慶大・東大 実験とMI融合で効率化、LIB負極材を開発

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2019年9月13日

 慶應義塾大学と東京大学の研究グループはこのほど、実験主導型のマテリアルズ・インフォマティクス(MI)により、リチウムイオン二次電池(LIB)の負極となる世界最高水準の性能をもつ有機材料の開発に成功した。

 同研究では有機材料の新たな設計指針を確立するとともに、極めて少ない実験数で高容量・高耐久性の材料が得られる手法を示した。同開発は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業「さきがけ」によるもの。

 電池の省資源化に向けて、LIBの負極として金属を使わない有機材料が求められるが、従来は研究者の試行錯誤や経験と勘で探索されており、設計指針は明らかでなかった。

 一方、MIは研究者の経験と勘の関与を減らすための手段だが、一般的に、大規模なデータ(ビッグデータ)に対して機械学習を行うため、実験科学者の小規模な自前データや経験知をどう活用するかに課題があった

 。そこで、慶大理工学部の緒明佑哉准教授らの研究グループは、東大大学院新領域創成科学研究科の五十嵐康彦助教らと共同で、小規模でも比較的正確な実験データと実験科学者の経験と勘を融合した「実験主導型MI」の手法を探索した。

 具体的には、まず16個の有機化合物について負極としての容量を実測し、容量を決定づけている少数の要因をスパースモデリングで抽出した。スパースモデリングとは、現象を説明する要因は少数(スパース)であるという仮定に基づき、適切な規範に従ってデータに含まれる主要因を抽出するデータ科学的手法の一つ。

 この学習結果をもとに、抽出した因子を変数とした容量予測式(予測モデル)を構築。次に、市販の化合物の中から、研究者の経験と勘も交えながら、負極としてある程度の容量が見込まれる11個の化合物を選び、実験をする前に容量の予測値を算出した。

 予測値の高かった3個の化合物について容量を実測すると、2個の化合物で高容量を示した。さらに、そのうちの1つであるチオフェン化合物を重合すると、容量・耐久性・高速充放電特性が向上した高分子の負極材料が得られた。

 同研究では、少ない実験データ、研究者の経験と勘、機械学習を融合し、高性能な材料の探索に成功したことから、材料探索を効率化する上で、実験科学とMIの融合の有効性を明らかにした。また、今回確立した有機負極材料の設計指針により、さらなる性能向上や新物質の発見が期待されている。

出光 「出光音楽賞」受賞式典とガラコンサートを開催

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2019年9月13日

 出光興産は、同社が主催する第29回「出光音楽賞」の受賞式典とガラコンサートを、2日に東京オペラシティコンサートホールで開催した。

 同音楽賞は、若手音楽の育成という観点から、毎年、新進の音楽家を意欲、素質、将来性などを考慮し表彰している。今回までに累計103人・1団体が受賞しており、主にクラシック音楽を中心に各方面の第一線で活躍している。

 今回の受賞者は、牛田智大(ピアノ)、郷古廉(ヴァイオリン)、LEO[今野玲央](箏)の3氏で、式典では各氏が表彰された。

 受賞記念コンサート(ガラコンサート)では、若きミュージシャンによる、意欲あふれる熱の込められた演奏が行われ、多くの来場者が堪能した。

 同社は「出光音楽賞」の取り組みを通し、次世代の若手音楽家の育成と音楽文化向上の一助のため、今後も顕彰を続けていく。なお、同コンサートの模様は「題名のない音楽会」(テレビ朝日系列)にて今月28日に放映される予定。

ハイケム 高社長が中国で講演、石炭産業の方向性示す

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2019年9月13日

 ハイケムの高潮(たか・うしお)社長はこのほど、「中国・楡林(ゆりん)国際ハイエンドエネルギー化学発展フォーラム」で講演を行った。同フォーラムは中国陝西省・楡林市で4~6日に開催された「第14回・楡林国際石炭・ハイエンドエネルギー化工産業博覧会」のプログラムの1つとして行われたもの。

