東北大学など 水と高圧氷の界面に「新しい水」を発見

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2020年9月8日

 東北大学と北海道大学、産業技術総合研究所(産総研)、東京大学はこのほど、高圧下で水が凍ってできる氷の表面に、通常の水とは混ざらない異構造・高密度の「新しい水」を発見したと発表した。水の異常物性を説明する「2種類の水」仮説の検証に新たな道を示した。

 水はありふれた存在だが、特異な物性をもつ奇妙な液体であり、多くの自然現象を支配している。たとえば雪だるまが作れるのは、0℃以下でも存在する氷表面の液体層のおかげだ。

 マイナス20℃、248M㎩の低温高圧条件で生成する氷Ⅲの、加減圧時の成長・融解過程を光学顕微鏡で観察。加圧成長時には界面に流動性の均質な液体膜が形成し、加圧を止めると不均質化して迷路のような模様になった。これは通常の水と新しい水が混ざり合わない異なる構造をもつことを示している。

 減圧融解時には活発に動く微小液滴が形成。この水は液滴の濡れ角から高密度であり、分子動力学シミュレーションからは氷Ⅲに近い構造であると考えられる。以上から、水/氷界面にはナノメートルオーダーの氷から水へ連続的に変化する液膜があるという通説に反し、マイクロメートルスケールの高密度水の液膜が存在することが明らかとなった。

 また25℃、954M㎩の常温高圧条件で結晶化する氷Ⅵ/水界面にも高密度の新しい水の生成がレーザー干渉顕微鏡で確認され、水/高圧氷界面の高密度水形成の普遍性が示された。なお、通常の氷は氷Ⅰhで六角柱状の格子構造、今回の低温高圧環境下の氷Ⅲは立方体構造、常温高圧環境下の氷Ⅵは底面が正方形の直方体構造である。

 今回の融液/結晶成長挙動の解明は、融液から機能性材料が生成する過程の解明に、さらには太陽系天体内部の高圧状態の氷から天体の形成過程の解明にも役立つと期待される。