信越化学の4-6月期 コロナ禍で全セグメントが減収減益

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2020年7月29日

 信越化学工業は28日、2021年3月期第1四半期(4―6月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比7%減の3593億円、営業利益15%減の909億円、経常利益13%減の952億円、純利益18%減の693億円となった。

 セグメント別に見ると、塩ビ・化成品事業は売上高10%減の1102億円、営業利益25%減の190億円。米国シンテック社では、塩化ビニル、カセイソーダともに高水準の出荷を維持したが、市況の影響を受けた。また、欧州拠点も販売数量の維持に努めたが、市況の影響を受けた。国内拠点は市況影響に加え、定修による数量減があった。

 シリコーン事業は売上高9%減の512億円、営業利益34%減の105億円。汎用製品の価格下落や、車載向けや化粧品向けの需要鈍化の影響を受けた。

 機能性化学品事業は売上高5%減の274億円、営業利益33%減の50億円。セルロース誘導体は、医薬用製品や塗料用製品は底堅く推移したが、建材用製品が振るわなかった。フェロモン製品やポバール製品は出荷が低調だった。

 半導体シリコン事業は、売上高4%減の949億円、営業利益2%減の385億円。半導体シリコンは半導体デバイス市場の調整局面が続いたが、販売価格と出荷水準の維持に努めた。

 電子・機能材料事業は売上高4%減の525億円、営業利益10%減の149億円。希土類磁石は、新型コロナを原因とするロックダウンにより一時海外工場の稼働が影響を受けたが、段階的に稼働を上げ現在はフル操業となっている。フォトレジスト製品は、ArFレジストやEUVレジストを中心に総じて好調だった。マスクブランクスも先端品の伸びにより堅調に推移した。光ファイバー用プリフォームは市況悪化の影響を受けて厳しい状況となったが、大型パネル用フォトマスク基板は堅調だった。

 加工・商事・技術サービス事業は、売上高6%減の228億円、営業利益25%減の26億円。信越ポリマーの半導体ウエハー関連容器の出荷は堅調だったが、自動車用入力デバイスが自動車市況悪化の影響を受けた。

 なお、通期業績予想については、「コロナ禍の収束が見通せない中、業績予想を合理的に行うことの難しさが依然として残る」とし4月の発表と同様に未定とした。ただ、9月までの連結業績予想については、売上高10%減の7050億円、営業利益14%減の1820億円、経常利益12%減の1920億円、純利益16%減の1390億円と開示した。