BASF 全製品のカーボンフットプリントを算出・提供

, ,

2020年9月7日

 BASFはこのほど、全製品のCO2排出量(カーボンフットプリント、CF)を顧客に提供すると発表した。製品カーボンフットプリント(PCF)は、原料の調達から生産工程のエネルギー使用など、製品が工場を出るまでの全ての温室効果ガス(GHG)排出量で構成される。

 同社は2007年より、特定製品のPCFは算出してきたが、デジタルソリューションの開発により約4万5000製品のPCFが世界規模で算出可能となった。今後数カ月以内に一部製品・顧客セグメントでの算出を始め、来年末までに全PCFデータを利用可能とする予定。

 M・ブルーダーミュラー会長は「サステナビリティとデジタル化は企業戦略の中心的要素だ。PCFの算出はこれらを進め、透明性を高め、最終製品に至るバリューチェーンでのCO2排出削減計画を構築できる」、コーポレートサステナビリティ部門のC・イェケル氏は「環境保護の重要性は高まっており、今後は、顧客の気候関連目標の達成を信頼性の高いデータでサポートする。PCFの活用でCO2排出回避のポイントも特定可能だ。すでに一部製品では代替原料や再生可能エネルギーを使用し、CO2削減に貢献している」と述べている。

 同社のバイオマスバランス・アプローチでは、化石資源を有機廃棄物や植物油由来の再生可能原料に置換し、その量を製品に割り当てる。「ChemCycling」プロジェクトもマスバランス方式。今年から、ケミカルリサイクルした原料を使用した製品を商業規模で供給。両アプローチによる製品は、化石原料由来の製品と同等特性のままでPCFを軽減した。

 環境保護は重要な戦略要素で、今後の成長下でも生産関連の排出量を2030年まで一定に抑えるのが目標。生産・プロセス効率の向上、再生可能エネルギー由来の電力調達、革新的な低排出プロセスの構築の3つのアプローチを追求する。

 同社のPCFは、25年のサステナビリティ評価実績を踏まえ、生産ネットワークの排出量集積データと、調達原料やエネルギーに関する平均化データに基づいて算出。ISOやGHGプロトコル製品基準などのライフサイクル分析の基準に沿ったもの。

 BASFは公平に製品比較できる基準を作るため、製品向けPCF算出用ガイドラインの化学業界への導入に注力。様々なパートナーと協力し、標準化を推進していく考えだ。