【化学企業 入社式訓示②】出光興産 木藤俊一社長

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2020年4月3日

 皆さんの入社を心より歓迎し、私から3つの話をする。まず1つ目だが、当社が何よりも大切にしているのは、「事業を通じて社員を育成すること」と、「エネルギーセキュリティを支え、ライフラインを守る」という社会的使命だ。

 昨年4月、出光興産と昭和シェル石油は経営統合したが、両社はともに、人が持つ無限の可能性を信じ、大切にしてきた会社だ。当社の最大の財産は「人の力」。これから先どんな困難な時代がきても、社員がしっかり育っていれば、様々な困難を乗り越え、社会に貢献し続けていけると私は信じている。

 2つ目は、次の時代に向けた取り組みだ。化石燃料を扱う企業への風当たりが強くなるなど、経営環境は厳しさを増している。しかし、私たちは人が育ち事業が変革するチャンスと捉え、どんな環境変化にも対応できる「レジリエントな企業体」となることを目指している。

 そのためにはまず、基盤事業の構造改革を行い、成長事業の規模・領域の拡大を図るとともに、社会の変化、顧客ニーズの多様化、環境負荷低減などを見据えた新たな事業の創出にも取り組んでいかなければならない。是非、皆さんも新しいエネルギーを発揮してほしい。

 最後に、孔子による論語の一説にある「知・好・楽」という言葉を贈る。仕事が楽しいと思えるまでには、多くを学び、様々な経験し、それを1つひとつ乗り越えていくことが大切だ。それには能力に限界を定めず、自らが持つ無限のエネルギーの全てをつぎ込むだけの情熱が必要である。

 新入社員である皆さんは、どんな仕事であっても、まずは目の前の仕事に一生懸命取り組むことが大切だ。それには、上司や先輩のアドバイスを素直に聴き、楽しく仕事ができるように努めることだ。基本を身に着け、課題を達成できた人は、次のステップに進み、さらに成長することを通して社会に貢献することができるようになっていく。

 昨年、統合初となる中期経営計画を策定した際に、30年後の2050年を想定し、複数のシナリオを描いた。どんなシナリオになったとしても、30年後に会社の中枢として活躍しているのは本日入社された皆さんだ。自分たちがこの会社の将来を支えるという気概を持って活躍されることを大いに期待している。