三菱ケミカルは29日、昨年6月に発表したインドにあるWelset Plast Extrusions社(ムンバイ市)の塩ビコンパウンド事業の買収完了と、同事業の拠点を利用した熱可塑性エラストマー製造設備の新設を発表した。新設備の稼働は2019年度中を予定。
Welset社の塩ビコンパウンド事業は、特にメディカル分野ではインド国内で最大のシェアをもつなど、インド・ASEAN市場で確固たる基盤がある。
三菱ケミカルは、メディカル用塩ビコンパウンド事業に新たに参入することで、当該地域で同事業の展開を推進していくとともに、既存の塩ビコンパウンド事業についても事業拡大と加速化を図っていく。同時に今回の事業買収を機に、熱可塑性エラストマー事業へも注力していく考えだ。
三菱ケミカルの機能性樹脂製品は、インドの自動車分野で用途展開を続けており、今後も堅調な伸びが期待されている。
同社は現在、インドでは熱可塑性エラストマーを委託製造しているが、今回の事業買収で獲得した拠点に自前の熱可塑性エラストマー製造設備を新設することにより、製品の供給体制を拡充し、おう盛な需要に対応していく。
同社の機能性樹脂事業はこれまで積極的なM&Aや設備投資を進め、アジアパシフィック、欧州、北米地区など世界各地域で事業拡大しており、今回の買収により同事業のネットワークは16ヵ国28拠点となった。
同社は、今回買収した会社をアジアパシフィック地域での医療用塩ビコンパウンドの製造拠点と位置づけ、加えて自動車用熱可塑性エラストマーの製造規模拡大により、一層のグローバル展開を加速していく。
なお、ムンバイに本社を置く新会社の社名はMCPP India(予定)、従業員数は約150人(3月1日現在)、工場はムンバイ北方のスィルヴァーサーにある。塩ビコンパウンド(メディカル用途、電線被覆用途)や、熱可塑性エラストマー樹脂(自動車用途)の製造販売を軸に展開していく。