 高社長は「国際的な化学新素材産業の開発状況と動向」をテーマに、楡林市の産業発展戦略、環境に配慮したC1化学の発展の方向性、生分解性プラスチックへの展開など、サスティナビリティ社会における石炭化学産業の優位性や将来の方向性について述べた。

 高社長は最初に楡林市に関して、川上の産業チェーンの確立と川下産業への展開強化で、長期にわたる高付加価値製品の開発に重点を置くことや、国際的な先進企業と連携して、C1化学を新エネルギーと結合させ、将来のエネルギー産業の開発機会を掴むことの必要性を強調。また「プラスチックを生分解性プラスチックに替えていくことが、将来の化学産業にとって不可欠」と指摘した。

 その上で、楡林でのC1化学の将来展望として、合成ガスやメタノールなどの基礎化学品の製造ラインを構築し、世界的に有名な企業を誘致して、革新的な組織モデルを有する包括的な化学工業団地を建設することで、石油化学製品を石炭化学製品に部分的に置き換えることができるとの見通しを示した。

 さらに、C1化学の代表的な技術の中でも、「SEG」(石炭などのオフガスからエチレングリコールを製造する)プロセスは、コスト優位性があり、従来の方法から徐々に取って代わってきていることに言及。同社が推進する「SEGライセンス事業では、日本企業が保有していた技術を発展させ、中国企業にライセンスし、現在までにEG生産能力の合計が、年産915万tに相当する「SEG」ライセンス契約を締結していることを紹介した。

 また、南通に自社触媒工場を設立し、年産3千tの触媒を供給できる体制を整えており、同社のこの石炭化学産業分野での事業は、CPCIF(中国石油化学工業連盟)によって認められるまでに成長していることにも触れ、「今後も弊社は水素事業などを推進することでC1化学の発展にも寄与していく」と結んだ。

旭化成ホームズ 国際的な環境イニシアチブ「RE100」に加盟

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2019年9月13日

 旭化成ホームズはこのほど、The Climate Groupが運営する国際的な環境イニシアチブ「RE100」=Renewable Energy 100%=に加盟したと発表した。

 RE100は、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする企業の連合体で、加盟企業数は9月現在、全世界で190社を超えており、日本企業では22社が加盟している。

 同社は、戸建て住宅「ヘーベルハウス」と賃貸住宅「ヘーベルメゾン」への太陽光発電設備設置を積極的に推進してきた。都市部の限られた屋根面積に高容量のパネルを設置する独自技術の開発や、災害時の電力のレジリエンス強化を目指した蓄電池の併用設置などを促進している。

 これまでに搭載した太陽光発電設備の総量は約360MW以上で、その年間発電量は約360GWhに達した。一方、同社が昨年度に事業活動で消費した電力は約33GWhとなっている。

 今後は、独自の電力供給サービス「ヘーベル電気」によって、固定価格買取期間を終えた太陽光発電設備の余剰電力を買い取り、事務所や工場、展示場の電力として活用する予定。同社は2038年までに、事業活動で使用する電力を100%再エネで調達することを目指す。今後も、事業活動を通して持続可能な社会の実現に一層貢献していく考えだ。

出光 統合新社で初の総合防災訓練実施、危機対応力を強化

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2019年9月13日

 出光興産はこのほど、首都直下地震発生時の対応力強化のため、6日に「総合防災訓練」を実施した。

対策本部で指揮を執る木藤社長と岡田副社長
対策本部で指揮を執る木藤社長と岡田副社長

 巨大地震などの自然災害が危惧される中、エネルギーの安定供給を使命としている同社では、災害発生の際も事業の継続を確保し、被災者の救援と被災地の早期復興に貢献できるよう、首都直下地震および南海トラフ巨大地震を想定した事業継続計画(BCP)を策定している。

