ランクセスの1-3月期 コロナウイルス危機下でも堅調

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2020年5月29日

 ドイツ特殊化学品メーカー・ランクセスの2020年度第1四半期(1-3月期)の連結売上高は、前年同期比で微減の17億400万ユーロ、特別項目を除いたEBITDAは同10%減の2億4500万ユーロ、特別項目を除いたEBITDAマージンは同1.3ポイント減の14.4%、継続事業による純利益は同28%減の6300万ユーロとなり、新型コロナウイルスのパンデミックによる経済の低迷にもかかわらず堅調な業績を維持した。

 特に、感染予防に有効な製品を扱う新設のコンシューマープロテクション部門とスペシャリティアディティブス部門は好業績を達成した。なお、コンシューマープロテクション部門は、旧パフォーマンスケミカルズ部門に代わり、サルティゴ、物質保護剤、液体高純化テクノロジーズのビジネスユニットで構成されている。

 一方、コロナ危機による自動車業界の低迷により、エンジニアリングマテリアルズ部門はマイナスで推移した。部門別の業績は、アドバンスト中間体部門は、特にアジア地域のアドバンスト工業化学品がパンデミックによる需要低迷の影響を受け減収減益。

 スペシャリティアディティブス部門は、臭素系製品と為替の好影響が自動車産業の需要低迷を相殺し増収増益。新設のコンシューマープロテクション部門も、特に物質保護剤ビジネスユニットの消毒剤の好調と為替の好影響、買収によるポートフォリオ強化が業績に寄与し増収増益。エンジニアリングマテリアルズ部門は、自動車産業の需要低迷により減収減益となった。

 同社は、第2および第3四半期はパンデミックによる影響が増大すると予測しており、第2四半期の特別項目を除いたEBITDAは2億~2億5000万ユーロ、通期では8億~9億ユーロを見込んでいる。

 こうした中、コロナ危機を乗り切るために、自社株買い戻しプログラムの当面の延期、コスト統制、複数の投資プロジェクトの延期、合弁会社カレンタ社の株式売却を行い、流動性資金を約30億ユーロに増加させる。また、監査委員会、経営委員会、経営幹部の報酬減額を決定した。