座長に、環境省地球環境局の福島健彦国際連携課長が「海洋ごみ・MPに関する国際議論の動向」、九州大学応用力学研究所・大気海洋環境研究センターの磯辺篤彦教授が「海洋プラスチック汚染に対する学界の取り組み」、日化協化学品管理部の坂田信以常務理事が「ICCA及び日化協LRIでの取り組み」、愛媛大学大学院農学研究科の鑪迫(たたらざこ)典久教授が「LRI採択研究の概要紹介~MPを介した化学物質の魚類への生物蓄積と生物間濃縮に関する研究~」をテーマに講演を行った。
続いてパネルディスカッションでは、経済産業省素材産業課の岩谷邦明課長補佐を加え、①優先すべきMP研究の範囲、課題②産・官・学の連携(化学産業界への期待)について、ディスカッションが行われた。福島氏はMP問題について「(世間に)これだけ認知されているが、冷静な議論が始まっていない。G7・国連環境計画(UNEP)など、世界レベルでも枠組み作りが始まっているが、どういった対策をすればよいか、根拠やロジックを検討する客観的な材料やデータが必要だ」と指摘した。
岩谷氏は「MPが海洋にどのような影響を与えているかまだ不透明だ。アジアでは