 また、2007年からはBCPの実効性を高めることを目的とした「総合防災訓練」を開催しており、今回が13回目となる。

情報収集を行う対策班
情報収集を行う対策班

 統合新社として初となる今回の訓練では、参加者にはシナリオを事前に開示せずに、本番さながらの緊張感の中、BCPに基づいて関係各署が協働して、石油製品や石油化学製品の安定供給の確保・復旧に向けた課題に取り組んだ。

 同社は、今後も同訓練を継続的に実施し、実践的な災害対応力の強化に努めて、安定供給と社会貢献に注力していく考えだ。

SEMI 世界の半導体製造装置、第2四半期の出荷額は20%減

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2019年9月13日

 マイクロ・ナノエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際工業会であるSEMIはこのほど、2019年度第2四半期(4-6月期)の世界半導体製造装置出荷額が、133億ドルだった、と発表した。

 これは、第1四半期から3%減、前年同期比では20%減となる。地域別では、中国が前年同期比11%減の34億ドル、台湾が同47%増の32億ドル、韓国が同47%減の26億ドル、北米が同15%増の17億ドル、日本が同39%減の14億ドル、欧州が同52%減の6億ドルだった。

 第1四半期との比較では、中国(前期比43%増)と北米(同2%増)がプラスとなり、台湾(同16%減)、韓国(同11%減)、日本(同11%減)、欧州(同32%減)とマイナスだった。

DNP モノマテリアルで金属調のラミチューブ販売開始

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2019年9月13日

 大日本印刷(DNP)は12日、リサイクルに適したモノマテリアルでありながら、高級感のあるメタリック調の意匠を実現したラミネートチューブ=写真=を開発したと発表した。DNP ラミネートチューブ

 これまで、PEフィルムとアルミ蒸着PEフィルムを積層したパッケージは、モノマテリアルのためリサイクル適性に優れているものの、一般的な加工技術では輝度感が薄れ、メタリック調の輝きが損なわれてしまうという課題があった。

 この課題に対しDNPは、長年培った蒸着技術とプラスチックフィルム積層技術により、PE樹脂の選定とアルミ蒸着、フィルム積層方法に工夫を加えることで、モノマテリアルでありながら、金属のような高級感のあるメタリック調の意匠を実現した。今後、同社は、今回開発したラミネートチューブを、東南アジアをはじめ国内外のマーケットに広く販売していく。

 また、欧州や米国、アジア諸国や日本国内など、世界各地の事情に合わせて確立されていくリサイクル関連の状況に合わせて販売を強化。パーソナルケアや化粧品、食品、ホームケア、工業分野のメーカーなどに販売し、2022年度に年間10億円の売上を目指す。

【PBT特集4】ポリプラスチックス

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2019年9月13日

欧米のティア1開拓へ、技術支援体制の拡充を推進

 日本のポリブチレンテレフタレート(PBT)の草分けであり、「ジュラネックス」ブランドでPBT事業を展開するポリプラスチックスは、より迅速かつ効率的な事業運営のため、子会社のウィンテックポリマーを今年4月に吸収合併した。

 ポリプラスチックスがPBTの輸入販売を開始したのは1970年。79年にコンパウンドの生産を始め、84年には富士工場にポリマープラントを完成させた。2000年に事業拡大のため、同社60%、帝人40%の出資比率により、ウィンテックポリマーを立ち上げ、ここでPBT事業を行ってきたが、両社の事業再構築によって、ウィンテックポリマーは2016年に、ポリプラスチックスの100%子会社となっていた。

 「吸収合併により、名実ともに『ポリプラ』ブランドとしてのPBT展開を再開した」(事業戦略統括室PBT事業戦略室・江藤彩子室長)。生産体制としては、日本とマレーシア、台湾、中国に自社コンパウンド拠点を持つほか、中国(複数)とアセアン(同)、米国、メキシコの協力会社に生産を委託している。

 同社では顧客に対し、PBT

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