東レは28日、2020年3月期の連結決算を発表した。売上高は前年度比7%減の2兆2146億円、営業利益7%減の1312億円、経常利益23%減の1034億円、純利益30%減の557億円となった。
セグメント別に見ると、繊維事業は売上高9%減の8831億円、営業利益17%減の607億円。米中貿易摩擦の長期化と中国経済の減速などにより各用途で市況低迷の影響を受けた。また、国内外ともにコロナ禍による生産活動・消費行動停滞の影響を受けた。
機能化成品事業は売上高11%減の7708億円、営業利益13%減の587億円。樹脂事業は、中国経済の減速とコロナ禍による生産活動停滞の影響を主因に自動車・家電用途とも低調に推移。ケミカル事業は、基礎原料の市況下落の影響を受けた。フィルム事業は、LIB用セパレータフィルムが売上を拡大したが、ポリエステルフィルムでは光学用途や電子部品関連が在庫調整の影響を受けた。電子情報材料事業は、有機EL関連部材や回路材料が好調だった。
炭素繊維複合材料事業は売上高10%増の2369億円、営業利益82%増の210億円。航空機向け需要や、環境・エネルギー関連向け一般産業用途が好調に推移したほか、スポーツ用途の需要が回復するなど、総じて堅調に推移した。
環境・エンジニアリング事業は売上高2%減の2523億円、営業利益8%減の112億円。水処理事業は、国内外で逆浸透膜などの需要がおおむね堅調に推移した。国内では、建設子会社が高収益案件の受注減少の影響を受けたほか、エンジニアリング子会社でエレクトロニクス関連装置の出荷が減少した。
ライフサイエンス事業は売上高1%減の533億円、営業利益25%増の16億円。医薬事業は、経口そう痒症改善薬「レミッチ」が後発医薬品発売の影響を受けたが、市場全体の伸びもあり、堅調な出荷となった。
なお今年度からIFRSに移行。通期業績予想は、新型コロナの感染拡大が第2四半期にピークアウトし、下期以降、国内外の経済は回復基調をたどることを前提に、売上収益8%減の1兆9200億円、事業利益44%減の700億円、親会社所有者帰属当期純利益52%減の400億円を見込む。