塩ビ樹脂 6月インド向け輸出は前月比10ドル高

2019年6月6日

 塩ビ樹脂(PVC)の6月分のアジア輸出価格は、インド向けがCFR890ドル/tで決着。前月から10ドル高と3カ月ぶりの上昇となった。中国・その他向けも同840ドル/tと前月から20ドル高となり、4カ月ぶりに上昇に転じている。

 台湾大手メーカーも、インド向け870ドル/t(ボリュームディスカウント10ドル)と前月比10ドル高、中国向け850ドル/t(同10ドル)と前月比30ドル高で決着した。インド向けについては、モンスーン期(6~9月)前の需要期が終了することや、総選挙によるインフラ工事の停滞などにより引き合いが弱まっている。こうした中、ロシアなどの域外品が継続的に流入しタイト感が薄れていることも、価格上昇を抑える要因となった。

 一方、中国向けは、米中貿易摩擦の影響が出始め、需要家の購買意欲は低下している。しかし、中国で化学プラントの爆発事故があった影響で、国内カーバイド法PVCの価格が高騰。それに引っ張られる形で輸入品の価格も押し上げられた状況だ。

 今後については、外部要因で価格が上昇したものの、実需が見えにくく先行き不透明となっている。インドは総選挙が落ち着いてくるものの、インフラ工事再開には時間が掛かる見込みで、モンスーン期が明ける9月ごろに需要が戻ってくるとの見方が強い。ただ、6月で期限を迎える、中国、タイ、米国品にかかっているアンチダンピングの動向次第では、今後の需給バランスが大きく変化する可能性もある。

 一方、中国向けは、米中貿易協議が難航していることが懸念材料。追加関税が実行されれば、再輸出品向けの需要が停滞することが予測される。爆発事故によりカーバイド法の生産が絞られているが、どこまでその影響が残るかに注目が集まっている。

 なお、日本のPVC輸出については、4月は前年同月比42%増の4万9000tと高水準を継続した(VEC発表)。今年は大型定修もないことから、このペースを維持すれば年間で65万t以上となる見通しだ。